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認知症の併存疾患管理ガイドブック

1版

厚生労働科学研究費補助金(認知症政策研究事業)
「併存疾患に注目した認知症重症化予防のための研究」研究班 編

定価

3,300(本体 3,000円 +税10%)


  • B5判  162頁
  • 2024年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-21381-7

認知症と併存疾患の双方向からみたマネジメントの手引き

2040年の日本では,65歳以上の約1/4が認知症者とされる.
そのほとんどが生活習慣病などの併存疾患を有しており,認知症を考慮した適切な管理が必要である.
本書では,発症や経過・予後など認知症と併存疾患の相互連関,診療上の留意点やモデル事例をコンパクトなQ&Aと共にまとめた.
エビデンスに準拠した現場で役立つガイドブックである.

  • 序文
  • 目次
序文
社会の高齢化に伴い認知症者の増加が著しい.わが国では2025年に65歳以上の約1/5が認知症となり,2040年には約1/4にまで増加すると推計されている.世界的にも認知症の増加は大きな課題となっている.そのような状況を受けて,認知症の人を含めた国民一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し,相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(共生社会)の実現を推進することを目的として『共生社会の実現を推進するための認知症基本法』が成立した.共生社会の実現のためには,認知症を可能な限り予防し,あるいは重症化を抑えていくことも必要であり,そのためには認知症の発症や経過に影響する併存疾患の管理を適切に行うことが鍵になる.

認知症者の併存疾患管理は非常に難しい.コミュニケーション不良などにより病状の理解が困難な上に,認知症者の併存疾患治療に関する有効性・安全性のエビデンスが極めて乏しい.現実には,認知症を考慮せず併存疾患の治療ガイドラインに盲目的に従うか,認知症を理由に治療しないかのどちらかとなるケースが多くみられるが,前者は過剰,後者は過少な医療になりがちで適切な医療提供とは言えない.認知症者のほとんどは高齢者であり,生活習慣病などの慢性疾患を複数保有する.高齢者糖尿病の血糖管理目標のような認知症ゆえの管理方法が本来は必要であるが,エビデンスが乏しいためにその手法はガイドライン化されていない.また,『認知症疾患診療ガイドライン』の併存疾患のパートや疾患別診療ガイドラインの高齢者など認知症関連パートをみても総論的な記述にとどまるケースが多く,診療現場で実践できる内容の指針化は不十分と言わざるを得ない.がんや骨折に対する手術,肺炎など急性疾患の治療についても同様である.

それらの併存疾患の対処に幅広い医療現場が困っており,具体的な対処法が求められてきた.そのようなアンメットニーズに応えるべく,厚生労働科学研究費補助金(認知症政策研究事業)「併存疾患に注目した認知症重症化予防のための研究」研究班が組織され,令和3年度から臨床研究と本書作成を行ってきた.本書では,研究班とその協力者を執筆メンバーとして,関連ガイドラインと文献検索に基づいて領域毎にQ&Aをコンパクトに記載するとともに,診療上の留意点やモデル事例をまとめて,エビデンスに準拠しつつ現場で役立つガイドブックの作成を目指した.

認知症専門医療,各疾患の専門医療,外来・在宅医療,介護施設など認知症に関わるすべての医療現場の医師のみならず,看護師や薬剤師など多くの職種の方にも目を通していただきたい.従来の書籍には書かれていない有用な情報が得られると信じている.

2024年2月
秋下雅弘
目次
1.認知症
2.精神症状(睡眠障害・うつ・せん妄)・てんかん
3.Multimorbidity
4.高血圧
5.糖尿病
6.呼吸器疾患
7.誤嚥性肺炎・摂食嚥下障害
8.心不全
9.透析
10.胃・食道癌手術
11.大腿骨近位部骨折
12.骨粗鬆症
13.転倒
14.便秘
15.下部尿路症状
16.褥瘡
17.感覚器障害(聴覚・嗅覚・視覚)
18.薬剤師
19.介護施設
20.在宅医療
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