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「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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2020年12月 Vol. 102 No.12

そろそろどうなの?あの薬

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
鳴り物入りのそのあとは?

 「鳴り物入り」という言葉がある.もともと歌舞伎の世界での言葉で,太鼓や笛などで賑やかに囃し立てることを指している.同じように新薬が開発され世に出てくる際には,その効果が華々しく喧伝されて出てくることも少なくない.
 その根拠になっているエビデンスの多くはいわゆるランダム化比較試験である.ランダム化比較試験は介入の効果を測定するには最も理想的な手法である.しかし,その理想的な状況がゆえに,実際の現場で使用され始めた後に,思いがけない結果が出ることもある.外的妥当性の問題,長期使用による影響,費用対効果,利益相反の影響など,実は市場に出た後からも検証すべき項目は非常に多く,しばしば評価が変化する薬剤がある.
 新薬の開発は年々難しくなっているにもかかわらず,直近10年間を振り返ってみるとかなりの数の新薬がわが国でも使用できるようになってきた.使用開始前に鳴り物入りで登場した薬剤も,使用開始後に評価が異なることもあるし,その後の追加検証でその効果が十分検証されてくることもある.市販後に市場から姿を消した薬剤があることは皆様の記憶にあるかもしれないし,昨今のCOVID-19に対する治療薬の臨床試験でもその難しさを痛感していることだろう.
 本企画では,発売から5~10年程度経過した新規薬剤について,中間評価的な評価を行うことを目的としている.各薬剤について市場に出る根拠となったエビデンスを紹介しつつ,実際に使用開始してから追加で得られた知見や,実際に処方する際の注意点や利点,現場感覚などについて改めて目を向ける企画になれば幸いである.
 かのオスラー先生の言葉が身に沁みる.
 “Do not rashly use every new product of which the peripatetic siren signs.Consider what surprising reactions way occur in the laboratory from the careless mixing of unknown substances.”
 “行商人が宣伝する新薬を早まって使おうとするな.まだ知られていない物質が混入し,予想もしなかった反応が起こる可能性を考えよ”
 「鳴り物入り」は実はネガティブな意味を含んだ慣用句だ.
 新規薬剤に対して大いに期待しつつも,「鳴り物入り」になっていないか慎重に吟味する姿勢も重要である.

〔編集幹事〕独立行政法人国立病院機構 栃木医療センター 内科 矢吹 拓
特集の目次
SGLT2阻害薬 能登 洋
GLP-1作動薬 河口謙二郎,南郷栄秀
DPP-4阻害薬 岩岡秀明
PCSK9阻害薬 登石 匠,伴 浩和
DOAC 小田倉弘典
チカグレロル 入江忠信
フェブキソスタット 名郷直樹
バロキサビル 秋山裕太郎,忽那賢志
ボノプラザン 山田康博
テリパラチド 吉田英人
ビラスチン 堀向健太
プレガバリン 乘富大地,矢吹 拓
新規便秘薬(ルビプロストン,リナクロチド,エロビキシバット) 渕野真代,三原 弘
オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント,レンボレキサント) 小山元気,山田宏貴
連載
ゲンバで使える!リラックスして読める!診療の○泌テク(12)
前立腺肥大症のちょっとした薬の使い方のコツ(松木孝和)

今月のお薬ランキング(57)
抗HIV薬(浜田康次)

こちらつるかめ病院臨床倫理カフェ つるりん(19)
医療とは何か(金城謙太郎,長尾式子,竹下 啓)

映画で読み解く医療 ─シネメデュケーション(映画医療教育)─(21)
倫理的課題をカンファレンスで解決する(宇井千穂)

ジェネラリストのためのLGBT講座(9)
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PC医×精神科医 街角の遠隔診療 アタリマエのことを丁寧に(4)
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