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カテゴリー: 基礎看護学  |  医学・医療一般

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メディカルスタッフのための

基礎からわかる人間関係論

1版

神奈川大学 人間科学部人間科学科 准教授 山蔦圭輔 著
大妻女子大学 人間関係学部人間関係学科 准教授 本田周二 著

定価

2,420(本体 2,200円 +税10%)


  • B5判  153頁
  • 2021年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-50451-9

医療職を目指す学生に 人間関係に関する知識が基礎から学べるテキスト

医療職として働くにあたって,患者や患者家族,同僚や他職種と良好な関係を築くことは必要不可欠である.本書では,これから医療職を目指す学生が知っておくべき人間関係に関わるさまざまな知見について,心理学やその周辺領域からのアプローチを中心に,読みやすい文章とイラストで基礎から解説.人間関係論を理解するうえで重要な理論や研究のほか,カウセリングやコーチングなど現場の実践に活かせる知識についても多く取り上げた.各章末にはワークもあり,学習内容の定着にも役立つ.

  • 序文
  • 目次
序文
 時代が変わり,社会的な課題も変化し,私たちに求められることも多様化・複雑化しています.こうしたなか,人間関係を築くうえで求められることも大きく変化しています.医療機関における人間関係は,患者・患者家族との関係,他職種との関係,上司や同僚,部下や後輩との関係など,縦にも横にも広がる関係といえます.特に,多職種連携が求められ,専門性の異なるスペシャリストどうしが円滑な関係を築くことは,現代の医療現場では必要不可欠です.
 本書では,主にメディカルスタッフやメディカルスタッフを目指す人々を対象に,人間関係をよりよく理解することを目指し,臨床心理学や社会心理学,またその周辺領域における基礎的な知識・理論をまとめました.医療系教育機関における「人間関係論」などの科目のほか,院内研修や勉強会などでの使用を想定した,全15章で構成されています.内容は,人間の理解を促進するもの(対人認知やパーソナリティの理解,感情や葛藤・欲求不満,モティベーションの理解など)やコミュニケーションの理解を促進するもの(コミュニケーションのチャネルや援助行動,ソーシャルサポートなど),集団・組織をよりよく成長させるもの(ストレスやカウンセリング,リーダーシップやコーチングなど)など多岐に渡りますが,臨床現場において知っておきたい知識・理論を凝縮し,紹介しています.
 また,学んだ内容を外在化し,より深い理解を促すため,各章末にワークを設けました.講義や研修などでは60分程度のレクチャーの後に15〜30分程度,自己学習では各章を通読した後に,ワークを用いた学習をすることを想定しています.ワークを通じて,本書の内容を楽しく,また身近なこととして吸収していただければ幸いです.
 本書で紹介する知識や理論は,一般的なものも多分に含みますが,医療現場における幅広く複雑な人間関係を考えるうえで役立つものです.人間そのものを十分に理解し,また人間の交流を理解し,人間が存在する環境を理解することで,メディカルスタッフとして“よりよく生きる”ための土台づくりができることを願っております.また,毎日忙しく勉強や仕事に取り組むなかで,いろいろな課題に直面したとき,ぜひ,客観性・一般性をもった先人たちの知恵(本書で紹介するような各種研究成果や実践的知見)を借りてください.課題解決におおいに役立つと思います.
 さて,2020年6月にはパワハラ防止法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)が施行されました.こうした法律は,医療機関に限らず,あらゆる労働者の労働環境やメンタルヘルスを守るものといえますが,こうした法律をつくる必要に迫られている現実をみると,職場の人間関係やストレスの問題など,これからも改善・解決を促す必要があることを強く認識せざるを得ません.筆者は医療機関で職員相談を担当していますが,そこにはメンタルヘルスの不調や人間関係の問題,部下のマネジメントの問題など,さまざまな困りごとが持ち込まれます.しかし,パワハラなどをはじめとするハラスメントに関する訴えは,いざ退職を決意したときに意を決して申し出るケースや,誰にも伝えられずに,状況的にも心理的・身体的にも重篤になってはじめて申し出るケースなど,積極的に訴えることができないもののようにも感じます.ハラスメントの問題は,一言で表現することができない組織と個人の問題が複雑に絡み合っており,ここでも人間関係を理解すること,調整することが求められます.
 2020年3月にWHOから新型コロナウイルス感染症のパンデミックが宣言されて1年,私たちの生活様式も大きく変化し,医療機関やメディカルスタッフに求められる要求もこれまで以上のものとなっています.冒頭で「人間関係を築くうえで求められることも大きく変化する」と述べましたが,変化しないこともたくさんあります.それは,「思いやり」や「純粋さ」なのではないでしょうか.他者と自身を大切に想い,バイアスをかけることなく自然で純粋な関係性は,今も昔も変わらず大切な要素なのだと思います.
 最後になりましたが,南山堂の松村みどりさんには大変お世話になりました.「メディカルスタッフの人間関係」というテーマにご賛同いただき,たくさんのアドバイスをいただいたことを深くお礼申し上げます.
 毎日の生活が,私たちにとって素敵なものになりますように.

