カテゴリー: 基礎薬学
図解 生物薬剤学・薬物動態学
1版
城西大学 常務理事/城西国際大学 特別栄誉教授 杉林堅次 監修
摂南大学 教授 片岡 誠 編集
定価
5,500円(本体 5,000円 +税10%)
- B5判 457頁
- 2025年10月 発行
- ISBN 978-4-525-77931-3
苦手が“得意”に変わる,生物薬剤学・薬物動態学を図解で完全マスター!
薬物投与後のADME(吸収・分布・代謝・排泄)の各過程についてわかりやすく解説し,適切な用量設計や投与間隔の設定などを行うために必要不可欠な薬物動態学についてやさしく解説した入門書.本書は,豊富な図表とわかりやすい文章が1対1対応しているため,図表で視覚的に理解を深め,各章末にまとめと国家試験既出問題を掲載することで,学んだ知識の定着を促します.Clinical applicationを通じて,生物薬剤学・薬物動態学の臨床的なつながりも学べる教科書です.
- 監修のことば
- 序文
- 目次
監修のことば
薬の性質,作用,体内動態,製剤化,安全性などを研究する薬剤学は,薬剤師や薬科学技術者の業務において基礎となる重要な学問である.
本書が上梓される2025年には,75歳以上の後期高齢者が全人口の約18%を占めることもあって,薬剤師は調剤を中心とした対物業務から,患者とのコミュニケーションを主体とする対人業務へと変化しつつある.このようななかにあって,薬剤師は薬剤学の知識を基に調剤,服薬指導,医薬品情報管理,製剤,研究開発など,多岐にわたる業務を行う.
一方,薬科学技術者は,薬の作用,効果,安全性,使用方法などに関する薬剤学の知識を基に,がん,認知症,感染症など高齢者に多い疾患に効果を示す新薬の開発のみならず,広く医薬品の品質管理,適正使用などの業務も行う.特に,近年の医薬品開発の進歩は急激で,薬剤学を基礎とするものの新規医薬品モダリティへの対応も必要な時代に突入し,生命工学,AI(Artificial Intelligence),IoT(Internet of Things)を含むDX(Digital Transformation)などを活用する必要性が生じた.
また,グローバル化の進展とともに,革新的新薬は一国にとどまらず,すぐに世界に広がるようになってきた.その一方で,COVID-19の例にみるまでもなく,感染症などは急速に世界に伝播し,世界中の人々を苦しめることになる.薬剤師と薬科学技術者は共創力を生かし,革新的な医薬品を創出するだけでなく,医療コストの適正化,患者のQOL(生活の質)やWell-beingの向上にも寄与しなければならない.
このような時代の動きに合わせ,いままで改編を重ねてきた『図解 薬剤学』を,今回は「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」との2分冊として上梓することとなった.いつもながら多くの著者の先生方にお世話になり,また今回は,「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」のそれぞれのまとめ役として,佐久間信至 先生と片岡 誠 先生にご尽力いただいた.さらに,本書が上梓されるまでの過程において,南山堂 鈴木幹太 代表取締役や大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様にもお世話になった.この紙面をお借りして,厚くお礼を申し上げる.
2025年8月
城西大学 常務理事
城西国際大学 参与・特別栄誉教授
杉林堅次
本書が上梓される2025年には,75歳以上の後期高齢者が全人口の約18%を占めることもあって,薬剤師は調剤を中心とした対物業務から,患者とのコミュニケーションを主体とする対人業務へと変化しつつある.このようななかにあって,薬剤師は薬剤学の知識を基に調剤,服薬指導,医薬品情報管理,製剤,研究開発など,多岐にわたる業務を行う.
一方,薬科学技術者は,薬の作用,効果,安全性,使用方法などに関する薬剤学の知識を基に,がん,認知症,感染症など高齢者に多い疾患に効果を示す新薬の開発のみならず,広く医薬品の品質管理,適正使用などの業務も行う.特に,近年の医薬品開発の進歩は急激で,薬剤学を基礎とするものの新規医薬品モダリティへの対応も必要な時代に突入し,生命工学,AI(Artificial Intelligence),IoT(Internet of Things)を含むDX(Digital Transformation)などを活用する必要性が生じた.
