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カテゴリー: 形成外科学  |  耳鼻咽喉科学

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外鼻形成術・鼻中隔矯正術

1版

山梨大学 名誉教授 増山敬祐 監訳
埼玉医科大学 教授 上條 篤 監訳

定価

27,500(本体 25,000円 +税10%)


  • 四六倍判  535頁
  • 2020年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-31081-3

審美性と機能性を改善

Rhinoplastyの世界的権威Yong Ju Jang教授の「Rhinoplasty and Septoplasty」の翻訳本.従来,鼻変形の改善手術は形成外科が,鼻腔の機能改善手術は耳鼻咽喉科が担当してきたが,鼻の審美的側面と機能改善を同時に修正することが患者にとって大きなメリットとなる.多くのカラー写真と付録のDVDで実際の手術手技を系統的に学べる一冊.

  • 序文
  • 監訳者序文
  • 目次
序文
−巻頭言−

 本書を上梓することとなるまでの経緯をご紹介し,巻頭言に変える.
 私が原著者のJang教授に初めてお会いしたのは,Asan Rhinoplasty Symposiumに参加した時である.以前から鼻の機能改善手術としての鼻中隔外鼻形成術の必要性については痛感していたので,上條篤先生と参加した.
 Jang教授はとても物腰が柔らかくしかも学問に厳しい素敵な先生であった.先生を中心に韓国のSeptorhinoplastyの専門家のホットなディスカッションで会場は興奮の渦に包まれていた.素晴らしかった.反面,日本ではこの分野は遅れており耳鼻咽喉科医も大いに研鑽を積むべきであると確信し,私自身外鼻形成術の修行に励むこととなる.2017年に山梨で第56回日本鼻科学会を開催することとなり,学会初日の特別講演はJang教授と決めていた.早速Jang教授にメールすると,ベルギーでの講演をキャンセルして日本に来たいと言うではないか…とても嬉しかった.
 講演内容はこれまでの先生の20年間のAsian Rhinoplastyを自ら切り拓いて来られた修行の道そのものであった.まさに求道者の姿をみる思いであった.この時先生からご自身で出版された原著をいただいた.翌年,御礼も兼ね15th Asan Rhinoplasty Symposiumに参加した.そしてこの翻訳本を出すこととなった理由は上條篤教授による序文のくだりにあるとおりである.
 尊敬するJang教授の書籍を翻訳する機会をいただいて大変光栄に思う.本書を通して,耳鼻咽喉科医,形成外科医が機能外科としての鼻中隔外鼻形成術に関心を寄せ,鼻機能障害で苦しむ患者様によりよい医療が届くことに貢献したい,との思いである.誤謬に関しては忌憚なくご指摘をいただければありがたい.
 最後に,日々忙しい診療の中で,翻訳に協力してくださった当時の山梨大学医学部耳鼻咽喉科医局の先生方,形成外科医の大島直也先生,そして最後まで諦めずに編集を行っていただいた上條篤教授,また翻訳に惜しみない協力をいただきました南山堂の高見沢恵氏に心から感謝を申し述べたい.

