とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌
月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
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月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
薬物治療のエビデンスを散歩する おさらい&アップデート
ISBN 978-4-525-94028-7
定価
2,200円(本体 2,000円+税10%)
- 巻頭言
- 目次
巻頭言
魚豊(うおと)氏による漫画作品『チ。─地球の運動について─』をご存じだろうか.同作では,15世紀欧州をモデルにした架空の世界を舞台に,地動説を追い求める者たちの物語が描かれている.教会の権威に支配された社会において,地動説は教義に反する思想であり,研究するだけでも異端者として重い刑罰を受けるという物語の設定は,史実における地動説とキリスト教の歴史的対立を彷彿とさせる.
物語の登場人物たちは,命を懸けて「地球が動いている」という科学モデル,つまり仮説を探究しようとする.しかし,その探求の動機は必ずしも観測事実と地動説の理論が一致していたからではない.実際,提唱された当初の地動説は,天動説よりも観測の精度が劣っていた.それでも地動説が科学的だと考えられた理由は,天動説と比べてより簡潔で予測力のある理論体系として進化する可能性を秘めていたからである.
薬理学に基づく薬物治療の考え方や,病態生理学に基づく疾病の発症メカニズムもまた,薬剤の体内動態や生理学的な反応,疾病の病状経過などを合理的に説明できる仮説である.しかし,仮説は科学の進歩とともに訂正されるものであり,それ自体が最終的な真理ではない.
診療ガイドラインの推奨事項のように,いわゆる標準治療とよばれる医療が,高い科学度を保持していると考えられるのは,臨床的な仮説に対する検証結果,すなわちエビデンスに裏打ちされているだけでなく,新しいエビデンスが報告されるたびに改訂され続けた治療体系だからである.その意味で,現代の臨床医学は絶えず更新され続ける暫定的かつ動的な知識体系である.
科学的であるとは,既存の仮説に対する反証に開かれ,信念を更新する準備があるという態度である.『チ。─地球の運動について─』の登場人物たちが示唆しているように,科学とは究極の真理を提示する営みではなく,「よりよい問い方」に対する絶え間ない接近にほかならない.
本特集は,2022年から連載している「えびさんぽ」から実臨床で遭遇する頻度の高い疾患やテーマを選び,最新のエビデンスを加えた総集編である.医療者が優先的に読むべきと思われるランダム化比較試験(RCT)を時系列で整理した図は,薬物療法を科学的に俯瞰できる鳥瞰図として読み解くことができるだろう.
薬物療法の考え方においても,一見すると常識的な仮説に対して,反証の契機となるような視座を導入すべきである.そのためには,更新され続けるエビデンスの軌跡を丁寧に紐解いていかねばならない.本特集が,薬物療法に対する科学的な視座を切り開き,広大な「エビデンスの森」を迷うことなく進むことができる指針となれば幸いである.
医療法人社団徳仁会 中野病院 薬局
青島 周一
物語の登場人物たちは,命を懸けて「地球が動いている」という科学モデル,つまり仮説を探究しようとする.しかし,その探求の動機は必ずしも観測事実と地動説の理論が一致していたからではない.実際,提唱された当初の地動説は,天動説よりも観測の精度が劣っていた.それでも地動説が科学的だと考えられた理由は,天動説と比べてより簡潔で予測力のある理論体系として進化する可能性を秘めていたからである.
薬理学に基づく薬物治療の考え方や,病態生理学に基づく疾病の発症メカニズムもまた,薬剤の体内動態や生理学的な反応,疾病の病状経過などを合理的に説明できる仮説である.しかし,仮説は科学の進歩とともに訂正されるものであり,それ自体が最終的な真理ではない.
診療ガイドラインの推奨事項のように,いわゆる標準治療とよばれる医療が,高い科学度を保持していると考えられるのは,臨床的な仮説に対する検証結果,すなわちエビデンスに裏打ちされているだけでなく,新しいエビデンスが報告されるたびに改訂され続けた治療体系だからである.その意味で,現代の臨床医学は絶えず更新され続ける暫定的かつ動的な知識体系である.
