カテゴリー: 臨床薬学

薬剤師のための実践薬学計算ドリル
計算結果を病態と結び付けて処方提案へ
1版
高井 靖 編著
佐村 優 編著
佐古守人 編著
定価
3,850円(本体 3,500円 +税10%)
- B5判 262頁
- 2025年6月 発行
- ISBN 978-4-525-77901-6
「計算力」から「信頼」へ! 現場で頼られる薬剤師になろう!
医師から「ノルアドレナリンを0.05γで投与するには時間どれだけで点滴するの?」と聞かれたとき,その問いに即答できますか?
本書は,1~5年目の若手薬剤師を対象に,現場で求められる薬学計算を,予備知識・基礎・実践(症例)を通して学び,病態理解や処方提案へとつなげる力を養う実践書です.
臨床でよく遭遇する計算の場面や医師等からの問い合わせをリアルに再現し,数式の展開から病態の推察,処方提案に至るまでを丁寧に解説します.
注射薬,輸液,栄養,腎機能評価,抗菌薬まで幅広くカバーし,「式が使える」だけでなく,「考えて提案できる」薬剤師を目指す方におすすめの一冊です.
- 序文
- 目次
序文
平成24年度診療報酬改定において,『病棟薬剤業務実施加算』が新設されました.それまでの薬剤管理指導業務から一歩踏み出し,薬剤師が勤務医等の負担軽減および薬物療法の有効性,安全性の向上に資する薬剤関連業務を実施している場合に加算されることとなりました.業務の具体例が示されている中に,「薬剤の投与にあたり,流量または投与量の計算等の実施」といった項目があります.それまで薬剤師は注射を行うことがないため,多くの薬剤師は輸液等の流量計算などはほとんど行っていなかったというのが現状でした.
それから10年以上が経過しましたが,医師から「ノルアドレナリンを0.05γで投与するには時間どれだけで点滴するの?」などと聞かれて焦ったことがある薬剤師は多いのではないでしょうか.薬剤師の日常業務で計算が必要な場面は集中治療室だけでなく,腎機能の評価,抗菌薬の投与設計,輸液設計など多岐にわたります.さらに,計算ができたとしてもその数値の意味を理解できない,計算結果から処方提案できない,すなわち患者の病態と結びつけることができない薬剤師も多いと聞きます.
そこで,1~5年目の若手薬剤師を対象に,計算の苦手意識を克服し,計算結果を病態と結びつけて処方提案できるようになることを目指した本書を企画しました.臨床現場でよく遭遇する計算の場面や医師等からの問い合わせをリアルに再現し,計算の数式過程,計算結果から病態を推察し,処方提案へと進めるプロセスを丁寧に解説します.
本書で取り上げる領域は,「注射薬」「輸液」「栄養」「腎臓」「感染症」です.そして読者が途中で挫折しないように,A 予備知識(単位や公式など),B 基礎(病態・薬物療法での計算結果の解釈など),C 実践(症例),と段階を踏んで進んでいきます.初めて病棟業務に携わる薬剤師,なじめずにモヤモヤしている薬剤師,断片的な知識を整理したい薬剤師,急性期または慢性期のどちらかしか経験がない薬剤師,保険薬局の薬剤師など,多くの薬剤師にとって役立つ一冊になることを願っています.
2025年6月
編者を代表して
高井 靖
それから10年以上が経過しましたが,医師から「ノルアドレナリンを0.05γで投与するには時間どれだけで点滴するの?」などと聞かれて焦ったことがある薬剤師は多いのではないでしょうか.薬剤師の日常業務で計算が必要な場面は集中治療室だけでなく,腎機能の評価,抗菌薬の投与設計,輸液設計など多岐にわたります.さらに,計算ができたとしてもその数値の意味を理解できない,計算結果から処方提案できない,すなわち患者の病態と結びつけることができない薬剤師も多いと聞きます.
そこで,1~5年目の若手薬剤師を対象に,計算の苦手意識を克服し,計算結果を病態と結びつけて処方提案できるようになることを目指した本書を企画しました.臨床現場でよく遭遇する計算の場面や医師等からの問い合わせをリアルに再現し,計算の数式過程,計算結果から病態を推察し,処方提案へと進めるプロセスを丁寧に解説します.
本書で取り上げる領域は,「注射薬」「輸液」「栄養」「腎臓」「感染症」です.そして読者が途中で挫折しないように,A 予備知識(単位や公式など),B 基礎(病態・薬物療法での計算結果の解釈など),C 実践(症例),と段階を踏んで進んでいきます.初めて病棟業務に携わる薬剤師,なじめずにモヤモヤしている薬剤師,断片的な知識を整理したい薬剤師,急性期または慢性期のどちらかしか経験がない薬剤師,保険薬局の薬剤師など,多くの薬剤師にとって役立つ一冊になることを願っています.
