サイエンスで読み解くヒアルロン酸注入治療
センスや経験だけに頼らない「レオロジー」に基づく選択と手技
1版
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長 宮田成章 著
定価
6,600円(本体 6,000円 +税10%)
- B5判 128頁
- 2026年8月 発行
- ISBN 978-4-525-34181-7
「レオロジー」の違いを理解し,ヒアルロン酸製材を使い分ける!
明日からの注入治療が変わる!
これからのヒアルロン酸注入治療に必要なのは,センスや経験,注入手技のHow toだけでなく,ヒアルロン酸製材のレオロジー特性─硬い,柔らかいだけではない粘度や弾力,伸展性などを理解して製材を使い分け,最小の量で最大の効果を出して患者満足度を上げることである.
本書は,ヒアルロン酸製材の「レオロジー」を理解して,製材を使い分けるためのエッセンスが詰まった1冊である.
- 序文
- 目次
序文
ヒアルロン酸注入は発売当初,単に局所への充填であり,「フィラー」でしかなかった.しかし,近年顔面の微細な構造,解剖が理解されるにつれ,さまざまな注入テクニックが編み出されるようになってきた.ボリュームアップだけでなくリフトアップも基本手技の一つとなった.その一方で,最近では大量に注入することで変化させることも当たり前となり,独特の顔貌になるケースも増えている.闇雲に注入して良い結果を得ることは難しいのではないだろうか.驚くような結果が綺麗とは限らない.自然に,あまり大きな変化ではないが確実に美しくなっていく,最小限の治療で患者満足度を上げるには何が必要であろうか.
ヒアルロン酸を製造する各企業は自社の差別化を図るためにそれぞれの特徴を打ち出している.そのベースになるのがレオロジー,流動学である.しかし,レオロジーを実際に理解することは難しく,多くの学会発表,講演ではメーカーの提供する資料を各医師はさらっと話すのがやっとである.それで良いのだろうか.私自身はそう疑問に感じてきた.レオロジーの違いを理解して製材を使い分ける必要はないのだろうか.私は海外の著名な医師にこの疑問をぶつけてみた.その答えはレオロジーとは難解であり,その説明は退屈であると,そんな答えをするのである.ヒアルロン酸に関するレオロジーの文献を探してみると,きちんと説明している論文の著者は医師ではないことがほとんどであった.では著名な医師はどう使い分けているのか,その多くは経験に基づいてである.実際にはさまざまな会社の製材を「感覚で」使い分けている.私も含めた凡人はこのセンスや経験には太刀打ちできない.同じように注入しても奇異な顔貌になりえる.これに匹敵できるのはサイエンス,つまりはレオロジーである.サイエンスは努力で誰もが理解できる,凡人に与えられたツールなのである.レーザーなど機器治療と同じである.知れば使いこなせる.
ヒアルロン酸に関する医学書を読みあさってみると,レオロジーを詳細に書いている書籍も少ないが発刊されていて,今回の執筆では非常に参考になった.しかし製材の特性は書かれていても,各論,使い分けとなるとレオロジーを踏まえているとは言い難い.それほどに難しい学問なのである.本書では,私の乏しい理解と時には誤っているかもしれない知識のもと,レオロジーを臨床にどう取り込んでいくかを考えながら解説を試みた.
自分はヒアルロン酸注入のセンスがある美的な感覚に優れている医師だという主張をするのもいいが,医療はサイエンスであり,注入手技のHow toのみを追い求めるべきではない.最小の量で最大の結果を得るためにレオロジーという武器を使いこなす.機器のみならず,ヒアルロン酸注入治療においてもサイエンスを考えていく時代になっていくのではないだろうか.本書がその一助となれば幸いである.
