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カテゴリー: 臨床薬学  |  感染症学

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マナビジュアルノート

感染症・病原体とくすり

1版

新潟薬科大学医療技術学部 臨床検査学科臨床感染症研究室 教授
継田雅美 編著
日本大学薬学部 臨床薬物動態学研究室 教授
辻 泰弘 著
慶應義塾大学薬学部 薬効解析学講座 教授
松元一明 著
京都薬科大学臨床薬剤疫学分野 教授
村木優一 著

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • AB判  170頁
  • 2023年12月 発行
  • ISBN 978-4-525-78091-3

そうだったのか!!抗菌薬の処方箋-薬局で,実習で使える!!

抗菌薬の処方箋は添付文書情報のみでは処方監査がしにくく,感染症領域に慣れていないと,なにから確認すればよいかがわかりにくいのではないでしょうか.
抗菌薬の添付文書には「効能・効果」に多くの「適応菌種」「適応症」が書かれています.でも,その中には実臨床で使用しないものもあります.この理由に,今では耐性菌が多くて使用できない菌種,他の第一選択薬となった感染症,用法・用量が承認時のまま更新されていないなどがあります.また,適応症にはないがエビデンスがあり,第一選択薬になっているものもあります.
本書は「病原体」「感染症」「くすり」と3部で構成し,薬学生や感染領域への経験の浅い薬剤師,また指導薬剤師の参考になるよう作成しました.臨床経験が豊富な感染症領域の専門家がわかりやすく,実践的で役立つよう解説いたしました.

  • はじめに
  • 目次
  • 書評1
  • 書評2
  • 編集部より
はじめに
Rp. アモキシシリン錠250mg 1回2錠(1日6錠)
1日3回 朝昼夕食後 5日分

 あなたの薬局に上記の内容の処方箋を持ってきた患者さんがいます.何の病気なのでしょう? どのような服薬指導をしましょうか? まず,添付文書を確認してみましょう.抗菌薬の添付文書には,「効能・効果」に多くの「適応菌種」と「適応症」が書かれています.ですが,今では耐性菌が多くてとても使えない菌種や,ほかの薬物が第一選択薬になっている感染症や,用法・用量なども合わせて承認時とほとんど変わらず掲載されていることがあります.逆に適応症にはないけれど,エビデンスがあって第一選択として使用されている感染症が載っていなかったりします.また,抗菌薬の添付文書には,PK/PD理論に沿った投与法が記載されていないこともあります.
 このような背景から,抗菌薬の処方はほかの薬剤と違って,薬剤師が処方監査しにくく,疑義照会しづらいものになっているのではないでしょうか.この患者さんは,20歳の男性で耳鼻科を受診され「急性副鼻腔炎と言われた」ということで,中等症であればガイドラインに沿った正しい処方であることがわかります.そのような背景を理解すれば,自信を持って患者さんに指導することができるでしょう.また,薬学生の実務実習において,「感染症」は重要疾患として継続的に薬物治療に関わることが求められています.本書は,実際の臨床のみならず,薬学生や感染症領域に対して経験の浅い薬剤師,また,学生指導を行う指導薬剤師の参考となることを期待して作成いたしました.執筆者は,いずれも薬剤師としての臨床経験が豊富で,さらに大学教員として学生指導をされている先生方です.皆様のお役に少しでもたてることが出来れば幸いです.最後に,本書の出版にあたり多大なご尽力をいただきました南山堂 村井恵美氏に厚く御礼申し上げます.

