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カテゴリー: 栄養学  |  臨床看護学

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京都御所南はらしま食堂

医師・栄養士・菜食研究家が考えた 野菜ピューレでつくる低塩・高栄養のおいしいレシピ

1版

御所南はらしまクリニック 内科・糖尿病内科 原島伸一 編著
御所南はらしまクリニック 小児科 原島知恵 編著

定価

1,980(本体 1,800円 +税10%)


  • B5判  69頁
  • 2024年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-26061-3

ようこそ,健康で,彩り鮮やかな,おいしいレシピの世界へ!

ここでは食材の力とうま味を濃縮した野菜ピューレを使い,日常では摂取しづらいビタミン類や食物繊維も豊富な,栄養豊かで塩分も控えたメニューをご提案します.

 食事は,健康なこころと身体の源です.楽しくない・味気ない食生活や,栄養・エネルギーのバランスの崩れた食習慣は,私たちの生活の土台をゆるがしてしまいます.しかし,こころにも身体にも“おいしく”“たのしい”食事を両立するのは簡単ではありません.
 例えば,入院中に提供される病院食の評価では,一般的に「味が薄くおいしくなかった」との声がよく聞かれます.また,高血圧や腎臓病などに配慮した低塩食・減塩食にも「おいしい」と評価されているものは多くありません.また,いざ栄養のバランスを考えて野菜を摂取しようとしたとしても,実際に目的の栄養素を十分にとるためには大量の野菜が必要であることに気づいてげんなりした人や,食材の管理や調理が容易ではないと感じた人も多いかもしれません.そのため,身体の健康のための食事を“味気ない”“手間がかかる”と考えて,「我慢して食べるもの」と受け止める人や,それらを生活に取り入れることに拒否感をもつ人もいるでしょう.さらに,こうした楽しみの少ない食生活を続ければ,ストレスがたまり,気持ちが落ち込んでしまいます.
 そこで本書では,野菜の味わいや彩りを活用した野菜ピューレをもとに,調味料として「食塩」をなるべく使用せずに“うま味”を楽しむ「低塩食」「高栄養」に特化したレシピを提案し,生活への取り入れかたをご紹介します.管理栄養士による栄養解析や,医師による栄養解説で,健康な食事のための知識もバッチリ.
 はらしま食堂のレシピでは,おいしさ,見た目の楽しさと,低塩・減塩および栄養バランスを両立していますので,高血圧や糖尿病などでお悩みの方も,ご家族や小さなお子さんと同じメニューで一緒に食卓を囲めます.身体にもこころにもおいしいレシピ,どうぞ召し上がれ!

  • 序文
  • 推薦の序
  • 目次
  • 書評
序文
はじめに
野菜レボリューション ~野菜ピューレで手軽に美味しく健康生活~

「京都御所南はらしま食堂」設立のきっかけは,子どもから大人まで,誰もが気軽に簡単にストレスなく,健康を大切にして暮らせるようになってほしいという思いからでした.

私たちは,毎日同じように生活していたとしても,健康診断の結果や受診時の血液検査の結果は必ずしも一定ではありません.よいときもあれば,悪いときもあります.さらに,数値が悪化した際に,自分で原因がわかるときもあれば,時には,どうして結果が悪かったのかわからずに悩むときもあります.
また,同じような年齢で同じような体型,同じようなリズムで生活を送っていても,健康状態は人それぞれ異なります.なぜ自分の方が健康診断の結果や血液検査の結果が悪いのか,不思議に思った経験はないでしょうか.そして,結局は自分の努力だけではどうしようもないのだと,健康を維持すること,健康を増進すること,病気を悪くしないこと,元気で長生きすることを諦めてしまってはないでしょうか.
体質だから仕方がない
・親が同じ病気だったから仕方がない
・不規則な生活だから仕方がない
・食習慣が悪いから仕方がない
・年齢だから仕方がない
・忙しいから仕方がない
・ストレスがあるから仕方がない
しかし,健康維持の秘訣は,やはり食習慣のなかにあります.
たとえ病気になりやすい体質や家族歴があっても,野菜の摂取量や食物繊維の摂取量が多く,また,主食・主菜・副菜のバランスのよい食事ができている人々は,健康が維持できています.もちろん,健康づくりに栄養が豊富でバランスのよい食事が必要であるとは,誰もがわかっているでしょう.一方で,多くの人がよい食習慣をなかなか維持できないという課題を抱えています.

農林水産省によると,国民の78.9%が食育に関心をもち,75.9%が生活習慣病の予防や改善のために健全な食生活を心がけているとされています.しかし,実践している人の割合は40.6%でした.
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2020年版では,食塩相当量の成人1日あたりの目標値を男性では7.5g未満,女性では6.5g未満としているものの,実際には男性で約11g,女性でも約9gと過剰に摂取しています.また,野菜摂取量の目標値は350g以上としていますが,男性で約290g,女性で約270gと不足しており,若い世代や,働き盛りほど少なくなっています.
よりよい食生活を送るために,「主食・主菜・副菜」を3つ揃えて食べる回数を増やすことが理想的ですが,多くの人が「手間がかからないこと」を求めている現状では実現困難な課題といえます.

