
ジェネラリストが
「いま」必要な情報を届ける雑誌
月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,970円(本体2,700円+税10%) ※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0022-5207

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【第1特集】働く世代の健康管理と就業調整/【第2特集】月経痛・PMSを診よう
ISBN 978-4-525-93019-6
定価
2,970円(本体 2,700円+税10%)
- 今月の視点
- 特集の目次
- 連載
今月の視点
【第1特集】働く世代の健康管理と就業調整 プライマリ・ケア医が押さえておきたい診療と支援のポイント
先人とともにこれからの産業保健医学を考える
産業医は1972年(昭和47年)労働安全衛生法で定義され,同法および労働安全衛生規則によって基本的な職務が定められている.しかし全労働者のうち56%(令和3年経済センサス調査)は産業医にアクセスが困難な状況にあり,そうした人々を対象として2014年に産業保健総合支援センターが各都道府県に設置されたが利用は限定的である.
産業医の主な職務は予防医療や公衆衛生等の社会医学で,多くの労働者の健康保持増進に寄与してきた.一方,医師の職務は医師法に「医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もつて国民の健康な生活を確保するもの」とあり,産業医と対比されてきた「臨床医」に関する明確な定めはないが,両者は教育環境等により分断され長らく相互理解が進まない状況があった.
産業医が「プロ」として活躍するには,実践的な産業保健力として【5K:会話,規律,教育,科学,解決】を身に着ける重要性が指摘されている1).
プライマリ・ケア医(家庭医・総合診療医)の専門医研修プログラムには社会医学の要素も含まれ,所属組織の課題の抽出と改善に取り組む一連の鍛錬は実践的な産業保健力に通じるものがある.こうした親和性もあり,近年,臨床医か産業医かという二者択一ではなく双方向に心を開いているプライマリ・ケア医が増え,地域医療と職域連携のハードルが下がってきていると感じる.私は,そこに新しいチャンスが生まれ産業保健職にも医療機関にも,人手不足の企業にもよい循環が生まれることを期待している.
今回の企画は,私たちの取り組みに理解を示し日頃からご支援ご協力いただいている方々,産業保健の先人として尊敬する方々に執筆をお願いした.ご快諾いただいたことに感謝申し上げる.また,こうした方々のおかげで本特集はプライマリ・ケア医のみならず,すでに企業で活躍されている若手産業医にも読んでいただきたい内容となったと考えている.
参考文献
1) 浜口伝博:企業に信頼される専門職はここが違う! 産業精保健,25:1-11,2017.
[編集幹事]
安藤労働衛生コンサルタント事務所
東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 安藤明美
【第2特集】月経痛・PMSを診よう
月経痛・PMSで困っている女性はたくさんいる
日本人を対象としたアンケート調査では,月経痛や月経前症候群(premenstrual syndrome :PMS)を自覚していても66〜81%の女性は産婦人科を受診できていないと報告されています1 , 2).
月経痛・PMSにより生活に支障をきたし,鎮痛薬などによるコントロールも不良で困っている女性はたくさんいるのに,産婦人科を受診できていないのが現状です.一方で,プライマリ・ケアの先生から「どんなときに産婦人科受診を推奨したらいいかわからない」という声も多く聞かれます.
本特集では,月経困難症とPMSの治療となる低用量ピルや女性ホルモン製剤の効果や使い方,そして産婦人科へ紹介する目安を解説しました.本特集がプライマリ・ケア医と産婦人科医が連携する一助となり,少しでも月経痛・PMSで困っている女性を減らせることを願っています.
参考文献
1) 厚生労働省:令和5年度厚生労働科学研究費補助金 女性の健康の包括的支援政策研究事業.女性の健康課題に関する疫学研究 日本人女性の月経困難症・月経前症候群の罹患率と受診率と情報源に関するアンケート調査.2023.
2) 西岡笑子,他:働く女性の健康に関するWeb調査 ─ 女性特有症状とその対処およびがん検診受検状況 正規雇用と非正規雇用の比較.順天堂保健看護研究,12:12-23,2024.
[編集幹事]
淀川キリスト教病院 産婦人科 柴田綾子
先人とともにこれからの産業保健医学を考える
産業医は1972年(昭和47年)労働安全衛生法で定義され,同法および労働安全衛生規則によって基本的な職務が定められている.しかし全労働者のうち56%(令和3年経済センサス調査)は産業医にアクセスが困難な状況にあり,そうした人々を対象として2014年に産業保健総合支援センターが各都道府県に設置されたが利用は限定的である.
産業医の主な職務は予防医療や公衆衛生等の社会医学で,多くの労働者の健康保持増進に寄与してきた.一方,医師の職務は医師法に「医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もつて国民の健康な生活を確保するもの」とあり,産業医と対比されてきた「臨床医」に関する明確な定めはないが,両者は教育環境等により分断され長らく相互理解が進まない状況があった.
産業医が「プロ」として活躍するには,実践的な産業保健力として【5K:会話,規律,教育,科学,解決】を身に着ける重要性が指摘されている1).
