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Evidence Update 2024

最新の薬物治療のエビデンスを付加的に利用する

1版

名郷直樹 編

定価

3,300(本体 3,000円 +税10%)


  • B5判  219頁
  • 2024年1月 発行
  • ISBN 978-4-525-21401-2

治療薬の最新のエビデンスを一気にアップデート!

情報は減ることなく,毎年積み重なっていきます.この新しく追加された情報から重要なものを厳選し,整理し,わかりやすくまとめ,現場で役立てていただくことをコンセプトとして,2012年に"Evidence Update"シリーズが登場しました.2024年版では,漢方薬などの4つの治療薬と「押さえておきたいホットトピックス」の項も追加しました.各領域のエキスパートが厳選して執筆した"Evidence Update" 本年も多くのみなさまにお役立ていただければ幸いです.

  • 序文
  • 本書について
  • 目次
序文
今年もまた“Evidence Update”をお届けすることになった.本書のコンセプトに変更はない.これまでのエビデンスにこの1年の新しいエビデンスを付け加えて紹介し,それによって日々の仕事をどう変えていくか,考えてもらおうということだ.

そのことについて,一昨年の巻頭言で,「われわれの仕事は常に訂正され続けなければならない.訂正可能性こそが私たちの進歩を支えている」,そんな風に書いた.そして今,ちょうど届いたばかりの『訂正可能性の哲学』(著:東 浩紀)を読みながら,その続きを考えている.『訂正可能性の哲学』には「ビッグデータと『私』の問題」という章があり,そこには「ビッグデータでは『ぼく』ではなく,『ぼくに似た人々』しか扱えない」と書かれている.ビッグデータは,固有名でなく,一般名としての情報の束としてしか扱えないということである.そこでは主体は失われている.「情報そのものがいくら正しくても,目の前の患者に役立つかどうかは別問題である」というEBMステップ4の困難を別の角度から言い換えたわけだが,この確定した情報の束に還元できる一般名,情報の束に還元できない固有名という視点は,このステップ4の困難を考える上で大きな武器になるような気がする.

現実の臨床は,情報の束としては記述できない固有名を持つ目の前の一人の患者に対して,情報の束として確定したビッグデータを利用することになる.大規模なランダム化比較試験,コホート研究,さらにそのメタ分析などの臨床研究はビッグデータの一部であるが,それらの臨床研究も訂正可能がある中で確定した,その時点では訂正不能だが, 明日には訂正されるかもしれないデータにすぎず,いったんそれを確定した事実として利用するほかないという大きな矛盾から逃れることはできない.ビッグデータは目の前の患者には使えない,にもかかわらず使うしかない.これが基盤である.

しかしこの矛盾こそが,この先を考える大きなきっかけになっている.確定した事実でありながら,明日には訂正されうるというように開かれているのがエビデンスである.確定しつつ,訂正に対して開かれている,この矛盾に向き合うことで,個別の患者の主体性を考慮しつつ,エビデンスを役立てるという視点が醸成されるのかもしれない.そんな見通しがある.

ビッグデータ,本書においてその多くは臨床研究であるが,それを使おうとすると,目の前の患者もまた情報の束としてしかみられなくなるリスクをはらむ.個別の患者を,主体性が奪われた一般名にすぎない一般人として扱ってしまうリスクである.エビデンスで殴られるというのはその極端な状況である.少なくともこういうエビデンスがあるからこうすべきであるという対応は,今すぐにでも訂正される必要がある.そこでエビデンスは常に訂正可能性の中にあることを認識していることが,エビデンスを訂正し続けることと,目の前の患者の主体を維持することにつながっていくのではないだろうか.

本書と『訂正可能性の哲学』を読んで,日々の臨床に役立てていただければ幸いである.

2023年12月
名郷 直樹
本書について
EBMという言葉が初めて使われたのは,1991年のACP Journal Clubの鉄欠乏性貧血の診断に関わる一文であるといわれています.そこには,“Evidence-based medicine uses additional strategies.”と書かれています.EBMは当初から,これまでのやり方を置き換えるようなものではなく,「付加的に利用する」ものとして構想されたことがわかります.

