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カテゴリー: 呼吸器学  |  地域医療

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非がん性呼吸器疾患の緩和ケア

改訂2版

霧ヶ丘つだ病院 理事長/院長 津田 徹 編
東京ふれあい医療生活協同組合 研修・研究センター センター長 平原佐斗司 編

定価

4,730(本体 4,300円 +税10%)


  • B5判  293頁
  • 2026年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-24882-6

非がん性呼吸器疾患の緩和ケアは、いま標準医療へ

非がん疾患呼吸器疾患に対する緩和ケアは,この数年で大きな転換期を迎えています.2021年には,日本呼吸器学会および呼吸ケア・リハビリテーション学会より『非がん性呼吸器疾患の緩和ケア指針』が作成され,2026年度の診療報酬改定では,非がん性呼吸器疾患の緩和ケアが,入院患者,外来患者ともに保険適用となりました.

こうした動きに加え,呼吸管理に用いられる各種デバイスやマスクなどのインターフェイスも進化を続けており,それらを適切に選択・活用するための理解と実践力が求められています.また,禁煙施策や高齢化などの影響で疾病構造にも変化の兆しがみられます.

本改訂では,こうした指針や最新の動向に基づき,苦痛症状の評価や緩和ケアの実際,ACPなどについて解説を充実させました.さらに,デバイス関連についても最新の知見を反映し,臨床現場で実践するための内容へと刷新しています.

診療報酬におけるがん以外の疾患への緩和ケアの評価拡大が期待される中,知っておきたい実践知満載の一冊です.

  • 序文
  • 目次
序文
 非がん性呼吸器疾患の緩和ケアは,いま新たな段階へと歩みを進めようとしている.2026年度診療報酬改定により,末期呼吸器疾患患者に対する緩和ケアが正式に評価されることとなり,本領域は「理念として語られてきた医療」から,「日常診療の中で実践される標準医療」へと大きく舵を切った.本書改訂第2 版は,その出発点に立って編まれたものである.
 本書は第1 版に引き続き,津田 徹と平原佐斗司の共同編者のもとでまとめられた.平原佐斗司は,在宅医療連合学会代表理事として,呼吸不全にとどまらず,心不全や腎不全を含む非がん性疾患全体の緩和ケアの枠組みづくりに長年携わってきた.緩和ケアを病院内に限定せず,在宅医療へと広げてきたその取り組みは,非がん性緩和ケアを全国に根付かせる大きな推進力となっている.
 非がん性呼吸器疾患の診療は,急性期,外来,在宅を行き来しながら長期にわたって続く.その過程で,呼吸困難,不安,生活機能の低下,意思決定の揺らぎなど,多面的な課題が生じる.これらに応える緩和ケアは,医師のみで完結する医療ではなく,看護師,理学療法士,作業療法士,薬剤師,管理栄養士,心理職,ソーシャルワーカーなど,多職種がそれぞれの専門性を発揮し,連携することで初めて成立する医療である.
 今回の診療報酬改定に至る過程では,厚生労働省の若手医系技官の方々と繰り返し意見交換を行った.現場で何が起きているのか,なぜ既存の制度では患者の苦痛を十分に支えきれないのかを丁寧に共有し,同時に行政の視点から制度設計の制約や可能性を学ぶ中で,現場と行政の対話こそが新しい医療を切り拓く原動力になることを強く実感した.この経験は,医療政策が協働によって進化し得るものであることを示している.
 本書第2版には,全国の呼吸不全診療に関わる多くの医療者が,現場で培ってきた知識と技術を惜しみなく書き下ろしてくださった.薬物療法,非侵襲的呼吸管理,呼吸リハビリテーション,栄養療法,ACP,セルフマネジメント支援,社会的支援に至るまで,病院から在宅へと連続する緩和ケアの実践が具体的に示されている.
 とりわけ若い呼吸器内科医には,緩和ケアを診療の「終わり」ではなく,専門性を深める実践の場として捉えてほしい.そして臨床の課題を現場の中だけで完結させず,行政や制度との対話につなげていく視点を持つことが,次の医療を創る力になる.本書が,非がん性呼吸器疾患の緩和ケアを全国に広げ,非がん疾患全体,さらにはわが国の緩和医療のさらなる発展へとつながっていくことを,心より期待している.