プライマリ・ケア医(家庭医・総合診療医)の専門医研修プログラムには社会医学の要素も含まれ,所属組織の課題の抽出と改善に取り組む一連の鍛錬は実践的な産業保健力に通じるものがある.こうした親和性もあり,近年,臨床医か産業医かという二者択一ではなく双方向に心を開いているプライマリ・ケア医が増え,地域医療と職域連携のハードルが下がってきていると感じる.私は,そこに新しいチャンスが生まれ産業保健職にも医療機関にも,人手不足の企業にもよい循環が生まれることを期待している.
今回の企画は,私たちの取り組みに理解を示し日頃からご支援ご協力いただいている方々,産業保健の先人として尊敬する方々に執筆をお願いした.ご快諾いただいたことに感謝申し上げる.また,こうした方々のおかげで本特集はプライマリ・ケア医のみならず,すでに企業で活躍されている若手産業医にも読んでいただきたい内容となったと考えている.
参考文献
1) 浜口伝博:企業に信頼される専門職はここが違う! 産業精保健,25:1-11,2017.
[編集幹事]
安藤労働衛生コンサルタント事務所
東京大学医学系研究科 医学教育国際研究センター 安藤明美
【第2特集】月経痛・PMSを診よう
月経痛・PMSで困っている女性はたくさんいる
日本人を対象としたアンケート調査では,月経痛や月経前症候群(premenstrual syndrome :PMS)を自覚していても66〜81%の女性は産婦人科を受診できていないと報告されています1 , 2).
月経痛・PMSにより生活に支障をきたし,鎮痛薬などによるコントロールも不良で困っている女性はたくさんいるのに,産婦人科を受診できていないのが現状です.一方で,プライマリ・ケアの先生から「どんなときに産婦人科受診を推奨したらいいかわからない」という声も多く聞かれます.
本特集では,月経困難症とPMSの治療となる低用量ピルや女性ホルモン製剤の効果や使い方,そして産婦人科へ紹介する目安を解説しました.本特集がプライマリ・ケア医と産婦人科医が連携する一助となり,少しでも月経痛・PMSで困っている女性を減らせることを願っています.
参考文献
1) 厚生労働省:令和5年度厚生労働科学研究費補助金 女性の健康の包括的支援政策研究事業.女性の健康課題に関する疫学研究 日本人女性の月経困難症・月経前症候群の罹患率と受診率と情報源に関するアンケート調査.2023.
2) 西岡笑子,他:働く女性の健康に関するWeb調査 ─ 女性特有症状とその対処およびがん検診受検状況 正規雇用と非正規雇用の比較.順天堂保健看護研究,12:12-23,2024.
[編集幹事]
淀川キリスト教病院 産婦人科 柴田綾子
特集の目次
【第1特集】働く世代の健康管理と就業調整 プライマリ・ケア医が押さえておきたい診療と支援のポイント
■特別座談会
かかりつけ医・産業医・弁護士が語る 就業判断のリアル(安藤明美,渡邊 徹,富田さつき,渋谷純輝,竹村和也)
■働く世代の診療の基本
働く世代の特徴と健康問題の傾向(長谷田真帆)
プライマリ・ケア医による働く世代の健康診断(阪本宗大)
健診異常・体調不良で受診する働く世代の背景にあるもの(富田さつき)
化学物質と健康診断(神田橋宏治)
■よくある疾患別アプローチ
高血圧・脂質異常症(石田智治,田中千恵美)
糖尿病(中山久仁子)
過重労働と脳心血管疾患(飯塚玄明)
腰痛(舟見敬成)
プライマリ・ケア医によるうつ病・適応障害支援(福田幸寛)
睡眠障害(川上慎太郎)
コラム:『ためしてガッテン』演出方法から学ぶ行動の「やる気」を引き出すコミュニケーション(市川 衛)
■就業制限の基準と判断
就業制限の法的背景と現場の運用(山田耕太郎)
働く世代の就業上の配慮について考える(江口 尚)
主治医・かかりつけ医と産業医との連携(安藤明美)
コラム:主治医と産業医の見解が異なるときはどうする!?(倉重公太朗)
■就業上の措置と医師の関与
業務調整に対する医師見解の伝え方(岡本雄太郎,石原稜己)
コラム:ダメな診断書への処方箋(浜口伝博)
両立支援のしくみ 主治医が利用できるサービス(田中希実子)
■ケーススタディ 実践的な対応例
高血圧を指摘されたが放置している患者(山本真輝)
うつ病が回復不十分なまま復職を希望する患者(佐々木規夫)
「通勤困難なためリモートワークなら復帰可」との診断書が出されたらどう対応するか(米沢 宏)
パワハラを受け,体調不良のため休業したいと言われたら?(五十嵐 侑)
