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カテゴリー: 皮膚科学  |  臨床薬学

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皮膚外用剤の教科書

1版

佐々木研究所 研究事務室 研究事務室長 大谷道輝 著

定価

4,400(本体 4,000円 +税10%)


  • B5判  285頁
  • 2024年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-34171-8

皮膚外用剤を処方・調剤するすべての人におくる解説書の決定版!

皮膚外用剤は,薬剤ごとに基剤・添加物などが異なります.これらは使用感・相互作用・混合可否などに直結し,患者のアドヒアランス維持のために重要です.つまり,製剤学的特徴を捉えて処方・指導することが,疾患の早期治癒へとつながるのです.
本書は,皮膚外用剤の製剤学的知識を基礎から応用までを1冊にまとめました.ある製剤的な特徴が臨床ではどのような意味をもつかなど,臨床を意識したQ&Aに沿って解説しており,読んですぐ役立つ内容となっています.皮膚外用剤を処方する者,調剤する者,関わる全ての医療スタッフ必携の書籍です.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 書評
  • 書評
  • 編集部より
序文
 アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患における薬物療法では,生物学的製剤の登場により患者満足度や治療効果が飛躍的に向上しています.これら生物学的製剤は,治療効果が高いものの高額であり,バイオシミラーを使用しても患者負担が大きく継続が困難な場合が少なくありません.そのため,従来から使用されている軟膏やクリームなどの皮膚外用剤も皮膚疾患の薬物療法では不可欠となっています.これら皮膚外用剤においても,最近ではアドヒアランスなども考慮した「フォーム」や「シャンプー」あるいは全身作用を目的とした「テープ」など新しい剤形が相次いで開発されています.皮膚外用剤は,従来から疾患,部位,患者の嗜好などを考慮して,同じ主薬でも多くの剤形が開発されています.剤形が豊富であることは,選択肢が増えて有益である一方,理解が不十分であると選択が困難になることがあります.特に新しい剤形は,医療従事者でも理解が不足している傾向が見られます.
 実際に全身作用を目的としたテープは,安定した血中濃度を維持することで副作用が少なく,持続した効果が得られるものの,なかなか普及しません.患者における剤形選択の報告でも,テープは有用であるとの回答が多いものの,医療従事者から患者にテープへ変更可能であるなど剤形に関する情報提供が少ないことから,テープへ変更可能であっても変更されない事例が多いことが示されています.これらの背景には,薬剤師をはじめとした医療従事者による皮膚外用剤の理解不足が考えられます.特に,皮膚外用剤のエキスパートである皮膚科医以外では,錠剤などの説明に比べ,皮膚外用剤に関する説明が不足しています.皮膚外用剤は錠剤などに比べ「用法・用量」に関する説明が大切であるにもかかわらず,塗布量に関して「1FTU」さえも十分な周知には至っていません.そのため,皮膚外用剤の患者に対する指導では,「外用指導してくれているととても感じる」と回答した患者の割合は8.7%に過ぎないことが報告されています.
 そこで,この本では皮膚外用剤の理解を深めるために,「皮膚外用剤の教科書」と題して,外用剤の基礎から臨床使用まで幅広く学べることを目的としました.教科書と題していますが,目次をご覧いただければ一目瞭然で,どこからでも読めるようなQ&Aとなっています.日常診療における患者説明や処方設計などにおいて,すぐに役立つ実践的な企画となっています.是非とも本書を手にして,毎日の診療に役立てていただきたいと思います.

