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カテゴリー: 臨床薬学

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薬剤師よ,心電図を読もう!

1版

JCHO大阪病院 循環器内科 大八木秀和 著

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • B5判  175頁
  • 2016年10月 発行
  • ISBN 978-4-525-70491-9

心電図がわかると,抗不整脈薬の使い方がわかる!

月刊誌「薬局」の好評連載が書籍化!「薬剤師は心電図を読めなくても大丈夫」,そう思っていませんか?でも,心電図がわかると抗不整脈薬の使い方や医師の処方意図が手に取るようにわかります!オールカラーで心電図や心臓生理をわかりやすく解説.心電図初心者の薬剤師「ひろし」と一緒に,心電図の勉強を始めてみませんか?

  • 序文
  • 目次
  • 書評 1
  • 書評 2
序文
 「薬剤師よ,心電図を読もう!」という連載を,約1年半,南山堂の月刊誌『薬局』で掲載させていただきました.これは,臨床に携わる薬剤師が,現在も少なからず必要であり,今後必須の知識の一つとなる心電図について,若い薬剤師と医師の織りなす素敵なラブストーリーに合わせて,ことさら難しく敬遠しがちな心電図の知識を,楽しく面白くマスターしてもらいたい一心で執筆・連載したものです.それが今回,内容をさらにバージョンアップして一冊の本となって,再び皆様の前にお目見えする機会を得たことは,私にとってこの上ない喜びです.
 ところで,この本を手に取っている薬剤師の皆様にとって,心電図って一体どんな存在ですか? 実際,いまも特段心電図が読めなくても日常業務を普通にこなすだけなら,なんの支障もない存在ではないでしょうか?
 しかし,この本を手に取った方は,薬剤師にとって心電図を理解することは,日常臨床でとても大切な知識であり,できればちゃんと理解した方が,いろいろなメリットがあるんだろうなと考えているのだと思います.何がメリットなのか,まだマスターできていない段階で知ることは困難でしょう.でも,それは事実です.なぜかというと,約20年近く前に薬剤師として働いていた私が,心電図をしっかり理解できるようになって初めて,心電図の知識がいかに薬剤師に役立つものかを実感したからです.
 先人の薬剤師の方々の長年の夢であった,管理中心の薬剤師業務だけではなく,自分たちの潜在能力を生かした臨床現場で活躍できる土壌は,もう整いました.臨床薬剤師として,病棟や在宅までもがテリトリーになろうとしています.賽は投げられたのです.ぐずぐずしていては,この好機は二度と訪れないかもしれません.医師とわたりあっていくためには,敵を知り己を知らねばなりません.ところが,実際まだまだ薬剤師の基本的臨床医学知識のレベルは,一部の薬剤師以外は医師に届いていないのが現状です.この状況を打破するために,まずは私が経験した「心電図を理解できるようになれば,抗不整脈薬なんて怖くない」という経験を,一緒にしてみませんか?
 この本をきっかけに多くの薬剤師の方が,基本的臨床医学知識を身に付けてくれることを願ってやみません.

2016年夏 大阪豊中にて
大八木秀和
目次
・心電図には色々な種類がある
・BLSは薬剤師必修だ!
・初心者の段階で最も必要な知識はこれだ!
・心拍数を瞬時に読む
・薬剤師はどんな時に心電図の知識を活かせるか
・4つのステップで不整脈を見分ける①
・4つのステップで不整脈を見分ける②
・モニター心電図と12誘導心電図の関係①
・モニター心電図と12誘導心電図の関係②
・発作性上室頻拍って何?
・副伝導路って?
・薬剤師こそSicilian Gambit分類を極めよ
・薬剤師に必要な心電図の知識はどこまで?
・徐脈性不整脈を極める
・脚ブロック
・電気軸とは何か?
・12誘導心電図特有の知識
・卒業試験
・エピローグ

