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カテゴリー: 整形外科学  |  検査・診断学

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脊椎MRI読影の一手

1905画像からみた定跡

1版

千葉大学大学院 教授 佐粧孝久 監修
西川整形外科 院長 西川 悟 著
西川整形外科 診療放射線技師長 松下幸男 著

定価

6,380(本体 5,800円 +税10%)


  • B5判  220頁
  • 2022年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-22251-2

今度は脊椎!! 圧倒的な画像数で経験値を補完する!

17万件以上の国内トップクラスを誇るMRI検査数であらゆる整形外科疾患を撮像してきた著者らが,26年間の集大成として培った情報と経験を披露する.病変部と正常像を比較できる構成やスカウトビューで三次元的に画像を把握でき,診断につなげる読影法と1900枚の頚椎・胸椎・腰椎の圧倒的なMRI画像数により読者の経験値を補完する. 
「下肢MRI読影の一手」に続く第2弾.

  • 序文
  • 目次
  • 書評
序文
 「先生,MRIはレントゲンと何が違うんですか?」外来診療でよく患者さんから聞かれる言葉です.「レントゲンやCTではルックスがわかりますが,MRIではその性格までわかります」と答えています.MRI検査登場初期は,まるで幽霊のような画像が並んでいましたが,わずか半世紀弱しか経っていないにもかかわらず,今では目が覚めるような画像となり,レントゲンや CT検査ではわからない情報まで得ることができます.
 当院では開業以来,あらゆる整形外科疾患のMRI検査を行ってきました.そのなかには簡単に診断できる典型的な症例もあれば,読影が困難なめずらしい症例もありました.これらの膨大な症例から本当に多くのことを学ばせていただき,情報と経験の蓄積こそが正確な診断に繋がるものと信じています.そして少しでもそれらを残し伝えていくことが,のちの画像診断の進歩に必要不可欠ではないかと考えていました.奇しくも当院の松下幸男診療放射線技師長(将棋部部長)にも,読影に役立つMRI画像の書籍を作りたいという強い思いがあり,「下肢MRI読影の一手 -3120画像からみた定跡-」(2021年)を上梓いたしました.今回はそれに続き,当院が26年間積み上げてきたMRI読影・診断の結晶として,「脊椎MRI読影の一手 -1905画像からみた定跡-」を完成させることができました.
 本書も前作同様に各論では数多くの症例とピットホールを掲載し,疾患ごとに患者情報と画像所見を照らし合わせ,読影と診断のポイントを明確にしています.また正常像を理解していることが病変部を見つける上で大事なポイントと考え,できるだけ病変部と正常像を比較できる構成としました.さらに症例画像にスカウトビューを加え,病変部を三次元的に把握することが可能です.また総論では撮像法の種類や特徴,部位ごとの撮像プロトコルとMRI解剖を掲載し,特にMRI解剖では多数のスライス面で脊椎に関わる解剖をわかりやすく図解しています.
 今回もこれまでにはないMRIの書籍になったと確信しています.MRI画像の写真集という感覚で座右に置いて気軽に読んでいただけば望外の喜びです.今回の著書に至り,監修の佐粧孝久先生はじめ,木下知明先生にご指導とご協力を賜りこの場を借りて深く御礼申し上げます.

2022年9月
西川整形外科 院長
西川 悟
目次
各論Ⅰ 頚椎
❶ 頚椎椎間板ヘルニア
A.椎間板膨隆/B.髄核突出型ヘルニア/C.髄核脱出型ヘルニア〈後縦靱帯非穿破〉/D.髄核脱出型ヘルニア〈後縦靱帯穿破〉①/E.髄核脱出型ヘルニア〈後縦靱帯穿破〉②/F.髄核脱出型ヘルニア〈椎間孔ヘルニア〉

❷ 頚椎後縦靱帯骨化症
A.連続型後縦靱帯骨化症/B.分節型後縦靱帯骨化症/C.混合型後縦靱帯骨化症/D.限局型後縦靱帯骨化症

❸ 頚椎黄色靱帯骨化症

❹ 頚部脊柱管狭窄症
A.軽度脊柱管狭窄症/B.高度脊柱管狭窄症/C.多椎間の高度脊柱管狭窄症(snake eye を認めた症例)

