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カテゴリー: 精神医学/心身医学  |  産婦人科学

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精神科外来でみる妊産婦 患者さんが妊娠したとき,産後うつに出会ったとき

1版

筑波大学 医学医療系 医療情報マネジメント学・精神医学 教授 根本清貴 編
東北大学大学院 医学系研究科 精神神経学分野 准教授 菊地紗耶 編

定価

4,400(本体 4,000円 +税10%)


  • B5判  171頁
  • 2026年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-38291-9

精神科医のための周産期メンタルヘルス入門書

「先生,妊娠しました.心配で薬をやめました」
患者さんからこのような相談を受けて戸惑ったことはありませんか?

赤ちゃんに影響が出てしまったら,
妊娠により病状が悪化してしまったら,
不安を払拭して,自信をもって診察したい.

そんな精神科医のための本をつくりました.

本書は,精神科診療所,精神科病院など,
普段から妊産婦をみる機会が少ない精神科医を想定して書かれています.

周産期メンタルヘルス領域で活躍している精神科医たちの診療を覗いてみませんか.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
序文
 精神科の外来で患者さんに「先生,妊娠しました.心配で薬をやめました」と言われた経験はありませんか? 「授乳のために薬をどうしたらいいですか?」と聞かれて戸惑ったことはありませんか? 近年,周産期メンタルヘルスへの関心が高まっています.精神科に通院する人口が増えた結果,精神疾患を合併した妊産婦も増えています.つまり,精神科医が妊娠・産後に関わる機会は確実に増えているのです.わが国では,2017年に日本周産期メンタルヘルス学会が『周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド』を発表しました.その後,さまざまな精神科の診療ガイドやガイドラインに周産期が取り上げられ,多くのエビデンスが得られるようになりました.本書は,それらのエビデンスを集約しつつ,精神科臨床の最前線である外来で患者さんを診ている先生方に役立つようにと企画しました.
 本書の特徴は4つあります.第一に,産婦人科医による妊娠・出産の解説を入れました.国立成育医療研究センターの岡﨑有香先生が非常にわかりやすく解説してくださっています.この基礎知識があることで,妊産婦さんの疑問にも答えられ,信頼関係を築きやすくなります.第二に,疾患別にプレコンセプションケア,妊娠中,産後の診療プラクティス,そして診療に使えるエビデンスを取り上げたことです.うつ病の患者さんが妊娠したら,「うつ病」のセクションを読めば必要な情報を得られるようになっています.産後うつへの対応も,本書の重要な柱の一つです.第三に,各節に「外来での会話例」を入れました.本書で執筆に携わってくださった清野仁美先生,安田貴昭先生,そしてわれわれ編者は,全員が周産期メンタルヘルスを専門とし,多くの精神疾患合併妊産婦に接しています.実際の外来場面をイメージしたやりとりですので,役立ちそうなフレーズはぜひ臨床に取り入れてください.そして第四に,実践的なTipsをまとめた章を設けました.診療情報提供書の書き方,助産師・保健師などとの多職種連携の進め方,社会資源の活用など,明日からすぐに使える内容を掲載しています.
 周産期メンタルヘルスは,患者さん・ご家族との共同意思決定,産科・小児科・助産師・保健師との連携,社会的サポートの調整など,精神科医として担う役割は多岐にわたります.しかし,それは普段の外来診療の延長線上にあります.本書が,日々の外来で多くの患者さんを診てくださっている先生方の臨床の一助となり,妊産婦さんとの関わりに少しでも役立てば幸いです.
 最後に,筆が遅いわれわれに辛抱強く寄り添い,文章を丁寧に校正してくださった南山堂編集部の海賀一早さんと稲垣彩季さんに心から感謝します.

2026年5月
根本清貴
菊地紗耶
目次
1章 精神科医のための妊娠・出産の基礎知識
  01 妊娠中の⾝体的変化
  02 産後の⾝体的・精神的変化
  03 妊婦健診・産後健診のしくみ

2章 周産期メンタルヘルスの基礎知識
 01 精神科における妊娠から出産までの治療⽅針
 02 妊婦の薬物治療
 03 授乳婦の薬物治療

3章 疾患・症状別 妊産婦のみかた
 01 不安症・強迫症・PTSD
 02 うつ病
 03 双極症
 04 統合失調症
 05 摂⾷症
 06 ボーダーラインパーソナリティ症
 07 神経発達症
 08 アルコール健康障害
 09 不 眠
 10 産後うつ
 11 産褥精神病
 12 ⾃ 殺

4章 周産期特有の困りごと
 01 診療情報提供書には何を書く?
 02 保健師からの問い合わせには何を伝えればいい?
 03 守秘義務はどこまで適応になる?
 04 妊産婦が困りごとを相談できる場所は?
 05 妊娠の継続について相談されたら?
 06 養育能⼒が低いことが想定される場合は?
書評
「この薬,使って大丈夫?」その迷いに明快な答えをくれる一冊
―プレコンセプションから産後まで,全ての精神科医のための「生きた実践書」―

 ほとんどの精神科医は,通院中の患者が妊娠したり,精神的な不調を抱えた妊産婦の紹介を受けたりといった経験があるに違いない.その際,頭を悩ませるのは,「この妊産婦に向精神薬を使用して大丈夫だろうか」という問いである.本書は,その問いに対して極めて明快な回答を用意してくれている.
 産後うつや妊産婦の自殺が社会問題として大きく取り上げられるようになって10年余りがたち,この間に多くのガイドラインなどが刊行された.本書にはそれらのエッセンスが凝縮されている.精神疾患ごとに,プレコンセプションケア,妊娠中,出産後に分け,最新のエビデンスに基づいた薬物療法だけでなく,診療実践全般について明瞭に解説.さらに,周産期精神科診療に携わるエキスパートによる実際の診察場面での会話例も盛り込まれており,まさに「生きた実践書」といえる.
 その他にも,1章では精神科医に必要な妊娠・出産に関する基礎知識が産婦人科医により解説されていたり,4章は「周産期特有の困りごと」と題し,守秘義務や行政機関との連携といった現場で活用できる知見が網羅されていたりする.精神科医が安心して妊産婦の診療に向き合える工夫が随所に施されているのだ.
 本書は疾患別に構成されているため,臨床現場で該当する疾患のページを開くだけで,日々の診察における不安を即座に払拭することができる.そして,一冊を通して熟読すれば,周産期メンタルヘルスのエキスパートとしての知識を身に付けられるといっても過言ではない.
 精神疾患合併妊産婦は増加傾向にあり,総合病院の精神科医のみならず,精神科病院やクリニックにおいても出会う機会は確実に増えている.本書は,妊産婦の診療に当たる全ての精神科医にとって,臨床の現場で常に傍らに置いておきたい「お守り」のような存在となるはずだ.ぜひ,一人でも多くの精神科医に手に取ってもらいたい.

東京科学大学病院精神科 准教授
竹内 崇
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