ペリネイタルロスを支援する 医療者のための実践ガイドブック
1版
湘南鎌倉医療大学大学院看護学研究科 教授/聖路加国際大学看護学研究科 客員研究員 蛭田明子 編
医療法人 ART岡本ウーマンズクリニック 心理カウンセラー/聖路加国際大学看護学研究科 客員研究員 石井慶子 編
定価
3,300円(本体 3,000円 +税10%)
- A5判 281頁
- 2026年8月 発行
- ISBN 978-4-525-50651-3
周産期の喪失と向き合い,支援するために.
流産,死産,新生児死亡といった周産期の喪失(ペリネイタルロス)を経験した方々に対して,医療者はどのようなケアを提供することができるでしょうか.そのことを一緒に考え,実践していくための書籍ができました.
本書ではペリネイタルロスと悲嘆に関する基礎知識から,支援にあたっての心構えやコミュニケーション,そして具体的な支援の実践方法に至るまで,幅広く解説しています.
ペリネイタルロスがどのように経験されるか,経験された方がどのような支援を必要としているかは,個別性が高く,正解があるわけではありません.本書は,ケアを提供するために身につけておきたい支援者としての在り方を描き出すことで,ペリネイタルロスの支援について読者の皆さんと一緒に考えていくことを目指しています.
- 序文
- 目次
序文
私達がペリネイタルロスの支援に取り組み始めたのは,2000 年を迎える前後のことでした.その頃石井は,早産で生まれた我が子を亡くし,自助グループを立ち上げました.けれども当時は,自助グループに対する医療専門職者の反応は冷ややかなものでした.蛭田は助産師として働き始めて間もなく,出産したその日に赤ちゃんの看取りとなった女性に出会いました.当時は学生時代にペリネイタルロスについて学ぶ機会はなく,図書館にあった翻訳本が支援の手がかりになりました.今二人が一緒に活動している「天使の保護者ルカの会」でも,2004 年の活動開始からしばらくは,支援の不足や支援による傷つきを語るご両親は少なくありませんでした.
それから20 年余が経ち,現在は助産師教育の中でペリネイタルロスの支援を学ぶことは必須となりました.そして,流産・死産後の女性も継続して母子保健の支援対象であることが国の施策として打ち出され,ペリネイタルロスの支援を巡る状況は大きく変化しています.一方,赤ちゃんを亡くされたご両親の語りも少しずつ変化しているように感じます.それは支援の変化や,両親の働き方,価値観などに影響する社会環境の変化を反映しているのかもしれません.こうした変化はこれからも続いていくことでしょう.
けれども,新しい命の誕生が死別となる衝撃の大きさや,亡くなった我が子を想う両親の気もち(愛情)は,これからも変わらないことでしょう.また,赤ちゃんの死を公に語りにくく,両親が社会で支援を受けにくい状況に,まだあまり変化は見られません.
そのような中,本書では,私たちがこれまでに出会った多くのご両親の思いを大切にお届けし,この本が赤ちゃんを亡くされた方々が今経験していること/これから経験していくことに思いを寄せる糸口となるように努めました.そして,両親に向き合う姿勢や支援の考え方にヒントを得られるものとなることを目指しました.あらゆる支援がそうであるように,支援は対象その人を知ることから始まります.この本ではまた,支援のガイドラインや,支援者自身のケアについても触れています.ペリネイタルロスやその支援に関わる方々にとって,それぞれの立場において本書が少しでもお役に立つものとなることを願っています.
最後になりましたが,執筆をご担当くださった諸先生方に厚くお礼申し上げます.また,堀内成子先生には,支援の実践と学びを深める機会を多方面で頂きました.その経験の蓄積が,この本の出版へとつながりました.そして,出版のお声がけをくださり,執筆が滞る中でさまざまにご配慮くださった南山堂の小池亜美様には,大変お世話になりました.改めまして,皆様に深謝申し上げます.
2026 年 6 月
蛭田 明子/石井 慶子
それから20 年余が経ち,現在は助産師教育の中でペリネイタルロスの支援を学ぶことは必須となりました.そして,流産・死産後の女性も継続して母子保健の支援対象であることが国の施策として打ち出され,ペリネイタルロスの支援を巡る状況は大きく変化しています.一方,赤ちゃんを亡くされたご両親の語りも少しずつ変化しているように感じます.それは支援の変化や,両親の働き方,価値観などに影響する社会環境の変化を反映しているのかもしれません.こうした変化はこれからも続いていくことでしょう.
けれども,新しい命の誕生が死別となる衝撃の大きさや,亡くなった我が子を想う両親の気もち(愛情)は,これからも変わらないことでしょう.また,赤ちゃんの死を公に語りにくく,両親が社会で支援を受けにくい状況に,まだあまり変化は見られません.
そのような中,本書では,私たちがこれまでに出会った多くのご両親の思いを大切にお届けし,この本が赤ちゃんを亡くされた方々が今経験していること/これから経験していくことに思いを寄せる糸口となるように努めました.そして,両親に向き合う姿勢や支援の考え方にヒントを得られるものとなることを目指しました.あらゆる支援がそうであるように,支援は対象その人を知ることから始まります.この本ではまた,支援のガイドラインや,支援者自身のケアについても触れています.ペリネイタルロスやその支援に関わる方々にとって,それぞれの立場において本書が少しでもお役に立つものとなることを願っています.