COVID-19罹患後症状(横田雄也,松田祐依,大塚文男)
【第2特集】月経痛・PMSを診よう
■月経痛・PMSをケアしよう
月経痛とPMS(太田 寛)
低用量ピルの使い方・使い分け(柴田綾子)
ジエノゲストとGnRHアナログ療法の使い方(高橋孝幸)
ミレーナ®の使い方と授乳中や妊活中の月経痛・PMS(宋 美玄)
思春期の月経痛のケアと治療(稲葉可奈子)
Crumii─女性の健康とSRHRの未来を創るメディア─(柴田綾子)
■特別座談会
かかりつけ医・産業医・弁護士が語る 就業判断のリアル(安藤明美,渡邊 徹,富田さつき,渋谷純輝,竹村和也)
■働く世代の診療の基本
働く世代の特徴と健康問題の傾向(長谷田真帆)
プライマリ・ケア医による働く世代の健康診断(阪本宗大)
健診異常・体調不良で受診する働く世代の背景にあるもの(富田さつき)
化学物質と健康診断(神田橋宏治)
■よくある疾患別アプローチ
高血圧・脂質異常症(石田智治,田中千恵美)
糖尿病(中山久仁子)
過重労働と脳心血管疾患(飯塚玄明)
腰痛(舟見敬成)
プライマリ・ケア医によるうつ病・適応障害支援(福田幸寛)
睡眠障害(川上慎太郎)
コラム:『ためしてガッテン』演出方法から学ぶ行動の「やる気」を引き出すコミュニケーション(市川 衛)
■就業制限の基準と判断
就業制限の法的背景と現場の運用(山田耕太郎)
働く世代の就業上の配慮について考える(江口 尚)
主治医・かかりつけ医と産業医との連携(安藤明美)
コラム:主治医と産業医の見解が異なるときはどうする!?(倉重公太朗)
■就業上の措置と医師の関与
業務調整に対する医師見解の伝え方(岡本雄太郎,石原稜己)
コラム:ダメな診断書への処方箋(浜口伝博)
両立支援のしくみ 主治医が利用できるサービス(田中希実子)
■ケーススタディ 実践的な対応例
高血圧を指摘されたが放置している患者(山本真輝)
うつ病が回復不十分なまま復職を希望する患者(佐々木規夫)
「通勤困難なためリモートワークなら復帰可」との診断書が出されたらどう対応するか(米沢 宏)
パワハラを受け,体調不良のため休業したいと言われたら?(五十嵐 侑)
COVID-19罹患後症状(横田雄也,松田祐依,大塚文男)
【第2特集】月経痛・PMSを診よう
■月経痛・PMSをケアしよう
月経痛とPMS(太田 寛)
低用量ピルの使い方・使い分け(柴田綾子)
ジエノゲストとGnRHアナログ療法の使い方(高橋孝幸)
ミレーナ®の使い方と授乳中や妊活中の月経痛・PMS(宋 美玄)
思春期の月経痛のケアと治療(稲葉可奈子)
Crumii─女性の健康とSRHRの未来を創るメディア─(柴田綾子)
連載
えびさんぽ(44)
季節性アレルギー性鼻炎の治療には,どんな薬を選べばよいですか?(青島周一)
―ランドマークスタディと路地裏エビデンス
―臨床での使い方
突撃!! 循環器診療についてショウジ先生に聞いてみた!(11・最終回)
「目に見える」治療と「目に見えない」治療─その⑤
糖尿病治療だけじゃない! SGLT2 阻害薬,その光と影(山口裕崇,川上将司)
Dr. Shinのよくわかる即戦力漢方(15)
片頭痛に三刀流で挑む(橋本進一)
御縁ちゃんが導く誤嚥性肺炎クロニクル(8)
支えし者たち,集結──ゴエンジャーズ始動 その1,ST 編(宮上泰樹,近藤慶太)
薬剤師の知恵袋 〜医師に伝えたいマメ知識〜(3)
「最近薬の値段が上がったので薬を少し節約して飲んでいる」という患者さんいませんか?
〜長期収載品に関する選定療養制度について知っておくべき知識〜(押切康子)
季節性アレルギー性鼻炎の治療には,どんな薬を選べばよいですか?(青島周一)
―ランドマークスタディと路地裏エビデンス
―臨床での使い方
突撃!! 循環器診療についてショウジ先生に聞いてみた!(11・最終回)
「目に見える」治療と「目に見えない」治療─その⑤
糖尿病治療だけじゃない! SGLT2 阻害薬,その光と影(山口裕崇,川上将司)
Dr. Shinのよくわかる即戦力漢方(15)
片頭痛に三刀流で挑む(橋本進一)
御縁ちゃんが導く誤嚥性肺炎クロニクル(8)
支えし者たち,集結──ゴエンジャーズ始動 その1,ST 編(宮上泰樹,近藤慶太)
薬剤師の知恵袋 〜医師に伝えたいマメ知識〜(3)
「最近薬の値段が上がったので薬を少し節約して飲んでいる」という患者さんいませんか?
〜長期収載品に関する選定療養制度について知っておくべき知識〜(押切康子)