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月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,970円(本体2,700円+税10%) ※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0022-5207

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2026年10月 Vol. 108 No.11

【第1特集】つなぎまとめる脆弱性骨折ケア/【第2特集】医師が知らない医療訴訟の世界

ISBN 978-4-525-93034-9

定価

2,970(本体 2,700円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
【第1特集】つなぎまとめる脆弱性骨折ケア

みつけてつなげ! 脆弱性骨折の包括的統合的ケア

 高齢化に伴い,大腿骨近位部骨折を含む脆弱性骨折を発症する患者は増加傾向にある.脆弱性骨折は,原発性および続発性の骨粗鬆症を原因とする軽微な外力によって生じる骨折で,高齢者の生活機能を著しく低下させ,生命予後の悪化をもたらす重大な疾患である.脆弱性骨折を生じる患者の多くは,慢性閉塞性肺疾患,慢性腎臓病,心不全,糖尿病,関節リウマチといった慢性疾患に加え,認知機能低下や視聴覚障害などを併存した高齢者である.各国の診療ガイドラインでは,高齢者総合機能評価(CGA),老年症候群の予防,骨折リエゾンサービス(fracture liaison service:FLS)による二次性骨折予防からなるコマネジメントを含む集学的ケアが推奨されている.診療報酬でも「緊急整復固定加算」,「二次性骨折予防継続管理料」が2022年度に新設され,脆弱性骨折の多職種連携やFLSがわが国においても広がってきた.FLSにおいては,多疾患併存・機能低下・社会的背景が複雑に絡み合うなかで,多職種が連携し,切れ目のない包括的マネジメントを構築することが欠かせない.
 本特集では,最新のエビデンスに加えて,近年公表された『FLSクリニカルスタンダード改訂版』や『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』,アメリカホスピタリスト学会の『病院医療におけるコマネジメントプログラムの構築と維持』を踏まえて,FLSの診療の質を向上する取り組みを紹介するとともに,脆弱性骨折の包括的統合的ケアで困っている読者の悩みに答え,実臨床に役立つトピックを提供していただいた.
 二次性骨折予防に取り組む読者の診療現場に生かす手がかりとなれば幸いである.


[編集幹事]
明石医療センター 総合内科 石丸直人


【第2特集】医師が知らない医療訴訟の世界

 医師は,日常診療のなかで常に不確実性と向き合っている.患者は典型例ばかりではない.教科書どおりの主訴で来院するとは限らず,初診時には重篤疾患の輪郭がまだみえないこともある.プライマリ・ケアの現場では,限られた時間,限られた検査資源,限られた情報のなかで,経過観察,再診指示,専門医紹介,検査実施の要否を判断しなければならない.
 一方,医療訴訟では,その判断が後日,全く異なる時間軸から検証される.診療当時には不明であった結果が明らかになった後に,カルテ,説明内容,同意書,紹介状,検査結果,患者や家族の供述が並べられ,「その時点で医師は何をすべきだったのか」が問われる.医師の側からみれば,これはしばしば後知恵の検証にみえる.しかし,法的には,医師が診療当時の医療水準に照らして相当な注意義務を尽くしたか,患者が自己決定を行うために必要な説明を受けていたか,そしてそれらが記録として残っているかが問題となる.
 本特集の主題は,医療訴訟の勝ち負けそのものではない.医師の間には,医療をめぐる司法手続に対する根強い不安がある.福島県立大野病院事件や乳腺外科医事件は,医療界に大きな衝撃を与え,診療科選択や日常診療の萎縮をめぐる議論を生んだ.
 しかし,こうした印象的な事件だけから,医療訴訟を「悪い結果が生じれば医師が責任を負わされる制度」と考えるのは正確ではない.民事上の医療訴訟では,診療当時の医療水準に照らして注意義務違反があったか,その違反と患者に生じた損害との間に因果関係があるかが,個々の事案に即して判断される.適切な診療を行っても避けられない合併症や病状の悪化があることも,当然の前提である.
 まず何より大切なのは,医学知識と技術を磨き,医療安全を高め,患者との良好な関係を保つことである.説明や記録は重要であるが,それ自体が診療の中心ではない.適切な診断と治療を行い,患者の不安や疑問に向き合うことが,患者を守り,同時に医師を守る土台になる.
 そのうえで,診療方針をわかりやすく説明し,判断の過程を適切に記録することが,患者の理解を助け,紛争の予防にもつながる.医療訴訟は軽視すべきものではないが,必要以上に恐れて診療を萎縮させるものでもない.本特集では,その基本的な構造を知り,自信をもって日常診療を続けるための実践的な視点を示したい.


