南山堂

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カテゴリー: 精神医学/心身医学

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精神医学入門

改訂25版

西丸四方 著
西丸甫夫 著

定価

5,610(本体 5,100円 +税10%)


  • A5判  496頁
  • 2006年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-38015-1

難解といわれる精神医学をやさしい言葉で述べた教科書.具体的な症例を多く挙げ,写真や図も多くして理解に便が計られている.著者自身の考案した体系に従って解説されているが,精神障害のとらえ方そのものは普遍的であり,本書では精神医学をいくらでも応用のきくかたちで理解できるよう配慮した記述がなされている.

  • 序文
  • 目次
序文
 昔,戦争中結核で病臥する身となり,その無聊を紛らわすために内村先生からシュナイダーの「精神医学講義」でも訳してみないかとのおすすめで,1939年に訳しおわり1943年に南山堂から出していただいた.この本は1936年大学卒業後,精神医学を志して,その理解に苦しんだころ先生から紹介されて,目がさめる思いがしたものである.シュナイダーの本は空襲時原版は焼失し絶版になったが,1977年復刊された(みすず書房).この本のおかげで戦争末期から戦後の混乱期にかけて東京女子医専の講義を仰せつかったときに,任務を果たせたのであるが,この頃は敗戦前後で何の教科書も手に入らなかったので,聴講者の有志が私の講義を基にしてプリントを作り配布していたのが南山堂の編集者の河田孫一郎さんの目にとまり,一冊の教科書とすることをすすめられて,小さな教科書らしくまとめられたのがこの「精神医学入門」である.
 内外の精神医学の教科書はいずれもむつかしくて理解に困難であるので,初心者当時苦労した経験から,普通の教科書と違って平易な叙述と構成に工夫をこらして,かなり特異な形の,教科書ともいえない入門書としたが,思いのほか多くの読者を得て,改訂を重ねつつ,50年も生命を保っている.「入門」と題しているので初心者にも理解しうるように努めたが,易しいことばかり述べているのでもなく,高いものの平易化をも志した.それで医学専門でない方々にもだいぶ読者があったようである.
 わが国の教科書も欧米の手軽な教科書も,このごろは要点だけをつまんだ,試験目的の無味乾燥なものが多くなってしまったが,これは受験には便利かもしれぬにしても砂をかむように味気なく,おもしろくなくなってしまった.本書はこれに逆行して興味深く読めるように,実際の症例や写真を多数に挿入したり,昔からの有名な症例も多く引用したりして,ありありと病像を画き出すことを心掛けた.
 本書の記述は精神医学ではどう考えるか,いかにしてこうなってきたかという,動的な見方と過去からの時間的な経緯を考えつつ,現在の横断面のみでなく時間的縦断面からも述べることにし,一つの流派だけでなく各国各流派についても具体的に画き出した.このごろはアメリカ式の術語定義規定体裁に従うものが多いが,これが絶対的なものとは思えないので,著者独自の分類配列を行い,他の諸国諸流派のことも入れ,また用語に英語のみならず,独仏語も入っているのは,まだ過去の遺産で現在に生きているものが多いからである.
 写真は薬を用いない古いころのものを掲載したが,これはなまのままの像と,支障のないものを使うためである.精神医学に名の出る著名な人物の肖像も集めたが,これは思いのほか困難なことで,このためにジャン・ドレ,鈴木知準,中井久夫,小俣和一郎,片桐隆,永田丕,香川靖雄の諸氏の援助を得た.
 なお著者も老いたので,今回及びその後の改訂増補のため息子の援助を必要とするようになり,著者を連名とする.今回改版に当たり,100個所あまり改訂増補を行った.

1996年3月 今回増刷に当たりいくつか追加,改訂を行った.
2000年4月
西丸四方

改訂にあたって
 今回南山堂より増刷するが改訂は必要かどうか,とのお話をいただいた.改訂するとなれば2002年2月14日父が他界して以後初めてとなる.父からは改訂増補の際には,DSM,ICD等の操作的診断基準には準拠しないこと,大幅な改訂は行わないこと,薬物の改訂は順次行うことの三点につき口頭で伝えられていたが,今回は著者の意思を尊重し,急を要する部分のみ最小限の変更にとどめることとした.特に精神分裂病の呼称変更に関しては父自身,時代に即応した変更として好意的に受け取っていたことでもあったため,原則として統合失調症と変更させていただくことにした.痴呆から認知症への変更も同様の理由による.ただし本書の性格上,文脈の関係,更には歴史的経緯等から修正できかねる部分もあるため,そういったところは原著の香気を損なわないためにも敢えて旧来のまま残した.どうか御容赦いただきたい.
 父亡き後も快く出版継続をご承諾いただいた南山堂の皆様ならびに購読下さる読者の皆様に,父にかわって心より感謝申し上げ御礼の言葉としたい.

2006年3月
西丸甫夫
目次
I.精神障害の体系
 1 精神障害の組立て
 2 人格と反応の異常
 3 原因不明の精神障害
 4 器質性精神障害

II.精神障害の諸像
 1 まえおき
 2 知覚と思考の障害
 3 感情,意欲と行動の障害
 4 自我意識および時間意識の障害
 5 記憶の障害
 6 反応性の障害
 7 意識状態の障害
 8 知能と人格の障害

III.精神障害の身体的基盤
 1 巣症状
 2 精神障害の解剖生理学

IV.精神障害の心理学的基盤
 1 医学的心理学
 2 心理派の精神医学

V.各国の精神医学と歴史
 1 各国の精神医学
 2 精神医学の歴史

VI.治療,その他
 1 特殊療法
 2 種々の状態の治療
 3 精神療法
 4 社会療法
 5 心理テスト
 6 精神鑑定と法律
 7 病 誌

精神医学の要約

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索引
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