2024年5月
大谷道輝
目次
第1章 基剤と剤形
 Q01 皮膚外用剤の剤形
  皮膚外用剤のそれぞれの剤形の特徴は?
 Q02 販売名と剤形
  「ザーネ®軟膏」は軟膏ではない?
 Q03 プロペト®の特性
  プロペト®と白色ワセリンはどう違うの?
 Q04 白色ワセリンとサンホワイト®の違い
  白色ワセリンとサンホワイト®の違いを教えてください
 Q05 ワセリンに関する患者のpit fall
  ワセリンを塗ると日焼けするの?
 Q06 プラスチベース
  ワセリンとプラスチベースはなにが違うの?
 Q07 皮膚外用剤の保存方法
  自動車の中に置き忘れた軟膏は使える?
 Q08 降伏値とは
  外用剤の伸びはどう評価するの?
 Q09 古典的な皮膚外用剤の特徴と使用法
  いい皮膚科医の条件は?
 Q10 酸化亜鉛を含んだ外用剤
  褥瘡治療において「酸化亜鉛を用いる」と書かれた場合は?
 Q11 液滴分散型軟膏って普通の軟膏と何が違うの?
  液滴分散型軟膏の特徴と注意点は?
 Q12 基剤の乳化,主薬の溶解性と透過性の違い
  軟膏とクリームはどう違うの?
 Q13 油中水型と水中油型クリーム
  特徴と臨床現場での使い分けは?
 Q14 ゲル
  ゲルってなに?
 Q15 ローション剤
  溶液性と乳剤性の違いは?
 Q16 スミスリン®ローションの使い方
  スミスリン®ローションはどのように塗布すればよいでしょうか?
 Q17 経皮治療システム
  TTS製剤にはどんな種類があるの?
 Q18 薬価の算定
  「○○軟膏・クリーム」と「○○ローション」はなんで同じ薬価なの?
 Q19 全身作用を示す経皮吸収型製剤
  アレサガ®テープを使う利点は?

第2章 添加物
 Q20 皮膚外用剤の添加物
  添加物ってどんなものがあるの?
 Q21 ラノリンによる接触皮膚炎
  接触皮膚炎の原因のラノリンってなに?
 Q22 乳化剤
  乳化剤のHLBは臨床でどう活用すればいいの?
 Q23 剤形と副作用
  副作用に注意すべき基剤・剤形は?
 Q24 軟膏剤の刺激指数
  しみる軟膏,しみない軟膏はどうすればわかるの?
 Q25 皮膚外用剤使用時に必要な検査
  添付文書のどこに必要な検査の記載があるの?
 Q26 皮膚外用剤の副作用による死亡例
  非ステロイド性抗炎症薬の副作用は外用剤でも注意が必要?
 Q27 ステロイド外用剤による全身性の副作用
  ステロイドは1日に何gまでなら副作用が少ないと考えられるの?
 Q28 妊娠中のステロイド外用剤の使用
  妊娠3ヵ月の妊婦にステロイド軟膏が処方されているけど大丈夫?

第3章 相互作用·副作用·禁忌/検査
 Q29 皮膚外用剤の禁忌
  薬剤別の使用禁忌を教えてください!
 Q30 光線過敏症の原因薬剤を投与する際の指導
  光線過敏症発現の可能性がある外用剤はどう説明する?
 Q31 光線過敏症を引き起こしやすい薬剤
  光線過敏症を引き起こしやすい薬剤の特徴はなんですか?
 Q32 皮膚外用剤の相互作用
  皮膚外用剤にも相互作用があるの?
 Q33 ラテックスアレルギーとラテックスフルーツアレルギー
  ①ラテックスアレルギーの人はパウダーフリーの手袋がいいの?
  ②ラテックスフルーツアレルギーの原因は?
 Q34 パッチテスト
  パッチテスト用の軟膏はなにがいいの?作り方は?
 Q35 スクラッチテスト,プリックテスト
  どのようにアレルギーの陽性と陰性を判断するの?


第4章 外用薬の吸収と生物学的同等性
 Q36 皮膚外用剤の吸収と溶解度
  主薬の濃度が2倍なら,吸収量も2倍?
 Q37 皮膚外用剤の吸収①
  踵と頬は薬剤の吸収量が違うの?
 Q38 皮膚外用剤の吸収②
  風呂上がりに湿布剤を貼るのはなぜ?
 Q39 皮膚外用剤の吸収に影響を与える因子
  同じような湿疹なら,おばあちゃんと同じ軟膏でもいいの?
 Q40 皮膚外用剤の吸収と疾患の関
  角層の状態は吸収にどの程度影響するの?
 Q41 皮膚の評価
  客観的な皮膚の評価はどうすればいいの?
 Q42 軟膏の塗り方と吸収
  単純塗布と単純塗擦はどのように違うの?
 Q43 外用剤の後発医薬品の同等性
  後発医薬品に切り替えて大丈夫?
 Q44 外用剤の後発医薬品
  外用剤の後発医薬品の生物学的同等性試験について教えてください
 Q45 生物学的同等性試験
  剤形変更に必要な試験は?