2026年2 月

津田 徹
平原佐斗司
目次
1.非がん性呼吸器疾患の緩和ケアを巡って
 (1)わが国における非がん性呼吸器疾患の緩和ケアの最近の動向
 (2)NMRDの終末期の定義
 (3)NMRDの終末期医療と緩和ケアの考え方とACP
 (4)今後の課題

2.非がん性呼吸器疾患の症状と緩和
 A.症 状
 B.身体的特徴・呼吸サルコペニア
 C.呼吸困難の病態生理と症状緩和
 D.苦痛(呼吸困難)の評価
 E.苦痛の緩和
  Column 1 社会的フレイル

3.疾患ごとの呼吸不全末期の病態・治療・経過・予後
 A.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  【事例】COPDの終末期の事例
 B.間質性肺疾患(ILD)
  【事例】IPF進行期の呼吸困難に対してモルヒネ内服を導入した事例
 C.気管支拡張症(BE)
  【事例】BE急性増悪を繰り返した事例
 D.非結核性抗酸菌(NTM)症
  【事例】治療ケア・リハビリテーション,緩和ケアの統合的なアプローチを行ったNTMの事例
 E.拘束性換気障害を有するその他の疾患
  【事例】肺結核後遺症の終末期の事例
 F.高齢者肺炎
  Column 2 非がん性呼吸器疾患における嚥下障害のメカニズム
  Column 3 高齢者肺炎患者の摂食嚥下機能評価法Assessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)
  Column 4 「在宅における末期認知症の肺炎の診療と緩和ケアの指針」について

4.症状緩和の方法
 A.終末期の呼吸リハビリテーション
  (1)終末期の呼吸リハビリテーションの目的と意義 池内智之,新貝和也 96
  (2)コンディショニング 北川知佳 98
  (3)気道クリアランス 105
  (4)運動療法 109
  (5)栄 養 若林秀隆 113
  (6)神経筋電気刺激 玉木 彰 119
  (7)呼吸筋疲労への対応
 B.在宅酸素療法
 C.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)・高流量鼻カニュラ(HFNC)酸素療法
  【事例】肺過膨張の軽減によりADLが向上し呼吸困難感も改善した事例
  【事例】NPPVが困難なⅡ型呼吸不全患者にHFNCを導入しQOLが改善した事例
 D.機械的排痰補助
  【事例】慢性下気道感染増悪に対し,HFNCと肺内パーカッションベンチレーターによる呼吸管理を行った事例
 E.薬物療法
 F.精神症状への対応
 G.公認心理師・臨床心理士の対応
 H.セルフマネジメント支援
 I.スピリチュアルペインへの対応
  Column 5 終末期の栄養管理の実際~終末期における非がん性呼吸器疾患の栄養障害~
  【事例】終末期まで食事を楽しめた事例
  Column 6 在宅医療における臨床工学技士の役割と課題
  Column 7 終末期の吸入薬の選択と吸入支援
  Column 8 認定看護師・専門看護師の活用

5.呼吸不全のサポーティブケア
 A.サポーティブケアの目的と意義
 B.アロマテラピー
 C.音楽療法
 D.臨床美術

6.予後予測と意思決定支援
 A.非がん性呼吸器疾患の疾患軌道と予後予測
 B.緩和ケアの対象者を同定するツール
 C.非がん性呼吸器疾患のACPと意思決定支援
  Column 9 ACPと共同意思決定(SDM)
  Column 10 日本型ACPとは

7.ソーシャルサポートとケアマネジメント
 A.ソーシャルサポート
 B.ケアマネジメント
  【事例】進行期から終末期における,短期間での在宅支援

8.非がん性呼吸器疾患患者を支えるシステム
 A.病院モデル
  【事例】重症COPD患者に対し,多職種が連携して退院支援を行った事例
 B.在宅中心モデル
  【事例①】在宅では即日の画像診断が困難で急性増悪の把握と入院説得に難渋した事例
  【事例②】最重症COPDの呼吸器悪液質からV字回復した事例のその後
  【事例③】看取りの依頼で紹介されたREC耐性肺MAC症による気管支拡張症のV字回復した事例
  【事例④】高度拘束性換気障害の呼吸器悪液質からのV字回復を試みた事例
  Column 11 在宅でのリハビリテーション

巻末資料
 1.非がん性呼吸器疾患におけるオピオイドの使い方
 2.ACPの患者用リーフレット
 3.ACPテンプレート

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