2023年10月
継田雅美
目次
第Ⅰ部絵でみる「病原微生物学」の基本
細菌
1 グラム陽性球菌
2 グラム陽性桿菌
3 グラム陰性球菌
4 グラム陰性桿菌
5 抗酸菌・放線菌・スピロヘータ
6 マイコプラズマ・クラミジア・クラミドフィラ・リケッチア

ウイルス
7 DNAウイルス
8 RNAウイルス

真菌
9 真菌

寄生虫
10 寄生虫(原虫,蠕虫)

第Ⅱ部絵でみる「感染症学」の基本
「感染症学」各論
1 中枢神経系の感染症
  髄膜炎
2 頭頚部・感覚器系の感染症
  副鼻腔炎/中耳炎/結膜炎
3 呼吸器系・胸部の感染症
  肺炎/結核/感染性心内膜炎/肺真菌症/インフルエンザ
4 腹部・消化器系の感染症
  胆嚢炎・胆管炎(胆道感染症)/大腸菌感染症/食中毒(腸管感染症)/Clostridioides difficile感染症・偽膜性腸炎/ウイルス性肝炎
5 泌尿器系・尿路・婦人科関連の感染症
  膀胱炎・腎盂腎炎/梅毒/淋菌感染症/性器クラミジア感染症
6 皮膚・軟部組織,筋骨格系の感染症
  白癬・疥癬/伝染性膿痂疹/蜂窩織炎・丹毒/単純ヘルペス(単純疱疹)・帯状疱疹・水痘
7 全身性・血管系の感染症
  敗血症/AIDS/マラリア/破傷風/ジフテリア/劇症型A群β溶血性レンサ球菌感染症
8 その他の感染症
  麻疹/風疹/流行性耳下腺炎/手足口病/突発性発疹

第Ⅲ部絵でみる「抗微生物薬」の基本
「抗微生物薬」総論
1 「抗微生物薬」総論

抗菌薬
2 β-ラクタム系抗菌薬
3 ペニシリン系抗菌薬
4 天然ペニシリン
5 広域ペニシリン
6 抗緑膿菌ペニシリン
7 セフェム系抗菌薬
8 第一世代セフェム
9 第二世代セフェム
10 第三世代セフェム
11 第四世代セフェム
12 カルバペネム系抗菌薬
13 マクロライド系抗菌薬
14 アミノグリコシド系抗菌薬
15 テトラサイクリン系抗菌薬
16 ホスホマイシン系抗菌薬
17 リンコマイシン系抗菌薬
18 経口キノロン系抗菌薬
19 注射用キノロン系抗菌薬
20 サルファ剤
21 抗結核薬:first line drugs
22 抗結核薬:second line drugs
23 抗MRSA薬
24 その他の耐性菌治療薬

抗真菌薬
25 抗真菌薬(注射剤)
26 抗真菌薬(経口剤)

抗ウイルス薬
27 抗ヘルペス薬
28 抗インフルエンザ薬

ワクチン
29 ワクチンの特徴
30 定期接種と任意接種

消毒薬
31 滅菌と消毒
32 各種消毒薬の特徴
33 化学滅菌剤
34 感染の危険度に応じた器具分類
書評1
木村 利美(順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部 部長)


