抗SS-A抗体陽性妊娠の診療ガイドライン2026
1版
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業
自己免疫疾患に関する調査研究(自己免疫班) 編
定価
3,300円(本体 3,000円 +税10%)
- B5判 86頁
- 2026年5月 発行
- ISBN 978-4-525-33241-9
抗SS-A抗体陽性妊娠のはじめての網羅的な診療ガイドライン
抗SS-A抗体陽性妊娠では,稀ではあるものの,先天性心ブロックにより新生児が致死的な状態に陥ることや,ペースメーカー植え込みを要する重篤な異常を引き起こす可能性がある.本ガイドラインでは,妊娠前の診断から産後の母児のフォローアップまで最新の知見をまとめ,膠原病内科,産科,小児科など診療科横断的な抗SS-A抗体陽性妊娠の妊娠管理の意思決定に役立つ内容が満載である.
- 序文
- 目次
序文
抗SS-A(Ro)抗体は,主としてシェーグレン病や全身性エリテマトーデスに認められる自己抗体ですが,無症候の健常者にも約1%(測定法により差あり)に検出され,決してまれではありません.本抗体を保有する母体から出生した児の一部に新生児ループス(NLE)がみられることは古くから知られていますが,そのうち皮疹・一過性の血球減少・肝機能障害は,母体由来抗体の消失に伴い自然軽快します.一方で,頻度は約1%(報告により差あり)と低いものの,先天性心ブロック(CHB)は不可逆的で,子宮内あるいは生後1年以内に死亡に至ることがあり,生存例でも過半数がペースメーカーを要する重篤な病態です.
症例数がかぎられエビデンスが乏しいなか,CHBの発症リスク予測・予防・発症時治療の指針提示を目的として,厚生労働科学研究費補助金による「自己抗体陽性女性の妊娠管理指針の作成及び新生児ループスの発症リスクの軽減に関する研究」班は,平成25年に「抗SS-A抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引き」を作成しました.その後10余年を経て,測定法の変遷や臨床経験の蓄積をふまえた新たな指針が求められるに至り,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究(自己免疫班)(代表:渥美達也先生)の編集のもと,新たに診療ガイドラインとしてまとめました.
作成にあたっては,各分野の専門家のご協力を得てClinical Question(CQ)を設定し,システマティックレビュー(SR)に基づく推奨を作成しました.レビュー対象外の基本事項はBackground Question(BQ),今後の検討課題はFuture research Question(FQ),最新の話題や診療に有用な知識はコラムとして整理し,第一線の先生方にご執筆いただいています.推奨作成の過程では,医療者だけでなく患者さんや医療スタッフにも参加いただき,GRADEグリッド法で合意形成を重ね,可能な限り高い透明性を担保しました.患者さんの思いとご家族の状況,そして医療者の知見と経験を大切にしながら診療方針を検討される際に,本書が一助となれば幸いです.
最後に,臨床の合間を縫ってSRや執筆に尽力くださった先生方,プロジェクトを温かく,時に力強く牽引してくださった坪井洋人先生に深く感謝申し上げます.また,同時並行で作成した抗リン脂質抗体陽性妊娠の診療ガイドラインの担当者として貴重な助言と激励をいただいた藤枝雄一郎先生・藤田太輔先生・金子佳代子先生,そして本書を丁寧に形にしてくださった南山堂編集部の皆様に,心より御礼申し上げます.
2026年3月
埼玉医科大学リウマチ膠原病科
村島温子
症例数がかぎられエビデンスが乏しいなか,CHBの発症リスク予測・予防・発症時治療の指針提示を目的として,厚生労働科学研究費補助金による「自己抗体陽性女性の妊娠管理指針の作成及び新生児ループスの発症リスクの軽減に関する研究」班は,平成25年に「抗SS-A抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引き」を作成しました.その後10余年を経て,測定法の変遷や臨床経験の蓄積をふまえた新たな指針が求められるに至り,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究(自己免疫班)(代表:渥美達也先生)の編集のもと,新たに診療ガイドラインとしてまとめました.