そこで,「京都御所南はらしま食堂」では,無塩で,食物繊維とミネラルが豊富,うま味も十分の見た目に美しい赤・緑・黄色の3色の野菜ピューレを開発しました.多種多様な野菜を圧力調理法でピューレにすることで,日ごろ不足しやすくとりづらい栄養素を余すことなく簡単にとれるようになりました.この野菜ピューレはそのまま食べても飲んでもおいしく,さらに,肉や魚,麺類など,さまざまな食材を加えることで,より栄養価の高い料理を手軽につくることができます.また,できあがった料理の塩分は低く,調理によりカロリーも低く抑えられますが,食べたときの満足度は高くなっています.まさに「野菜レボリューション」.豊富な野菜とバランスのとれた食事を比較的手軽にとれる革命的な提案です!
野菜ピューレは,乳幼児から高齢者まですべての世代の健康維持だけでなく,生活習慣病や肥満の改善を志している人まで幅広く取り入れていただけます.一人でも,家族や友人と一緒でもよく,離乳食として,嚥下食としてもよく,さまざまな状況に応じられるのも魅力です.

本書では,第1部で栄養の基礎と,食事と疾患の関係について学べるようやさしく解説したうえで,第2部で野菜ピューレの作り方と活用法を説明し,簡単に実践できるようにレシピも紹介しています.通常の料理本と異なる最大の魅力は,野菜ピューレのみならず野菜ピューレを活用したレシピもすべて,栄養計算を行っている点です.

さあ,できることから始めましょう!
健康は何よりも大切なこと.子どものころから正しい食事,美味しい食事を覚え,人生100年に向かって,無理なく毎日続けられる健康生活を,野菜ピューレを使って実践しましょう.

2024年4月

・京都御所南はらしま食堂  店長 原島知恵 主宰 原島伸一
・御所南はらしまクリニック 副院長 原島知恵 院長 原島伸一
推薦の序
京都の中央部に位置する御所のすぐ南に,原島ご夫妻のクリニック(内科・小児科)があります.そしてご主人の伸一先生とは,長く京都大学や東京の杏林大学で糖尿病などの生活習慣病の研究に従事していた頃から,ともに仕事のうえで切磋琢磨させていただきました.
日頃から栄養学的にも理にかなった食事を摂取することが,病気の予防や治療において非常に重要となります.日本糖尿病学会から発行される「食品交換表」の編集委員長でもあった私自身も,これまで根気よく適正な食事療法の理念とその実用化の普及に努力を重ねてきました.しかし実際には困ったことに,大きく的が外れた極端な食事に世間の眼が向かうことが多く,何かと苦慮する日々が続きました.
本書の特徴の一つは,常にアイデア溢れる原島ご夫妻の叡知により,予防医学的な見地とおいしさを兼ね備えた「ごちそう」を,とてもわかりやすく提案していただいているところにあります.医師・栄養士,そして菜食研究家の皆さんが工夫しながら考えた低塩分で高栄養,かつ野菜からの食物繊維とミネラルを豊富に含むレシピが,どれも赤・緑・黄の色彩も鮮やかに紹介されています.
そしてさらに特筆すべき特徴として,これらすべてのレシピに関する詳しい栄養計算が,専門の管理栄養士の方々の手によって精密になされており,本書は医学的な側面からの啓発書としても非常に価値のある存在となっています.すなわち毎日の食事のなかで野菜ピューレを活用して,豊富な食物繊維や控えめな塩分の摂取を普段からの食生活のなかに習慣としてうまく取り入れることが,そのまま自然に糖尿病などの生活習慣病の予防や治療へと結びつくことになります.
どうか,野菜をまるごと無駄なく用いることで地球環境にも優しく,栄養も彩りも豊かで色々なジャンルの料理に利用できる野菜ピューレを,日常の食生活のなかに広くご活用いただければと思います.例えばパスタやリゾットでは野菜ピューレをソースに用いて「ちょい足し」に,またラーメンに直接かけても美味しくいただけます.さらに離乳食や高齢者のお食事にも,野菜ピューレは適していると思われます.
国民全体の健康維持のため,皆さまに本書をお役立ていただければ,原島ご夫妻を古くから知る友人の一人として望外の喜びです.

2024年春

石田 均
市立長浜病院ヘルスケア研究センター センター長
京都大学大学院医学研究科 特任教授
目次
■part 1:栄養の基礎および食事と疾患の関係
 1.栄養の基礎
 2.ライフステージと食事
 3.疾患と食事  ~生活習慣病との関連〜

■part 2:はじめてみよう! ベジレシピ
 ○3色ピューレを作ってみよう
  赤色・野菜ピューレの作り方
  緑色・野菜ピューレの作り方
  黄色・野菜ピューレの作り方

 ○お肉レシピ
  麻婆豆腐
  (一緒に食べよう!:春雨とキクラゲの冷菜,玄米ご飯)
  豚肉のグリーンソース炒め
  (一緒に食べよう!:ゴールデンキウイのキヌア入りルッコラサラダ,玄米ご飯)
  マスタードチキン
  (一緒に食べよう!:スパイシーオイルで食べるコブサラダ,全粒粉入り食パン)