2026年7月
宮田成章
ヒアルロン酸を製造する各企業は自社の差別化を図るためにそれぞれの特徴を打ち出している.そのベースになるのがレオロジー,流動学である.しかし,レオロジーを実際に理解することは難しく,多くの学会発表,講演ではメーカーの提供する資料を各医師はさらっと話すのがやっとである.それで良いのだろうか.私自身はそう疑問に感じてきた.レオロジーの違いを理解して製材を使い分ける必要はないのだろうか.私は海外の著名な医師にこの疑問をぶつけてみた.その答えはレオロジーとは難解であり,その説明は退屈であると,そんな答えをするのである.ヒアルロン酸に関するレオロジーの文献を探してみると,きちんと説明している論文の著者は医師ではないことがほとんどであった.では著名な医師はどう使い分けているのか,その多くは経験に基づいてである.実際にはさまざまな会社の製材を「感覚で」使い分けている.私も含めた凡人はこのセンスや経験には太刀打ちできない.同じように注入しても奇異な顔貌になりえる.これに匹敵できるのはサイエンス,つまりはレオロジーである.サイエンスは努力で誰もが理解できる,凡人に与えられたツールなのである.レーザーなど機器治療と同じである.知れば使いこなせる.
ヒアルロン酸に関する医学書を読みあさってみると,レオロジーを詳細に書いている書籍も少ないが発刊されていて,今回の執筆では非常に参考になった.しかし製材の特性は書かれていても,各論,使い分けとなるとレオロジーを踏まえているとは言い難い.それほどに難しい学問なのである.本書では,私の乏しい理解と時には誤っているかもしれない知識のもと,レオロジーを臨床にどう取り込んでいくかを考えながら解説を試みた.
自分はヒアルロン酸注入のセンスがある美的な感覚に優れている医師だという主張をするのもいいが,医療はサイエンスであり,注入手技のHow toのみを追い求めるべきではない.最小の量で最大の結果を得るためにレオロジーという武器を使いこなす.機器のみならず,ヒアルロン酸注入治療においてもサイエンスを考えていく時代になっていくのではないだろうか.本書がその一助となれば幸いである.
2026年7月
宮田成章
目次
Chapter1 基礎と製法
注入材の歴史
●アテロコラーゲン
●ヒアルロン酸製材
●高分子・ポリ乳酸系
●その他の製材
ヒアルロン酸の基礎知識
●ヒアルロン酸とは
●スキンケアとしてのヒアルロン酸
●美容医療目的でのヒアルロン酸
・架橋剤
・特性・安全性
●そのほかの製造工程
注入用ヒアルロン酸製材の特性
●レオロジー
●レオメーター
レオロジーの基礎
ヒアルロン酸におけるレオロジー
●ヒアルロン酸の性質
●凝集性
●回復率
各製材の製法と特徴
Chapter2 レオロジーと製材の比較
さまざまな製材におけるレオロジー特性
レオロジーや凝集性から考えるヒアルロン酸製材の比較と使い分け
その他の製材特性
●持続性
●フェイク製品
実際に注入するにあたって
Chapter3 アセスメント
・肌質
・形状
・バランス
・対称性
・表情
Chapter4 解剖
顔面の解剖
●真皮
●浅層脂肪層
●SMAS
●深層脂肪層
●骨
●支持靱帯
●血管
●Mobile zoneとimmobile zone
加齢の要因と各部位の変化
顔面各層の変化
●皮膚
●浅層皮下脂肪組織
●筋肉(表情筋)および筋膜
●深層肪組織
●骨
●靱帯
Chapter5 治療レンジ
治療レンジとは
製材選択は簡単ではない
レオロジーの限界
センスとサイエンス
レオロジーの特性をどう理解するか
●G’を考える
●G”を考える
●tanδを考える
●LVERを考える
●Projection Indexを考える
何をしたいのか
Chapter6 治療
どこで学ぶか
治療に際しての準備
●麻酔
●写真撮影
●治療の目印
●治療部の消毒など
●針の選択
注入の基本
●注入テクニック
●針刺入の深さ,注入層
●注入量や部位のコントロール
●治療後のケア
●注入のコンセプト
ヒアルロン酸はボリュームアップからリフトへ
解剖をベースに考えた注入法について
最近のヒアルロン酸注入療法
レオロジーをベースにした注入の考え方
注入の実際
●1本で仕上げる場合
●局所の注入手技
・頬
・鼻唇溝
・マリオネットライン
・頬外側
・側頭部
・額
・下眼瞼
・上眼瞼
・口唇
・顎
・鼻
●代表的な臨床症例
Chapter7 ヒアルロン酸の合併症
免疫反応
血行障害
Chapter8 ほかの治療との併用
機器治療の実際
索 引
Column1 さまざまな工業とレオロジー
Column2 複素数は難しいが理解したい人のために
Column3 結局レオロジーって何なの?