・付録:薬剤師に必要な基本的臨床医学知識~循環器編~
・索引
書評 1
ラブストーリィは波形にのせて

平井みどり(神戸大学医学部附属病院 教授・薬剤部長)

 心電図とラブストーリィ,一体どんな関係が? と思った方は,ぜひ本書をお読みいただきたい.本書の構造は,章別のテーマがあって,ダイアローグ形式の解説が続き,最後に「ポイント」と「薬剤師に知って欲しいこと」というまとめがついている.最も特徴的なのは,各章最後の「薬剤師に知って欲しいこと」,すなわち,診断のために心電図を読むのではない薬剤師として,チャートの示す意味が理解でき,そして病態および治療薬の選択につながるような知識の整理ができることを目指した短評にある.薬剤師資格をもつ医師である著者の大八木氏ならではの視点が,そのまま本書の価値を決めているといっても過言ではない.
 
 本書の使い方としてお薦めしたいのは,まず「付録」の「薬剤師に必要な基本的臨床医学知識~循環器編~」を読むことである.一読して「あ,こんなの知ってる」と思える人は,本文も難なく読みこなせるだろう.本文の最初から読み始める前に,「薬剤師に知って欲しいこと」に一通り目を通すこともいいだろう.知るべきことは意外に限られているので,ここでちょっと安心できるのではないかと思う.突然目の前に心電図の12誘導が出てきたら,よほど自信がない限り「パス」となってしまうだろうが,概略が理解できていれば,チャートから何か一つでも情報を得よう,という姿勢がもてるのではないだろうか.そこから抗不整脈薬との関係や虚血性心疾患,心不全や電解質異常との関連性などを読み取れるようになれば,薬剤師としては十分であろう.
 
 そして,最も大事なのは正常の波形がどういうものかを,持続時間も含めてしっかりと頭に入れておくことである.意思疎通のために知っておくべき基本的医学的知識と,職種として知っておくべき専門的知識,この区別がうまくできないと,どこから攻めていけばいいかわからず,頭を抱えることになってしまう.その辺りを,医療現場を背景にしたドラマ仕立てで非常にわかりやすく,かつ実践的に説明する著者の力量は並大抵のものではないと,畏怖の念を抱くのは私だけではないだろう.
書評 2
阿南節子(同志社女子大学薬学部 教授)

 本書は、南山堂の月刊誌「薬局」に掲載されていた「薬剤師よ、心電図を読もう」という連載が、内容をバージョンアップし一冊にまとめられている。
 本書のストーリーは、患者への抗不整脈薬の説明に多少の困難を感じている薬剤師の大山ひろしと、研修医の奥村みさの2人によって進行する。2人が様々な臨床場面に遭遇し、そこでの経験や、会話の内容を通して、読者は心電図に関する知識をステップアップさせてゆくことになる。
 コンテンツは19項目からなり、1~5は初心者でもわかりやすい心電図に関する説明と、具体的に薬剤師が心電図を臨床に生かす事例が書かれている。6~18の項目は、不整脈の見分け方、モニター心電図と12誘導心電図の関係、発作性上室頻拍、Sicillian Ganbitなど、初歩から一歩進んだ項目が会話形式でまとめられている。また、項目18には確認テストとして「卒業試験」が用意されている。さらに、それぞれの項目の最後には、その項目のポイントと「薬剤師に知ってほしいこと」が簡潔にまとめられている。
 心電図の読み方については、薬剤師教育の中ではあまり取り上げられていない。そのため、心電図の読み方については多くの薬剤師が「心電図が読めるようになりたい」、「でも心電図は苦手」と感じている。本書はそのような「心電図ってなんだか難しそう」という壁にブレーク・スルーを起こすと考えられる。
 この本から、医師であり薬剤師ライセンスを持つ筆者の、「心電図を読むことを味方にして、薬剤師に臨床現場で活躍してほしい」という気持ちが伝わる。さらに、本書は、薬剤師だけでなく、研修医、看護師など様々な医療従事者にとっても有用と考えられる。
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