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カテゴリー: 腎・泌尿器科学  |  臨床看護学

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きどにゃんシリーズ

ネコが教える腎生理 輸液と利尿薬がわかる!

1版

滋賀医科大学総合内科学講座 教授/国立病院機構東近江総合医療センター 内科診療部長 杉本俊郎 著

定価

2,750(本体 2,500円 +税10%)


  • AB判  74頁
  • 2026年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-50661-2

輸液と利尿薬の「なんとなく」から卒業しよう!

看護実践にあたって避けては通れない「輸液」と「利尿薬」について,腎臓に詳しい謎の猫「きどにゃん」が解説してくれる一冊です.
輸液と利尿薬の基礎はもちろん,ケアにおいて注意すべき場面から,とるべき行動まで,幅広く解説.最新のエビデンスに基づいた記述により,患者さんの身体の中で何が起きているのか,どのような仕組みで輸液や利尿薬がはたらくのかが分かります.フルカラーの大きな紙面で,各項目は2ページ以内で完結するので,楽しく気軽に読み進められるのも嬉しいポイント.
少子高齢化が進み疾病構造が変化していくケアの現場において,輸液と利尿薬を理解することは今後ますます重要になっていきます.本書を読むことで「なんとなく」の理解から卒業して,体液管理の極意を学びましょう.
看護師の皆さんはもちろん,輸液と利尿薬の原理と根拠を理解したい,すべての医療従事者におすすめです.

  • 序文
  • 目次
  • おわりのおわり
序文
 筆者はここ十数年、健康のために、毎朝4 時に起床して散歩をしています。そこで、ときどき不思議なネコに出会い、「ちゅ〜る®」をあげたお礼に、水・電解質異常・酸塩基平衡異常に関するsuggestion を受け、その内容を書籍にまとめてきまし
た。ネコの名前は「きどにゃん」と言います。

 2025 年の3 月に「きどにゃん」は、筆者に以下のようなことを述べました。


きどにゃん:お前のとこの業界大変らしいな。なんや「勤務医の働き方改革」をせないかんのやろう。それから、病棟でも「抑制最小化」をせないかんのやろう。ほんで、社会保障費(ほぼ医療費)を10%削減せないかんのやろう。

筆者:(心の中で)ネコのくせに事情に詳しいな、しかも痛いところをついてくるな……。

きどにゃん:そうそう、医療費削減と言えば、ワイな、前々から言おうと思っていたんやけど、お前ら医者の輸液・利尿薬の使い方には無駄が多いな。理屈わかって使ってないやろう。

筆者:(心の中で)いわしておけば、好き勝手放題言うな。

きどにゃん:医者のお前らは、独善的でいかんわ、「働き方改革」したかったら、優秀な看護師さんや他の病棟スタッフの力を借りんといかんわ。「抑制最小化」したかったら、彼ら彼女らの勤務状況を知らんといかんよ。

筆者:ネコ様、どうしたら良いか、教えてください。


 最近、看護師さんなどの病棟スタッフ向けの輸液の教科書・書籍が増えてきています。また、小憎らしい「ネコ」が言うように、現状の医療の状況では病棟スタッフ全員の協働が今まで以上に必要になります。このようなことを踏まえ、本書を執筆いた
しました。これまでの「ネコの書籍」と同様、教科書ではないので、輸液や利尿薬に関することをすべて網羅している訳ではありません。むしろ、短期間で読了できるように、あえて「薄い本」にしました。また、各々の項目は独立しており、1 つの項目のみを読んでも、臨床の現場において応用できるように工夫しました。

 本書だけ読んでも「ネコ」の「戯言」です。しかしながら、他の優れた輸液に関する
教科書・書籍とともに読んでいただけると、日々の病棟業務における体液管理が論理
的になり、従来と比較して、より「標準的療法」、すなわち“state of art therapy” の
実践に近づけるように、内容・構成を工夫いたしました。そして、「戯言」が「箴言」
になるように、今回は、いろいろな方々のご意見を賜りました。
 
「ネコ」と筆者の一見無謀な試みに出版の機会をくださった小池亜美氏をはじめとする南山堂編集部の皆様、ご多忙中にもかかわらず、各々の項目に目を通していただき忌憚のないご意見を賜った、看護師のぷろぺら様、愛媛大学総合臨床研修センター 助教 内藤知佐子先生、滋賀医科大学医学部看護学科基礎看護学講座 教授 笠原聡子先生、滋賀医科大学附属病院 望美記代副看護部長様、そして、野田記世看護部長様、松室有希看護副部長(当時)様をはじめとする国立病院機構東近江総合医療センター
の看護師の皆様に心から深謝いたします。