最後になりましたが,執筆をご担当くださった諸先生方に厚くお礼申し上げます.また,堀内成子先生には,支援の実践と学びを深める機会を多方面で頂きました.その経験の蓄積が,この本の出版へとつながりました.そして,出版のお声がけをくださり,執筆が滞る中でさまざまにご配慮くださった南山堂の小池亜美様には,大変お世話になりました.改めまして,皆様に深謝申し上げます.
2026 年 6 月
蛭田 明子/石井 慶子
目次
Ⅰ ペリネイタルロスの概要
1 死別と悲嘆をめぐる視点
A 喪失と死別 ─ 失うということ
B 愛着と悲嘆 ─ なぜ人は悲しむのか
C 回復と適応 ─ 悲しみの旅路
D 個人と社会 ─ 求められるグリーフ・リテラシー
E 当事者遺族と支援者・研究者 ─ 視座の違いを超えて
2 ペリネイタルロスの特徴
A 公認されない悲嘆
B ペリネイタルロスの悲嘆反応
Ⅱ 対象理解
1 死別の経緯による特徴
A 初期流産
B 死産(自然死産)
C 人工死産
D 新生児死亡
E 多胎の一人が亡くなったとき
F 人工妊娠中絶(経済的理由や予期しない妊娠による中断)
2 家族の抱える悲嘆
A 母親(女性)
B 父親(男性)
C 亡くなった子どものきょうだい
D 祖父母
Ⅲ 支援のための心構え
1 文脈に応じた支援
A 一人ひとりに固有の文脈
B 関係性から育まれる文脈
2 悲嘆の経過に同行する
A 時間と共に変化していくが,その変化は緩やか
B 直後(ひと月以内)
C 1ヵ月~2ヵ月の時期
D 3ヵ月から半年を超えて……1年後まで
E どの時期にも共通する不安と焦りに対して
F 悲嘆に「同行する」支援:支援者の同行の姿勢について
G 長期的支援の環境
3 支援を始める前の準備
A 環境を整える
B 支援者自身のこころの準備
C 支援を学ぶ機会を得る
Ⅳ 支援対象とのコミュニケーション
1 態度・行動・言葉
A ペリネイタルロスを経験した人への対応の原点:尊厳を守る
B 言葉と表現について:傷つける可能性のある言葉
C 態度・接し方と言葉かけ
D その他の言動
2 コミュニケーションスキル
A 支援者としてのコミュニケーション
B 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション
C 傾聴
D 沈黙
E 感情の表出と応答
3 コミュニケーションの実践例
A 初期流産と不育症:流産後初めての受診時の対応場面
B 38週死産:死産した翌日の夜の対応場面
C 人工死産:死産後の地域での保健師との面談場面
D 新生児死亡後の次の妊娠:病院での初診の対応場面
Ⅴ 支援の実際
1 初診から退院までの支援
A 流産が分かった時(外来から処置まで)
B 流産の手術の時
C 胎内で赤ちゃんが亡くなっていることが分かった時
D 人工死産の選択を検討する時(意思決定)
E 出産とその後の過ごし方を一緒に考える
F 死産(自然死産・人工死産)の出産の支援
G NICUで亡くなる時
H 思い出づくり
I 入院中の支援
J 退院前の情報提供
2 退院後の支援
A 産後の健診
B 次の妊娠をめぐる支援
C 流産や死産後の日常生活における困難
D 専門的心理支援(心理カウンセリング)
E 不妊治療施設での支援
Ⅵ 支援の形態
1 個別支援と集団支援
A 個別支援(地域での相談支援,カウンセリング)の広がり
B グループ(分かち合いの会)による支援(集団支援)
C 個別支援と集団支援を行き来する体験者に対して
2 対面支援とオンライン支援
A オンライン支援について
B 直接対面支援とオンライン面談支援(支援者の感じる差異)
C これからのオンライン支援
3 文字媒体での支援
A 紙媒体による情報提供の効用
B 作成時に必要な配慮
C 印刷物を活用した支援対象者とのコミュニケーション
D 完成した資料のフィードバックを受ける,改変していく
E 冊子等の作成実践事例紹介
Ⅶ 支援者の支援(セルフケアとチームケア)
1 セルフケア
A はじめに
B エビデンスに基づいたセルフケアと実践
C おわりに
2 チーム内での相互支援
A ペリネイタルロスの発生とチーム編成
B 入院中のケアにおける多職種協働
C 退院後の多職種協働
D 共感疲労という概念
E 医療事故調査の対象になった場合
Ⅷ 支援のエビデンス
1 日本と海外のガイドライン
A 海外の先進的なガイドライン
B 国内のガイドラインの現状
索引
巻末資料
Column
死に直面する支援者が受けるストレス・影響
社会制度上の差(産休取得,戸籍,火葬など)
体験者の状況・過去の体験の影響を知る
カップルの抱える困難
多様な家族(未婚カップル,国際結婚)
亡くなった子どものきょうだいたち
─ 見守り,応援してくれる存在に支えられて ─
