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とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌

月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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2023年7月 Vol.74 No.8

循環(ながれ)を止めるな! 血液凝固とくすり

定価

2,200(本体 2,000円+税10%)

  • 巻頭言
  • 目次
巻頭言
特集にあたって

血液は,生理的な状況下において「血管内」では凝固せずに循環し,「血管外」へ出ると凝固して止血する.この当然と思える生理が時に破綻することがある.つまり,血管内であるにもかかわらず凝固したり,血管外へ出ても凝固しない病態が知られている.前者が「血栓症」,後者が「異常出血」である.
異常出血は目立つ症状でもあるため,血栓止血学の歴史においてまず異常出血を来す疾患が臨床や研究の対象となった.具体的には,血友病やフォン・ヴィレブランド病などが相当する.今もこれらの疾患は血栓止血学の大きなテーマであり,近年は目を見張るような素晴らしい止血製剤が登場し,また,遺伝子治療(血友病など)の臨床応用までもう一歩のところまできている.
一方で,脳梗塞,心筋梗塞,静脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群),末梢動脈血栓症などに代表される血栓症は発症頻度が極めて高く,現代に生きる人類にとって,がんとともに克服すべき重要な疾患である.血栓症には,①突然に発症する,②再発しやすい,③機能障害が残存しやすい,のような特徴があり,これらは血栓症が怖い理由にもなっている.
血栓症を発症したら救命のために懸命に加療が行われるが,それだけでなく血栓症を発症(再発)させない治療を行うことが理想的である.そのような治療を,抗血栓療法という.
〈抗血栓療法の種類〉
①抗血小板療法(アスピリンなど):血流の速い環境下(血小板が活性化しやすい状態)の血栓症である動脈血栓症(心筋梗塞,一部の脳梗塞など)に対して有効である.
②抗凝固療法(ワルファリンなど):血流の遅い環境下(凝固が活性化しやすい状態)の血栓症である静脈血栓症(深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症,あわせて静脈血栓塞栓症など)に対して有効である.
③線溶療法(t-PAなど):血栓症を発症した後の治療であるが,抗血栓療法に含めることもある.
心房細動は,脳梗塞(脳塞栓症)の重要な危険因子である.心臓内に形成された血栓が脳動脈に飛来して血栓症を来す.血栓の閉塞部位は血流の速い脳動脈であるが,血栓が心臓内でできる理由は心房細動に伴う心内滞留である.そのため,血流の遅い環境下の血栓症と同じ考えで,抗凝固療法が有効となる.どの種類の抗血栓療法を行うかを考える場合に,いわば「血流の法則」は重要な考え方である.
現在,抗血栓療法には多くの薬剤が知られている.これらの薬剤に共通した副作用は,出血である.血栓の形成機序と,止血機序には共通した部分が多く,抗血栓療法によって潜在的に止血異常を来すことは熟知している必要がある.
今回の特集では,血栓止血学のエッセンスから始まり血栓症治療の最先端を知るとともに,適切な抗血栓療法の行い方,副作用を出現させない工夫など臨床の現場で役立つ情報が満載されている.執筆いただいた各方面のエキスパートの先生方にはこの場を借りて御礼申し上げる.
永久保存版とすべき貴重な一冊を発刊する機会をいただいたことに感謝したい.

金沢大学附属病院 血液内科
朝倉英策
目次
特集
循環を止めるな!
血液凝固とくすり

■特集にあたって(朝倉 英策)

■見て納得! 凝固・線溶系のあらすじ(監修:朝倉 英策)

■血液凝固反応・凝固系のキホン
・流れでおさらい!
 一次止血(横山 健次)
 二次止血(小川 孔幸)
 線維素溶解系(窓岩 清治)
・知っておきたい 止血系検査の意義と解釈(山本 晃士)

■抗血小板薬・抗凝固薬・血栓溶解薬の使いどころ
・脳梗塞の急性期治療(長尾 毅彦)
・脳梗塞の発症・再発抑制(矢坂 正弘 ほか)
・急性心筋梗塞(中川 智弘 ほか)
・虚血性心疾患の発症・再発抑制(後藤 信哉)
・肺血栓塞栓症(山田 典一)
・深部静脈血栓症(保田 知生)
・末梢動脈に生じる血栓・塞栓症(孟 真 ほか)
・体外循環使用時の血栓・塞栓(立枩 良崇 ほか)
・播種性血管内凝固(DIC)(山田 真也 ほか)
・COVID-19における凝固線溶異常(山田 真也 ほか)

■凝固系の副作用とくすり
・どうする? 薬物治療中に現れる
 出血傾向(西田 祥啓)
 血小板減少(高見 昭良)
 血栓症(森下 英理子)
 播種性血管内凝固(関 義信)
・血栓症を見逃さない!薬剤師のできること・患者さんへの伝え方(桂 英之)
・出血傾向を見逃さない!薬剤師のできること・患者さんへの伝え方(大葉 佑梨子 ほか)
・周術期に中止・継続の評価が必要なくすり(赤木 晋介 ほか)

シリーズ

■症状・体質からしっかり選べる!フローチャートでわかる 漢方薬虎の巻
 〈第3回〉感冒
 (永田 郁夫)

■えびさんぽ
 低用量アスピリンは動脈硬化性疾患の予防に効果的ですか?
 (青島 周一)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第07回〉アレロック ®顆粒0.5%
 (小嶋 純,米子 真記)

■腫瘍薬学ハイライト
 ヒ素化合物による抗がん薬
 (川西 正祐)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・タキサン系抗がん薬による眼の有害事象
 ・降圧薬の服⽤は朝と夜のどちらがよいか?
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第19回〉そこに「AI」はあるのかい?
 (大森 智史)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える! まいにち薬会話
 〈第19回〉「●●の場合は○○に服用してください」
 (浅井 考介,柴田 奈央)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第19回〉異分野協力研究のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈拾玖ノ型〉処方歴や生活背景も考慮し,薬剤の中止の適否を判断せよ!
 (工藤 範子)
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