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カテゴリー: 寄生虫学/医動物学

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図説 人体寄生虫学

改訂10版

京都府立医科大学 名誉教授 吉田幸雄 原著
日本寄生虫学会「図説人体寄生虫学」編集委員会 編集

定価

9,900(本体 9,000円 +税10%)


  • 四六倍判  314頁
  • 2021年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-17020-2

“見る寄生虫学書” 最新版!

初版刊行から40年以上にわたり最新情報を提供し続ける寄生虫学分野を代表する成書.
顧みられない熱帯病(NTDs)としての寄生虫疾患も国際的に重要視されているなか,日本寄生虫学会の編集委員会により,新たな知見を取り込み全面改訂された.
主に医学生,医師,臨床検査技師の方々に向け,多くの寄生虫・衛生動物,それらに起因・関連する疾患の情報を網羅,簡潔な文章と豊富な図表で解説した「見る寄生虫学書」.

  • 改訂に寄せて
  • 改訂10 版の序
  • 目次
改訂に寄せて
 2020年に新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で猛威を振るい,改めて新興ウイルス感染症の社会に対する影響の巨大さを体感すると同時に新興感染症に対する準備・対策の重要性が強く認識されている.COVID-19のように突如出現し,人間社会を席巻するような新興ウイルス感染症に対しては,例外なく国際機関・各国政府・ワクチン・製薬企業等が協調しながら即時に対応し,予防・治療法の創出を目指すため,これらの感染症はこれまでの人類の英知と努力により比較的短期間で制御することができると信じられている.一方,寄生虫疾患は,古くは聖書や古典にも記載され,先史以来存在し続けているにも関わらず,その多くは,未だにその治療・予防法が確立していない.寄生虫は真核生物であり,ウイルスや細菌よりも遙かに複雑な生命機構を有しているからである.

 多くの寄生虫疾患は,社会的な重要性が十分に認知されておらず,「顧みられない熱帯病」(Neglected Tropical Diseases: NTDs)の主要な部分を占める.昨今,NTDsの重要性の理解が少しずつ深まり,国際機関・各国政府・民間企業・非営利団体などがその克服・撲滅に向かい,研究開発を着々と展開している.

 そのような感染症や寄生虫症を取り巻く社会変化の中で,本書は1977年の初版から40年以上にわたり読者に愛され続け,第10版の改訂を迎えた.初版から9版に至るまで著者の吉田幸雄先生が中心となり,おおよそ5年に1度の見直しが加えられた.7版から9版の改訂の際には有薗直樹先生が改訂に参加された.その間,寄生虫学・衛生動物学の教科書として良い意味での保守性を維持しながらも,時代とともに変遷する関連疾患の最新情報を盛り込みながら,医学生,医師,臨床検査技師等の医療従事者にとっての座右の書として愛され続けてきた.同時に寄生虫症の研究開発に従事する様々な分野の研究者にとっても,寄生虫学・衛生動物学の解りやすい教科書であり続けている.本改訂版でも,本書の特徴である見開きで展開される豊富な写真・図・表等の資料と簡潔な解説が踏襲され,短時間で必要な情報が体系的に得られる.約30年前に私が学生だった時と同様に,これからも最も活用される教科書・リファレンスであり続けていると期待される.

 本書の著作権は2015年に著者の吉田幸雄先生から日本寄生虫学会に委譲され,その改訂は寄生虫学会の責任となった.本学会内の編集委員会で編集作業を指揮した編集委員長の吉川正英先生をはじめ編集委員諸氏に御礼を申し上げたい.