2020年5月
山梨大学 名誉教授
諏訪中央病院耳鼻咽喉科 部長
増山敬祐

監訳者序文
 事の始まりは2010年だったであろうか,増山敬祐先生(当時山梨大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室教授)と私は韓国ソウルで開催されていたAsan Rhinoplasty Symposiumに参加したことに始まる.この講習会はRhinoplastyの世界的権威であり,耳鼻咽喉科医でもあるAsan Medical CenterのJang教授が主催して毎年開催されているものである.記憶が曖昧であるが,当時関西大学におられた久保伸夫先生もしくは大分大学におられた児玉悟先生から教えていただいて参加したのではないかと思う.そこで,日本から参加した先生方が,Jang教授から特別な歓待を受けた.その縁あって,2017年に山梨で第56回日本鼻科学会を開催した際,Jang教授を招請しRhinoplastyのご講演をいただいた.その御礼も兼ねて,2018年に再度,増山敬祐先生と私,そして山梨大学耳鼻咽喉科の教室員の高橋哲先生で,再度Asanの講習会に参加し,ありがたいことに講師陣の先生方とのクローズドなディナーパーティーにわれわれ3人もお招きいただいた.その際,酔った勢いで,「Jang先生のテキストブックを日本語で翻訳したい」と申し出たら,二つ返事であっさりとご承諾いただけたのだ.日本に帰国後しばらくしてから出版に協力してくださる出版社を探し,だめもとで南山堂に連絡したところ,わざわざ面会に来ていただきご協力いただけることとなった.そこで,当時,増山敬祐先生の教授退官までの期間があと1年あまりを残すのみであったこともあり,その記念になればとも考え,山梨大学耳鼻咽喉科の教室員,そして当時Rhinoplastyの手術を積極的に行っていた形成外科の大島直也先生(現杏林大学)にお声をかけ,原書(英文)の翻訳をはじめた.皆も不慣れな翻訳でさぞかし苦労されたことと思う(この場を借りて御礼したい).何とか皆のお尻をたたいて担当パートを提出してもらったのまではよかったが,ここから,私と増山敬祐先生で校正を始めたものの,私の力不足は否めず,なかなか進まず,何とか今日にたどりついた.
 本書はできるだけJang教授の英語を直訳するように努めたが,時に意味が不明瞭になるため,わずかではあるが意訳した部分もある.さらに,英語の専門用語を日本語に翻訳するのは,時に非常に困難で,それでもその多くをなんとか日本語に変換したが,どうしても適切な訳語が見つからない場合にはそのまま英語表記とした.われわれは決してRhinoplastyの専門家ではないため,理解しづらいあるいは不適切な記述があるかもしれないがご容赦いただきたいと思う.われわれも自分が勉強するつもりで翻訳している.もし,この書を手に取って読まれ,誤った記載や不明確な表現に気が付かれたら遠慮なくご指摘いただきたい.また,本書はあくまで韓国の実情に沿って書かれているため,必ずしもすべての再建材料や薬剤などが日本でも使用できるわけではないことに注意が必要であることにご留意いただきたい.付録のDVDは,本文のCase Studyとは異なった症例であるが,Jang教授のエレガントな手術をご堪能いただけるのではないかと思う.なお,日本語に編集せずに原版をそのままお届けしているのでご了承いただきたい.


 日本ではRhinoplasty手術の多くを形成外科医が手掛けている.しかし,韓国やヨーロッパでは形成外科医だけではなくJang先生のような耳鼻咽喉科医も積極的にRhinoplastyを施行している.一般的に,形成外科医は審美的な部分の改善に優れた手技をもち,また耳鼻咽喉科医は鼻機能の改善を重視した手術を目指して手術を行うことができる.形成外科医と耳鼻咽喉科医がお互いに協力することにより,患者さんの満足度が高い手術結果を得ることが可能であろうし,もちろん,最終的にはJang教授のように審美的にも機能的にも優れたテクニックをもった術者になれれば言うことはない.私も最終的にはそうなりたいと願っている.日本にはRhinoplasty関連の日本語テキストブックが非常に少ない.本書が多少なりともRhinoplastyを行っている,あるいはこれから始めようとしている形成外科および耳鼻咽喉科の先生方のお役にたてれば幸いである.また,それが快く翻訳を許諾してくださったJang教授の恩に報いることになると考えている.
 最後に,この度の出版にご協力いただき,筆の進まぬわれわれを辛抱強く見守り,適切なご指摘・ご助言をいただいた南山堂の皆様,そして,特に高見沢恵氏に心から謝意と敬意を表したい.

2020年5月
上條 篤
目次
Section 1.基本的事項
 Chapter 1 鼻の解剖
 Chapter 2 鼻の生理
 Chapter 3 麻酔

Section 2. 鼻腔内の手技
 Chapter 4 鼻甲介手術
 Chapter 5 鼻中隔矯正術(鼻中隔形成術)
 Chapter 6 鼻中隔穿孔

Section 3 手術を開始するにあたって
 Chapter 7 コンピュータシミュレーション
 Chapter 8 切開
 Chapter 9 骨切り術
 Chapter 10 術後ケア

