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在宅医療の質を高めるキーフレーズ

1版

医療法人ゆうの森 永井康徳 著

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • A5判  216頁
  • 2025年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-21521-7

ただ看取るだけでいいですか?

著者が提唱している在宅医療の質を高めるために大切な3つの柱,「理念」「システム」「人材」のなかでもとくに「理念」をまとめた書籍.
2000年に在宅医療専門の「たんぽぽクリニック」を開業して以来,著者が経験したエピソードとともに日本の在宅医療について著者の思いを語ります.
また,在宅医療に携わる医療従事者への後押しになるような著者の格言(キーフレーズ)をテーマごとに記載.本書を通じて,読者が現場で行き詰まったときの悩みをそっと解決してくれるような一冊に仕上がりました.

  • 序文
  • 目次
序文
 日本は高齢化が進み,在宅医療のニーズはこれからますます高まっていきます.高齢者人口が増え続ける中,多くの人が「自宅で最期まで自分らしく生きたい」と願っています.一方で,在宅医療を提供する診療所や病院も増加し,今後は「数をこなす在宅医療」ではなく,「質の高い在宅医療」こそが求められる時代になるでしょう.
 患者さんやご家族に「本当に選ばれる在宅医療」とは何か.それは,病院からの退院困難事例や医療処置の多い患者を断らずに受け入れ,24 時間365 日,生活やくらしの再編を支え,患者本人やご家族の希望に寄り添い,納得できる選択ができるように,人生の最期まで伴走する在宅医療に他なりません.
 私たちは,2000 年のクリニック開設以来,在宅医療の「地域の砦」として,困難な事例にも真正面から取り組んできました.訪問診療や訪問看護など自分たちの提供するサービスだけではなく,「専門職としてのサービス」や「患者さんやご家族の期待」を超えて,本当の意味で患者さんやご家族が満足して納得してもらえるようなサービスを提供していきたいものです.
 本書『在宅医療の質を高めるキーフレーズ』は,私たちのこうした実践から生まれた言葉を集めた一冊です.単なるノウハウ集ではなく,読者が「明日からの行動」に変えられるよう,在宅医療の本質と希望を言葉にしました.
 質の高い在宅医療をともに広げていきましょう.この本がその一助となることを願っています.

2025年4月
永井康徳
目次
第1章 医療の変革

01 超高齢社会から多死社会へ
02 「 治す医療」から「治し,支える医療」への変革
03 なぜ「自宅での看取り」が普及しないのか?
04 自然に逝くということ
05 誰のための医療なのか?
06 どんな状態でも家に帰ることはできます
07 できることとすべきことは違う
08 医療イノベーションとしての在宅医療
09 新しい医療のかたち
10 ポジティヴヘルス
11 ふじみ野市訪問診療医への銃撃事件に思うこと

第2章 多職種連携

12 自分の無力さを自覚することから多職種連携が始まる
13 在宅医療のバージョンアップ
14 患者さんの希望を叶える多職種チームになるために
15 患者さんの思いを叶えられるかどうかは専門職の「あきらめない気持ち」にかかっている
16 めざすのはDr. コトーか?
17 多職種連携に必要なこと

第3章 人生会議

18 なぜ意思決定支援が重要になってきたのか?
19 意思決定支援に重要な5 つのポイント
20 人生会議を在宅医療で実現しよう!
21 「人工透析を中止したい」と言われたとき
22 「延命治療をやめたい」と言われたとき
23 言葉は患者・家族の人生を左右する
24 患者さんと一度で信頼関係を築く方法

第4章 看取りの質を高める

25 「生きる」を支える訪問リハビリテーション
26 「生きがい」づくりのお手伝い
27 食支援は究極の多職種連携
28 食べることは生きること
29 医療を最小限にすると口から食べられる
30 管理栄養士が患者と家族にもたらす喜び
31 摂食嚥下栄養チーム「ドルチェ」の取り組み
32 「食べられる可能性」を見極めるフローチャート
33 在宅医療専門クリニックが「有床診療所」を作った理由
34 在宅医療専門クリニックが有する有床診療所の広がる可能性
35 何もしない見守る栄養指導
36 その人らしく「生ききる」ために重要なこととは?
  ~ALS 患者における意思の変遷と支援~

第5章 看取りの文化を変える

37 天寿と長寿
38 最期の入浴
39 亡くなる前に点滴はいらない
40 「終末期に点滴をしないこと」を納得してもらうために
41 家で臨終を迎えるとき
42 息を引き取る瞬間を誰かがみていなくてもいいんですよ①
43 息を引き取る瞬間を誰かがみていなくてもいいんですよ②
44 最期の3 日間,泊まれますか?
45 看取りのパンフレット
46 看取りの文化を変える!
47 「その人にとっての最善」を最期まで追求する
48 本人に告知しなくていいのか?
49 告知を通じて実現する穏やかな最期の迎え方
50 患者本人の思いを置き去りにしない告知
51 本人へどう告知するのか?
52 楽なほうがいいか,1 分1 秒長く生きるほうがいいか?
53 「納得できる看取り」を行うために
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