作成にあたっては,各分野の専門家のご協力を得てClinical Question(CQ)を設定し,システマティックレビュー(SR)に基づく推奨を作成しました.レビュー対象外の基本事項はBackground Question(BQ),今後の検討課題はFuture research Question(FQ),最新の話題や診療に有用な知識はコラムとして整理し,第一線の先生方にご執筆いただいています.推奨作成の過程では,医療者だけでなく患者さんや医療スタッフにも参加いただき,GRADEグリッド法で合意形成を重ね,可能な限り高い透明性を担保しました.患者さんの思いとご家族の状況,そして医療者の知見と経験を大切にしながら診療方針を検討される際に,本書が一助となれば幸いです.
最後に,臨床の合間を縫ってSRや執筆に尽力くださった先生方,プロジェクトを温かく,時に力強く牽引してくださった坪井洋人先生に深く感謝申し上げます.また,同時並行で作成した抗リン脂質抗体陽性妊娠の診療ガイドラインの担当者として貴重な助言と激励をいただいた藤枝雄一郎先生・藤田太輔先生・金子佳代子先生,そして本書を丁寧に形にしてくださった南山堂編集部の皆様に,心より御礼申し上げます.
2026年3月
埼玉医科大学リウマチ膠原病科
村島温子
目次
・CQと推奨一覧
・ガイドライン作成組織
・巻頭言
・発刊にあたって
・序
・ガイドライン作成について
・略語一覧
第1章 妊娠前の診断・評価
BQ1 抗SS-A抗体の臨床的意義は?
BQ2 わが国における抗SS-A抗体陽性妊娠の頻度はどのくらいか?
BQ3 どのような状況(症例)において,妊娠前に抗SS-A抗体を評価するべきか?
Column1 抗SS-A抗体は妊孕性に影響するか?
第2章 妊娠時のリスク評価
BQ4 新生児ループス(NLE)児の出産既往のない抗SS-A抗体陽性女性から出生する児において,NLE,先天性心ブロック(CHB)が生じる頻度はどのくらいか?
BQ5 前児が新生児ループス(NLE)を発症した場合,次子のNLE発症リスクは上昇するか?
BQ6 前児が先天性心ブロック(CHB)を発症した場合,次子のCHB発症リスクは上昇するか?
BQ7 抗SS-A抗体測定は先天性心ブロック(CHB)発症リスク評価に有用か?
BQ8 抗SS-B抗体陽性は新生児ループス(NLE)発症のリスク評価に有用か?
BQ9 無症候抗体陽性例,一次性シェーグレン病,他の膠原病を合併したシェーグレン病(関連シェーグレン病)において新生児ループス(NLE)の発生率に差はあるか?
FQ1 先天性心ブロック(CHB)に関連する遺伝子多型はあるか?
第3章 妊娠中の評価・管理
CQ1 抗SS-A抗体陽性妊娠において,先天性心ブロック(CHB)の高リスク症例に対する頻回の胎児心エコーは有用か?
Column2 Home monitoringは先天性心ブロック(CHB)の早期発見に有用か?
第4章 妊娠中の治療
CQ2 抗SS-A抗体陽性妊娠は全例先天性心ブロック(CHB)予防が推奨されるか?
CQ3 母体へのグルココルチコイド(GC)投与は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ4 母体へのヒドロキシクロロキン(HCQ)投与は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ5 母体への免疫グロブリン静注療法(IVIG)は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ6 I度またはII度の先天性心ブロック(CHB)を認めた場合,経胎盤的フッ化ステロイド投与は心ブロックの改善およびIII度(完全)房室ブロックへの進行抑制に有用か?
CQ7 III度房室ブロックを認めた(I度またはII度から移行した)場合,経胎盤的フッ化ステロイド投与は心ブロックの改善や児の心筋障害予防に有用か?
