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カテゴリー: 循環器学  |  検査・診断学

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検診で使える!心電図自動診断とのつきあい方

1版

三原純司 著
関口守衛 著

定価

3,300(本体 3,000円 +税10%)


  • B5判  168頁
  • 2020年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-22221-5

明日からの読影にすぐに役立つ症例集

心電図検査は,自動診断のみに頼ると思わぬ間違いをおかす.心電図の結果で着目すべき点,ほかに確認すべき点などについて症例形式で解説し,著者らが日々の臨床の中で発見したピットフォールや教訓をおしみなくご紹介いただいた.心電図を専門としない医師にも簡単に読めて,明日からの読影にすぐに役立つ一冊!

  • 序文
  • 目次
  • 書評 1
  • 書評 2
序文
 日本では健康診断の際,心電図検査を行うのが一般的ですが,健診に従事する医師が循環器を専門としていない場合も多く,一般内科医も心電図を苦手にしている場合が非常に多くみられます.
 現在の心電図は自動解析診断機能装置による診断が基本となっており,もはやその解析力も一定のレベルに達しているため,診断に困る例は少なくなってきています.しかし,自動診断のみに頼って判定を下し思わぬ間違いをおかすことが多々見受けられます.健診医,臨床医は心電図自動診断に加えて他の検査データや病歴などの臨床背景を考慮した上で総合的な判定結果を下す必要があり,いわば心電図自動診断との上手な付き合い方を学ばねばなりません.換言すれば,診断や治療のAIをいかに上手く使いこなすかということにも共通する課題です.
 本書では自動診断の結果で注目すべき点,加えて確認すべき点などについて症例形式で解説し,重要な関連事項も明示します.著者らが日々の臨床の中で発見したピットフォールや教訓を惜しみなく紹介します.心電図の基本的な読み方は知っているが,心電図を基本としない医師,研修医や臨床検査技師の方々にとって簡単に読めて,明日からの読影に少しでもお役にたてるよう願って編集しました.
 本書は2年にわたって「月刊保団連」に連載された「心電図の生き字引」および「診療研究に掲載されたいくつかの原稿に加筆修正を加え再構成したものです.

2020年2月
三原純司
目次
本書を読む前に
症例1 陳旧性心筋梗塞と異常Q波
症例2 これってホントに左室肥大??―ニセの左室肥大を見抜くコツ―
症例3 中年女性の摩訶不思議なST-T変化
 コラム 中年女性のST-T変化は運動負荷でさらに下がる!
症例4 高血圧症例の検診心電図にみられた陰性U波―56歳女性―
症例5 心電図自動診断における心筋梗塞との診断をうのみにしない
 コラムaVR誘導
症例6 肥満による異常Q波
症例7 完全左脚ブロック(その1)
 掘り下げ解説① 完全左脚ブロックについて(その1)
症例8 感染左脚ブロック(その2)
 掘り下げ解説② 完全左脚ブロックについて(その2)
         ―間欠性左脚ブロックからレブ病,ルネーグル病まで―
症例9 レブ病
症例10 巨大陰性T波
 掘り下げ解説③ 巨大陰性T波について
症例11 左房負荷(拡大)のみの心電図自動診断があったら何を考えるか
 掘り下げ解説④ 巨大陰性T波とたこつぼ症候群
症例12 肥大型心筋症の診断―異常Q波の鑑別診断(非梗塞,非肥満例)―(その1)
症例13 肥大型心筋症の診断―異常Q波の鑑別診断(非梗塞,非肥満例)―(その2)
症例14 ブルガダ症候群(その1)
 掘り下げ解説⑤ ブルガタ型心電図波形について(その1)
症例15 ブルガダ症候群(その2)
 掘り下げ解説⑥ ブルガタ型心電図波形について(その2)
症例16 心室期外収縮
    ―検診で心室期外収縮と非特異的T波異常と自動診断された事例にどう対処するか―
 掘り下げ解説⑦ 心室期外収縮をどう判断するか
症例17 上室期外収縮について―不整脈を気づかせてくれた自動診断の実例―
症例18 左脚前枝ブロックについて
    ―「-75°」の孤立性左脚前枝ブロックをどう解釈するか―
症例19 心室内伝導遅延(その1)―QRS幅が128msで心室内伝導遅延が認められるが,
    健診無症状なのでこのまま放置してよいか?―
症例20 心室内伝導遅延(その2)―要精検とすべき心室内伝導遅延症例とは?―
 掘り下げ解説⑧ 心筋症について
症例21 心室内伝導遅延(その3) ―心室内伝導遅延にプラスして高度の軸偏位は要注意―
 掘り下げ解説⑨ septal qを通して心室中隔をのぞき,心室内伝導遅延から心室筋を探る
症例22 キザキザハートは心筋症(その1)
症例23 ギザギザハートは心筋症(その2)
 掘り下げ解説⑩ 拡張相肥大型心筋症
 コラム CRTDの適応
症例24 心室期外収縮(その1)
症例25 心室期外収縮(その2)
症例26 完全右脚ブロック+左軸偏位の心電図を見たら忘れてはならない大切な定石がある(その1)
症例27 完全右脚ブロック+左軸偏位の心電図を見たら忘れれはならない大切な定石がある(その2)復習
 掘り下げ解説⑪ 心筋症と心電図
おさらい講義1 誰でもわかる心サルコイドーシス症(その1)
おさらい講義2 誰でもわかる心サルコイドーシス症(その2)
症例28 検診の心電図でST低下を見た際の鑑別診断をどうしたらよいか?(その1)
症例29 検診の心電図でST低下を見た際の鑑別診断をどうしたらよいか?(その2)
 掘り下げ解説⑫ アルドステロンと抗アルドステロン薬の進歩
 コラム レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系だけではない昇圧・臓器障害作用
 コラム アルドステロンが増加せずにMR活性が上昇する状態
おさらい講義3 房室ブロックのいろいろ
症例30 房室ブロック(その1)
症例31 房室ブロック(その2)
 掘り下げ解説⑬ 房室ブロックについて
症例32 心房細動(AF)
 掘り下げ解説⑭ 心房細動と脳塞栓
おさらい講義4 DOACの動向
おさらい講義5 DOACの使い分けと扱い ―スコアからの選択と目的別選択―
症例33 QT延長症候群
 掘り下げ解説⑮ QT延長症候群について
症例34 WPW症候群
症例35 心アミロイドーシスは健診心電図でほぼ診断できる!
    ―とくに重要なコンビネーション診断―
 掘り下げ解説⑯ 心電図所見と心アミロイドーシス
コラム 関口教授のミニ講義 アミロイドーシス
おさらい講義6 漏斗胸
コラム 超高齢者で注意すべき心電図所見