第5章 適応と使い方
 Q46 皮膚外用剤の指導
  皮膚外用剤の指導に関する実態は?
 Q47 軟膏の必要量
  軟膏の至適な塗布量はどのくらい?
 Q48 軟膏の塗り方
  軟膏には3つの塗り方がある!?
 Q49 皮膚外用剤を塗る順序
  塗る順序で作用に差はあるの?
 Q50 保湿剤塗布時期の迷信
  保湿剤は風呂上がりに塗るといいの?
 Q51 エモリエントとモイスチャライザー
  保湿剤は「エモリエント」と「モイスチャライザー」に分類されますが,違いを教えてください
 Q52 皮膚外用剤の保存
  軟膏壺に小分けした外用剤の保存方法は?
 Q53 ユベラ®軟膏剤の黄変
  黄色くなったユベラ®軟膏は使えないの?
 Q54 ステロイド外用剤の開発
  ステロイド外用剤の開発の経緯は?
 Q55 ステロイド外用剤のランク
  ステロイドのランクはどうなっているの?
 Q56 抗真菌外用剤の種類と適応
  みずむしに効果的な薬剤は?
 Q57 MRI検査で注意すべき貼付剤
  MRIの検査ではデュロテップ®MTパッチは剥がすべき?
 Q58 皮膚外用剤のセルフメディケーションの危険性
  皮膚外用剤でも副作用が高頻度で発現するの?
 Q59 OTC医薬品
  スイッチOTC医薬品を使うときの注意は?
 Q60 褥瘡の病期別の薬学的ケア
  黒色期,黄色期などの褥瘡の病期別に治療のポイントを教えてください
 Q61 褥瘡治療薬の使用上の注意
  褥瘡治療用の皮膚外用剤の使用上の注意について教えてください
 Q62 褥瘡における滲出液の評価
  褥瘡における滲出液の量はどのように判断するの?
 Q63 ドレッシング材と外用剤の使い分け
  ドレッシング材と外用剤の使い分けについて教えてください
 Q64 皮膚外用剤の適応
  滲出液が多い場合,基剤はどれにすればいいの?
 Q65 皮膚外用剤の混合の現状
  なぜ軟膏剤を混合するの?
 Q66 ステロイド外用剤の混合例
  ステロイド外用剤と他剤の混合で推奨される組み合わせを教えてください
 Q67 皮膚外用剤混合の原則
  軟膏とゲルはきちんと混合されるの?
 Q68 ステロイド外用剤の希釈
  ステロイド外用剤をワセリンで薄めると効果はどうなるの?
 Q69 皮膚外用剤混合後の含量
  ステロイドは酸性,アルカリ性,どちらが安定?
 Q70 皮膚外用剤混合後の皮膚透過性
  ステロイド濃度を半分に希釈すれば,透過率も半分になるの?
 Q71 保湿剤:混合の保湿効果への影響
  保湿剤とステロイド外用剤を混合すると,保湿効果への影響はどうなる?

第6章 その他
 Q72 皮膚にまつわる難読漢字
  癰?癤?疣贅?
 Q73 皮膚を乾燥させる内服薬に注意
  皮膚を乾燥させる薬にはどのようなものがありますか?
 Q74 スキンケア
  患者さんへの「スキンケア」についてのアドバイスのポイントは?
 Q75 皮膚外用剤の細菌汚染
  軟膏でも細菌は増えてしまうの?
 Q76 ショートコンタクト療法など
  外用剤の塗布時間と効果の関係は?
 Q77 先発医薬品から後発医薬品への切り替え
  外用剤を先発医薬品から後発医薬品に切り替える場合,注意することはなんですか?


