カテゴリー: 衛生・公衆衛生学
なるほどなっとく!公衆衛生学
1版
自治医科大学 名誉教授 中村好一 編
自治医科大学看護学部 教授 春山早苗 編
定価
2,750円(本体 2,500円 +税10%)
- B5判 346頁
- 2025年10月 発行
- ISBN 978-4-525-18501-5
医療人として,公衆衛生学を学び続ける力を育む
国家試験に対応した基礎知識をしっかり押さえながら,「健康」の視点から社会を読み解く力を育む公衆衛生学の教科書.
「なるほど」と理解が深まる解説,「なっとく」できる問いかけが満載のコラム,さらにページ横の注釈には用語解説やこぼれ話を添え,初学者にもやさしい構成となっている.
医療人として学び続ける力と考える力を養うための一冊.
- 序文
- 目次
序文
本書は,医療従事者養成課程における公衆衛生学の教科書として刊行したものである.類書はすでにいくつか存在するが,それらといかにして差異化を図るかが課題であった.編者は,公衆衛生学を生物学の特殊系である医学の一分野というよりも,人文科学系の社会学の健康を重点的に取り扱う学問と捉えている.そのため,本書は「健康」をキーワードにして,社会学的視点から現代社会を考えるきっかけとなるものを目指した.とはいえ,読者の多くは国家試験を控えており,これに合格することが当面の最大の目標である.そこで,本文は国家試験のための基礎知識を得ることができるように記述し,各所に設けたColumnではより深く考えるための素材を提示した.
学生時代の学習は,国家試験に合格するための基礎的なもので十分かもしれない.しかし,医学・医療の知識や技術は日進月歩であり,将来,目指す職種で免許を用いて長く仕事を続けるためには,生涯にわたる学習(新たな知識・技術の習得の継続)が不可欠である.実際,編者が大学を卒業した時点での知識を今も保持していたとしても,現在の国家試験には間違いなく合格できないだろう.一方で,「考える力」というものは一生役に立つし,他の分野でも応用可能である.この観点から,若いうちから考える力と,考えるための道具であるきちんとした日本語能力を養ってほしい(小学校では英語などを教えるよりも,まずは確かな日本語教育を徹底すべきではないだろうかと思う).
最近刊行された『出版という仕事』(筑摩書房)を読んだ.「本には“おもしろのマグマ”がある」という言葉に,今回の執筆・編集を通じて深く共感した.また,これまで何冊か本を執筆して抱いていた出版へのイメージを改めて実感することもできた.本を出版するというのは大変な作業なだけに,そのぶん完成の喜びは大きい.
最後に,本書の刊行にあたりお世話になった南山堂の関係各位,特に編集のみならず著者の調整などさまざまな面でご苦労をおかけした吉野琴絵氏に,心より御礼申し上げる.
2025年8月
編者を代表して
中村好一
学生時代の学習は,国家試験に合格するための基礎的なもので十分かもしれない.しかし,医学・医療の知識や技術は日進月歩であり,将来,目指す職種で免許を用いて長く仕事を続けるためには,生涯にわたる学習(新たな知識・技術の習得の継続)が不可欠である.実際,編者が大学を卒業した時点での知識を今も保持していたとしても,現在の国家試験には間違いなく合格できないだろう.一方で,「考える力」というものは一生役に立つし,他の分野でも応用可能である.この観点から,若いうちから考える力と,考えるための道具であるきちんとした日本語能力を養ってほしい(小学校では英語などを教えるよりも,まずは確かな日本語教育を徹底すべきではないだろうかと思う).
最近刊行された『出版という仕事』(筑摩書房)を読んだ.「本には“おもしろのマグマ”がある」という言葉に,今回の執筆・編集を通じて深く共感した.また,これまで何冊か本を執筆して抱いていた出版へのイメージを改めて実感することもできた.本を出版するというのは大変な作業なだけに,そのぶん完成の喜びは大きい.
最後に,本書の刊行にあたりお世話になった南山堂の関係各位,特に編集のみならず著者の調整などさまざまな面でご苦労をおかけした吉野琴絵氏に,心より御礼申し上げる.
2025年8月
編者を代表して
中村好一
目次
第1章 公衆衛生学概論・公衆衛生の歴史
A 公衆衛生とは何か?
B 健康とは何か?