2020年3月
著者を代表して 山蔦圭輔
目次
第1章 人間関係とは
 1.人間関係とコミュニケーション
 2.人間関係と発達
 ワーク01 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション
 ワーク02 コミュニケーション・ネットワーク

第2章 対人認知
 1.印象形成
 2.スキーマとステレオタイプ
 3.原因帰属
 4.対人魅力
 5.ピグマリオン効果
 ワーク01 ステレオタイプについて考える

第3章 パーソナリティ
 1.パーソナリティとは
 2.パーソナリティと自己概念
 3.パーソナリティの研究
 4.パーソナリティの測定
 ワーク01 自己イメージと他者イメージ

第4章 コミュニケーションとチャネル
 1.対人コミュニケーション・チャネル
 2.インターネットがコミュニケーションに与える影響
 3.SNSにおけるトラブル
 4.インターネットの利用とメンタルヘルス
 5.メディアの影響と自己評価―摂食障害とボディイメージ
 ワーク01 インターネット依存の程度を測定しよう

第5章 感 情
 1.感情とは
 2.感情喚起のメカニズム
 3.感情の種類
 4.感情認知と対人関係―転移
 5.感情労働とバーンアウト
 ワーク01 1日を振り返ろう

第6章 葛藤と欲求不満
 1.葛藤
 2.防衛機制
 ワーク01 防衛機制とその理解を目指して

第7章 ストレス
 1.ストレスとは
 2.ストレッサーとは
 3.心理学的ストレス理論
 4.ストレスコーピング
 5.ストレス関連疾患
 ワーク01 ストレスとストレスコーピング

第8章 援助行動・援助要請とソーシャルサポート,社会的スキル
 1.援助行動
 2.援助要請
 3.ソーシャルサポート
 4.社会的スキル
 ワーク01 社会的スキルを測定しよう

第9章 人間関係を理解する
 1.人間関係上の課題を客観的に整理する
 2.交流分析
 3.客観的な人間関係の理解とマインドフルネス
 ワーク01 対人関係を考える

第10章 カウンセリング的アプローチと人間関係
 1.カウセリングとは
 2.他者の何を聴くか─来談者中心療法
 3.カウンセリングの条件とテクニック
 ワーク01 傾聴訓練

第11章 動機づけ(モチベーション)と人間関係
 1.欲求と動機づけ
 2.動機づけに関する理論
 3.動機づけと行動形成
 4.原因帰属
 5.学習性無力感
 6.自己効力感
 7.学習目標,遂行目標
 ワーク01 報酬を考えよう
 ワーク02 原因を考えてみよう

第12章 リーダーシップ,チーム
 1.リーダーシップ
 2.チーム
 ワーク01 リーダーシップ能力を測定しよう

第13章 コーチング
 1.コーチングとは
 2.コーチング心理学とコーチングを理解するための理論
 3.コーチングの基本的な態度とスキル
 4.医療におけるコーチング
 5.ピア・コーチング
 ワーク01 オープンクエスチョンを練習しよう

第14章 集 団
 1.集団とは
 2.集団規範
 3.同調
 4.集団がもたらす影響
 5.社会的アイデンティティ
 6.医療における集団
 ワーク01 内集団と外集団について考える

第15章 人間関係を難しくする障害
 1.自閉スペクトラム症
 2.境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害
 ワーク01 支援案を考える

 事項索引
 人名索引
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