臨床現場で注目されている薬剤や疾患を取り上げ、新人薬剤師には「やさしく」、先輩薬剤師には「くわしく・強くなる」をコンセプトに解説します。薬剤業務の悩みを解消、臨床力も磨けます。
年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)ISSN 2760-3598
臨床現場で注目されている薬剤や疾患を取り上げ、新人薬剤師には「やさしく」、先輩薬剤師には「くわしく・強くなる」をコンセプトに解説します。薬剤業務の悩みを解消、臨床力も磨けます。
年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)ISSN 2760-3598
見逃すと激ヤバ? キケンの芽を察知し回避せよ!
徹底審議 ハイリスク処方
ISBN 978-4-525-92254-2
定価
1,320円(本体 1,200円+税10%)
志賀 剛/村上 理/浜田康次/古久保 拓/篠田康孝/袴田 潤/木村元範/末廣直哉/大森智史/島﨑 学/赤瀬朋秀
- 序文
- 目次
序文
「安全な薬物治療」とは何でしょうか? ことばでは簡単ですが,実践するとなると薬の知識だけでなく,病態や患者背景,患者の身体状況,併存疾患や合併疾患,既往歴,生活環境や活動度,患者の希望や思いなど総合的に把握したうえで,有害事象をできる限り抑えながら,その人にとって最大の効果が得られる薬物治療を施すことになります.
薬は,基本的に生体になんらかの作用を及ぼします.その結果,薬の作用がヒトにとって悪い影響(副作用)を及ぼすこともあります.また,この作用は,薬の用量によっても異なります.ある量では有効であっても,さらに多い量になると有害に働くおそれがあります.場合によっては薬が身体機能を悪化させ,命にかかわることさえあります.
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集事業による報告では医療事故の約8%は薬剤関連で,ヒヤリ・ハット事例では34%もが薬剤関連でありました1).その内訳は,過剰投与,処方量の問題,投与方法の間違い,禁忌薬剤の組み合わせなどです.このように薬は使い方を誤ると毒にもなります.一方,その発生要因として,確認を怠った,知識が不足していた,連携ができていなかった,勤務状況が繁忙であったなどがあげられます.その多くがヒューマンエラーであり,言い換えれば予見や予防ができるものでもあります.
あまりにも専門領域が細分化された現代の医療システムにおいて,一人の患者が複数の医師から薬を処方されることも珍しくありません.そして,すべての医師がすべての薬を理解しているわけではありません.一方には良い薬であっても他方には悪い薬となることもあります.ここに薬の専門家である薬剤師の役割があるのではないでしょうか.
本特集では,大きな有害事象に発展する前にいかにリスクを察知し,危険を回避するかをテーマに,見逃してはいけないハイリスク処方箋の実際,薬の副作用症状を薬で抑えることで生じる処方カスケードの事例を紹介します.これらを通して,薬剤師の方々にいま一度,日々の薬物治療を見直していただき,ひとりでも多くの患者が危険にさらされないよう救っていただきたいと切に願っております.
東京慈恵会医科大学臨床薬理学 教授 志賀 剛
文献
1)日本医療機能評価機構: 医療事故情報収集等事業 第81回報告書(2025年1月~3月),
2025年6月公開(2025年8月閲覧). https://www.med-safe.jp/pdf/report_81.pdf
薬は,基本的に生体になんらかの作用を及ぼします.その結果,薬の作用がヒトにとって悪い影響(副作用)を及ぼすこともあります.また,この作用は,薬の用量によっても異なります.ある量では有効であっても,さらに多い量になると有害に働くおそれがあります.場合によっては薬が身体機能を悪化させ,命にかかわることさえあります.
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集事業による報告では医療事故の約8%は薬剤関連で,ヒヤリ・ハット事例では34%もが薬剤関連でありました1).その内訳は,過剰投与,処方量の問題,投与方法の間違い,禁忌薬剤の組み合わせなどです.このように薬は使い方を誤ると毒にもなります.一方,その発生要因として,確認を怠った,知識が不足していた,連携ができていなかった,勤務状況が繁忙であったなどがあげられます.その多くがヒューマンエラーであり,言い換えれば予見や予防ができるものでもあります.
あまりにも専門領域が細分化された現代の医療システムにおいて,一人の患者が複数の医師から薬を処方されることも珍しくありません.そして,すべての医師がすべての薬を理解しているわけではありません.一方には良い薬であっても他方には悪い薬となることもあります.ここに薬の専門家である薬剤師の役割があるのではないでしょうか.
本特集では,大きな有害事象に発展する前にいかにリスクを察知し,危険を回避するかをテーマに,見逃してはいけないハイリスク処方箋の実際,薬の副作用症状を薬で抑えることで生じる処方カスケードの事例を紹介します.これらを通して,薬剤師の方々にいま一度,日々の薬物治療を見直していただき,ひとりでも多くの患者が危険にさらされないよう救っていただきたいと切に願っております.