臨床現場でEBMを実践するためには,論文を批判的に読むだけでは十分ではありません.それを個別の状況で役立ててこそ,EBMの実践ですが,役立てるとなるとなかなか大変です.役立てるためには,繰り返す論文を使うことが必要です.しかし,1つのエビデンスを知ったところで,臨床の現場の判断にはなかなかつながりません.1つの論文を手掛かりに,過去の論文にさかのぼり,さらに新しい論文を付け加えていくことで,現実の臨床での対応が初めてみえてきます.過去の知見に,新たなエビデンスを付け加えながら,勉強を継続していくことが重要です.この終わることがない,生涯にわたる継続的な情報収集と吟味が最善の医療提供には必須です.

この毎年の新しい情報の追加を,できるだけ負担なく,容易にできるようにし,さらにはその情報を現場の患者に役立ててもらえるようにするのが本書の役割です.本書は,毎年の発行がそれまでの改訂版ではなくて,前回以降の新しい情報を追加して毎年発行されるという点が特徴です.つまり,毎年同じ題名の書籍でありながら,この1年の新しい情報がまとめられて発行されます.

すでに毎年本書を購入していただいている方には,本書の継続的なフォローによって日々の仕事に役立つことが実感されていると思います.それに対し初めて手に取る方には,すぐには役立つとは感じられないかもしれません.しかし,役立つ知識というものはそう簡単に身につくものではありません.長年の勉強の継続があって初めて身につくものです.毎年本書を手に取っていただき,読んでいただくことで,薬を飲む患者に役立つ情報提供ができるようになれば,本書の役割が実現されたということになるでしょう.
日々のEBMの実践にあたって,本書が継続的な勉強のきっかけとなり,エビデンスを個別の患者に使えるようになる一助になれば幸いです.すべての薬剤師が,毎年本書を手に取り,読み,医師や看護師と相談しながら,患者に役立てていく未来を想像しつつ,本書をお届けします.

名郷 直樹
目次
1.2023年論文ベストテン

2.押さえておきたいホットトピックス

3.COVID-19の注目論文

4.薬剤師介入の最新エビデンス

5.エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート!
 ① 降圧薬
 ② 不整脈治療薬
 ③ 心不全治療薬
 ④ 抗血栓薬
 ⑤ 心筋梗塞・脳梗塞治療薬(急性期)
 ⑥ 気管支喘息治療薬
 ⑦ 慢性閉塞性肺疾患治療薬
 ⑧ 消化性潰瘍治療薬
 ⑨ 炎症性腸疾患治療薬
 ⑩ 糖尿病治療薬
 ⑪ 脂質異常症治療薬
 ⑫ 高尿酸血症治療薬
 ⑬ 慢性腎臓病治療薬
 ⑭ 統合失調症治療薬
 ⑮ 抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬
 ⑯ 認知症治療薬
 ⑰ 抗てんかん薬
 ⑱ 抗リウマチ薬
 ⑲ 骨粗鬆症治療薬
 ⑳ 抗菌薬
 ㉑ 抗ウイルス薬
 ㉒ 抗真菌薬
 ㉓ ワクチン
 ㉔ 鎮痛薬
 ㉕ アトピー性皮膚炎治療薬
 ㉖ 漢方薬
 ㉗ 肺癌治療薬
 ㉘ 胃癌治療薬
 ㉙ 大腸癌治療薬
 ㉚ 泌尿器癌治療薬
 ㉛ 肝胆膵癌治療薬
 ㉜ 乳癌治療薬
 ㉝ 婦人科癌治療薬
 ㉞ 血液腫瘍治療薬
 ㉟ がん支持療法
 ㊱ 静脈経腸栄養
 ㊲ 救急・集中治療

6.最新トピックス!小児,高齢者,妊婦・授乳婦における薬物療法の留意点!
 ① 小児
 ② 高齢者
 ③ 妊婦・授乳婦

[Column]論文吟味のポイント2023
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