❺ 頚椎椎間孔狭窄症
A.軽度椎間孔狭窄症/B.中等度椎間孔狭窄症/C.高度椎間孔狭窄症

❻ 頚髄疾患
A.脊髄空洞症/B.キアリ奇形Ⅰ型/C.脊髄梗塞

❼ 炎症性疾患
A.環軸椎不安定症,リウマチ頚椎・環軸椎亜脱臼/B.化膿性脊椎炎/C.石灰沈着性頚長筋腱炎

❽ 外傷性疾患
A.頚椎椎体骨折/B.頚椎椎体脱臼/C.歯突起骨折/D.ハングマン骨折/E.Clay-shoveler’s fracture/F.腕神経叢引き抜き損傷〈陳旧性〉

❾ 変形性頚椎症
A.椎体終板変性/B.項靱帯石灰化症

❿ 占拠性病変
A.椎体血管腫/B.硬膜外血腫/C.ダンベル型脊髄神経鞘腫/D.頚椎転移性骨腫瘍

⓫ 頚部周辺疾患
A.脳腫瘍/B.脳幹部梗塞症/C.ラトケ嚢胞/D.くも膜嚢胞/E.斜台腫瘍/F.副鼻腔炎/G.正中頚嚢胞/H.甲状腺腫/I.脂肪腫/J.パンコースト腫瘍

⓬ その他の疾患
A.首下がり症候群/B.強直性脊椎炎/C.屈曲性頚髄症(平山病)(若年性上肢筋萎縮症)

各論Ⅱ 胸椎
❶ 胸椎椎間板ヘルニア
A.椎間板膨隆/B.髄核突出型ヘルニア/C.髄核脱出型ヘルニア〈後縦靱帯非穿破〉/D.脊髄ヘルニア

❷ 胸椎後縦靱帯骨化症

❸ 胸椎黄色靱帯骨化症

❹ 胸椎脊柱管狭窄症

❺ 骨折
外傷性骨折
A.圧迫骨折①/B.圧迫骨折②/C.破裂骨折/D.棘突起骨折
脆弱性椎体骨折

❻ 炎症性疾患
A.化膿性脊椎炎①/B.化膿性脊椎炎②

❼ 占拠性疾患
腫瘤性病変
A.くも膜嚢胞①/B.くも膜嚢胞②
腫瘍性病変
A.海綿状血管腫
骨腫瘍
A.椎体血管腫/B.多発性骨髄腫/C.悪性リンパ腫/D.胸椎転移性骨腫瘍①/E.胸椎転移性骨腫瘍②

❽ その他の疾患
A.多発性硬化症

各論Ⅲ 腰椎
❶ 腰椎椎間板障害
A.椎間板変性

❷ 腰椎椎間板ヘルニア
A.椎間板膨隆/B.髄核突出型ヘルニア/C.髄核突出型ヘルニア〈線維輪断裂の症例〉/D.髄核脱出型ヘルニア〈後縦靱帯穿破〉/E.髄核脱出分離型ヘルニア/F.椎間孔ヘルニア/G.外側ヘルニア/H.シュモール結節/I.high intensity zone:HIZ

❸ 腰椎後縦靱帯骨化症

❹ 腰部脊柱管狭窄症
A.軽度脊柱管狭窄症/B.高度脊柱管狭窄症/C.余剰神経根,セディメンテーションサイン

❺ 変形性腰椎症
A.椎間孔狭窄症/B.椎体終板変性/C.椎体癒合/D.仙腸関節症

❻ 腰椎すべり症
A.腰椎分離すべり症/B.腰椎変性すべり症

❼ 骨折
A.外傷性骨折、圧迫骨折①/B.外傷性骨折、圧迫骨折②/C.横突起骨折/D.棘突起骨折/E.脆弱性骨折、圧迫骨折/F.破裂骨折

❽ 炎症性疾患
A.化膿性脊椎炎

❾ 若年性疾患
A.成長期分離症〈片側型〉/B.成長期分離症〈両側型〉/C.横突起疲労骨折/D.リチャード病/E.仙骨疲労骨折/F.腸骨疲労骨折/G.二分脊椎症/脊髄髄膜瘤/H.二分脊椎症、脊髄脂肪腫