COLUMN
 ・水溶性基剤の特徴
 ・軟膏基剤の滅菌方法
 ・軟膏の誤飲,その対応は?
 ・温度と反応速度の関係
 ・ホウ酸亜鉛華軟膏はなぜなくなった?
 ・ステロイド軟膏と界面活性剤
 ・加熱式タバコ・電子タバコのプロピレングリコールに注意
 ・軟膏でも防腐剤を含む製品に注意
 ・カラミンローション
 ・冷感湿布と温感湿布の違いは?
 ・光線過敏症
 ・スクワレンとスクワランの違い
 ・ステロイド外用剤の経皮吸収
 ・経皮吸収と分子量の関係
 ・メントールが有効成分になることも?!
 ・皮膚外用剤の服薬指導の現状
 ・皮膚外用剤の被覆効果
 ・褥瘡に使用する外用剤の塗布回数
 ・自転公転型混合機
 ・混合による外用剤の透過への影響:サリチル酸ワセリンの場合
 ・皮膚外用剤の混合における先発医薬品から後発医薬品への切り替えの注意点
 ・ボチシートの有用性
 ・注意すべき皮膚外用剤の服薬指導
 ・保湿効果のある入浴剤の勧め
 ・次亜塩素酸ナトリウムによる消毒に注意
 ・ハンドクリームで血糖値が変化する?
書評
内科医にとっても有用な良書

 本書は「教科書」と称している通り,われわれ臨床内科医にとって,きわめて重宝な「外用剤の辞典」のような存在であるといえる.その構成は,第1章:基剤と剤形,第2章:添加物,第3章:相互作用・副作用・禁忌/検査,第4章:外用剤の吸収と生物学的同等性という基礎的記述から始まり,第5章:適応と使い方,第6章:その他へと,実際に処方する際の説明となっている.各項目は77のQ&Aの形に統一され,Answerはすぐに読める比較的短い文章となっている.Answerの後にはその根拠が説明されていて,この部分は内科医にとってはやや詳細に過ぎるようにも感ずるが,ここはむしろ皮膚科の先生方にとって役立つのではないかと思われる.
 著者は,皮膚疾患に対する薬物療法が近年飛躍的に進歩し,外用剤についても新しい剤形が次々開発されているが,その選択にあたって少なからぬ医療者が不適切であると苦言を呈しており,そのため本書にはその正しい選択に役立つ情報が充実している.
 臨床内科医が必要に迫られて,または望まれて,皮膚乾燥症や皮膚真菌症などに対して外用剤を処方する機会は少なくない.その際に必要な情報として,軟膏,クリーム,ローション,ゾル,ゲル,テープなどの各種剤形の特性についての解説が本書の初めの部分にあり,その説明は各剤形の長所・短所が表にされていてきわめて理解し易い.
 皮膚疾患に対する外用剤だけでなく,内科疾患に対する薬剤について,古くは気管支喘息や狭心症,新しくは認知症やアレルギー性鼻炎,疼痛などの経皮吸収型製剤について記載されている部分は当然内科医にとって有用であり,また,褥瘡に対する外用剤についても詳しい記述があるため,高齢の在宅患者を診ている内科医にとって参考になることが多い.
 われわれ臨床内科医は,外用剤を処方するにあたって,その使用法(塗布量,塗布順序,塗布時期など)についての正確な説明が不十分であると思われ,本書の役立つところは多い.内科医には是非一読を薦めるものである.

望月内科クリニック/日本臨床内科医会 名誉会長
望月紘一
書評
熱狂の皮膚外用剤の教科書!