 世界的に問題になっている抗菌薬の適正使用管理が,今,薬剤師に求められています.広い抗菌スペクトルがあり,効果が期待されるからキノロン系やカルバペネム系抗菌薬などを使おうという時代ではありませんが,実際にどういった抗菌薬を使用したらよいのでしょう.
 経験的治療(エンピリックテラピー)では症状や患者背景から起因菌を推定し,標的治療(デフィニティブテラピー)では,確定した起因菌に対して抗菌薬を選ぶことになりますが,いずれにしても細菌に効果的な抗菌薬を知らなければなりません.添付文書をみても抗菌薬の適応菌種が数多く書かれていて,実際,ある特定の菌に抗菌薬を選択するとなると迷ってしまうことが多いのではないでしょうか.とくに近年は同じ細菌でも耐性菌が出現し,本当に使用してよい抗菌薬がわかり難くなっています.
 実際の治療ではさらに感染経路(臓器)や宿主(患者さん)の状態を考慮して,同じ菌でも,尿路感染症なのか呼吸器感染症なのか,また患者さんが易感染性なのかどうかによっても抗菌薬の選択を変える必要があります.
 感染症治療の書籍は数多く出版されていますが,一見,複雑にみえる感染症治療を,図を交えて実践的にやさしく学べる書籍が本書です.本書の構成は,病原微生物について,感染症について,抗菌薬について,と3 部に分け,それぞれの専門的な内容が非常にわかりやすくまとめられています.まず細菌を理解しなければなりませんが,臨床で重要な病原微生物を整理し,それぞれの菌がどのような感染症を引き起こしやすく,どういった抗菌薬が有効なのか,実臨床にそったポイントが的確に解説されています.感染症の視点からも,感染症を引き起こしやすい菌は何なのか,具体的な検査・診断から治療まで書かれ,感染症状と細菌に効果的な抗菌薬の選択を理解することができます.抗菌薬の目線でも,抗菌薬がどういった菌に有効なのか,同じ系列の抗菌薬同士で比較がなされ,それぞれの感染症治療における抗菌薬の位置づけが明確に示されています.
 これまでは多くの菌種,抗菌薬の使い分けについて添付文書を抜粋して羅列したような書籍や専門過ぎて難しい書籍が目についていましたが,本書は,こんな書籍があったらいいなと思っていた要点を押さえた素晴らしい書籍になっています.執筆者が実臨床で経験豊富な薬剤師であり,また教育の面からも優れた先生方であるからこそできあがった書籍だと思います.感染症治療における抗菌薬の選択について,これから抗菌薬や感染症治療について学びたい薬剤師, 研修医,学生まで,幅広い層に読んでいただける,本当におすすめしたい一冊です.
書評2
宮﨑長一郎((有)宮﨑薬局)

 感染症における人類の英知は,HIVですら慢性の感染症という位置づけにさせるほど薬物療法は進化してきた.しかし,既知のウイルスでも大きく変異したものには無力であった.ただ,しばしの時間があれば感染症への対応を熟知している人類は,原因微生物を突き止めて解析することができる.新型コロナウイルスに対しても,武器としてのワクチンや医薬品の開発も成し遂げ,対策を展開できた.この対応の早さが人類のしぶとさである.
 こうした成果は,多くの医療関係者が感染症に対する基本的理解を共有していて,初めて達成できたものであったろう.その要諦は,病原微生物,感染症および抗微生物薬に対する理解と現場での知識の活用方法にある.
 本書は,実臨床に携わる薬剤師が感染症の基本を理解し,臨床において病原微生物と適切に戦うための基本的なテキストといえる.イラストを多用しており,理解しやすい点が一番であり,薬局に備えるべき書籍である.
編集部より
 世界的にも抗菌薬の耐性菌が問題となっており,薬剤師に抗菌薬の適正使用管理への期待が高まっている.
 感染症治療では,経験的治療(エリンピックセラピー)では症状や患者背景から起因菌を推定し抗菌薬を選択し,標準治療(ディフィニティブセラピー)では原因菌が培養で同定され抗菌薬を選択するということになるが,いずれにしても細菌に効果的な抗菌薬を知っていなければならない.
 抗菌薬の処方箋は,添付文書情報のみでは処方監査がしにくく,感染症領域に慣れていないと,なにから確認すればよいかがわかりにくいのではないだろうか.
 抗菌薬の添付文書には「効能・効果」に多くの「適応菌種」「適応症」が書かれている.しかし,そのなかには耐性菌が多くて使用できない菌種,他の第一選択薬となった感染症,用法・用量が承認時のまま更新されていないなど解釈に注意が必要である.
 実際には感染経路や患者さんの状態を考慮しながら,尿路感染症か呼吸器感染症なのか,抗菌薬の選択と投与量を検討する必要がある.
 本書は感染症治療に必要な「病原体」「感染症」「くすり」について,臨床で経験のある専門家より,図を多用しわかりやすくまとめてある.
 これまで,感染症と抗菌薬の書籍はたくさんあるが,添付文書情報のみに基づいていたり,専門的すぎて難解なものが多かった.臨床現場の薬剤師があったらいいな,と思っていた要点をまとめ,解説している.
 ぜひ感染領域へ自信がない方の入門書として,また薬学生への薬局実習の際の参考として活用いただきたい.
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