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カテゴリー: 内分泌・代謝学  |  内科学一般

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ケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた

患者さんを支える43のヒント

1版

東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科 内科総括部長 荒木 厚 編集
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 教授
稲垣暢也 編集

定価

4,180(本体 3,800円 +税10%)


  • B5判  274頁
  • 2017年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-23451-5

糖尿病専門医,老年病専門医のエキスパートが,高血圧や脂質異常症などの併存疾患,認知症やフレイルなどの老年症候群が多くみられる高齢者糖尿病について,症例を通して診療や患者サポートのポイントをわかりやすく解説! 検査値だけでなく,服薬状況,摂食状態,生活環境などから,個々の症例に沿った治療やケアのヒントを示した決定版.

  • 序文
  • 目次
序文
 超高齢社会を迎えて,高齢者糖尿病の患者数はますます増えている.その結果,認知症などを合併した臨床的複雑性を有する糖尿病患者も増え,治療をむずかしくしている.すなわち,こうした高齢者糖尿病の治療においては,糖尿病合併症の予防だけでなく,老年症候群や併存疾患の悪化を防止し,QOLの維持・向上を目指す必要があり,医療,看護,介護における幅広い対策が求められる.
 高齢者糖尿病の合併症は細小血管障害や大血管障害だけでなく,感染症なども含まれる.老年症候群は高齢者に多くみられ,医療だけでなく,介護・看護が必要な身体的,精神的な症状や徴候の総称であり,糖尿病で重要なものとしては,認知機能障害,ADL低下,サルコペニア,フレイル,転倒,うつ,低栄養,排尿障害,疼痛,多剤併用などが含まれる.併存疾患としては,肝疾患,腎疾患,骨粗鬆症,悪性疾患などがある.QOLを維持するためには,薬物による低血糖などの有害事象を減らし,患者・介護者の治療負担を軽減することも大切である.本書ではこうした高齢者糖尿病におけるすべての問題を網羅して解説している.とくに,認知症を合併した糖尿病に関する部分はわが国の第一線を担うエキスパートにより,詳細に書かれている.
 高齢者糖尿病の治療を行うためには,エビデンスに基づいた治療だけでは不十分である.本書のように,症例をもとに,高齢者糖尿病の問題点を抽出し,その問題点に対してさまざまな対策や治療法を考えるという手法が有効である.症例の治療に対する答えは決して1つではない.なぜなら,高齢者糖尿病の治療は,身体機能,認知機能,心理状態,栄養状態,アドヒアランスなどの薬剤の問題,社会経済状況によって異なってくるからである.したがって,高齢者糖尿病では,多職種でこれらの領域を総合的に評価する高齢者総合機能評価(CGA)という手法が大切となる.本書では,CGAの重要な要素である認知機能やADLの評価が症例ごとに示されており,その評価に基づいてどのような対策がなされたかをみることで,高齢者糖尿病の実際的な治療の仕方を学ぶことができる.また,実際の栄養指導,運動指導,看護における糖尿病教育,介護についてもそれぞれ章を設けて詳細に解説されている.
 最後に,執筆していただいた多くの先生に深く感謝の意を表したい.本書が,糖尿病専門医をはじめ高齢者糖尿病の診療に携わる多くの実地医家や医療チームのスタッフに読んでいただき,高齢者糖尿病の実際の診療に少しでも役立てていただければ幸いである.