[編集・執筆]
まつむらファミリークリニック 松村 伸
[監修]
日野・田村法律事務所 田村雅樹
特集の目次
【第1特集】つなぎまとめる脆弱性骨折ケア

編集幹事 石丸直人(明石医療センター 総合内科)

■脆弱性骨折の包括的統合的ケア
脆弱性骨折リエゾンサービスにおけるコマネジメントの位置づけ(友田義崇)

■脆弱性骨折の包括的リエゾンサービス
脆弱性骨折リエゾンサービスの成り立ちと現状,そして展望(本田 透)
データベースから見る脆弱性骨折リエゾンサービス(加藤成隆)
脆弱性骨折リエゾンサービスにおける老年科専門医の役割(大黒正志)
脆弱性骨折リエゾンサービスにおける老年ケア(渥美綾子)
二次性骨折予防における薬物療法(萩行正博)
二次性骨折予防におけるリハビリテーション(高野義隆)
脆弱性骨折リエゾンサービスにおける医科歯科連携(田口 明)

■脆弱性骨折の包括的コマネジメント
脆弱性骨折のorthogeriatric care としてのコマネジメント(伊東範尚)
運動器疾患としての脆弱性骨折コマネジメント(脇 貴洋)
M&M スタイルで再考する脆弱性骨折コマネジメント(廣瀬光基)
チームビルディングとしての脆弱性骨折コマネジメント(本橋健史)
内分泌代謝内科医からみた続発性骨粗鬆症・類縁疾患の評価と介入(山内美香)
麻酔科医からみた脆弱性骨折コマネジメント(谷 真規子)


【第2特集】医師が知らない医療訴訟の世界

編集・執筆 松村 伸(松村ファミリークリニック)
監修 田村雅樹(日野・田村法律事務所)

医療訴訟は「結果責任」ではない
対談1 田村弁護士に聞いてみよう!「結果責任」
プライマリ・ケアに潜む法的リスク─検査不足・見逃し,検査過剰,紹介遅れ,再診指示の不備
informed consent からshared decision making へ─選択肢の提示から共同意思決定へ
対談2 田村弁護士に聞いてみよう!「説明義務」
診療を支え,後日の検証にも役立つカルテ
対談3 田村弁護士に聞いてみよう!「カルテ記載」
まとめ ─医療訴訟を必要以上に恐れず,日常診療を整える
連載
えびさんぽ(58)
骨折リエゾンサービスは骨折を予防しますか?(青島周一)
―ランドマークスタディと路地裏エビデンス
―臨床での使い方

Evidence Based Drinking お酒と健康の新常識(5)
お酒と人類 ──祭祀と医療をめぐる文化史(須田万勢)

京都大学漢方診療ユニットpresents 外来診療で役立つ 漢方の使い方・考え方(4)
引かない腫れに柴苓湯!「 腫れを取る薬」だけではなく「治りを底上げする薬」(上田真帆,谷川聖明)

薬剤師の知恵袋 OTC 類似薬のマメ知識(3)
OTC 便秘薬・止瀉薬 市販のビオフェルミンシリーズはどれも同じような整腸作用の製品とは限らない(柳 直樹)

同じ景色を見にいこう ACP にまつわるナラティブの「読書法」(2)
決めないと決める「読書法」(水野慎大)
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