また,グローバル化の進展とともに,革新的新薬は一国にとどまらず,すぐに世界に広がるようになってきた.その一方で,COVID-19の例にみるまでもなく,感染症などは急速に世界に伝播し,世界中の人々を苦しめることになる.薬剤師と薬科学技術者は共創力を生かし,革新的な医薬品を創出するだけでなく,医療コストの適正化,患者のQOL(生活の質)やWell-beingの向上にも寄与しなければならない.
このような時代の動きに合わせ,いままで改編を重ねてきた『図解 薬剤学』を,今回は「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」との2分冊として上梓することとなった.いつもながら多くの著者の先生方にお世話になり,また今回は,「図解 物理薬剤学」と「図解 生物薬剤学・薬物動態学」のそれぞれのまとめ役として,佐久間信至 先生と片岡 誠 先生にご尽力いただいた.さらに,本書が上梓されるまでの過程において,南山堂 鈴木幹太 代表取締役や大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様にもお世話になった.この紙面をお借りして,厚くお礼を申し上げる.
2025年8月
城西大学 常務理事
城西国際大学 参与・特別栄誉教授
杉林堅次
序文
薬剤学とは,医薬品を安全かつ有効に患者に届けるための理論と技術を体系化した学問であり,薬学教育および臨床実践の根幹をなす重要な分野である.薬剤学は大きく物理系と生物系に分類される.物理系では,製剤設計や医薬品の物理化学的性質に関する理解を深め,剤形の選択,溶解性,安定性,放出制御などにかかわる学問である.一方,生物系では,薬物が投与されたあとに体内でどのような動態を示し,どのように薬効を発現するかに焦点を当てた分野であり,「生物薬剤学」と「薬物動態学」の2つに細分される.
生物薬剤学は,薬物投与後の吸収(Absorption),分布(Distribution),代謝(Metabolism),排泄(Excretion),すなわちADMEの各過程に関する理解を通じて,有効かつ安全な薬物療法の実現を支える基礎的分野である.最適な製剤設計や投与法の選択に重要な役割を果たし,その理解には薬物の物理化学的特性や生理解剖学的知識が不可欠である.薬物動態学は,生物薬剤学の知見を基礎としつつ,薬物の体内動態を科学的かつ定量的に解析することで,血中濃度推移と薬理効果および副作用との関係を明らかにする.これにより,適切な用量設計や投与間隔の設定,薬物相互作用の予測が可能となる.近年では,遺伝的多型に基づく個別化投与設計や,疾患状態・年齢・腎機能などを考慮したポピュレーション薬物動態解析,さらには生理学的薬物動態モデル(PBPK)を用いた予測技術が広く活用されている.また,AI技術を応用した薬物動態予測も注目されており,生物薬剤学・薬物動態学はますます臨床と密接に結びついた実践的学問へと進化しつつある.
本書では,生物薬剤学および薬物動態学の基本原理を体系的に整理するとともに,これらの最新動向を踏まえ,薬学生ならびに関連分野の専門職が薬物の体内動態を的確に理解し,合理的な薬物療法を実践できるよう解説している.また,可能な限り本文を左ページにし,その内容に対応する具体的な図表を右ページに配置するようにして,理解の助けとなるようにした.さらに,臨床現場への応用例として「Clinical application」と題したコラムを設け,薬剤師国家試験既出問題とその解説も多数掲載した.
本書が,未来の薬剤師および薬科学技術者がこの学問の本質を理解し,科学的かつ倫理的な視点をもって薬物療法に貢献するための一助となることを願い,ここに序文を記す.
最後に,本書を上梓するにあたり,ご高配をいただいた南山堂 鈴木幹太 代表取締役ならびに担当者の大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様に厚くお礼を申し上げる.
2025年8月
摂南大学薬学部 薬剤学研究室 教授
片岡 誠
生物薬剤学は,薬物投与後の吸収(Absorption),分布(Distribution),代謝(Metabolism),排泄(Excretion),すなわちADMEの各過程に関する理解を通じて,有効かつ安全な薬物療法の実現を支える基礎的分野である.最適な製剤設計や投与法の選択に重要な役割を果たし,その理解には薬物の物理化学的特性や生理解剖学的知識が不可欠である.薬物動態学は,生物薬剤学の知見を基礎としつつ,薬物の体内動態を科学的かつ定量的に解析することで,血中濃度推移と薬理効果および副作用との関係を明らかにする.これにより,適切な用量設計や投与間隔の設定,薬物相互作用の予測が可能となる.近年では,遺伝的多型に基づく個別化投与設計や,疾患状態・年齢・腎機能などを考慮したポピュレーション薬物動態解析,さらには生理学的薬物動態モデル(PBPK)を用いた予測技術が広く活用されている.また,AI技術を応用した薬物動態予測も注目されており,生物薬剤学・薬物動態学はますます臨床と密接に結びついた実践的学問へと進化しつつある.