CQ8 III度房室ブロックを認めた(I度またはII度から移行した)場合,経胎盤的β刺激薬投与は心ブロックの改善や児の心筋障害予防に有用か?
CQ9 III度(完全)房室ブロックを認めた場合,早期の娩出は児の予後改善に有用か?
CQ10 III度(完全)房室ブロックを認めた場合,出生後一時的または恒久的ペースメーカー留置は児の予後改善に有用か?
第5章 産後の母児のフォローアップ
BQ10 抗SS-A抗体陽性女性から出生した児に特別なフォローは必要か?
BQ11 無症候性抗SS-A抗体陽性女性において産後長期的なフォローは必要か?
・ガイドライン作成組織
・巻頭言
・発刊にあたって
・序
・ガイドライン作成について
・略語一覧
第1章 妊娠前の診断・評価
BQ1 抗SS-A抗体の臨床的意義は?
BQ2 わが国における抗SS-A抗体陽性妊娠の頻度はどのくらいか?
BQ3 どのような状況(症例)において,妊娠前に抗SS-A抗体を評価するべきか?
Column1 抗SS-A抗体は妊孕性に影響するか?
第2章 妊娠時のリスク評価
BQ4 新生児ループス(NLE)児の出産既往のない抗SS-A抗体陽性女性から出生する児において,NLE,先天性心ブロック(CHB)が生じる頻度はどのくらいか?
BQ5 前児が新生児ループス(NLE)を発症した場合,次子のNLE発症リスクは上昇するか?
BQ6 前児が先天性心ブロック(CHB)を発症した場合,次子のCHB発症リスクは上昇するか?
BQ7 抗SS-A抗体測定は先天性心ブロック(CHB)発症リスク評価に有用か?
BQ8 抗SS-B抗体陽性は新生児ループス(NLE)発症のリスク評価に有用か?
BQ9 無症候抗体陽性例,一次性シェーグレン病,他の膠原病を合併したシェーグレン病(関連シェーグレン病)において新生児ループス(NLE)の発生率に差はあるか?
FQ1 先天性心ブロック(CHB)に関連する遺伝子多型はあるか?
第3章 妊娠中の評価・管理
CQ1 抗SS-A抗体陽性妊娠において,先天性心ブロック(CHB)の高リスク症例に対する頻回の胎児心エコーは有用か?
Column2 Home monitoringは先天性心ブロック(CHB)の早期発見に有用か?
第4章 妊娠中の治療
CQ2 抗SS-A抗体陽性妊娠は全例先天性心ブロック(CHB)予防が推奨されるか?
CQ3 母体へのグルココルチコイド(GC)投与は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ4 母体へのヒドロキシクロロキン(HCQ)投与は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ5 母体への免疫グロブリン静注療法(IVIG)は先天性心ブロック(CHB)発症予防に有用か?
CQ6 I度またはII度の先天性心ブロック(CHB)を認めた場合,経胎盤的フッ化ステロイド投与は心ブロックの改善およびIII度(完全)房室ブロックへの進行抑制に有用か?
CQ7 III度房室ブロックを認めた(I度またはII度から移行した)場合,経胎盤的フッ化ステロイド投与は心ブロックの改善や児の心筋障害予防に有用か?
CQ8 III度房室ブロックを認めた(I度またはII度から移行した)場合,経胎盤的β刺激薬投与は心ブロックの改善や児の心筋障害予防に有用か?
CQ9 III度(完全)房室ブロックを認めた場合,早期の娩出は児の予後改善に有用か?
CQ10 III度(完全)房室ブロックを認めた場合,出生後一時的または恒久的ペースメーカー留置は児の予後改善に有用か?
第5章 産後の母児のフォローアップ
BQ10 抗SS-A抗体陽性女性から出生した児に特別なフォローは必要か?
BQ11 無症候性抗SS-A抗体陽性女性において産後長期的なフォローは必要か?