東京慈恵会医科大学臨床薬理学 教授 志賀 剛
文献
1)日本医療機能評価機構: 医療事故情報収集等事業 第81回報告書(2025年1月~3月),
2025年6月公開(2025年8月閲覧). https://www.med-safe.jp/pdf/report_81.pdf
目次
■激ヤバ事例編
黙って素通りしてはいけないハイリスク処方箋
▽循環器領域編
1.不整脈治療が開始されたとき(1)
2.不整脈治療が開始されたとき(2)
3.抗不整脈薬の怖さ
4.不整脈治療薬が追加されたとき(1)
5.不整脈治療薬が追加されたとき(2)
6.心不全にNSAIDs(1)
7.心不全にNSAIDs(2)
8.抗ヒスタミン薬は侮れない
9.ニューキノロン系抗菌薬×心疾患患者
10.三叉神経痛治療薬が開始されたとき
11.Ca拮抗薬にこの併用は?
▽腎機能低下編
1.医原性AKI
2.CKD×NSAIDs
3.薬剤性元気喪失
4.入院,そのとき持参薬は?
5.健康食品の併用
6.アザチオプリンとアロプリノールの併用
7.血液透析患者の心停止・結腸切除
8.浮腫んでいるからすぐループ
9.亜鉛がああええんや
10.CKD患者への帯状疱疹治療の選択肢
11.CKD×酸化マグネシウム製剤
12.意図しないアルミニウム負荷
▽初診外来・救急編
1.怪我の悪化にセファレキシン
2.鼻炎薬の中断がショックにつながる!?
3.オーバードーズ
4.湿布薬で呼吸困難?
5.ステロイド軟膏で治らない皮疹
6.下痢止めが心臓を止める!?
7.“使える薬がない!?” アレルギー歴に翻弄
8.転倒リスクが重なった日常処方の末路
9.新型コロナウイルス治療薬の相互作用
10.“効かない薬”を渡し続けていませんか?
■処方カスケード編
治療方針を見直したいリスク未評価な処方箋
1.[総論]処方カスケードが発生しやすい状況とは?
日常業務でできる対処法は?
2.[各論]現場でみられる処方カスケード
~本来ならば不要な薬剤が追加されるまで~
3.なんでも薬を疑う前に… 薬剤師に求められる臨床力のはなし
□Series
・最近のコクシ:中止・変更の提案
・ハマゾン.co.jp:予測不能な未来を予想する
・プレイバック物化生:抗体のトリセツ
・漢方検分録 ケースで学ぶ漢方薬の安全チェック:
患者の副作用チェックとともに効果を確認して,漫然とした処方を避けよう
黙って素通りしてはいけないハイリスク処方箋
▽循環器領域編
1.不整脈治療が開始されたとき(1)
2.不整脈治療が開始されたとき(2)
3.抗不整脈薬の怖さ
4.不整脈治療薬が追加されたとき(1)
5.不整脈治療薬が追加されたとき(2)
6.心不全にNSAIDs(1)
7.心不全にNSAIDs(2)
8.抗ヒスタミン薬は侮れない
9.ニューキノロン系抗菌薬×心疾患患者
10.三叉神経痛治療薬が開始されたとき
11.Ca拮抗薬にこの併用は?
▽腎機能低下編
1.医原性AKI
2.CKD×NSAIDs
3.薬剤性元気喪失
4.入院,そのとき持参薬は?
5.健康食品の併用
6.アザチオプリンとアロプリノールの併用
7.血液透析患者の心停止・結腸切除
8.浮腫んでいるからすぐループ
9.亜鉛がああええんや
10.CKD患者への帯状疱疹治療の選択肢
11.CKD×酸化マグネシウム製剤
12.意図しないアルミニウム負荷
▽初診外来・救急編
1.怪我の悪化にセファレキシン
2.鼻炎薬の中断がショックにつながる!?
3.オーバードーズ
4.湿布薬で呼吸困難?
5.ステロイド軟膏で治らない皮疹
6.下痢止めが心臓を止める!?
7.“使える薬がない!?” アレルギー歴に翻弄
8.転倒リスクが重なった日常処方の末路
9.新型コロナウイルス治療薬の相互作用
10.“効かない薬”を渡し続けていませんか?
■処方カスケード編
治療方針を見直したいリスク未評価な処方箋
1.[総論]処方カスケードが発生しやすい状況とは?
日常業務でできる対処法は?
2.[各論]現場でみられる処方カスケード
~本来ならば不要な薬剤が追加されるまで~
3.なんでも薬を疑う前に… 薬剤師に求められる臨床力のはなし
□Series
・最近のコクシ:中止・変更の提案
・ハマゾン.co.jp:予測不能な未来を予想する
・プレイバック物化生:抗体のトリセツ
・漢方検分録 ケースで学ぶ漢方薬の安全チェック:
患者の副作用チェックとともに効果を確認して,漫然とした処方を避けよう