巻末資料

著者あとがき
書評 1
検診の12誘導心電図の自動診断を解釈し,次の方針を立てる

丹野 郁(昭和大学江東豊洲病院 循環器内科)

 循環器専門医にとって,12誘導心電図は,非侵襲的で,簡便で,多くの情報を含み,有用な検査である.日本では健康診断という検診システムが充実しており,そこでは簡易に12誘導心電図検査が行われている.しかしながら,心電図診断,その解釈,その後の方針決定には専門的なトレーニングが必要である.このことは,循環器専門医以外の医師にとっては厄介な一面である.
 コンピューターの発達により,心電図は自動解析が可能となった.我々は心電図をとるだけで心電図診断が得られるのである.はたしてこの心電図自動診断を盲目的に信用していいか?そんなわけはない.心電図自動診断は年々改良されているが,心電図自動診断を有効に活用するには,循環器専門医の知識と経験が必要である.
 本書は,著者が病院勤務,病理学研究,開業医などを通して得られた心電図に基づいた循環器学の入門書といえる.心電図をきっかけに詳細な検査をへて診断に至った臨床例が,著者の解説に説得力を与える.章末に付けられる“本症例からの学び”は含蓄がある.本書で示されているように検診の心電図自動診断の判断には,年齢,性別,血圧,履歴,既往歴,家族歴,過去の心電図などの情報を考慮する必要がある.12誘導心電図だけで,心臓のすべてがわかるわけではない.様々な情報を加味して検診医の最終判定が下される.
 また本書には,心電図に関係する最新治療や基本的知識が“掘り下げ解説”や“おさらい講義”として,概説されている.そこには古典的な知識から最新の情報まで含まれている.
 本書は,心電図検診にかかわる医師だけではなく,研修医,一般内科医,循環器専門医などに広く勧められる.
書評 2
栗山 哲(東京慈恵会医科大学 客員教授/医療法人・三穂クリニック 院長補佐/(株)デンカ 主席産業医)

 この度,循環器専門医・三原純司先生著の「検診で使える!心電図自動診断とのつきあい方」と題する医学書が上梓されました.本書は,症例提示に基づいた自動心電図の読み方のノウハウに加え所見判定後,そこから「何を」学ぶかにまで言及されているユニークな心電図解説本の一つと思います.本書においては,知識の啓発のための「掘り下げ解説」や「おさらい講義」が記載され,そこでは基礎的事項から最新の情報まで解説されています.また,著者自身の診療の中からも,サルコイドーシスによる意識消失症例など貴重な臨床経験も加えられています.それに加え,日常臨床でしばしば遭遇する超高齢者における注意すべき心電図変化にも言及されている点も大きな特徴があります.
 検診医に限らず,実地医家にとっても自動心電図は極めて有用な診断ツールであり,その正確な解釈は患者生命予後にも大きく影響します.
 心電図の読みに関わる医家たるもの,日頃から本書を一冊手元に置き,疑問ある症例に遭遇した際には,一度はひも解く必要のある有益な解説書と思います.本書は,日頃の「臨床力アップ」のために役立つ座右の書となることと思います.
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