2025年6月
編者を代表して
高井 靖
目次
1章 注射薬
A.予備知識
1) 単位の整理
2) 希釈
3) 注射薬の投与量・投与速度
4) 小児における注射薬の投与量・投与速度
5) ガンマに関する計算
6) オピオイドスイッチング・投与経路の変更(オピオイド等価換算)
B.基礎
1) 循環作動薬
2) 鎮静薬
3) オピオイド
4) 小児
C.実践
1) 急性心不全患者におけるカテコラミンと利尿薬投与
2) 集中治療室における鎮静・鎮痛管理
3) QOL向上を目的としたオピオイド鎮痛薬の導入・疼痛管理
4) 川崎病の患児に対するIVIG療法の用量・用法,投与スケジュール
2章 輸液
A.予備知識
1) 末梢輸液の処方監査
2) 代表的な輸液の投与目的と処方監査のポイント
B.基礎
1) 循環とバイタルサインの評価
2) 脱水の病態と輸液選択
3) 浮腫(うっ血性心不全症例)の病態と輸液選択
C.実践
1) バイタル異常のある脱水症例における末梢輸液療法
2) 胸水貯留を起こしたうっ血性心不全症例における末梢輸液療法
3章 栄養
A.予備知識
1) 高カロリー輸液の処方監査
2) 代表的な高カロリー輸液の投与目的と処方監査のポイント
B.基礎
1) 高カロリー輸液のステップアップの考え方
C.実践
1) 長期絶食後の糖尿病の既往を持つ高カロリー輸液開始症例
2) 長期絶食後のCKD,糖尿病の既往を持つ高カロリー輸液開始症例
4章 腎臓
A.予備知識
1) 腎機能評価に必要な公式の理解
①CCr推算式(CG式)
②CCr実測値
③eGFRcreの推算式・体表面積に関する計算
④eGFRcysの推算式・体表面積に関する計算
2) 投与設計を行う上で必要なPKの知識
①クリアランスと投与量設定の考え方
②尿中未変化体排泄率の評価・腎排泄型薬剤の見分け方
③GH法の理解
④透析におけるクリアランスの考え方
⑤CHDFにおけるクリアランスの考え方
3) 体液・電解質異常に関する知識
①各電解質の目標値に関する考え方・主な輸液の組成に関する整理
②代謝性アシドーシスの評価・アニオンギャップの計算方法
B.基礎
1) 各種腎機能推算式の使い方
①GH法による投与設計の実際
②CCr推算式(CG式)による評価の実際
③CCr実測値による評価の実際
④eGFRcreの推算式による評価の実際
⑤eGFRcysの推算式による評価の実際
⑥透析におけるクリアランス評価の実際
⑦CHDFの評価と投与設計の実際
2) 体液・電解質異常に関する計算方法
①輸液の組み合わせによる各電解質の負荷量の実際
②代謝性アシドーシスの評価・アニオンギャップに関する評価方法の実際
C.実践
1) CG式による推算CCrに基づく投与量調整に注意が必要な症例1
2) CG式による推算CCrに基づく投与量調整に注意が必要な症例2
3) CCr実測値に基づく投与量調整に注意が必要な症例
4) 個別化eGFRcreに基づく投与量調整
5) 標準化eGFRcreに基づく投与量調整に注意が必要な症例
6) 個別化eGFRcysに基づく投与量調整
7) レベチラセタムのHDにおける投与設計
8) CHDF施行患者におけるタゾバクタム/ピペラシリンの投与設計
9) シタグリプチンのCAPDにおける投与設計
10) 輸液の組み合わせによる電解質負荷量の計算の実際
11) アニオンギャップに基づく代謝性アシドーシス補正の評価
5章 感染症
A.予備知識
1) 各種PKパラメータの整理
①AUCの算出方法
②Cmax(Cpeak)の算出方法
③消失半減期と濃度の関係性
④Time above MIC(TAM)の算出方法
⑤タンパク非結合形濃度を用いたPK/PDパラメータの算出方法
2) 小児における抗菌薬投与量の算出方法
B.基礎
1) 各種パラメータの実際の算出
①AUC/MIC算出の実際
②Cmaxおよび体内動態算出の実際
③Time above MIC(TAM)の算出と評価の実際
④タンパク非結合形濃度のTime above MIC,AUCの算出と評価の実際
2) 小児における抗菌薬投与量算出の実際
C.実践
1) 発熱性好中球減少症に対してセフェピムを投与した際のTime above MICの算出
2) AUC/MICを用いたバンコマイシンの投与設計
3) 腎盂腎炎に対してゲンタマイシンを投与する際の投与設計
4) MRSA感染症疑い例に対するダプトマイシンの投与設計
5) ESBL産生大腸菌に対するセフメタゾールのタンパク非結合形でのTime above MIC評価
