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日本プライマリ・ケア連合学会 基本研修ハンドブック

改訂4版

日本プライマリ・ケア連合学会 編

定価

6,600(本体 6,000円 +税10%)


  • B5判  422頁
  • 2026年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-20214-9

新・家庭医療専門医を目指す医師必携の学会公認テキスト!

本書は家庭医療専門医を志す医師のテキストとして2012年に初版が発行されて以来,多くのプライマリ・ケア医に支持されてきました.改訂4版では,2024年度からの新・家庭医療専門医制度の改定に対応した大幅な刷新を行い,AIの利活用やプラネタリーヘルスといった最新のトピックも取り入れました.
プライマリ・ケアで求められる幅広い知識や診療スキルを網羅しており,専攻医の研修やポートフォリオ作成に必携です.さらに指導医のための指導のコツや学習支援の要点を示していますので,学習者だけではなく指導者にも有用な一冊です.

  • 序文
  • 目次
序文
小さな一歩が,平和をつなぐ

 プライマリ・ケアは,人と出会う医療である.その人の病名だけでなく,訴えの背後にあ
る苦しみや不安にも目を向け,時に生活や人生そのものと向き合う.高度に専門分化が進む
現代医療のなかにあって,この「全体を診る」という姿勢の重要性は.ますます高まっている.
 本書は,プライマリ・ケアの入り口に立つ若い医師たちのために編まれた実践書である.
初版の刊行から約14年が経ち,社会も医療も大きく変化した.第4版となる本書ではその変
化を真摯に受け止めつつ,これからのプライマリ・ケアを担う人々の道標となることを目指
した.改訂作業を振り返ると,当初の目標のひとつは「よりコンパクトにすること」だった.
編集委員一同で内容を吟味し,必要な内容に絞るべく議論を重ねたが,結果として,ページ
数は当初の想定を上回ることとなった.それは,単に内容を絞りきれなかったからではない.
プライマリ・ケアという領域そのものが,この14年の間に,より深く,より広く,そしてよ
り豊かに発展してきたことの表れでもある.削ることのできなかった一つひとつの項目には,
現場で求められる知識と実践,そしてこの領域の奥行きが込められている.本書の厚みもま
た,その証左として前向きに受け取っていただければ幸いである.内容面では,項目を新・
家庭医療専門医制度のポートフォリオの領域に沿って見直した.専攻医が実際にポートフォ
リオを作成する際に,本書の構成が自然に重なるよう再設計している.本書が専攻医の先生
方にとって,研修のガイドとしての役割を果たすことができれば望外の喜びである.
 本書を上梓しようとしている今も,世界では戦火が絶えない.ウクライナではロシアによ
る侵攻が長期化し,中東では米国やイスラエルとイランによる新たな衝突が続いている.連
日伝えられるニュースや映像を前に,日本で診療を続ける私たちは,しばしば深い無力感を
覚える.遠い地の出来事として切り離すこともできず,かといって直接手を差し伸べること
もできない.「自分にいったい何ができるのか」──そう自問する日々が続いている.
 プライマリ・ケア医の仕事は,目の前の患者の不安に耳を傾け,言葉にならない苦しみを
丁寧に受け止め,その人の日常の問題をともに考えることである.その営みの一つひとつが,
患者や周囲の人にとって,小さいながらも確かな平和をつくる行為でもある.
 私たちには世界を変えるほどの大きな力はないかもしれない.でも,診療の場で育まれる
信頼は,家庭へ,地域へ,そして社会へと静かに広がっていく.その積み重ねが,やがて遠
くの誰かの平和にもつながっていくと,私たちは信じている.まず,あなたの目の前にいる
人の平和を大切にして欲しい.その一歩が,世界へとつながる愛の源になると信じている.