2021年1月
日本寄生虫学会 理事長
野崎智義
改訂10 版の序
 敬愛する吉田幸雄先生(京都府立医科大学名誉教授)は,本書の理念と目的について,初版から9版に至るまで一貫して,寄生虫疾患と衛生動物媒介性疾患を医学生および臨床医家・検査技師の方々に,最新の情報を網羅しつつわかりやすく解説し,学生教育および日常臨床に役立つ成書であることと述べられている.10版の改訂を託された日本寄生虫学会「図説人体寄生虫学」編集委員会では,吉田先生のこの精神を引き継ぎ,以下の点に留意し作業にあたった.すなわち,最新かつ正しい情報を伝えること,読みやすい基本構成をとること,現代医療に即した資料を使用することである.各分野の専門家に協力を依頼し正しい情報の提供に努め,解説(左頁)・図表(右頁)の基本配置を踏襲し,医学の進歩の軌跡として価値のある臨床資料以外はできるだけ現在の日常臨床に即したものにすることにした.以下に,10版の各部の主な改訂点を示す.

 総論では,「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)」としての寄生虫疾患の位置づけを示し,宿主反応と免疫に関する記載を大きく追補し,また感染症法対象疾患の表を最新化した.

 第1部 人体寄生原虫学では,赤痢アメーバ原虫のHIH染色像をコーン染色像に変更し,内視鏡像・組織像・CT像を一新した.大腸アメーバやランブル鞭毛虫の嚢子のトリクローム染色像もコーン染色像に変更した.アカントアメーバ角膜炎ではパパニコロ染色像を加えた.シャーガス病では,国内でも発見されることを追加した.二核アメーバはトリコモナス類として記載し,肉胞子虫項では画像を新しくした.マラリア治療にはアルテメテル・ルメファントリン合剤を追加し,AIDSでは指標疾患も記載した.

 第2部 人体寄生蠕虫学 線形動物では,内視鏡写真(回虫・アニサキス・鉤虫・鞭虫)を新しくし,内臓幼虫移行症に肺肝CT像を追加,アニサキス属および近縁線虫分類を再考した.播種性糞線虫症への留意を強調し,二核顎口虫,チモール糸状虫を新しく記載,また旋毛虫分類の記載を変更した.扁形動物・吸虫類では,肺吸虫の待機宿主にシカを加え,肝蛭症ではCT像を提示した.扁形動物・条虫類では,マンソン孤虫・芽食孤虫・アジア条虫に補記を施し,単包・多包条虫像を新しくした.

 第3部 衛生動物学では,衛生動物媒介性の諸疾病について追記を行い,初めてジカウイルス感染症・チクングニアウイルス感染症を記載し,第125項は有害生物への対策として改述した.

 第4部 総まとめ事項および検査法では,第131項の主な駆虫薬・駆虫法に改変を加え,最新情報に読者がアクセスできるよう「寄生虫薬物療法の手引き」(https://www.nettai.org/)を紹介し,一方,重複する第132項は本版より削除した.

 以上,主な改訂点を記載した.初版から9版に至るまで44年間にわたり読者に愛されつつ,その目的を果たしてきたように,この改訂10版も座右に置いていただき,医学教育と日常臨床に役立てていただければ幸いである.

2021年1月
日本寄生虫学会「図説人体寄生虫学」編集委員会 委員長
吉川正英
目次
総論
Ⅰ.寄生虫学の定義と重要性
Ⅱ.人体寄生虫学(医動物学)の研究領域
Ⅲ.生物の分類法および命名法
Ⅳ.自由生活,相利共生,片利共生および寄生
Ⅴ.宿主・寄生虫相互関係
Ⅵ.寄生虫の棲息場所
Ⅶ.寄生虫の体制機構,生殖および発育
Ⅷ.寄生虫の進化と適応
Ⅸ.寄生虫感染に対する宿主の反応と免疫
Ⅹ.寄生虫の病原性と病態
XI.寄生虫症の治療
XII.寄生虫感染の疫学
XIII.感染症新法の制定と寄生虫性疾患および新興・再興感染症
XIV.寄生虫学の歴史