亡くなった子どものきょうだいたち
産後の支援の実際
地域での支援の展望
天使の保護者ルカの会 お話会の運営の実際
グループに参加した当事者の声(ルカの会アンケート結果より)
Webを活用した支援
支援者がペリネイタルロスを体験した時
1 死別と悲嘆をめぐる視点
A 喪失と死別 ─ 失うということ
B 愛着と悲嘆 ─ なぜ人は悲しむのか
C 回復と適応 ─ 悲しみの旅路
D 個人と社会 ─ 求められるグリーフ・リテラシー
E 当事者遺族と支援者・研究者 ─ 視座の違いを超えて
2 ペリネイタルロスの特徴
A 公認されない悲嘆
B ペリネイタルロスの悲嘆反応
Ⅱ 対象理解
1 死別の経緯による特徴
A 初期流産
B 死産(自然死産)
C 人工死産
D 新生児死亡
E 多胎の一人が亡くなったとき
F 人工妊娠中絶(経済的理由や予期しない妊娠による中断)
2 家族の抱える悲嘆
A 母親(女性)
B 父親(男性)
C 亡くなった子どものきょうだい
D 祖父母
Ⅲ 支援のための心構え
1 文脈に応じた支援
A 一人ひとりに固有の文脈
B 関係性から育まれる文脈
2 悲嘆の経過に同行する
A 時間と共に変化していくが,その変化は緩やか
B 直後(ひと月以内)
C 1ヵ月~2ヵ月の時期
D 3ヵ月から半年を超えて……1年後まで
E どの時期にも共通する不安と焦りに対して
F 悲嘆に「同行する」支援:支援者の同行の姿勢について
G 長期的支援の環境
3 支援を始める前の準備
A 環境を整える
B 支援者自身のこころの準備
C 支援を学ぶ機会を得る
Ⅳ 支援対象とのコミュニケーション
1 態度・行動・言葉
A ペリネイタルロスを経験した人への対応の原点:尊厳を守る
B 言葉と表現について:傷つける可能性のある言葉
C 態度・接し方と言葉かけ
D その他の言動
2 コミュニケーションスキル
A 支援者としてのコミュニケーション
B 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション
C 傾聴
D 沈黙
E 感情の表出と応答
3 コミュニケーションの実践例
A 初期流産と不育症:流産後初めての受診時の対応場面
B 38週死産:死産した翌日の夜の対応場面
C 人工死産:死産後の地域での保健師との面談場面
D 新生児死亡後の次の妊娠:病院での初診の対応場面
Ⅴ 支援の実際
1 初診から退院までの支援
A 流産が分かった時(外来から処置まで)
B 流産の手術の時
C 胎内で赤ちゃんが亡くなっていることが分かった時
D 人工死産の選択を検討する時(意思決定)
E 出産とその後の過ごし方を一緒に考える
F 死産(自然死産・人工死産)の出産の支援
G NICUで亡くなる時
H 思い出づくり
I 入院中の支援
J 退院前の情報提供
2 退院後の支援
A 産後の健診
B 次の妊娠をめぐる支援
C 流産や死産後の日常生活における困難
D 専門的心理支援(心理カウンセリング)
E 不妊治療施設での支援
Ⅵ 支援の形態
1 個別支援と集団支援
A 個別支援(地域での相談支援,カウンセリング)の広がり
B グループ(分かち合いの会)による支援(集団支援)
C 個別支援と集団支援を行き来する体験者に対して
2 対面支援とオンライン支援
A オンライン支援について
B 直接対面支援とオンライン面談支援(支援者の感じる差異)
C これからのオンライン支援
3 文字媒体での支援
A 紙媒体による情報提供の効用
B 作成時に必要な配慮
C 印刷物を活用した支援対象者とのコミュニケーション
D 完成した資料のフィードバックを受ける,改変していく
E 冊子等の作成実践事例紹介
Ⅶ 支援者の支援(セルフケアとチームケア)
1 セルフケア
A はじめに
B エビデンスに基づいたセルフケアと実践
C おわりに
2 チーム内での相互支援
A ペリネイタルロスの発生とチーム編成
B 入院中のケアにおける多職種協働
C 退院後の多職種協働
D 共感疲労という概念
E 医療事故調査の対象になった場合
Ⅷ 支援のエビデンス
1 日本と海外のガイドライン
A 海外の先進的なガイドライン
B 国内のガイドラインの現状
索引
巻末資料
Column
死に直面する支援者が受けるストレス・影響
社会制度上の差(産休取得,戸籍,火葬など)
体験者の状況・過去の体験の影響を知る
カップルの抱える困難
多様な家族(未婚カップル,国際結婚)
亡くなった子どものきょうだいたち
─ 見守り,応援してくれる存在に支えられて ─
亡くなった子どものきょうだいたち
産後の支援の実際
地域での支援の展望
天使の保護者ルカの会 お話会の運営の実際
グループに参加した当事者の声(ルカの会アンケート結果より)
Webを活用した支援
支援者がペリネイタルロスを体験した時