6) 小児における抗菌薬投与量の計算
A.予備知識
1) 単位の整理
2) 希釈
3) 注射薬の投与量・投与速度
4) 小児における注射薬の投与量・投与速度
5) ガンマに関する計算
6) オピオイドスイッチング・投与経路の変更(オピオイド等価換算)
B.基礎
1) 循環作動薬
2) 鎮静薬
3) オピオイド
4) 小児
C.実践
1) 急性心不全患者におけるカテコラミンと利尿薬投与
2) 集中治療室における鎮静・鎮痛管理
3) QOL向上を目的としたオピオイド鎮痛薬の導入・疼痛管理
4) 川崎病の患児に対するIVIG療法の用量・用法,投与スケジュール
2章 輸液
A.予備知識
1) 末梢輸液の処方監査
2) 代表的な輸液の投与目的と処方監査のポイント
B.基礎
1) 循環とバイタルサインの評価
2) 脱水の病態と輸液選択
3) 浮腫(うっ血性心不全症例)の病態と輸液選択
C.実践
1) バイタル異常のある脱水症例における末梢輸液療法
2) 胸水貯留を起こしたうっ血性心不全症例における末梢輸液療法
3章 栄養
A.予備知識
1) 高カロリー輸液の処方監査
2) 代表的な高カロリー輸液の投与目的と処方監査のポイント
B.基礎
1) 高カロリー輸液のステップアップの考え方
C.実践
1) 長期絶食後の糖尿病の既往を持つ高カロリー輸液開始症例
2) 長期絶食後のCKD,糖尿病の既往を持つ高カロリー輸液開始症例
4章 腎臓
A.予備知識
1) 腎機能評価に必要な公式の理解
①CCr推算式(CG式)
②CCr実測値
③eGFRcreの推算式・体表面積に関する計算
④eGFRcysの推算式・体表面積に関する計算
2) 投与設計を行う上で必要なPKの知識
①クリアランスと投与量設定の考え方
②尿中未変化体排泄率の評価・腎排泄型薬剤の見分け方
③GH法の理解
④透析におけるクリアランスの考え方
⑤CHDFにおけるクリアランスの考え方
3) 体液・電解質異常に関する知識
①各電解質の目標値に関する考え方・主な輸液の組成に関する整理
②代謝性アシドーシスの評価・アニオンギャップの計算方法
B.基礎
1) 各種腎機能推算式の使い方
①GH法による投与設計の実際
②CCr推算式(CG式)による評価の実際
③CCr実測値による評価の実際
④eGFRcreの推算式による評価の実際
⑤eGFRcysの推算式による評価の実際
⑥透析におけるクリアランス評価の実際
⑦CHDFの評価と投与設計の実際
2) 体液・電解質異常に関する計算方法
①輸液の組み合わせによる各電解質の負荷量の実際
②代謝性アシドーシスの評価・アニオンギャップに関する評価方法の実際
C.実践
1) CG式による推算CCrに基づく投与量調整に注意が必要な症例1
2) CG式による推算CCrに基づく投与量調整に注意が必要な症例2
3) CCr実測値に基づく投与量調整に注意が必要な症例
4) 個別化eGFRcreに基づく投与量調整
5) 標準化eGFRcreに基づく投与量調整に注意が必要な症例
6) 個別化eGFRcysに基づく投与量調整
7) レベチラセタムのHDにおける投与設計
8) CHDF施行患者におけるタゾバクタム/ピペラシリンの投与設計
9) シタグリプチンのCAPDにおける投与設計
10) 輸液の組み合わせによる電解質負荷量の計算の実際
11) アニオンギャップに基づく代謝性アシドーシス補正の評価
5章 感染症
A.予備知識
1) 各種PKパラメータの整理
①AUCの算出方法
②Cmax(Cpeak)の算出方法
③消失半減期と濃度の関係性
④Time above MIC(TAM)の算出方法
⑤タンパク非結合形濃度を用いたPK/PDパラメータの算出方法
2) 小児における抗菌薬投与量の算出方法
B.基礎
1) 各種パラメータの実際の算出
①AUC/MIC算出の実際
②Cmaxおよび体内動態算出の実際
③Time above MIC(TAM)の算出と評価の実際
④タンパク非結合形濃度のTime above MIC,AUCの算出と評価の実際
2) 小児における抗菌薬投与量算出の実際
C.実践
1) 発熱性好中球減少症に対してセフェピムを投与した際のTime above MICの算出
2) AUC/MICを用いたバンコマイシンの投与設計
3) 腎盂腎炎に対してゲンタマイシンを投与する際の投与設計
4) MRSA感染症疑い例に対するダプトマイシンの投与設計
5) ESBL産生大腸菌に対するセフメタゾールのタンパク非結合形でのTime above MIC評価
6) 小児における抗菌薬投与量の計算