Section 4 グラフトとインプラント
 Chapter 11 隆鼻術における注意点
 Chapter 12 鼻中隔軟骨
 Chapter 13 耳甲介(耳介)軟骨
 Chapter 14 肋軟骨
  Case Study 14
  Case1 50歳男性.鼻閉を伴う斜鼻と低い鼻梁を主訴に受診.
  Case2 25歳男性.斜鼻と球根状鼻尖(団子鼻)を主訴に受診.
  Case3 46歳女性.鼻中隔矯正術後の鞍鼻変形を主訴に受診.
 Chapter 15 真皮脂肪
 Chapter 16 筋膜
  Case Study 16
  Case1 27歳女性.斜鼻を伴った平坦な鼻背を主訴に来院.15年前に鼻外傷歴あり.
  Case2 51歳女性.鼻骨骨折後の鼻背のハンプと斜鼻を主訴に来院.
 Chapter 17 AlloDerm®
 Chapter 18 シリコン
  Case Study 18
  Case1 23歳女性.平坦な鼻にて受診.
  Case2 22歳女性.ハンプ鼻にて受診.
 Chapter 19 ゴアテックス
  Case Study 19
  Case1 47歳女性.平坦な鼻にて受診.
  Case2 25歳女性.平坦な短鼻で受診.
 Chapter 20 Medpor
 Chapter 21 注射用充填剤

Section 5 鼻翼・鼻尖・鼻孔の手技
 Chapter 22 鼻尖手術
  Case Study 22
  Case1 35歳男性.鼻閉を伴う外鼻変形のため受診.10年前に鼻中隔矯正術を受けた既往あり.
  Case2 21歳男性.平坦な鼻変形と広い鼻背のため受診.
  Case3 25歳女性.ハンプのため受診.
  Case4 不整な鼻背と鼻尖突出不良のため受診.以前に鼻尖と鼻根部に注入術を受けた既往あり.
  Case5 31歳女性.斜鼻,球根状鼻尖,凸状の鼻背のため受診.
  Case6 23歳男性.ハンプと長鼻のため受診.
  Case7 24歳女性.ハンプと斜鼻のため受診.
 Chapter 23 鼻中隔延長グラフト
  Case Study 23
  Case1 23歳女性.斜鼻を伴う平坦な鼻変形で受診.
  Case2 20歳女性.鼻閉を伴う斜鼻のため受診.
 Chapter 24 鼻翼基部手術
  Case Study 24
  Case1 20歳男性.鼻閉と広い鼻背のため受診. 5年前に鼻中隔形成術を受けた既往あり.
 Chapter 25 鼻翼-鼻柱関係
 Chapter 26 鼻孔変形
  Case Study 26
  Case1 20歳男性.鼻孔変形のために来院.口唇裂矯正手術の既往あり.
  Case2 29歳男性.斜鼻のため受診.口唇裂矯正手術の既往あり.

Section 6 問題部位を改善する外鼻形成手技
 Chapter 27 斜 鼻
  Case Study 27
  Case1 34歳男性.2年前に鼻骨骨折の非観血的整復術を受け,その後の斜鼻により受診.
  Case2 50歳男性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case3 22歳男性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case4 30歳女性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case5 27歳男性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case6 19歳女性.斜鼻により受診.
  Case7 33歳女性. 4ヵ月前に鼻骨骨折の非観血的整復術を受け,その後鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case8 17歳男性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
  Case9 47歳女性.鼻閉を伴う斜鼻により受診.
 Chapter 28 ハンプ鼻(鷲鼻,凸状鼻背)
  Case Study 28
  Case1 23歳男性.鼻閉を伴う凸状鼻背を主訴に来院.
  Case2 19歳女性.鼻閉を伴う凸状鼻背を主訴に来院.
  Case3 19歳女性.鼻閉を伴う斜鼻と凸状鼻背を主訴に来院.
 Chapter 29 鞍 鼻
  Case Study 29
  Case1 49歳男性.鼻閉を伴う鼻変形で受診.鼻骨折のため鼻中隔矯正術と鼻骨骨折徒手整復術の既往あり.
  Case2 20歳女性.10年前の鼻外傷後の鞍鼻変形のため受診.
  Case3 16歳女性.鞍鼻変形で受診.小児期に鼻腔内に水銀電池を挿入した経歴あり.
 Chapter 30 短 鼻
  Case Study 30
  Case1 47歳女性.短鼻変形のために受診.4年前にオープンアプローチによる外鼻形成術を受けた既往あり.
 Chapter 31 再手術
  Case Study 31
  Case1 23歳女性.鞍鼻を主訴に来院.2年前に鼻内アプローチ法にてゴアテックスを用いた鼻中隔外鼻形成術を受けた既往あり.
  Case2 44歳女性.右鼻腔よりの持続的な鼻漏と上向き鼻を主訴に来院.
 Chapter 32 鼻骨骨折
  Case Study 32
  Case1 11年前の鼻中隔骨折を伴った鼻骨骨折で受診.
  Case2 重篤な鼻外傷による平坦な鼻で受診.
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