C 個人衛生と公衆衛生
D 健康と貧困
E 健康保持のためには
F 予防の考え方
G プライマリ・ヘルス・ケア
H 公衆衛生の歴史
I 今日的な公衆衛生の視点
Column
公衆衛生を個人でやった男:中村 哲
日本国憲法
ナイチンゲールとナイチンゲール博物館
循環器疾患の予防
感染症
感染症の歴史は差別の歴史
公害と薬害
少子高齢化問題
外国人差別
第2章 保健福祉行政
A 保健福祉行政
B 保健行政
C 社会福祉行政
第3章 保健統計・疫学
A 疫学の概念
B 疾病頻度の指標
C 曝露効果の指標
D 疫学調査法
E スクリーニング
F 統計学の基礎
G 人口統計
H 保健統計調査
I 情報処理
第4章 健康増進,予防医学
A 健康増進とは何か?
B 予防医学とは何か?
C 予防医学に健康行動理論の活用
D 地域保健・健康増進事業の評価
Column
ゼロ次予防
第5章 医療制度,地域保健,倫理的問題
A 医療制度
B 地域保健
C 倫理的問題
Column
大野病院事件
助産師はなぜ女性だけなのか?
遺伝子検査の倫理問題
第6章 母子保健
A 母子保健とは何か
B 母子保健と子育て支援に関する主な法制度
C 母子保健と子育て支援に関する行政政策
D 妊産婦・乳幼児・児童に対する支援事業
E 思春期保健と生涯を通じた女性の健康支援
F 在留外国人の母子保健
Column
旧優生保護法
第7章 学校保健
A 学校保健とは何か
B 学校保健の実際
C 学校給食
D 子どもたちの健康課題
E 多様なニーズをもつ子ども
F 教職員のメンタルヘルス
Column
保健室のまなざし:応急手当の先にある子どもの支援
ケアとキュア
コロナ禍オンライン時の居場所づくり
第8章 成人保健
A 成人保健の理念と歴史的背景
B 成人保健と「健康日本21」
C 成人保健における生活習慣
D 生活習慣病(NCDs)の対策
E 難病対策
F 歯科保健対策
G 慢性閉塞性肺疾患(COPD)対策
H 生活機能の維持・向上
I 成人保健における支援体制と評価
Column
生活習慣病の名称について
社会経済的要因による格差について
第9章 高齢者保健福祉
A 高齢者の保健福祉対策と変遷
B 高齢者保健福祉に関する法制度と対策
C 介護保険制度
D 高齢者の保健事業と介護予防の一体化
E 人生の最終段階における医療・ケアの決定支援
F 高齢者の定期予防接種
第10章 産業保健
A 産業保健とは何か
B 産業保健の多様な対象者
C 労働衛生行政体系
D 安全衛生管理体制
E 産業保健の現状
F 産業保健活動の進め方
G 産業保健の健康課題と対策
H 配慮が必要な働く人のための制度
I 産業保健活動の連携・サポート体制
J 今後の課題
Column
産業保健看護職の法的位置づけ
産業保健における口腔保健
地域・職域連携推進協議会のメンバー
第11章 障害者(児)保健・福祉
A 障害者とは何か
B 身体障害者
C 知的障害者(児)
D 精神障害者
Column
精神障害者
肢体障害者補助犬
子どもの自殺
精神障害の予防
障害者の賃金
差別
第12章 環境保健
A 地球環境の保全
B 環境要因と健康
C リスクアセスメントとリスクマネジメント
第13章 栄養・食品保健
A 栄養・食生活
B 食品保健
C 食中毒
Column
ポジティブリストとネガティブリスト
外食産業の食べ残しの問題
食の安全と安心について
遺伝子組換え食品について
第14章 健康危機管理
A 健康危機管理分野
B 感染症分野
C 災害時の健康危機管理
D 食中毒による健康危機
E 飲料水の異常による健康危機
F 劇物・毒物による健康危機
Column
標準予防策
感染症の診査に関する協議会
潜在性結核感染症
診療報酬改定における感染症対策
近年発生した健康危機の主な事例
第15章 国際保健
A 国際保健とは
B 国際保健の主要な概念
C 世界の健康課題
D グローバル化する日本と在留外国人
E 日本の国際協力活動
F 国際保健に関わる国際機関の役割
Column
臓器移植と移植ツーリズム
在留外国人とのコミュニケーションに英語は必須か?
外国人が安心して医療を受けられるために
A 公衆衛生とは何か?
B 健康とは何か?