科学的であるとは,既存の仮説に対する反証に開かれ,信念を更新する準備があるという態度である.『チ。─地球の運動について─』の登場人物たちが示唆しているように,科学とは究極の真理を提示する営みではなく,「よりよい問い方」に対する絶え間ない接近にほかならない.
本特集は,2022年から連載している「えびさんぽ」から実臨床で遭遇する頻度の高い疾患やテーマを選び,最新のエビデンスを加えた総集編である.医療者が優先的に読むべきと思われるランダム化比較試験(RCT)を時系列で整理した図は,薬物療法を科学的に俯瞰できる鳥瞰図として読み解くことができるだろう.
薬物療法の考え方においても,一見すると常識的な仮説に対して,反証の契機となるような視座を導入すべきである.そのためには,更新され続けるエビデンスの軌跡を丁寧に紐解いていかねばならない.本特集が,薬物療法に対する科学的な視座を切り開き,広大な「エビデンスの森」を迷うことなく進むことができる指針となれば幸いである.
医療法人社団徳仁会 中野病院 薬局
青島 周一
目次
特集
薬物治療のエビデンスを散歩する
おさらい&アップデート
(編著/青島 周一)
■特集にあたって
■ランドマークスタディとは何か?-医療者が優先的に読むべき医学論文の条件
■生成AIを活用して医学論文を読む方法と注意すべき論点
■血圧・血糖・脂質管理
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・血圧はしっかり下げた方がよいですか?
・HbA1c値は厳格に管理すべきでしょうか?
・心血管イベントに対するGLP-1受容体作動薬の有効性はどの程度ですか?
・持続型GIP/GLP-1受容体作動薬には,どのような効果が期待できますか?
■心房細動・動脈硬化性疾患
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・低用量アスピリンは動脈硬化性疾患の予防に効果的ですか?
・脳卒中に対するDOACの有効性・安全性はワルファリンに劣りませんか?
・リズムコントロールかレートコントロールか,それが問題だ!
■心不全
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・SGLT2阻害薬は心不全の治療にも効果が期待できますか?
・心不全に対する薬物療法で,QOLは改善するのでしょうか?
■COPD・気管支喘息
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・COPDに対する長時間作用性抗コリン薬の吸入は効果がありますか?
・気管支喘息の治療に用いられるβ2 刺激薬は安全ですか?
・乳幼児や小児の喘鳴に,吸入ステロイドは効果がありますか?
■高齢者ケア
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)予防に効果的な治療法はありますか?
・薬物治療でCKDの進行は抑えられますか?
・処方薬の適切性,どのように測りますか?
・新しい慢性便秘の治療薬は効果がありますか?
■精神・神経
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・オレキシン受容体拮抗薬は効果がありますか?
・ベンゾジアゼピン系薬剤の不適切処方にどう対応したらよいですか?
・抗アミロイドβ抗体薬はアルツハイマー病の認知機能を改善しますか?
■医療への期待と現実
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・検診を受けると健康で長生きできますか?
・マンモグラフィ検診で乳癌死亡は減りますか?
・薬やビタミンサプリメントでがんは予防できますか?
・生成AIの活用で医学的ケアの質は改善しますか?
■再考! 薬の効きめ
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・医薬品の製剤学的な違いは薬剤効果にも影響しますか?
・漢方製剤は効果がありますか?
・プラセボをプラセボだとわかって服用しても効果がありますか?
シリーズ
■えびさんぽ
ランドマークスタディで振り返る2025年
(青島 周一)
■みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈第1回〉がん薬剤師外来立ち上げの際,院内での周知はどのように行いましたか?
(内池 明博 川上 和宜 坂田 幸雄 杉野 善彦 福岡 智宏)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・GLP-1受容体作動薬による眼障害?
・喘息患者のステロイド吸入は1日1回午後がよい?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
動物病院の院外処方専門薬局
(鎧のない薬剤師)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第37回〉アーテン®錠(2mg)
(小嶋 純 米子 真記)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第25回〉大昔の病名概念「霍(かく)乱(らん)」を引っ張り出す意義 21世紀にこそフルに生かせる漢方治療のメリット
(津田 篤太郎)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第49回〉仕組み化≒ロジスティクス?