各論
第1部 人体寄生原虫学
 第1項 人体寄生原虫学 総論
 第2項 人体寄生原虫の分類
 第3項 赤痢アメーバ [A]歴史,疫学,形態と生活史
 第4項 赤痢アメーバ [B]病理と症状
 第5項 赤痢アメーバ [C]診断と治療
 第6項 消化管内寄生の非病原性アメーバおよびヒトブラストシスチス
 第7項 病原性自由生活アメーバ [A]髄膜脳炎を起こすアメーバ
 第8項 病原性自由生活アメーバ [B]角膜炎を起こすアメーバ
 第9項 トリパノソーマ科原虫 総論
 第10項 ガンビアトリパノソーマおよびローデシアトリパノソーマ
 第11項 クルーズトリパノソーマ 付.その他のトリパノソーマ
 第12項 リーシュマニア
 第13項 ランブル鞭毛虫 [A]基礎
 第14項 ランブル鞭毛虫 [B]臨床
 第15項 腟トリコモナスおよび消化管内寄生鞭毛虫類
 第16項 クリプトスポリジウム
 第17項 戦争シストイソスポーラおよびサイクロスポーラ
 第18項 トキソプラズマ [A]基礎
 第19項 トキソプラズマ [B]臨床
 第20項 肉胞子虫
 第21項 マラリア [A]歴史と生活史
 第22項 マラリア [B]形態と発育
 第23項 マラリア [C]感染,症状および免疫
 第24項 マラリア [D]診断
 第25項 マラリア [E]治療と予防
 第26項 マラリア [F]疫学 付.二日熱マラリア
 第27項 バベシアおよび大腸バランチジウム
 第28項 ナナホシクドア
 第29項 ニューモシスチス [A]分類と疫学
 第30項 ニューモシスチス [B]形態と生活史
 第31項 ニューモシスチス [C]病理
 第32項 ニューモシスチス [D]症状と診断
 第33項 ニューモシスチス [E]治療と予防
 第34項 後天性免疫不全症候群(AIDS)

第2部 人体寄生蠕虫学
I.線形動物
 第35項 人体寄生蠕虫学 総論
 第36項 線形動物 総論
 第37項 人体寄生線虫の分類
 第38項 回虫 [A]疫学と形態
 第39項 回虫 [B]生活史と臨床
 第40項 ブタ回虫,イヌ回虫,ネコ回虫およびアライグマ回虫
 第41項 幼虫移行症
 第42項 アニサキス [A]歴史,分類,疫学および形態
 第43項 アニサキス [B]生活史と病理
 第44項 アニサキス [C]臨床
 第45項 蟯虫
 第46項 鉤虫 [A]歴史およびズビニ鉤虫成虫の形態
 第47項 鉤虫 [B]アメリカ鉤虫成虫の形態
 第48項 鉤虫 [C]発育と生活史
 第49項 鉤虫 [D]症状,診断および治療
 第50項 鉤虫 [E]検査法
 第51項 鉤虫 [F]その他の人体寄生鉤虫
 第52項 東洋毛様線虫
 第53項 広東住血線虫 [A]形態と生活史
 第54項 広東住血線虫 [B]臨床と疫学 付.コスタリカ住血線虫
 第55項 糞線虫
 第56項 有棘顎口虫および剛棘顎口虫
 第57項 ドロレス顎口虫および日本顎口虫
 第58項 東洋眼虫および旋尾線虫
 第59項 バンクロフト糸状虫 [A]形態と生活史
 第60項 バンクロフト糸状虫 [B]臨床と疫学
 第61項 マレー糸状虫および常在糸状虫などMansonella属線虫
 第62項 イヌ糸状虫
 第63項 回旋糸状虫,ロア糸状虫およびメジナ虫
 第64項 鞭虫,肝毛細虫およびフィリピン毛細虫
 第65項 旋毛虫