2017年3月
編 者
目次
Ⅰ 総 論

 1 知っておきたい高齢者糖尿病のABC(荒木 厚)


Ⅱ 見逃せない! 知っておきたい急性期反応とその対応

 2 高血糖高浸透圧症候群(HHS)の診断はなぜむずかしい? (山岡巧弥  田村嘉章)
 3 重症低血糖をどう防ぐ? (小寺玲美  千葉優子)
 4 糖尿病ケトアシドーシス(DKA)はどんなときに起こる? (長嶋一昭)
 5 シックデイにはどう対応する? (坪井由紀  千葉優子)
 6 高齢者の心筋梗塞や心不全にはどのような治療が可能? (石川讓治)
 7 重症化しやすい高齢者の肺炎への治療はどう行う? (山根俊介)
 8 誤嚥性肺炎はどうして起こる? (千葉優子)
 9 尿路感染症(UTI)がどうして起こる? (足立淳一郎)   
   Column 尿路感染症の再発予防
 10 蜂窩織炎はどのような症例で起こる? (山岡巧弥  田村嘉章)
 11 足への関心が低いとどうなる? (千葉優子)


Ⅲ ここに注意! 加齢・老年化に伴う諸問題

 12 動脈硬化の評価はどう行う? (田中 旬)
 13 血圧管理目標の設定はどうする? (石川讓治)
 14 脂質管理目標の設定はどうする? (前澤善朗  横手幸太郎)
 15 肥満・メタボリックシンドロームはいくつまで減量する? (田村嘉章)
    Column obesity paradox
 16 高齢者の腎機能低下はどう防ぐ? 注意すべきこととは? (冨田 努)
 17 神経障害を見過ごさず適切に治療するには? (東原真奈  荒木 厚)
 18 フットケア ─触れることで伝わるものとは?─ (小倉雅仁)
 19 認知機能のスクリーニング検査はどう行う? (荒木 厚)
 20 脳画像検査によって認知機能障害でわかることとは? (羽生春夫)
 21 認知症の運動療法はどんな効果がある? (櫻井 孝)
 22 認知症にはどう対応する? ─アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などの活用─ (梅垣宏行)
 23 認知症の行動・心理症状(BPSD)にはどう対応する? (櫻井 孝)
 24 認知症では服薬数を減らすべき? (梅垣宏行)
 25 認知症では注射薬をどう使用する? (田村嘉章)
 26 うつ傾向やうつ病にはどう対応する? (荒木 厚)
 27 サルコペニアにはどう対応する? (池田香織  玉井由美子)
 28 フレイルにはどう対応する? (荒木 厚)
 29 転倒や骨折はどう予防する? (千葉優子)
 30 高齢者総合機能評価(CGA)をどう活用する? (荒木 厚)
 31 骨粗鬆症・骨折にはどう対応する? (宮尾益理子)
 32 排尿障害は性差医療の視点からどう治療する? (宮尾益理子)
 33 膵がんにはどう対応する? (藤田義人)
 34 肝がんを早期に発見するには? (小寺玲美  千葉優子)
 35 高齢者の糖尿病経口薬 総論 (小林一貴  横手幸太郎)
 36 高齢者の糖尿病経口薬 各論
    (1)スルホニル尿素(SU)薬 (千葉優子)
    (2)メトホルミン (荒木 厚)
    (3)チアゾリジン(TZD)薬 (小林一貴  横手幸太郎)
    (4)α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI) (小林一貴  横手幸太郎)
    (5)グリニド薬 (田村嘉章)
    (6)SGLT2阻害薬 (原島伸一)
    (7)DPP-4阻害薬 (奈良光彦  山田祐一郎)
 37 GLP-1受容体作動薬はどう使う? (原田範雄)
 38 持続皮下インスリン注入(CSII)をどう活用する? (藤倉純二)
 39 インスリンの自己注射をどう活用する? (千葉優子)
 40 血糖自己測定(SMBG)と持続血糖モニタリング(CGM)をどう活用する? (鈴木 亮)
 41 高齢者の糖尿病教育をどう行う? 注意することとは? (鹿島田美奈子)


Ⅳ 多職種連携で取り組む! ケア&療養指導

 42 食事療法ではどう対応する? (府川則子  荒木 厚)
 43 効果的な運動療法をどう行う? ─工夫することと配慮すること─ (松木重村  荒木 厚)
 44 在宅ではどう対応する? (田村嘉章  鈩 裕和)
 
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