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女性の頭痛診療 内分泌とライフステージをふまえたアプローチ

1版

愛仁会千船病院産婦人科 主任部長 稲垣美恵子 編

定価

4,400(本体 4,000円 +税10%)


  • A5判  300頁
  • 2026年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-21561-3

“頭痛もち女性”の診かたの決定版!

「頭痛」のなかでもとりわけ片頭痛は,女性ホルモンが関与していることから圧倒的に女性に多い.しかし,ありふれた疾患であるにもかかわらず,いまだに満足いく治療を受けられず,ひそかに我慢しながら日常生活を送っている女性患者は多数潜在している.本書では,頭痛の女性患者が最初に受診するプライマリ・ケアや産婦人科などで求められる頭痛診療について,現実的にどこまで診ること(診断・治療)ができればよしとするか,どのような場合に頭痛専門医への受診をすすめたらよいか,明確にわかりやすく解説した.また女性のライフステージに応じて変化する頭痛の病態・特性をふまえた項目立てで,問診のポイント,検査・診断の考え方,実際の処方例(予防薬,急性期治療薬,妊娠中・授乳期や女性ホルモン製剤使用時の注意点も含め),ケーススタディ,症例提示など,どこを切り取っても日常診療に直結する内容となっている.

  • 序文
  • 目次
序文
 「頭痛」は世界的に最も頻度の高い神経疾患の1つであり,労働生産性の低下や生活の質(QOL)の障害を通じて大きな社会的損失をもたらしている.女性の社会進出が進む現代において,その影響は個人の問題にとどまらず,社会的にも看過できない課題となっている.片頭痛はエストロゲン変動など女性ホルモンとの関連がある疾患であり,有病率は男性の約3倍とされ女性に多い.片頭痛をはじめとする一次性頭痛は,日常生活に大きな影響を及ぼしているにもかかわらず,正確な診断や十分な治療が行われていないことが少なくない.“ただの頭痛”として扱われ,医療機関を受診しても適切な評価や治療に結びついていない現状が,なお存在している.
 一方で,頭痛診療は近年大きく進歩した.診断基準の整備,エビデンスの蓄積,新規治療薬の登場により,頭痛は適切な評価と治療によって改善しうる疾患として位置づけられている.「国際頭痛分類 第3版」および「頭痛の診療ガイドライン2021」に基づいた標準的診療を実践することで,多くの患者のQOLを向上させることが可能である.プライマリ・ケアの現場において女性の頭痛を見逃さず,適切な初期対応を行い,必要に応じて専門医へとつなぐ視点と判断力が,これまで以上に求められている.
 本書は,日常診療で女性の頭痛の初療を担う産婦人科医およびプライマリ・ケア医の先生方を主な読者として企画した.頭痛に関する専門書は数多く存在するが,「女性」という視点から内分泌環境とライフステージを横断的に整理し,実地臨床に即してまとめた書籍は決して多くはなかった.忙しい外来診療の合間にも参照できる実用性を意識し,内分泌環境をふまえた診断・治療の考え方を具体的に示すとともに,症例を通じて臨床の実際を提示した.
 同時に,すでに専門的に頭痛診療に携わっている先生方にとっても,女性特有の臨床課題を再整理し,理解を深める一助となれば幸いである.
 診察室で出会う多くの女性は,家族や職場への配慮のなかで自身の頭痛を後回しにしている.市販薬で対処しながら長年我慢を重ね,ようやく受診に至る例も少なくない.また,月経や妊娠,不妊治療,更年期といった女性特有の問題は,十分に相談されないまま経過していることもある.女性のライフイベントや内分泌環境を考慮して頭痛を評価し,診療に反映できる医療体制は,いまだ十分とは言いがたい.この現状に対し,臨床の立場からできることを模索したいという思いが,本書執筆の原点である.
 本書の執筆にあたっては,女性医療に深い洞察を有する頭痛専門医の仲間に参画いただいた.提示された症例や知見は,いずれも日々の臨床から得られた経験に裏打ちされたものである.読者の先生方がそれぞれの診療現場と照らし合わせながら活用していただければ幸いである.
 最後に,本企画を一冊の書籍として構想し,執筆の遅れというご迷惑をおかけしながらも,終始温かく伴走してくださった南山堂の熊倉倫穂氏に深く感謝申し上げる.本書が,女性の頭痛診療の質の向上とさらなる発展にささやかながら寄与することを願っている.