Ⅱ.扁形動物
 A.吸虫類
 第66項 扁形動物および吸虫綱 総論
 第67項 人体寄生吸虫の分類
 第68項 肝吸虫 [A]形態と生活史
 第69項 肝吸虫 [B]臨床と疫学 付.タイ肝吸虫
 第70項 横川吸虫
 第71項 有害異形吸虫,槍形吸虫,肥大吸虫および膵蛭
 第72項 ウェステルマン肺吸虫 [A]分類と形態
 第73項 ウェステルマン肺吸虫 [B]生活史と感染
 第74項 ウェステルマン肺吸虫 [C]臨床
 第75項 宮崎肺吸虫
 第76項 大平肺吸虫およびその他の肺吸虫
 第77項 棘口吸虫
 第78項 肝蛭 [A]形態と生活史
 第79項 肝蛭 [B]臨床
 第80項 日本住血吸虫 [A]歴史,形態および生活史
 第81項 日本住血吸虫 [B]臨床と疫学
 第82項 マンソン住血吸虫およびビルハルツ住血吸虫
 第83項 鳥類住血吸虫のセルカリアによる皮膚炎
 第84項 咽頭吸虫

 B.条虫類(付.鉤頭虫類および鉄線虫類)
 第85項 条虫綱 総論
 第86項 人体寄生条虫の分類
 第87項 広節裂頭条虫および日本海裂頭条虫 [A]歴史,分類および形態
 第88項 広節裂頭条虫および日本海裂頭条虫 [B]生活史および臨床
 第89項 クジラ複殖門条虫およびマンソン裂頭条虫
 第90項 孤虫症(幼裂頭条虫症)
 第91項 無鉤条虫 付.アジア条虫
 第92項 有鉤条虫
 第93項 単包条虫および多包条虫 [A]形態と生活史
 第94項 単包条虫および多包条虫 [B]臨床と疫学
 第95項 小形条虫,縮小条虫および多頭条虫
 第96項 瓜実条虫,有線条虫,サル条虫およびニベリン条虫
 第97項 条虫症の治療法
 第98項 鉤頭虫類および鉄線虫類

第3部 衛生動物学
 第99項 衛生動物学 総論
 第100項 医学上重要な貝類 [A]貝の分類
 第101項 医学上重要な貝類 [B]貝の形態
 第102項 医学上重要な貝類 [C]各論
 第103項 節足動物 総論および甲殻類
 第104項 蛛形綱およびダニ 総論と分類
 第105項 マダニ 総論
 第106項 マダニが媒介する疾患 [A]日本紅斑熱および野兎病
 第107項 マダニが媒介する疾患 [B]ライム病および重症熱性血小板減少症候群
 第108項 ツツガムシ [A]歴史,形態および生活史
 第109項 ツツガムシ [B]臨床と疫学
 第110項 ヒゼンダニおよびイエダニ
 第111項 ニキビダニ,屋内塵ダニおよびダニアレルギー
 第112項 昆虫 総論および蚊 総論
 第113項 蚊 各論
 第114項 ブユ,アブおよびドクガ
 第115項 ハエ
 第116項 ノミ
 第117項 アタマジラミおよびコロモジラミ [A]分類,形態および生活史
 第118項 アタマジラミおよびコロモジラミ [B]臨床と疫学
 第119項 ケジラミおよびトコジラミ
 第120項 ハチ
 第121項 シバンムシアリガタバチ,ゴキブリ,ムカデおよびヒアリ
 第122項 毒蛇
 第123項 ネズミ
 第124項 ネズミと腎症候性出血熱
 第125項 有害生物への対策

第4部 総まとめ事項および検査法
 第126項 人体寄生虫の感染経路のまとめ
 第127項 人体寄生虫の主な寄生部位のまとめ
 第128項 輸入感染症とくに輸入寄生虫症のまとめ
 第129項 人獣共通感染症のまとめ
 第130項 寄生虫症の主要症状のまとめ
 第131項 主な駆虫薬および駆虫法のまとめ
 第132項 わが国の主な寄生虫症の流行要因別分類
 第133項 消化管寄生原虫の検査法
 第134項 マラリアの検査法
 第135項 主な寄生虫症における診断検査材料
 第136項 ニューモシスチスの検査法
 第137項 免疫学的診断法およびDNA診断法
 第138項 蠕虫卵検査法
 第139項 主要人体寄生虫卵図譜
 第140項 寄生蠕虫標本作成法 [A]吸虫類および条虫類
 第141項 寄生蠕虫標本作成法 [B]線虫類
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