 指導者のいない療養型病院で薬剤師をしていた20代,私は衝撃の論文に出会った.それは軟膏とクリーム剤を混合するとどうなるかという,基剤の物理学的安定性に関する論文だった.皮膚外用剤の大家,本書の著者の論文である.薬局で何の疑問も抱かずに外用剤を混ぜ混ぜしていた当時の私には,まさに目から鱗である.臨床の問題を丁寧に抽出し,基礎研究で裏付け,こんなに面白い研究ができるのかとあまりにも感動し,それ以来,臨床薬学研究に目覚めている(後ほど著者にお聞きすると,当直中の外用剤混合指示に疑問を感じたのがきっかけの研究という).
 著者の皮膚外用剤に関する講演を聞いた人は多いだろう.いや,皮膚科領域に携わる医療従事者で,著者の講演を聞いたことがない医師,薬剤師はいないはずといっても過言ではないかもしれない.臨床における皮膚外用剤治療の実践を,薬学として作り上げた著者の講演は,コンテンツが素晴らしいのはもちろん,ストーリーもプレゼンテーションも最高である.患者さん目線の生きた指導が目に浮かぶようである.著者の講演を聴講すると,いつも手元のメモがいっぱいになり,論文が面白いと感動した20 年以上前のことが先日のように思い出される.そして,いつも聴講者であふれ大人気の様子をみるにつけ,ファンは私だけではないのだととても嬉しく思う.
 本書は,そんな著者の集大成ともいえるだろう.何十年という月日と莫大な労力をかけて,文献もないような情報を,一つひとつ探求した皮膚外用剤のすべてが詰まっている.外用剤周辺のQuestion を網羅的に取り上げ,重要なテーマは徹底して論じている.論証の質は高いが,説明はあくまでもコンパクトで読みやすい.ときどき飛び出すトリビアが知識欲をそそり,雑学としても面白い.皮膚外用剤の薬学的学問の広さが卓越した,見事な書籍になっている.その学問にふれ,途方もなく幸せな気分になる.そして著者が生涯をかけ,精魂を込めた仕事だという感動が伝わってくる.
 20 代の私が著者の論文に衝撃を受け,研究に目覚めたように,多くの医療者に感動を届けたい.開講!大谷塾.皮膚科診療にかかわるすべての職種にオススメの一冊である.

広島大学病院薬剤部 副薬剤部長 柴田 ゆうか
書評
手にした瞬間「こんな本が欲しかった!」と思えるバイブル

皮膚外用剤は,直接患部へ使用できるため利便性が高く,なじみ深い薬剤です.一方で,治療効果への不満や塗布の不便さ,不快感,副作用などの問題があり,これらはアドヒアランスの低下につながるとされています.
外用剤はさまざまな剤形があり,主薬と基剤から構成されています.外用剤の効果は,主薬の作用に加えて,基剤が皮膚に及ぼす作用も重要です.また,基剤や添加物は,使用感・相互作用・混合可否などに関連し,アドヒアランスに影響します.一方,外用剤のアドヒアランスには,使用部位・回数・塗布量などの使い方の説明も重要です.つまり外用剤は,製剤学的特徴を捉えて選択し,適正な指導を行っていくことで,良好なアドヒアランスに貢献し,疾患の早期治癒へとつながるのです.
本書は,外用剤の製剤学的特徴そして指導方法と,基礎から臨床での使用までを1冊に濃縮された教科書(バイブル)です.基礎編としては,基剤と剤形・添加物・相互作用・副作用・禁忌/検査・外用剤の吸収と生物学的同等性が,応用編としては適応と使い方が記されています.解説方法は,Q&A方式で,堅苦しくなく読みやすく,77問もの設問から膨大な情報を得ることができます.また,思わず「へぇ~」と感動するCOLUMNも必見です.
手にした瞬間「こんな本が欲しかった!」と思えるバイブル.皮膚外用剤を取り扱う医療スタッフのお手元に置いていただきたい必携の1冊です.


東京医科大学病院 薬剤部
関根祐介
編集部より
 2024年6月に『皮膚外用剤の教科書』が発刊された.
 本書は「教科書」と題しているが,学生向けなどの一般的な教科書ではない.「しみる軟膏の見分け方は?」「塗る順序で作用に差はあるの?」など,臨床でよくある疑問を解決できるように外用剤の基礎から丁寧に解説したもので,いわば現場の薬剤師・医師に向けた”臨床の”教科書である.
 第1 ~4 章では「基剤と剤形」「添加物」などを解説している.外用剤の特徴を理解するために製剤学的視点から説明しつつも,「使用感の理解のためにこの数値を覚えておくとよい」「ここに留意して剤形を選択しよう」など,患者指導や処方選択につながる情報もおさえている.第5,6章は「適応と使い方」など,より臨床に則した視点で,貼付剤やドレッシング材などを含めた外用剤の指導や調剤について解説している.
 各項目,冒頭にシンプルなQ&A があり,またそれに続く本文ではポイントを見出しとして記載しているため,大事な点を理解しやすい構成となっている.
 外用剤の基礎から臨床まで, 製剤学的視点を踏まえつつ,その使い方を理解できる一冊である.日々の勉強のための道しるべとして,ぜひ活用いただければ幸いである.
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