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カテゴリー: 臨床薬学  |  医学・医療一般

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2ページで理解する

標準薬物治療ファイル

改訂4版

日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会 編

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • A5判  156頁
  • 2023年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-77344-1

手軽に持ち歩けて便利な薬物治療&管理の要点ガイド!

本書は臨床で遭遇する主要70疾患について,ガイドラインに基づき標準的な薬物治療およびその管理をコンパクトに整理したチェック・リストである.SOAP形式で患者情報を記録し処方設計・管理を行う際,医師・薬剤師が何を確認し治療を進めていくかを箇条書き形式で2ページにまとめた.病棟業務や薬学教育における実務実習に必携の1冊.

  • 序文
  • 目次
  • 書評2
  • 書評1
序文
 「2ページで理解する標準薬物治療ファイル」は,初心者が薬物治療について理解するためよりも,むしろ基礎的な事項を確認し,ベッドサイドや在宅の場面で薬物治療を実践するスタッフを対象にしたものです.本書は初版が2013年8月に出版され,第2版(2015年12月),第3版(2019年8月)と定期的な改訂が行われきました.そしてこのたび,第4版が出版されることになりました.
 さて,日本の医療は大きく変わろうとしています.2019年末,中国・武漢を発生源とした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は全世界で猛威を振るい,拡大と沈静を繰り返しながら4年目を迎えました.このような中で,我が国においては社会保障・税一体改革が急ピッチで進められており,医療DX(Digital Transformation)の導入が診療報酬の改定も含めて具現化されています.一方,薬物治療は従来のチーム医療の中心的な対象として,そして外来診療やタスクシフト・シェアへの対応などに科学的・合理的に推進されることがますます求められています.
 日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会の活動方針は「医療法では,医療を担う医療関係者は,医療を受ける者との信頼関係に基づき医療を受ける者の心身の状況に応じて良質かつ適切な医療を行う責務を持つとされています.医療において薬物治療は大きなウエイトを占めており,安心,安全で,かつ,有効で合理的,経済的な薬物治療を提供することは薬物治療を担う者の責務です.しかし,昨今の状況は,それを全うできている状況ではなく,患者,国民からの医療に対する不安感や不信感の増大が起こっています.そのことが,更に,医師に対する過度の負担を課すこととなり,その対応に苦慮する状態を生み,さらに患者の医療に対する不満を増大させるという悪循環に陥っている現状があります.この現状を打破していくためには医師だけでなく,薬剤師など薬物治療を担う者達が,共通の目標と認識を持ち,協力して薬物治療に対応していくべきです.そのためには経験的な薬物治療に依存することなく,薬物治療に関して調査,評価,研究などを行い,新たなエビデンスを蓄積し,安心,安全かつ良質な薬物治療を議論,提案していく,さらに共通の目的と認識を持って薬物治療を実践していくために普及,教育などの活動を行う組織が必要だと考えます.」(本学会の設立趣意書より)とされており,本書もこの活動方針に沿って作成されてきました.医師・薬剤師が共通した認識で疾患を理解し,確認できることで患者フォローが容易にでき,適切な薬物治療が実践されることと思います.
 現在はさまざまな領域で診療ガイドラインが作成され,臨床に提供されていますが,本書も診療ガイドラインのup dateや新規治療薬の上市などに対応するため,それらの情報を加えて編集作業を行いました.今後も,最新の情報を取り入れ,医療や臨床でますます使いやすい書籍になっていくことを目指し,継続的に改訂を行っていきたいと考えています.既に,本書がいくつかの薬学部で教科書として採用されているとの情報が届いています.今回の第4版より代表的8疾患を網羅できるよう,67疾患(第3版)から70疾患に増やしての標準薬物治療ファイルの編集をお願いしました.標準的な薬物治療を専門以外でも一目で確認できることが本書の主目的であり,多くの医療スタッフに活用され,客観的・科学的なエビデンスに基づいた薬物治療が実践されることを期待します.
 最後に,改訂第4版の編集にあたりご尽力を頂きました栃倉尚広先生(日本大学医学部附属板橋病院薬剤部),津田泰正先生(聖路加国際病院薬剤部)ならびに70疾患の標準薬物治療ファイルの筆者全員の先生方に,心よりお礼申し上げます.

2023年1月
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会標準薬物治療委員会
SUBARU健康保険組合太田記念病院薬剤部
山藤 満
目次
■循環器疾患
 1 本態性高血圧症
 2 慢性心不全
 3 ST上昇型急性心筋梗塞:急性期
 4 急性肺血栓塞栓症
 5 虚血性心疾患二次予防
 6 冠攣縮性狭心症
 7 深部静脈血栓症
 8 心房細動
 9 感染性心内膜炎
 10 冠動脈ステント治療における抗凝固・抗血小板療法

■呼吸器疾患
 11 成人気管支喘息
 12 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

■消化器疾患
 13 消化性潰瘍
 14 潰瘍性大腸炎
 15 急性膵炎
 16 慢性膵炎
 17 胆道感染症
 18 C型慢性肝炎
 19 慢性便秘症

■腎・泌尿器疾患
 20 慢性腎臓病(CKD)
 21 ネフローゼ症候群
 22 前立腺肥大症
 23 過活動膀胱

■内分泌・代謝疾患
 24 脂質異常症
 25 2型糖尿病
 26 甲状腺機能亢進症
 27 高尿酸血症・痛風

■血液・免疫疾患
 28 鉄欠乏性貧血
 29 関節リウマチ
 30 全身性エリテマトーデス(SLE)