Column4 クリープテスト
Column5 G’と凝集性
Column6 レオロジーを知って正しい製品選択を
Column7 レオロジーの解釈と実際の印象をすり合わせる
Column8 G’が低いから柔らかい?
Column9 フェイク製品の責任
Column10 ヒアルロン酸で「作る」顔
Column11 アセスメント
Column12 アセスメントという言葉
Column13 センス
Column14 CaHA再び
Column15 入れすぎても自覚がない
Column16 ショータイム
Column17 Fast beauty
Column18 動脈塞栓
注入材の歴史
●アテロコラーゲン
●ヒアルロン酸製材
●高分子・ポリ乳酸系
●その他の製材
ヒアルロン酸の基礎知識
●ヒアルロン酸とは
●スキンケアとしてのヒアルロン酸
●美容医療目的でのヒアルロン酸
・架橋剤
・特性・安全性
●そのほかの製造工程
注入用ヒアルロン酸製材の特性
●レオロジー
●レオメーター
レオロジーの基礎
ヒアルロン酸におけるレオロジー
●ヒアルロン酸の性質
●凝集性
●回復率
各製材の製法と特徴
Chapter2 レオロジーと製材の比較
さまざまな製材におけるレオロジー特性
レオロジーや凝集性から考えるヒアルロン酸製材の比較と使い分け
その他の製材特性
●持続性
●フェイク製品
実際に注入するにあたって
Chapter3 アセスメント
・肌質
・形状
・バランス
・対称性
・表情
Chapter4 解剖
顔面の解剖
●真皮
●浅層脂肪層
●SMAS
●深層脂肪層
●骨
●支持靱帯
●血管
●Mobile zoneとimmobile zone
加齢の要因と各部位の変化
顔面各層の変化
●皮膚
●浅層皮下脂肪組織
●筋肉(表情筋)および筋膜
●深層肪組織
●骨
●靱帯
Chapter5 治療レンジ
治療レンジとは
製材選択は簡単ではない
レオロジーの限界
センスとサイエンス
レオロジーの特性をどう理解するか
●G’を考える
●G”を考える
●tanδを考える
●LVERを考える
●Projection Indexを考える
何をしたいのか
Chapter6 治療
どこで学ぶか
治療に際しての準備
●麻酔
●写真撮影
●治療の目印
●治療部の消毒など
●針の選択
注入の基本
●注入テクニック
●針刺入の深さ,注入層
●注入量や部位のコントロール
●治療後のケア
●注入のコンセプト
ヒアルロン酸はボリュームアップからリフトへ
解剖をベースに考えた注入法について
最近のヒアルロン酸注入療法
レオロジーをベースにした注入の考え方
注入の実際
●1本で仕上げる場合
●局所の注入手技
・頬
・鼻唇溝
・マリオネットライン
・頬外側
・側頭部
・額
・下眼瞼
・上眼瞼
・口唇
・顎
・鼻
●代表的な臨床症例
Chapter7 ヒアルロン酸の合併症
免疫反応
血行障害
Chapter8 ほかの治療との併用
機器治療の実際
索 引
Column1 さまざまな工業とレオロジー
Column2 複素数は難しいが理解したい人のために
Column3 結局レオロジーって何なの?
Column4 クリープテスト
Column5 G’と凝集性
Column6 レオロジーを知って正しい製品選択を
Column7 レオロジーの解釈と実際の印象をすり合わせる
Column8 G’が低いから柔らかい?
Column9 フェイク製品の責任
Column10 ヒアルロン酸で「作る」顔
Column11 アセスメント
Column12 アセスメントという言葉
Column13 センス
Column14 CaHA再び
Column15 入れすぎても自覚がない
Column16 ショータイム
Column17 Fast beauty
Column18 動脈塞栓