2026年4月
編者を代表して
矢吹 拓
目次
研修を始めるにあたり
 プライマリ・ケアを専門とする医師を目指す(矢吹 拓)

Ⅰ▶目指すべき総合診療医・家庭医像
 1 わが国および世界のプライマリ・ケア,家庭医療,総合診療の歴史と現状(草場鉄周)
 2 かかりつけ医,総合診療専門医,そして新・家庭医療専門医(大橋博樹)
 3 家庭医療・総合診療のコンピテンシーとプログラムの概要(三澤美和)
 4 専門医取得後のキャリアパス / 生涯学習およびフェローシップ(小曽根早知子)

Ⅱ▶基本研修リスト
A 基本研修領域
 1 医療面接,医療コミュニケーション(宮本侑達)
 2 診察法(志水太郎)
 3 診断推論・診断エラー(鋪野紀好)
 4 プライマリ・ケアにおける治療学(菊池徹哉,藤沼康樹)
 5 診療所における救急医療(遠井敬大)
 6 小児の診療とケア(児玉和彦)
 7 高齢者の診療とケア(大野毎子)
 8 病院総合医・病院家庭医(佐藤健太)
 9 在宅医療(島 直子)
B 家庭医療専門研修領域(ポートフォリオ項目)
 1 ポートフォリオを用いた研修および作成のプロセスとポイント(渡辺史子)
 2 ポートフォリオ指導と臨床実践・振り返り・勉強会(櫻井広子)
 3 未分化な健康問題(横田雄也)
 4 予防医学と健康増進(阪本直人)
 5 慢性疾患のケア(西村真紀,横林賢一)
 6 長期的な全人的関係に基づくケア(中川貴史)
 7 患者中心の医療(加藤光樹)
 8 家族志向のケア(村山 愛)
 9 地域志向のプライマリ・ケア(平山陽子)
 10 障害とリハビリテーション(鵜飼万実子)
 11 EBMの実践(南郷栄秀)
 12 メンタルヘルス(今村弥生)
 13 健康の社会的決定要因とアドボカシーおよびアクセス(飯塚玄明,武田裕子)
 14 複雑困難事例のケア(山本 祐)
 15 多疾患併存(官澤洋平)
 16 統合されたケア(富田詩織)
 17 チーム医療・ケアの調整や移行(小坂鎮太郎)
 18 高いプロフェッショナリズムに基づく行動(尾藤誠司)
 19 倫理的に困難な意思決定を伴う事例のケア(川口篤也)
 20 セクシャルヘルス / 性を考慮したケア(栗原史帆)
 21 思春期のケア(中山明子)
 22 緩和ケア(濵野 淳)
 23 人生の最終段階におけるケア(木澤義之)
C 特定研修領域
 1 臨床における教育と指導(宮地由佳)
 2 研究に関する能力開発(青木拓也)
 3 システムに基づく診療,患者安全と質管理(小西竜太)
 4 代替・補完医療,漢方・鍼灸(高山 真)
 5 へき地・離島医療(金子 惇)
 6 災害医療(災害時の保健・医療・福祉)(日本プライマリ・ケア連合学会災害医療システム委員会)
 7 学校保健(北西史直)
 8 産業医,産業保健(安藤明美)
 9 運動器診療とスポーツ医学(濱井彩乃)
 10 プライマリ・ケアにおける遺伝学・genetics(鳴本敬一郎,岩泉守哉)
 11 グローバルヘルス(山梨啓友)
 12 遠隔医療(野中文陽)
 13 AIの臨床応用(香田将英)
 14 プラネタリーヘルスと気候変動対策(豊田喜弘)
 15 SOGI/LGBTへの対応(久保田 希)
 16 親密な関係のなかでの暴力・虐待(小﨑真規子)
 17 医療者自身のケア(松井智子,井上真智子)
 18 診療におけるリーダーシップ(岩間秀幸)
 19 組織運営マネジメント(近藤敬太)

Ⅲ▶家庭医療・総合診療の研修および評価
 1 家庭医療・総合診療の教育・学習と学習理論(大西弘高)
 2 カリキュラム開発における学習と評価について(高橋 慶,野村 理)
 3 Off-the-job trainingの概要(本郷舞依)
 4 研修手帳の使い方(横谷省治)
 5 ビデオレビューの実践(菅家智史)
 6 業務基盤型評価のプロセスとポイント(大西弘高)
 7 家庭医療専門医試験のデザインとポイント(矢吹 拓,大西弘高)
 8 faculty development(深瀬 龍)
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