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症状緩和のための

できる!使える! 皮下投与

改訂2版

筑波メディカルセンター病院 緩和医療科 診療科長 久永貴之 編
筑波メディカルセンター病院 緩和医療科 医長 矢吹律子 編

定価

3,520(本体 3,200円 +税10%)


  • A5判  178頁
  • 2026年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-42192-2

薬剤の皮下投与がこの一冊でまるごとわかる!

国内唯一の薬剤の皮下投与の専門書が,最新の知見を踏まえて改訂されました.
薬剤の皮下投与方法は,比較的低侵襲で,終末期患者の補液・投薬手段として重用されていますが,添付文書範囲外の投与方法となる場合が多く,有害事象や配合変化などへの対応・配慮も必要です.そこで本書では,皮下投与の意義や種類,使用できる薬剤やポンプ,配合変化や有害事象から実際の使用例までを整理して紹介しています.
今回の改訂では,国内の薬剤販売状況の変化や新たなエビデンス,その後発売となったデバイス(ポンプ)などを反映させ,読者の方々からいただいたご意見なども参考に記載の整理を行いました.また,付録として,基本となる持続皮下注射の手技動画も見られるようになりました.
終末期患者の症状緩和において皮下投与をより安全に,より有効に活用するために必携の一冊です.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
序文
 薬剤や輸液の皮下投与は,緩和ケア病棟や在宅医療の現場において,静脈ルートの確保が困難な状況でも患者の負担を最小限に抑えながら症状緩和を図る方法として,長年にわたり実践されてきた.緩和ケアの先駆者たちが,限られた条件の中で患者にとって最善のケアを模索し続ける中で育まれてきた,臨床の知恵の結集である.
 本書の初版(2020年)は,皮下投与が現場では広く行われている一方で,成書として体系的にまとめられた資料が乏しい状況を背景に刊行された.刊行後,病院・在宅を問わず多くの医療者から反響をいただき,実臨床に根ざした内容であるとの評価とともに,示唆に富む多くのご意見を頂戴した.第2版の改訂にあたっては,これらの貴重な声を受け,記載内容の整理,補足,修正を行っている.
 また,この数年間で医薬品を取り巻く状況も変化し,初版で取り上げた薬剤の中には国内で発売中止となったものもある.第2版では,こうした薬剤の流通状況の変化を反映し,現在の臨床現場で実際に参照可能な情報となるよう見直しを行った.
 本書の初版において,在宅医の視点から貴重な原稿をお寄せいただいた関本 剛 先生は,その後ご逝去された.関本先生は在宅緩和ケアの第一線で患者・家族と真摯に向き合い,生活の場における症状緩和を支える実践を通じて,皮下投与の可能性と意義を示し続けてこられた.本書に寄せていただいた先生の言葉と視点は,今なお多くの医療者に示唆を与えている.ここに深い敬意と感謝を表するとともに,謹んで追悼の意を捧げたい.
 近年,緩和ケアはがん患者に限らず,すべての生命を脅かす疾患を有する患者を対象とするものへと,その対象を広げてきている.それに伴い,症状緩和の手段としての皮下投与の役割も,より多様な臨床状況において再評価されつつある.皮下投与は,十分な配慮と観察のもとで行われることで,患者にとって負担が少なく,緩和ケアの領域において極めて有用な投与方法である.本書が,疾患や療養の場を問わず,症状緩和に携わる医療者の実践を支える一助となることを心より願っている.

2026年2月
編者を代表して
久永貴之
目次
1章 薬剤の皮下投与の目的と意義,投与方法の種類
 A.皮下投与の種類
 B.皮下投与の利点と欠点
 C.皮下投与の実際
  ①持続皮下注射
  ②皮下輸液
  ③薬剤投与のための皮下点滴
 D.皮下投与できる輸液剤・注射剤

2章 使用できる薬剤
1.皮下投与できる薬剤とは ―基礎的な視点から―
 A.皮膚組織の構造と機能
 B.製剤の物理学的な性質から推測する薬剤の皮膚刺激性
2.使用できる薬剤・気をつけるべき薬剤
 A.輸液剤
 B.鎮痛薬
 C.向精神薬
 D.抗菌薬
 E.その他

3章 利用可能なポンプ
 A.電動式精密型ポンプ
 B.ディスポーザブルポンプ
 C.ハイブリッドポンプ

4章 配合変化と注射薬を配合するリスクマネジメント
 A.配合変化とは
 B.配合変化の要因
 C.配合可否の判断基準
 D.配合変化を予測する方法,回避する方法
 E.配合変化試験とその限界
 F.注射薬を配合するリスクマネジメントを実践するために
 G.配合変化試験結果の臨床での活用
 ・緩和ケア領域で使用されると予想される薬剤の配合変化の表

5章 投与の注意点と対応方法
 A.持続皮下注射
 B.皮下輸液/薬剤投与のための皮下点滴

6章 症例に基づいた皮下投与の実際
1.緩和ケア病棟 ―緩和ケア医の視点から―
 A.悪性消化管閉塞
 B.出血
 C.悪心・嘔吐(+せん妄)
 D.不眠
 E.せん妄
 F.治療抵抗性の苦痛に対する鎮静
2.一般病棟 ―看護師の視点から―
 A.投与経路変更に関する事前の情報提供
 B.使い慣れていない医療用麻薬を使用するときの注意点
3.在宅 ―在宅医の視点から―
 A.在宅における皮下投与の考え方
 B.在宅での薬剤の準備
 C.在宅でのポンプの選択と準備
 D.在宅でのポンプの保険診療上の扱い
 E.注射剤の混合
 F.在宅特有の注意点やコツ

持続皮下注射指示一覧
オピオイド換算表
書評
 6年の時を経て,緩和ケアに従事する医療者にぜひ手元に置いていただきたい一冊が改訂された.本書は,「皮下投与を考えるとき」,とりわけ何らかの理由で非経口的な薬物投与が必要でありながら静脈ルートの確保が困難な場面において,ぜひ手に取っていただきたい実践書である.
 日常診療において,せん妄や認知機能障害により安全に持続点滴を行うことが難しい,あるいはそもそも血管確保自体が困難であるといった状況に遭遇することは決して少なくない.そのような場面で,できるだけ安全かつ患者の負担を軽減しながら薬剤投与や補液を行いたいというニーズに対し,「皮下投与」は有力な選択肢となる.本書は,まさに「どのような薬剤が皮下で投与可能か」,「これまでにどのような研究報告があるのか」「実施にあたってどのような点に留意すべきか」といった臨床疑問に対し,編者である久永先生,矢吹先生をはじめとする12名の臨床家が,豊富な知識と経験に基づいて丁寧に応えている.
 緩和ケア病棟のみならず,診療所,訪問看護ステーション,さらには高齢患者を多く診療する病院のナースステーションに常備されていれば,日々の臨床を確実に支えてくれる一冊であろう.実際に手に取ると,「かゆいところに手が届く」ような実用性の高さを実感できる.
 一方で,本書を通して改めて感じるのは,緩和ケア領域,とりわけ皮下投与に関するエビデンスはなお十分とは言えないという現状である.今後,こうした実践書について,さらにエビデンスに裏付けられた改訂が行われていくためにも,皮下投与に関する着実な臨床研究の蓄積が期待される.

筑波大学医学医療系 緩和医療学/筑波大学附属病院 緩和支持治療科
木澤義之
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