2026年3月
稲垣美恵子
目次
Part I 女性の頭痛の病態と特徴―なぜ頭痛に悩む女性が多いのか?
 1 知っておきたい女性に多い頭痛の種類
 2 女性の頭痛を診る上で知っておきたい女性ホルモンの基礎知識
 3 女性に多い頭痛をわかりやすく深掘り
  1)片頭痛
  2)緊張型頭痛
  3)片頭痛,緊張型頭痛以外の一次性頭痛
 4 女性のライフステージに応じた頭痛の変化
 5 頭痛が患者の日常生活に及ぼす影響―我慢するのが当たり前になっているけど本当は…

Part II 女性の頭痛の診断・治療
1.診断の基本
 1 診断の手順
 2 効果的な問診方法と問診票の活用のしかた
 3 頭痛ダイアリー,頭痛記録アプリの活用のしかた
 4 頭痛専門医以外の医師が行うべき検査は何か
 5 頭痛専門医へ紹介する場合のポイント

2.治療の基本
 1 薬物療法の基本
 2 片頭痛
  1)診断
  2)治療
 3 緊張型頭痛の治療
 4 薬剤の使用過多による頭痛(MOH)の治療
 5 漢方薬の使い方
 6 非薬物療法
 7 頭痛予防のための生活習慣のアドバイス

3.女性のライフステージ別の頭痛の診かた
 1 思春期の頭痛
 2 性成熟期の頭痛
  1)月経時片頭痛の治療
  2)プレコンセプションの片頭痛管理
  3)妊娠中・授乳期の頭痛の治療
  4)OC/LEP,黄体ホルモン製剤を使用する場合のポイント
 3 更年期・老年期の頭痛
 4 ケーススタディでわかる! よくある頭痛の診かた
  (1)「前兆のない片頭痛」のケース
  (2)産後・育児期の「月経関連片頭痛」のケース
  (3)「前兆のある片頭痛」,PMS,LEP使用が重なったケース
  (4)市販薬とトリプタンの「薬剤の使用過多による頭痛(MOH)」のケース

【症例】
・60歳女性(総合管理職):眼周囲のひどい頭痛で受診したら,持続性片側頭痛(まれな一次性頭痛)であった例
・50代女性(事務職):1ヵ月前からの突然の頭痛悪化で受診したら,髄膜腫による二次性頭痛であった例
・50代前半女性:緊張型頭痛と診断したが,結果的には脳髄膜腫による二次性頭痛であった更年期女性の例
・56歳女性(事務職):閉経後に頭痛の性状が変わってきたため受診したら,閉塞隅角緑内障による二次性頭痛であった例
・50代女性(事務職):マッサージを契機に発症した脳脊髄液減少症の例
・60代女性(主婦):典型的前兆のみで,頭痛を伴わない片頭痛の例
・43歳女性:腰椎椎間板ヘルニアでオピオイド系鎮痛薬の内服を続けたことによるMOHの例
・40代後半女性:呉茱萸湯が有効であった更年期女性の片頭痛の例
・16歳女子(高校2年生):思春期の起立性調節障害(OD)による頭痛の例
・28歳女性:妊娠希望があるが,慢性片頭痛で,連日頭痛発作がある例
・32歳女性:妊娠中の下垂体卒中による二次性頭痛であった例
・37歳女性:出産後に悪化した片頭痛の例
・35歳女性:妊娠中なのに片頭痛が軽快しない例(どのように管理したらよいか?)
・30代女性(初産婦):産褥期に発症した可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の例
・43歳女性(運送業):LEP投与が脳梗塞発症に関与した「前兆のある片頭痛」の例
・40代後半女性:更年期障害の治療目的でホルモン補充療法(HRT)を行い,片頭痛にも好影響をもたらした例
・48歳女性:更年期のホルモン補充療法(HRT)で悪化した「前兆のない片頭痛」の例
・49歳女性:片頭痛が悪化したのは更年期障害の影響かと思って受診したら,甲状腺機能低下症による二次性頭痛であった例

【Column】
・身近な頭痛と頭痛分類
・女性ホルモンと片頭痛
・診断書が変える日常―頭痛診療における社会的支援
・片頭痛の支障度・重症度の質問票
・ワーキングマザーのMOH
・頭痛で避けたほうがよい食べ物は何かありますか?
・不妊治療と頭痛
・産後の片頭痛発作のつらさ
・産婦人科医が女性の頭痛を診るときに留意したいこと
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