本書では,生物薬剤学および薬物動態学の基本原理を体系的に整理するとともに,これらの最新動向を踏まえ,薬学生ならびに関連分野の専門職が薬物の体内動態を的確に理解し,合理的な薬物療法を実践できるよう解説している.また,可能な限り本文を左ページにし,その内容に対応する具体的な図表を右ページに配置するようにして,理解の助けとなるようにした.さらに,臨床現場への応用例として「Clinical application」と題したコラムを設け,薬剤師国家試験既出問題とその解説も多数掲載した.
本書が,未来の薬剤師および薬科学技術者がこの学問の本質を理解し,科学的かつ倫理的な視点をもって薬物療法に貢献するための一助となることを願い,ここに序文を記す.
最後に,本書を上梓するにあたり,ご高配をいただいた南山堂 鈴木幹太 代表取締役ならびに担当者の大城梨絵子 氏をはじめ,編集部の皆様に厚くお礼を申し上げる.
2025年8月
摂南大学薬学部 薬剤学研究室 教授
片岡 誠
目次
1章 薬剤学総論
A 薬剤学と薬学教育モデル・コア・カリキュラム
B 医薬品
C 日本薬局方,製剤総則の剤形と定義
・Essential Point
2章 生体膜透過
A 生体膜の構造
B 薬物の生体膜透過機構
1. 単純拡散(受動拡散)
2. 特殊輸送機構
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・ペプチドトランスポーター(PEPT1)の臨床応用
・膜動輸送(サイトーシス)の臨床応用
3章 薬物の吸収
A 薬物の投与部位
B 薬物の消化管吸収
1. 消化管の構造と機能
2. 薬物の消化管吸収機構
3. 消化管吸収に影響を及ぼす薬物の物理化学的因子
4. 消化管吸収に影響を及ぼす製剤学的因子
5. 消化管吸収に影響を及ぼす生体側の因子
6. 経口的に投与される薬物
C 消化管以外からの薬物吸収
1. 口腔粘膜からの吸収
2. 直腸からの吸収
3. 鼻粘膜からの吸収
4. 皮膚からの吸収
5. 肺からの吸収
6. 注射部位からの吸収
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・胃内pH変化による薬物吸収変動
・胃酸による薬物分解に起因した薬効低下の改善
・ペプチド性医薬品の経口投与製剤
・目的に応じた投与経路の選択
・ペプチド性医薬品の経鼻投与製剤と経口投与製剤
4章 薬物の体内分布
A 薬物の体内分布の全体像
B 薬物の分布に影響を及ぼす要因
1. 薬物の物理化学的性質
2. 毛細血管の透過性
3. 血流量
4. 血漿タンパク質との結合
5. 組織内での結合
C 分布容積
D 薬物の脳への分布
1. 血液脳関門
2. 血液脳脊髄液関門
E 薬物の胎児への分布
F 薬物のリンパ系を介した移行
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・インドシアニングリーンの分布特性を利用した肝機能検査
・排出トランスポーターによって脳から排出されるときの脳内非結合形薬物濃度
・核酸医薬品の肝臓指向型能動的ターゲティング製剤 107
5章 薬物の代謝
A 薬物代謝が薬理効果に及ぼす影響
1. 薬物分子の体内での化学的変化
2. 初回通過効果
3. 腸肝循環
B 薬物代謝反応の部位
1. 肝臓の構造と機能
2. 薬物の肝臓内動態
3. 肝ミクロソーム
4. 肝臓以外における代謝
C 薬物代謝の様式
1. 第Ⅰ相反応
2. 第Ⅱ相反応
D 薬物代謝酵素
1. シトクロムP450(CYP)
2. P450以外の第Ⅰ相反応に関与する薬物代謝酵素
3. 第Ⅱ相反応(抱合反応)に関与する薬物代謝酵素
E 薬物代謝酵素の阻害と誘導
1. 酵素阻害
2. 酵素誘導
F 薬物代謝に影響を及ぼす因子
1. 年齢・性別
2. 妊 娠
3. 病 態
4. 個人差(遺伝的因子)
5. 外的要因
G 薬物代謝能の評価
1. 薬物代謝酵素活性
2. 肝クリアランス
3. 肝固有クリアランス
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・薬物相互作用を利用した有効性の向上:ブースティング療法