 ○お魚レシピ
  鯖のバルサミコ酢煮 付け合わせ:きのこソテー
  (一緒に食べよう!:ミモザサラダ,玄米ご飯)
  鮭のソテー グリーン・グリーンソース 付け合わせ:ボイルポテト
  (一緒に食べよう!:キャロットラペ,全粒粉入り食パン)
  鯛のマヨネーズグラタン 付け合わせ:ゆでホウレン草
  (一緒に食べよう!:クスクスサラダ)

 ○カレー
  ラムレッドカレー
  (一緒に食べよう!:ミョウガと胡瓜のアチャール,玄米ご飯)
  シュリンプグリーンカレー
  (一緒に食べよう!:赤キャベツと赤玉ねぎのアチャール,玄米ご飯)
  ケラライエローカレー
  (一緒に食べよう!:ピーマンのアチャール,玄米ご飯)

 ○パスタ
  茄子とベーコンのペンネ
  シラスとエノキのグリーンパスタ
  蟹とエリンギのタリアテッレ

 ○自分にあった食生活の提案 一皿で主食と主菜がそろうダイエットメニュー
  ボルシチ
  グリーンキッシュ
  ほうとう風うどん

 ○おかずスープいろいろ
  ガスパチョ
  あさりスープ
  シーフードチャウダー
  ポタージュ
  茶汁

 ○ドレッシング 野菜もとれるドレッシングの提案!
  鰹たたき
  白身&サーモンのカルパッチョ
  ホタテのカルパッチョ

 ○つけだれ 野菜もとれる「食べるタレ」!
  餃子&焼き肉のタレ
  そうめん つけだれ3種

 ○デザート おやつにおいしく野菜をプラス!
  赤緑黄 のピューレを使ったパンケーキ
  アイスクリーム

 ○ちょい足ししてみる
  レトルトやインスタント食品にも手軽に野菜をプラス!
書評
「あなたの食卓を鮮やかな色彩と豊富な栄養素で満たす魔法のレシピ」

 原島夫妻が,京都の御所南で地域の患者さんへの献身的医療に尽力される以前より,その姿を私は知っていた.しかしながら,彼らの著作は,今回初めて拝読した.最初は,医師が書いた栄養指導本という勝手な先入観で,読み始めた.
 読み進めるうちに,私の予想は,大きく裏切られることになる.
 まず,目に飛び込んできたのは,色鮮やかな料理の数々である.マスタードチキンのパンチの効いた「黄色」,鯖のバルサミコ酢煮の美味しそうな「赤色」,シラスとエノキのグリーンパスタのイタリアンレストランのような「緑色」と,ページをめくるたびに,どんどん食欲がそそられる.さらに,各ページに添えられた栄養解析表では,例えば,通常のチキンカレーよりケラライエローカレーのほうが,黄色の栄養素がより豊富であることがよくわかる.このように,単に視覚的に色鮮やかなだけでなく,栄養素も効率よく摂取できるというのが,本書のレシピの最大の特徴であり,優れた点である.このように,見た目も栄養も満たすのは,言うは易く,実は非常に難しい.特に本書のタイトルが掲げる「低塩」となると,さらにその難易度が上がってしまう.私自身は循環器内科医・老年内科医だったので,減塩食を入院患者に指導する立場にあったが,「減塩は味がしない」としばしば高齢者から苦情を聞かされた.医師側は高血圧や循環器疾患を念頭に,「減塩食」を指示するが,高齢入院患者の「食欲」が低下し低栄養になるのは,医療上望ましくないと現場でよく感じた.しかし,私は食事栄養に造詣が深いわけでもないので,忸怩たる思いであった.
 本書は,医療現場で上記のような医療側,患者側両者の悩みを同時に解決する有効な手段を提供している.その大きな理由は,著者が独自に開発した「野菜ピューレ」である.例えば,赤色ピューレは,鮮やかな赤色と栄養素の両者を満たすように食材(赤パプリカ,ビーツ,赤玉ねぎ,トマト,赤キャベツ)が厳選されている.その栄養素の詳細には,βカロテン,ケルセチン,アントシアニン,リコピン,ビタミンE など,良質の抗酸化栄養素が含まれていることがよくわかる.カロテンの由来は,カラー(色)を含む栄養素であり,色彩と抗酸化力を両立できる代表でもある.同様に,緑色,黄色ピューレも,それぞれの色彩と栄養素に富んだ食材で形成されている.この野菜ピューレを利用すれば,初心者でも,レストラン顔負けの,色鮮やかで栄養素に富んだ料理が完成する.おそらく,著者も長年,私同様に患者の栄養素不足と食欲の両立の難しさに悩み,このピューレの開発を着想したのだろう.それを具現化した著者の多大な尽力と知恵を讃えるとともに,このレシピを簡単に手に入れることができる本書の読者は,色鮮やかな食卓と健康を両立できる最大の恩恵を受ける.ぜひ,薬剤師のみならず,患者や一般の方にも読んでほしい著作である.

京都大学医学部附属病院 高齢者医療ユニット長・准教授
近藤 祥司
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