C 個人衛生と公衆衛生
D 健康と貧困
E 健康保持のためには
F 予防の考え方
G プライマリ・ヘルス・ケア
H 公衆衛生の歴史
I 今日的な公衆衛生の視点
Column
公衆衛生を個人でやった男:中村 哲
日本国憲法
ナイチンゲールとナイチンゲール博物館
循環器疾患の予防
感染症
感染症の歴史は差別の歴史
公害と薬害
少子高齢化問題
外国人差別
第2章 保健福祉行政
A 保健福祉行政
B 保健行政
C 社会福祉行政
第3章 保健統計・疫学
A 疫学の概念
B 疾病頻度の指標
C 曝露効果の指標
D 疫学調査法
E スクリーニング
F 統計学の基礎
G 人口統計
H 保健統計調査
I 情報処理
第4章 健康増進,予防医学
A 健康増進とは何か?
B 予防医学とは何か?
C 予防医学に健康行動理論の活用
D 地域保健・健康増進事業の評価
Column
ゼロ次予防
第5章 医療制度,地域保健,倫理的問題
A 医療制度
B 地域保健
C 倫理的問題
Column
大野病院事件
助産師はなぜ女性だけなのか?
遺伝子検査の倫理問題
第6章 母子保健
A 母子保健とは何か
B 母子保健と子育て支援に関する主な法制度
C 母子保健と子育て支援に関する行政政策
D 妊産婦・乳幼児・児童に対する支援事業
E 思春期保健と生涯を通じた女性の健康支援
F 在留外国人の母子保健
Column
旧優生保護法
第7章 学校保健
A 学校保健とは何か
B 学校保健の実際
C 学校給食
D 子どもたちの健康課題
E 多様なニーズをもつ子ども
F 教職員のメンタルヘルス
Column
保健室のまなざし:応急手当の先にある子どもの支援
ケアとキュア
コロナ禍オンライン時の居場所づくり
第8章 成人保健
A 成人保健の理念と歴史的背景
B 成人保健と「健康日本21」
C 成人保健における生活習慣
D 生活習慣病(NCDs)の対策
E 難病対策
F 歯科保健対策
G 慢性閉塞性肺疾患(COPD)対策
H 生活機能の維持・向上
I 成人保健における支援体制と評価
Column
生活習慣病の名称について
社会経済的要因による格差について
第9章 高齢者保健福祉
A 高齢者の保健福祉対策と変遷
B 高齢者保健福祉に関する法制度と対策
C 介護保険制度
D 高齢者の保健事業と介護予防の一体化
E 人生の最終段階における医療・ケアの決定支援
F 高齢者の定期予防接種
第10章 産業保健
A 産業保健とは何か
B 産業保健の多様な対象者
C 労働衛生行政体系
D 安全衛生管理体制
E 産業保健の現状
F 産業保健活動の進め方
G 産業保健の健康課題と対策
H 配慮が必要な働く人のための制度
I 産業保健活動の連携・サポート体制
J 今後の課題
Column
産業保健看護職の法的位置づけ
産業保健における口腔保健
地域・職域連携推進協議会のメンバー
第11章 障害者(児)保健・福祉
A 障害者とは何か
B 身体障害者
C 知的障害者(児)
D 精神障害者
Column
精神障害者
肢体障害者補助犬
子どもの自殺
精神障害の予防
障害者の賃金
差別
第12章 環境保健
A 地球環境の保全
B 環境要因と健康
C リスクアセスメントとリスクマネジメント
第13章 栄養・食品保健
A 栄養・食生活
B 食品保健
C 食中毒
Column
ポジティブリストとネガティブリスト
外食産業の食べ残しの問題
食の安全と安心について
遺伝子組換え食品について
第14章 健康危機管理
A 健康危機管理分野
B 感染症分野
C 災害時の健康危機管理
D 食中毒による健康危機
E 飲料水の異常による健康危機
F 劇物・毒物による健康危機
Column
標準予防策
感染症の診査に関する協議会
潜在性結核感染症
診療報酬改定における感染症対策
近年発生した健康危機の主な事例
第15章 国際保健
A 国際保健とは
B 国際保健の主要な概念
C 世界の健康課題
D グローバル化する日本と在留外国人
E 日本の国際協力活動
F 国際保健に関わる国際機関の役割
Column
臓器移植と移植ツーリズム
在留外国人とのコミュニケーションに英語は必須か?
外国人が安心して医療を受けられるために