■神経・精神疾患
 31 脳梗塞
 32 パーキンソン病
 33 てんかん
 34 統合失調症
 35 大うつ病性障害
 36 アルツハイマー型認知症
 37 不眠障害

■骨・関節疾患
 38 骨粗鬆症

■眼・耳鼻疾患
 39 緑内障
 40 中耳炎
 41 アレルギー性鼻炎(通年性,花粉症)

■皮膚疾患
 42 アトピー性皮膚炎

■感染症
 43 市中肺炎
 44 院内肺炎
 45 細菌性髄膜炎
 46 尿路感染症
 47 肺結核
 48 HIV感染症/AIDS
 49 帯状疱疹
 50 敗血症

■悪性腫瘍
 51 胃癌
 52 大腸癌
 53 初期乳癌
 54 転移・再発乳癌
 55 小細胞肺癌(SCLC)
 56 非小細胞肺癌(NSCLC)
 57 卵巣癌・卵管癌・腹膜癌
 58 子宮頸癌
 59 子宮体癌
 60 前立腺癌
 61 腎細胞癌
 62 急性骨髄性白血病(AML)
 63 急性リンパ性白血病(ALL)
 64 慢性骨髄性白血病(CML)
 65 慢性リンパ性白血病(CLL)
 66 悪性リンパ腫
 67 多発性骨髄腫
 68 発熱性好中球減少症(FN)
 69 抗がん薬による悪心・嘔吐
 70 がん疼痛

文献
ガイドライン一覧
書評2
70疾患の薬物治療と管理の要点がわかる!頼りになる1冊

亀井美和子(帝京平成大学薬学部教授)

 「安心,安全で,かつ,有効で合理的,経済的な薬物治療を提供すること」は,標準薬物治療を理解することなしには成し得ない.しかし,そうはいっても,数多くの診療ガイドラインが存在し,アップデートされていく中で,網羅的に情報を収集して理解することは極めて難しい.本書は,A5サイズのコンパクトな冊子でありながら,さまざまな領域の70疾患の標準薬物治療に関する情報が,各疾患「2ページで」まとめられている.このページ数で情報量は大丈夫?と思われるかもしれないが,驚くほどの情報が詰まっている.S/Oは症状,検査所見,診断基準,鑑別診断,Aは病因,治療評価,Pは薬物治療,治療目的/治療モニタリング/患者教育の項目に分けられ,必要な情報が網羅されている.とりわけAの治療評価,Pの薬物治療は詳細で実践に役立つ.段組みと図表で読みやすく工夫されており,必要な情報を一目で確認することができる.薬物治療の実践に必携の1冊である.
書評1
「薬の勉強」に留まらない,臨床現場で必携の指南書!

松本 直樹(聖マリアンナ医科大学薬理学 主任教授/聖マリアンナ医科大学病院循環器内科 顧問医・治験管理室 室長)

 本書は2013 年の初版発行時より,臨床家,医療系学生に良書と認められてきました.その後の10 年間で多数の薬剤が上市され,また多くの領域で医療環境も変化しました.その結果,本書が根拠とするガイドラインの多くも定期的な改訂が行われてきましたが,本書も遅れることなく対応し続け,第4 版では取扱疾患も70 まで増強されました.本書は臨床現場での利用における最新性と信頼性を維持し続けています.
 タイトルの通り,疾患ごとに2 ページで完結するように編集されている本書は,臨床現場で利用しやすく,その特徴により初学者から最前線の医療者まで広く受け入れられてきたことは疑問の余地がありません.多くの疾患・治療について学習しなければならない学生諸君には効率の良い学習補助教材であり,忙しい現場では実務上の確認作業や再学習教材として役立っています.
 特筆すべきは,薬剤師・医師が協働して執筆・編集を行っていることです.結果として,標準薬物療法を扱っているにもかかわらず,簡潔に医療の本質を理解でき,薬の勉強に留まっていないのが素晴らしいと思います.具体的には医療人に理解しやすい,カルテ記載と同様のSOAP 形式による構成で統一され,症状,検査所見,診断基準と鑑別診断を含む診断関連,病因,疫学の学習から,薬物治療を含んだ治療全般はもちろん,なんと患者教育に至るまで,診療の順番に則した記載となっており,非常に学習しやすいものとなっています.その内容も,臨床現場での必要事項が網羅され,偏りの少ない構成となっていることは,本当に臨床現場を理解されておられる執筆者と編集者の能力が遺憾なく発揮されていると思います.
 偏りがない,と言っても肝腎の薬物療法の記載は詳細です.たった2 ページにまとめていると侮ってはいけません.薬剤師の仕事は精緻であることはよく知られるところですが,本書でも薬剤師・医師の協働作業による精緻さが確認でき,薬物療法において必要なことはきちんと網羅されています.それが非常に高い水準での「標準薬物療法の解説」であると言えるのは,先にも書いた通り,治療のゴール,治療と副作用のモニタリング,そして患者教育にまで言及していることからも明らかです.
 本書は臨床現場での利用はもちろん,症例検討,多職種連携教育など,広い範囲での卒前・卒後教育用の書籍として自信を持ってお勧めできる定番書籍と言えるでしょう.
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