*箴言:「戒めの言葉」や「人生の教訓となる短い言葉」の意。

2026 年2 月
滋賀医科大学総合内科学講座 杉本俊郎(きどにゃん中の人)
目次
1. 基礎編
 1 輸液・利尿薬投与に役立つ体液量調節の基本
 2 高齢者の腎機能の特徴は?
 3 浮腫の発症成因 その1 古典的Starling の法則とは?
 4 浮腫の発症成因 その2 膠質浸透圧の最近の考え方
 5 術後に尿が出ない原因は2 つある(本当は3 つ)
 6 浮腫むと何が悪いのか?
 7 うっ血・浮腫の身体所見
 8 循環不全の身体所見
 9 おまけ:体液量調節に関する腎生理小ネタ集 その1
 10 おまけ:体液量調節に関する腎生理小ネタ集 その2

2. 輸液編
 1 病棟で役立つ輸液の適応と製剤分類
 2 現在の病棟における急性期の輸液理論の概略 その1
 3 現在の病棟における急性期の輸液理論の概略 その2
 4 安全な輸液療法の原則
 5 “fluid creep” 無駄な輸液をやめよう
 6 急性うっ血性心不全における輸液
 7 急性腎障害の輸液
 8 維持輸液の24 時間連続投与の必要性を考えよう
 9  単純な輸液でも電解質異常・代謝性の酸塩基平衡異常を呈することがある その1
 10  単純な輸液でも電解質異常・代謝性の酸塩基平衡異常を呈することがある その2
 11 「 術後、時間尿量が 30mL 未満になったら、外液500mL を時間 250mL で投与」という指示は妥当か?

3. 利尿薬編
 1 病棟で役立つ利尿薬の種類と作用
 2 急性うっ血性心不全における利尿薬の使い方 その1
 3 急性うっ血性心不全における利尿薬の使い方 その2
 4 急性腎障害時のループ利尿薬投与の意義
 5 「 術後、時間尿量が 30mL 未満になったら、フロセミド 20mg を静脈内投与」という指示は妥当か?

4. 番外編
 1 病棟で最も多い低Na 血症 その1
 2 病棟で最も多い低Na 血症 その2
 3 水・電解質異常に対する補充輸液
 4 高Ca 血症、Mg 代謝異常
 5 嘔吐・下痢症の輸液療法
 6 輸液療法が必要な急性期の病態
 7 おまけ:栄養輸液での注意点
 8 輸液製剤の使用削減の必要性

参考文献
おわりに
索引
おわりのおわり
きどにゃんの『陽明学的』輸液・利尿薬療法における医師と看護師の関係
~知行合一って、ビビらずに「NO」と言うことニャン~


やあ、きどにゃんです。
本編、ちょっと重かったですか?
「fluid creep(知らぬ間の輸液過剰)」とか、「浮腫がでたら輸液を止めて」とか、「利尿薬はうっ血改善薬だ」……。頭ではわかるけど、現場で医師に進言するのは怖い。
そう思っていませんか?
そこで、私の故郷、滋賀県高島市が生んだ「近江聖人」こと中江藤樹先生の教えを借りて、最後のひと押しをしましょう。
キーワードは、『知行合一(ちこうごういつ)』です。

◆ 医師の多くは「朱子学医」ですよ。
世の中の多くの医師は、実は「朱子学」的です。
「まず知識(理)を極めてから、行動する」というスタンス。
だから、分厚い医学書を読み込み、ガイドラインを暗記し、マニュアルを完璧にする。でも、いざ患者さんの前に行くと、「いやあ、今までそうだったし、ガイドラインはそうだけど……」と行動できない。
陽明学では、これを「知っているとは言わない」と断じます。
「知っていても行わないのは、まだ知らないのと同じ」。厳しいですねえ。

◆ 「良知(りょうち)」という名のセンサー
私たち医療者には、実は生まれつき『良知(りょうち)』というスーパーセンサーが備わっています。
「食事がとれているのに、24時間の維持輸液が入っている」「パンパンに浮腫んでいるのに、尿が出ないというだけで輸液の指示」「体液量を確認もせずに、漫然と利尿薬」……。
こうした診療を見て、「これは違うんじゃないか?」「患者さんがかわいそうじゃないか?」と胸が痛みませんか?
その「ザワザワ」こそが『良知』です。
たとえ難しい腎生理の用語や数式を知らなくても、あなたの魂はすでに「答え(=これは患者さんの益にならない)」を知っているんです。

◆ ビビらずに「NO」と言う勇気
「答え」を感じているのに、口をつぐんで「医師の指示」に盲目的に従うのは、自分の『良知』を裏切る行為。自分自身に対する嘘です。
『知行合一』とは、その「ザワザワ」に従って、体が勝手に動くこと。
患者さんの目を見て、「これ以上の輸液は浮腫を悪化させます。これ以上、患者さんを苦しめることは、私の良知が許しません」と、愛を持って「NO」と言うこと。

知識と行動がピタッと重なったとき、不思議と恐怖は消えます。なぜなら、それが「人として正しい」と確信できるからです。
泥臭くてもいい、マニュアル通りじゃなくてもいい。
あなたの内なる声(良知)に従って、プロとしての「行動」を起こす。それが本当の腎生理であり、臨床倫理ニャンです。
さあ、指示簿を閉じて、患者さんの状態を確認して。
医師に、看護師であるあなたの信じる見解を述べましょう。
知ることは、行うことの始まりなのだから。
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