(大森 智史)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
13時限目 保湿剤-ヘパリン類似物質-
(大井 一弥)
■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 10〉看護師に向けた「医薬品の適正使用」等に関する院内アナウンス
(町谷 安紀)
レポート
〈第1回〉POLSET 副作用発現リスクをビジュアル的に数値でみれるアプリ開発
(佐藤 憲一)
薬物治療のエビデンスを散歩する
おさらい&アップデート
(編著/青島 周一)
■特集にあたって
■ランドマークスタディとは何か?-医療者が優先的に読むべき医学論文の条件
■生成AIを活用して医学論文を読む方法と注意すべき論点
■血圧・血糖・脂質管理
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・血圧はしっかり下げた方がよいですか?
・HbA1c値は厳格に管理すべきでしょうか?
・心血管イベントに対するGLP-1受容体作動薬の有効性はどの程度ですか?
・持続型GIP/GLP-1受容体作動薬には,どのような効果が期待できますか?
■心房細動・動脈硬化性疾患
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・低用量アスピリンは動脈硬化性疾患の予防に効果的ですか?
・脳卒中に対するDOACの有効性・安全性はワルファリンに劣りませんか?
・リズムコントロールかレートコントロールか,それが問題だ!
■心不全
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・SGLT2阻害薬は心不全の治療にも効果が期待できますか?
・心不全に対する薬物療法で,QOLは改善するのでしょうか?
■COPD・気管支喘息
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・COPDに対する長時間作用性抗コリン薬の吸入は効果がありますか?
・気管支喘息の治療に用いられるβ2 刺激薬は安全ですか?
・乳幼児や小児の喘鳴に,吸入ステロイドは効果がありますか?
■高齢者ケア
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)予防に効果的な治療法はありますか?
・薬物治療でCKDの進行は抑えられますか?
・処方薬の適切性,どのように測りますか?
・新しい慢性便秘の治療薬は効果がありますか?
■精神・神経
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・オレキシン受容体拮抗薬は効果がありますか?
・ベンゾジアゼピン系薬剤の不適切処方にどう対応したらよいですか?
・抗アミロイドβ抗体薬はアルツハイマー病の認知機能を改善しますか?
■医療への期待と現実
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・検診を受けると健康で長生きできますか?
・マンモグラフィ検診で乳癌死亡は減りますか?
・薬やビタミンサプリメントでがんは予防できますか?
・生成AIの活用で医学的ケアの質は改善しますか?
■再考! 薬の効きめ
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・医薬品の製剤学的な違いは薬剤効果にも影響しますか?
・漢方製剤は効果がありますか?
・プラセボをプラセボだとわかって服用しても効果がありますか?
シリーズ
■えびさんぽ
ランドマークスタディで振り返る2025年
(青島 周一)
■みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈第1回〉がん薬剤師外来立ち上げの際,院内での周知はどのように行いましたか?
(内池 明博 川上 和宜 坂田 幸雄 杉野 善彦 福岡 智宏)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・GLP-1受容体作動薬による眼障害?
・喘息患者のステロイド吸入は1日1回午後がよい?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
動物病院の院外処方専門薬局
(鎧のない薬剤師)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第37回〉アーテン®錠(2mg)
(小嶋 純 米子 真記)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第25回〉大昔の病名概念「霍(かく)乱(らん)」を引っ張り出す意義 21世紀にこそフルに生かせる漢方治療のメリット
(津田 篤太郎)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第49回〉仕組み化≒ロジスティクス?
(大森 智史)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
13時限目 保湿剤-ヘパリン類似物質-
(大井 一弥)
■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 10〉看護師に向けた「医薬品の適正使用」等に関する院内アナウンス
(町谷 安紀)
レポート
〈第1回〉POLSET 副作用発現リスクをビジュアル的に数値でみれるアプリ開発
(佐藤 憲一)