6章 薬物の排泄
A 腎排泄
1. 腎臓の構造と機能
2. 尿の生成と薬物の尿中排泄機構
3. 腎クリアランス
B 胆汁中排泄
1. 肝臓の構造,機能と胆汁生成
2. 薬物の胆汁中排泄
3. 腸肝循環
C 尿・胆汁以外からの排泄
1. 消化管排泄
2. 唾液中排泄
3. 乳汁中排泄
4. 呼気中排泄
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・尿中排泄促進による急性中毒治療
・SGLT2阻害による糖尿病治療薬
・IBAT阻害による便秘薬
7章 薬物動態学
A コンパートメントモデル
1. 1-コンパートメントモデル
2. 2-コンパートメントモデルとマルチコンパートメントモデル
3. 線形および非線形コンパートメントモデル
B 線形1-コンパートメントモデル
ⅰ 血管内急速投与(急速静注)の場合(吸収過程のない場合)
1. 体内コンパートメントと体外コンパートメント
2. 体内薬物量の時間的推移
3. 分布容積
4. 血中薬物濃度の解析法
5. 消失半減期と消失速度定数の関係
6. 血中濃度時間曲線下面積
7. 全身クリアランス
8. 薬物の尿中排泄速度による解析法
9. シグマ・マイナス・プロットによる解析法
ⅱ 点滴静注の場合
1. 血管内注入継続時の血中薬物濃度
2. 定常状態到達前に定速静注を停止する場合の血中薬物濃度
3. 定常状態到達後に定速静注を停止する場合の血中薬物濃度
4. 定速静注と急速静注の併用
ⅲ 1次吸収過程がある場合
1. 血中薬物濃度の解析法
2. kaとkelの関係が特殊な場合
3. 分布容積と血中濃度時間曲線下面積
4. 最高血中濃度,および最高血中濃度到達時間
5. 尿中排泄データの解析法
6. 吸収速度算出法
C 線形2-コンパートメントモデル(血管内急速投与の場合)
1. 血中薬物濃度の解析法
2. 分布容積
3. AUCおよび全身クリアランス
4. 消失半減期
5. 線形コンパートメントモデルのまとめ
D くり返し投与(連続投与)
1. くり返し静注の場合
2. くり返し経口投与の場合
E モーメント解析法
1. モーメントの定義
2. モーメントの利用
3. コンパートメントモデル解析とモーメント解析の対応
4. 製剤からの溶出および吸収過程の解析
F クリアランスの概念と生理学的薬物動態学
1. 1つの臓器の生理学的モデル
2. 組織クリアランス
3. 固有クリアランス
4. 全身クリアランス
5. クリアランスからみた薬物の特徴づけ
6. 分布容積からみた薬物の特徴づけ
7. バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
8. 初回通過効果
9. 生理学的モデル(インテグレイテッドモデル)
10. ハイブリッドモデル
G 非線形速度論
1. 固有クリアランス(消失過程)に非線形のある場合
2. タンパク結合(分布)に非線形性がある場合
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・半減期の有効活用
・腎クリアランスCLrが変動したときの全身クリアランスCLtotとAUC
8章 薬物動態の変動要因
A 吸収過程における影響因子
1. 製剤学的要因─薬物の溶解性
2. 消化管運動の影響─胃内容排出速度
3. 消化管内pHの影響
4. 消化管分泌液の影響─胆汁分泌
5. 薬物相互作用の影響
B 分布過程における影響因子
1. タンパク結合の変動の影響
2. 中枢移行性に対する相互作用
C 代謝過程における影響因子
1. 代謝過程における薬物相互作用の影響が大きな薬物
2. 代謝過程の阻害様式
3. CYP以外の代謝酵素の阻害
4. 代謝酵素の誘導
5. 代謝阻害が血中濃度推移と初回通過効果に及ぼす影響
D 排泄過程における影響因子
1. 腎排泄過程における相互作用
2. 胆汁排泄過程における相互作用
E 薬物動態に及ぼす遺伝的因子の影響
1. 薬物代謝酵素の遺伝的多型
2. トランスポーターの遺伝的多型
3. 遺伝的多型と薬物相互作用
F 薬物動態に及ぼす成長・加齢の影響