❿ 占拠性疾患
A.椎間関節嚢腫/B.椎間板嚢腫/C.神経根嚢腫/D.黄色靱帯嚢腫/E.仙骨神経根嚢腫/F.馬尾腫瘍/G.脊髄係留症候群〈低位円錐髄膜瘤〉/H.脊髄係留症候群〈低位円錐脊髄脂肪腫〉/I. 腰椎転移性骨腫瘍

⓫ 腰椎周辺疾患
A.肝嚢胞/B.腎嚢胞/C.多発性腎嚢胞/D.腹部大動脈瘤①/E.腹部大動脈瘤②/F.子宮筋腫/G.卵巣嚢腫

総論
❶ 撮像法の種類と特徴

❷ 各部位の撮像プロトコル

❸ 解剖とプロトコル
A.頚椎 1.MRIでみる解剖/2.撮像プロトコル
B.胸椎 1.MRIでみる解剖/2.撮像プロトコル
C.腰椎 1.MRIでみる解剖/2.撮像プロトコル/3.成長期分離症プロトコル

日本語索引
外国語索引
書評
 本書は,千葉大学整形外科の関連施設でもあり千葉県佐倉市地域の整形外科中核クリニックである西川整形外科にて26年間にわたり17万件以上の運動器MRI画像の撮像に携わってきた西川悟院長と松下幸男診療放射線技師長が,千葉大学大学院予防医学センター佐粧孝久教授の監修のもとに運動器診療に携わる全てのスタッフに向けて手がけた渾身の一冊であり,すでに2021年に刊行され好評を得ている「下肢MRI読影の一手—3120画像からみた定跡—」の続編である.
 本書では腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど,一般整形外科外来でも遭遇するcommon diseaseとしての脊椎疾患や外傷から,脊椎・脊髄腫瘍など指導医クラスが対象とする専門性の高い疾患まで,1905画像という豊富な脊椎MRI画像を用いて多くの疾患の画像と解説が網羅されている.ただしこれだけであればいわゆる「MRI画像アトラス」であるが,本書の特筆すべき点は臨床情報の提示に加えて日本脊椎脊髄病学会指導医が臨床の立場から各疾患・画像に対するコメントを添えている点である.例えば,代表的な腰痛疾患である腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア症例では,MRI画像で捕捉される骨棘形成や靱帯肥厚,椎間板変性・膨隆などの所見は必ずしも患者の神経症状に直結するものではない.またこれらの疾患には椎間孔狭窄など診断が困難かつ専門性の高い病態が併在することが多々あり,専門性が高く非脊椎脊髄外科医では読影しづらいことも多い.これらを含めた特徴的な画像所見については「読影の決め手」に記載され,さらに「診断の決め手」には冒頭に提示された「患者情報」の情報から診断の決め手となる臨床所見が提示されている.ただし画像所見に気づいてもそれが臨床症状に直結するかどうかは脊椎脊髄病を専門とする医師でなければ判断しづらいことも多いのがこの分野の難しさであるが,臨床的な意義を添えるのが「Dr.からのコメント」である.これらの「活きた」情報が多彩なMRI画像と有機的に融合していることが本書をより臨床的に有意義な存在とし,その価値を十二分に高めている.
 これらの観点から本書は「最強の脊椎脊髄病MRI画像アトラス」としても「画像の豊富な脊椎脊髄病疾患の教科書」としても優れた書物であることから,研修医から専門医,コメディカルに至るまで脊椎脊髄疾患の診療に関わる全てのスタッフに自信をもってお薦めできる一冊であり,ぜひ手に取りご一読をお薦めしたい.

千葉大学フロンティア医工学センター 教授/千葉大学大学院医学研究院整形外科学
折田純久
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