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カテゴリー: 産婦人科学  |  臨床看護学

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産婦人科の質問箱

アレはホントにマジなのか

1版

やっきー 著

定価

1,980(本体 1,800円 +税10%)


  • A5判  214頁
  • 2025年10月 発行
  • ISBN 978-4-525-33221-1

妊娠・出産について知りたいことを,全力で解説!

面白くてためになる医療情報をブログ・ニュースレターやSNSで発信し続ける“産婦人科医やっきー先生”の待望の書籍がついに刊行!
情報があふれかえる昨今,インターネットで妊娠・出産に関して調べるとさまざまな情報が見つかりますが,果たしてどれが“マジ”でどれがそうでないのか,困った方も多いのではないでしょうか.
そこで本書では,「男女の産み分けってできるの?」「逆子って直せるの?」などなど,多くの人が気になっている産婦人科に関する話題を,やっきー先生がたっぷりのエビデンスとともに楽しく解説していきます.また,ワクチンや健康診断など,すべての人が知っておきたい大切な医学と医療の話も全力で解説.
自分の体のことについてもっと知りたいすべての方々,そして妊産婦さんからの質問にしっかり答えたいすべての医療従事者の皆さんも,本書を手にとって「アレはホントにマジなのか」を確かめてみませんか.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
序文
こんにちは,産婦人科医やっきーです!
産婦人科医として総合病院やクリニックで働きながら,ブログやニュースレター,SNS 等で産婦人科医学に関する解説をしています.

本書のテーマはズバリ「アレはホントにマジなのか」.
医療の発信活動をしていると如実に感じますが,妊娠・出産に関する情報は常に「誤情報」に悩まされ続けていると言っても過言ではありません.それはSNSによく出現する事実無根のデマのみならず,一般の方の間で流布されている俗説や,現代では廃れてしまった風習も含まれます.

たとえば,昔は「赤ちゃんが産まれたらすぐに産湯(うぶゆ)を使い,体を洗ってあげる」というのが常識でした.しかし,赤ちゃんが産湯から上がった時に急激に身体が冷えて低体温や低血糖を起こしたり,赤ちゃんに付着している胎脂(たいし)が落ちて皮膚炎のリスクが上昇すること等が判明したため次第に廃れていきました.
 2012 年には日本未熟児新生児学会(現:日本新生児成育医学会)が「正期産新生児の望ましい診療・ケア」にて産湯を正式に否定したこともあり,2025 年現在ではほぼ行われることはなくなっています1).

 しかし,そういった根拠や経緯を知らない方が「産湯を使った昔ながらのお産をすべきだ」と主張したり,「腟内が酸性かアルカリ性かで男女が産み分けられる」(→ p.2)という半世紀以上前に否定された説で産み分け法を謳う医師が現れたり,かと思えば「ワクチンを打つと自閉症になる」という事実無根のデマ(→ p.79)が流れたりと,ネット上の妊娠・出産関係の情報は『廃れた風習』『再現性のない学説』『完全な医療デマ』が溢れるカオスに今日も満ちています.

 私の元には,ブログやニュースレターの読者の方々から「アレってマジですか?」という内容のご質問が日々寄せられます.私はそういった説の医学的根拠を検証したり,時には支離滅裂な主張に対するツッコミをしたりするのが好きで,たびたびSNS やブログ記事等で解説をしていました.それが少しずつ読者の方々からご好評を頂き,とうとうこんな書籍を出版するまでに至ったというわけです.
 
 本書では,私がこれまでに解説してきた「俗説の検証」を筆頭に,「ワクチン」「妊娠・出産(産科)」「健康(婦人科)」の4 章に分けて「産婦人科医として知っておいてほしいこと」をお届けしていきます.
 ひとつひとつの項目が長いので,気になった項目から順に読んでいくのがおすすめです.もちろん本書をイチから最後まで通読していただいても嬉しいですし,なんならあと10 冊買って布教活動をしていただければ10 倍嬉しいのですが,まずは読者の皆様や周囲の方々の健康に繋がればそれで充分でございます.ええ本当に.

 それでは『産婦人科の質問箱 アレはホントにマジなのか』,始まります.

2025 年7 月
産婦人科医やっきー

文 献
1) 佐藤和夫,林時仲,網塚貴介,他:正期産新生児の望ましい診療・ケア.日本未熟児新生児学会雑誌,24(3):419-441,2012.
目次
第 1 章 アレはホントにマジなのか?
 1 男女の産み分け
 2 逆子って直せるの?
 3 「骨盤の歪み」と「整体」
 4 さい帯血バンク

第 2 章 ワクチンについて知っておいてほしいこと
 1 新型コロナとインフルエンザ
 2 生ワクチン・不活化ワクチン・mRNAワクチン
 3 妊娠中に打ちたいワクチン
 4 妊娠の前後に打ちたいワクチン
 5 子どものワクチン
 6 HPVワクチン

第 3 章 妊娠・出産にまつわる全力解説
 1 つわりの治療薬
 2 妊娠中の旅行と移動,「マタ旅」の意外な歴史
 3 次の妊娠までの期間

第 4 章 健康にまつわる徹底解説
 1 月経の話
 2 生理のコントロール:低用量ピル
 3 生理のコントロール:ピル以外の手法
 4 ブライダルチェック
 5 健康診断とがん検診と人間ドックの受け方

Column
 お腹の形と赤ちゃんの性別
 胎盤のDNAって誰のもの?
 家族が打っておきたいワクチン
 お腹の中で赤ちゃんの髪の毛は抜ける?
 新月と満月とお産
 産後に動くと更年期障害になる?
 サウナって健康に良いの?
 血液型の豆知識

索 引
書評
産婦人科のよくあるギモンを,楽しみながら学べる確かな一冊!

 本書は,「それ,ずっと気になってた!」「噂で聞いたことあるけど本当なの?」という疑問や俗説を,ユーモアを交えながら科学的根拠に基づいて一つずつ丁寧に解きほぐしてくれる良書です.やっきー先生らしい軽妙な読みやすい語り口は健在.さらに,論文や公的資料の引用がとても充実し,読みやすさとエビデンスが高いレベルで両立しているなと.さすがです.
 また,イラストやグラフの多用と紙面の設計も秀逸で,視覚的に理解が進みやすいです.太字とハイライトで大事な部分がわかりやすく,編集の丁寧さも随所に感じられます.8つのコラムが小休憩のように途中途中に挟まっていますが,これも興味を引くものばかりで,個人的に「お腹の中で赤ちゃんの髪の毛は抜けるの?」の解説は同業の私にとっても新鮮で新たな学びでした.
 本書の最大の価値は,産婦人科医が繰り返し伝えるべき「基本かつ大事なこと」を,最新の知見でアップデートしつつ噛み砕いて解説してくれるところにあると思っています.私自身のSNSやニュースレター,著書で扱ってきたテーマとも繋がるものが多く,同じ「情報発信に携わる産婦人科医」として大きな励みにもなりました.
 女性はもちろん,パートナーや,医療従事者,教育現場や企業で女性の健康に関わる方にも強くお勧めしたい一冊です.本書を手に,ご自身のためにぜひ役立てていただきたいですし,健康に害を与えかねない誤情報やデマを周囲に広げないためのお力添えを読者の皆さんにもしていただけると大変心強いです.
 「まずは記事を読んでもらい,ついでに多少の医学知識を持ち帰れる」は,やっきー先生のモットーですが,それをまさに体現した渾身の一冊.「多少の」ではなく「豊富な」ですけどね.

産婦人科専門医,医学博士
重見大介
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