1. 新生児・乳児・幼児・小児の薬物動態
2. 高齢者の薬物動態
G 薬物動態に及ぼす妊娠の影響
1. 妊娠に伴う吸収の変化
2. 妊娠に伴う分布の変化
3. 妊娠に伴う代謝の変化
4. 妊娠に伴う排泄の変化
H 薬物動態に及ぼす疾患の影響
1. 肝疾患
2. 腎疾患
3. 心疾患
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・食事の影響
・アゾール系抗真菌薬ボリコナゾールのCYP非特異的阻害
・CYPを介する薬物相互作用による薬物動態変化の程度
・タクロリムスとCYP3A遺伝的多型
9章 薬力学とPK/PD解析,薬力学的相互作用
A 薬理効果の速度論と薬力学
1. 投与量,血中濃度と薬理効果の関係
2. 薬物動態学(PK),薬力学(PD)とPK/PD解析
3. 薬効を定量的に評価するための指標
4. 薬物の血中濃度と薬効強度の時間推移の関係
5. 薬力学(PD)モデルの種類
B 薬力学的相互作用
1. 協力作用に基づく薬力学的相互作用の例
2. 拮抗作用に基づく薬力学的相互作用の例
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・用量-曝露-反応関係を活用した新薬の処方設計の妥当性評価の例
・ジクロフェナクの鎮痛作用の血漿中濃度に対する時間遅れを考慮したPK/PD解析
・酸性NSAIDsの併用によるニューキノロン系抗菌薬のGABA誘導性の膜電流に対する抑制作用の増強を指標としたけいれんリスクの予測
10章 医薬品のバイオアベイラビリティと有効性評価・治療薬物モニタリング
A バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
1. バイオアベイラビリティとは
2. 量的バイオアベイラビリティ
3. 速度的バイオアベイラビリティ
4. バイオアベイラビリティと生理学的モデルとの対応
B 生物学的同等性
1. 生物学的同等性とは
2. 生物学的同等性が問題となった過去の事例
3. 製剤開発と同等性
C 初回通過効果
D バイオアベイラビリティに影響を与える因子
E 治療薬物モニタリング
1. TDMを必要とする医薬品
2. TDMのための採血時期と方法
3. 血中薬物濃度測定法
4. 血中薬物濃度の解析
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・バンコマイシンの後発医薬品の臨床応用
・消化管吸収性の低いバンコマイシンの臨床応用
・バンコマイシンTDMにおけるAUCの臨床応用
A 薬剤学と薬学教育モデル・コア・カリキュラム
B 医薬品
C 日本薬局方,製剤総則の剤形と定義
・Essential Point
2章 生体膜透過
A 生体膜の構造
B 薬物の生体膜透過機構
1. 単純拡散(受動拡散)
2. 特殊輸送機構
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・ペプチドトランスポーター(PEPT1)の臨床応用
・膜動輸送(サイトーシス)の臨床応用
3章 薬物の吸収
A 薬物の投与部位
B 薬物の消化管吸収
1. 消化管の構造と機能
2. 薬物の消化管吸収機構
3. 消化管吸収に影響を及ぼす薬物の物理化学的因子
4. 消化管吸収に影響を及ぼす製剤学的因子
5. 消化管吸収に影響を及ぼす生体側の因子
6. 経口的に投与される薬物
C 消化管以外からの薬物吸収
1. 口腔粘膜からの吸収
2. 直腸からの吸収
3. 鼻粘膜からの吸収
4. 皮膚からの吸収
5. 肺からの吸収
6. 注射部位からの吸収
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・胃内pH変化による薬物吸収変動
・胃酸による薬物分解に起因した薬効低下の改善
・ペプチド性医薬品の経口投与製剤
・目的に応じた投与経路の選択
・ペプチド性医薬品の経鼻投与製剤と経口投与製剤
4章 薬物の体内分布
A 薬物の体内分布の全体像
B 薬物の分布に影響を及ぼす要因
1. 薬物の物理化学的性質
2. 毛細血管の透過性
3. 血流量
4. 血漿タンパク質との結合
5. 組織内での結合
C 分布容積
D 薬物の脳への分布
1. 血液脳関門
2. 血液脳脊髄液関門
E 薬物の胎児への分布
F 薬物のリンパ系を介した移行
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・インドシアニングリーンの分布特性を利用した肝機能検査
・排出トランスポーターによって脳から排出されるときの脳内非結合形薬物濃度
・核酸医薬品の肝臓指向型能動的ターゲティング製剤 107
5章 薬物の代謝
A 薬物代謝が薬理効果に及ぼす影響
1. 薬物分子の体内での化学的変化
2. 初回通過効果
3. 腸肝循環
B 薬物代謝反応の部位
1. 肝臓の構造と機能
2. 薬物の肝臓内動態
3. 肝ミクロソーム
4. 肝臓以外における代謝
C 薬物代謝の様式
1. 第Ⅰ相反応
2. 第Ⅱ相反応
D 薬物代謝酵素
1. シトクロムP450(CYP)
2. P450以外の第Ⅰ相反応に関与する薬物代謝酵素
3. 第Ⅱ相反応(抱合反応)に関与する薬物代謝酵素
E 薬物代謝酵素の阻害と誘導
1. 酵素阻害
2. 酵素誘導
F 薬物代謝に影響を及ぼす因子
1. 年齢・性別
2. 妊 娠
3. 病 態
4. 個人差(遺伝的因子)
5. 外的要因
G 薬物代謝能の評価
1. 薬物代謝酵素活性
2. 肝クリアランス
3. 肝固有クリアランス
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・薬物相互作用を利用した有効性の向上:ブースティング療法
6章 薬物の排泄
A 腎排泄
1. 腎臓の構造と機能
2. 尿の生成と薬物の尿中排泄機構
3. 腎クリアランス
B 胆汁中排泄
1. 肝臓の構造,機能と胆汁生成
2. 薬物の胆汁中排泄
3. 腸肝循環
C 尿・胆汁以外からの排泄
1. 消化管排泄
2. 唾液中排泄
3. 乳汁中排泄
4. 呼気中排泄
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・尿中排泄促進による急性中毒治療
・SGLT2阻害による糖尿病治療薬
・IBAT阻害による便秘薬
7章 薬物動態学
A コンパートメントモデル
1. 1-コンパートメントモデル
2. 2-コンパートメントモデルとマルチコンパートメントモデル
3. 線形および非線形コンパートメントモデル
B 線形1-コンパートメントモデル
ⅰ 血管内急速投与(急速静注)の場合(吸収過程のない場合)
1. 体内コンパートメントと体外コンパートメント
2. 体内薬物量の時間的推移
3. 分布容積
4. 血中薬物濃度の解析法
5. 消失半減期と消失速度定数の関係
6. 血中濃度時間曲線下面積
7. 全身クリアランス
8. 薬物の尿中排泄速度による解析法
9. シグマ・マイナス・プロットによる解析法
ⅱ 点滴静注の場合
1. 血管内注入継続時の血中薬物濃度
2. 定常状態到達前に定速静注を停止する場合の血中薬物濃度
3. 定常状態到達後に定速静注を停止する場合の血中薬物濃度
4. 定速静注と急速静注の併用
ⅲ 1次吸収過程がある場合
1. 血中薬物濃度の解析法
2. kaとkelの関係が特殊な場合
3. 分布容積と血中濃度時間曲線下面積
4. 最高血中濃度,および最高血中濃度到達時間
5. 尿中排泄データの解析法
6. 吸収速度算出法
C 線形2-コンパートメントモデル(血管内急速投与の場合)
1. 血中薬物濃度の解析法
2. 分布容積
3. AUCおよび全身クリアランス
4. 消失半減期
5. 線形コンパートメントモデルのまとめ
D くり返し投与(連続投与)
1. くり返し静注の場合
2. くり返し経口投与の場合
E モーメント解析法
1. モーメントの定義
2. モーメントの利用
3. コンパートメントモデル解析とモーメント解析の対応
4. 製剤からの溶出および吸収過程の解析
F クリアランスの概念と生理学的薬物動態学
1. 1つの臓器の生理学的モデル
2. 組織クリアランス
3. 固有クリアランス
4. 全身クリアランス
5. クリアランスからみた薬物の特徴づけ
6. 分布容積からみた薬物の特徴づけ
7. バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
8. 初回通過効果
9. 生理学的モデル(インテグレイテッドモデル)
10. ハイブリッドモデル
G 非線形速度論
1. 固有クリアランス(消失過程)に非線形のある場合
2. タンパク結合(分布)に非線形性がある場合
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・半減期の有効活用
・腎クリアランスCLrが変動したときの全身クリアランスCLtotとAUC
8章 薬物動態の変動要因
A 吸収過程における影響因子
1. 製剤学的要因─薬物の溶解性
2. 消化管運動の影響─胃内容排出速度
3. 消化管内pHの影響
4. 消化管分泌液の影響─胆汁分泌
5. 薬物相互作用の影響
B 分布過程における影響因子
1. タンパク結合の変動の影響
2. 中枢移行性に対する相互作用
C 代謝過程における影響因子
1. 代謝過程における薬物相互作用の影響が大きな薬物
2. 代謝過程の阻害様式
3. CYP以外の代謝酵素の阻害
4. 代謝酵素の誘導
5. 代謝阻害が血中濃度推移と初回通過効果に及ぼす影響
D 排泄過程における影響因子
1. 腎排泄過程における相互作用
2. 胆汁排泄過程における相互作用
E 薬物動態に及ぼす遺伝的因子の影響
1. 薬物代謝酵素の遺伝的多型
2. トランスポーターの遺伝的多型
3. 遺伝的多型と薬物相互作用
F 薬物動態に及ぼす成長・加齢の影響
1. 新生児・乳児・幼児・小児の薬物動態
2. 高齢者の薬物動態
G 薬物動態に及ぼす妊娠の影響
1. 妊娠に伴う吸収の変化
2. 妊娠に伴う分布の変化
3. 妊娠に伴う代謝の変化
4. 妊娠に伴う排泄の変化
H 薬物動態に及ぼす疾患の影響
1. 肝疾患
2. 腎疾患
3. 心疾患
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・食事の影響
・アゾール系抗真菌薬ボリコナゾールのCYP非特異的阻害
・CYPを介する薬物相互作用による薬物動態変化の程度
・タクロリムスとCYP3A遺伝的多型
9章 薬力学とPK/PD解析,薬力学的相互作用
A 薬理効果の速度論と薬力学
1. 投与量,血中濃度と薬理効果の関係
2. 薬物動態学(PK),薬力学(PD)とPK/PD解析
3. 薬効を定量的に評価するための指標
4. 薬物の血中濃度と薬効強度の時間推移の関係
5. 薬力学(PD)モデルの種類
B 薬力学的相互作用
1. 協力作用に基づく薬力学的相互作用の例
2. 拮抗作用に基づく薬力学的相互作用の例
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・用量-曝露-反応関係を活用した新薬の処方設計の妥当性評価の例
・ジクロフェナクの鎮痛作用の血漿中濃度に対する時間遅れを考慮したPK/PD解析
・酸性NSAIDsの併用によるニューキノロン系抗菌薬のGABA誘導性の膜電流に対する抑制作用の増強を指標としたけいれんリスクの予測
10章 医薬品のバイオアベイラビリティと有効性評価・治療薬物モニタリング
A バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)
1. バイオアベイラビリティとは
2. 量的バイオアベイラビリティ
3. 速度的バイオアベイラビリティ
4. バイオアベイラビリティと生理学的モデルとの対応
B 生物学的同等性
1. 生物学的同等性とは
2. 生物学的同等性が問題となった過去の事例
3. 製剤開発と同等性
C 初回通過効果
D バイオアベイラビリティに影響を与える因子
E 治療薬物モニタリング
1. TDMを必要とする医薬品
2. TDMのための採血時期と方法
3. 血中薬物濃度測定法
4. 血中薬物濃度の解析
・Essential Point
・薬剤師国家試験既出問題
【Clinical application】
・バンコマイシンの後発医薬品の臨床応用
・消化管吸収性の低いバンコマイシンの臨床応用
・バンコマイシンTDMにおけるAUCの臨床応用