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カテゴリー: 衛生・公衆衛生学  |  保健/福祉/介護

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失敗しない!動機づけ面接

明日からの産業保健指導が楽しくなる

1版

予防医療研究所 代表 磯村 毅 著

定価

2,640(本体 2,400円 +税10%)


  • B5判  135頁
  • 2019年2月 発行
  • ISBN 978-4-525-18401-8

ちょっと待って!その保健指導,まちがっていますよ.

あなたが真剣に指導すればするほど,相手は心を閉ざしてしまう.どうしたら本人に寄り添った保健指導面接ができるのか.このように悩んでいる産業保健スタッフの方のために,予防医療研究所の所長であり全国各地で動機づけセミナーを行っている著著が,臨場感あふれる具体的な事例をふんだんに用いながら,保健指導が楽しくなる秘訣を伝授する.

  • 序文
  • 目次
序文
 産業保健の分野において,動機づけ面接に対する関心が高まっています.これはこの分野において,従来の有害業務に起因する作業関連疾患や生活習慣病予防に加え,メンタルヘルスや過重労働が課題となり,業務量や守備範囲が広がると同時に,より専門的な面接のスキルが求められるようになったためと思われます.
 本書では,産業保健領域の事例をふんだんに用いながら,初学者からベテランまで,様々な角度から役立つように工夫しました.一つ一つの事例について,個々のセリフに現れた話し手や聞き手の心境を想像したり,面接を進める理論的な背景を考えたり,全体の雰囲気や流れを味わったり,楽しみながら学んでいただければと思います.
 ところで,産業保健分野で行われる面接にはクリニックや病院での面接と比べて,どのような特徴があるでしょうか.それは,医療機関に訪れる患者さんは通常,何らかの症状があり自ら望んで受診されるのに対し,保健スタッフが就業者へ行う面接は必ずしも本人が希望して行われるものとは限らないということがあるでしょう.また,一般の就業者の保健に対する知識は誤解も多く,しばしば不足しており,正確な情報を腹落ちする形で伝える必要もあります.しかも,現状ではこうした自らは望まない動機の低い人を相手に,限られた回数・時間内で面接を行わなければなりません.改めて考えてみると,なかなか大変な仕事だと思います.私自身,いつも面接の後には,これで良かったのだろうかとか,別の関わりかたはなかったかと考えていたりします.ただ,この動機づけ面接を学ぶことで,面接を行う基礎ができ,気持ちが少し楽になり,面接が楽しいと感じられる時が増えてきました.そして,仲間に動機づけ面接という方法の存在を伝えることで,同じように感じる人が増えてきました.
 動機づけ面接の魅力とは何か.なかなか一言では言い表せないところですが,個人的には,動機づけ面接を学ぶことで,まずは人間に対する理解が深まり,ついで人と関わりを結ぶ助けとなり,そしてその人の建設的な変化への手助けができること.さらには,実はこれが隠れた最大の理由かもしれませんが,動機づけ面接を学ぶことで,ともすれば緊張感が走り苦しかったかもしれない面接業務が,リラックスして楽しいものに変わる,そんな変化が支援者の側にも起きたりすることだと思います.そんな変化が読者のみなさんにも起きることを願いつつ,一緒に勉強していきましょう.
 末尾となりましたが,本書は私一人の力でできたものではありません.動機づけ面接ファシリテーターネットワーク(MINF)の研修プログラムCFP(ケースフィードバックプログラム)で扱われた事例から多くのヒントをいただきました.特に後藤英之さん,中根弥枝さん,石田日富美さん,三条匠さんには得難い協力を賜りましたこと,改めてお礼申し上げます.

2018年12月
磯村 毅
目次
第1章 産業保健の特徴と動機づけ面接
1.産業保健面接の落とし穴 その1 ― 正したい反射 ―
 ・正したい反射(Righting Reflex)
2.産業保健面接の落とし穴 その2 ― 両価性 Ambivalence ―
3.3つのコミュニケーションスタイル
4.方向性のある傾聴

第2章 現地現物 事例で学ぶ動機づけ面接
1.学習者の学ぶ4 大領域と面談プロセスとの関係
2.ステップ1:動機づけ面接の精神(PACE)
 ・アセスメント&解決策提示の面接
 ・動機づけ面接の精神(PACE)から「受容」と「協働」
 ・両価性と不協和
 ・動機づけ面接の精神(PACE)から「喚起」と「思いやり」
 ・「 4 つのプロセス」でみると
3.ステップ2:関わる(OARS)と情報提供
 ・R:聞き返し① 本人の気づきを促す聞き返し
 ・情報提供 水平な関係を保った情報提供
 ・A:是認 元気とやる気を生みだす
 ・R:聞き返し② 行動を後押しする聞き返し
 ・O:開かれた質問 来談者の力を引き出す開かれた質問
 ・S:要約 チェンジトークをまとめて花束に
 ・正確な共感と是認
4.ステップ3:焦点化し引き出す
 ・フォーカスを定める
 ・意見がずれた場合は
 ・チェンジトークの種類
 ・目指すべきチェンジトークとは
 ・チェンジトークへの応答
 ・チェンジトークには控えめに
 ・チェンジトークが出にくい場合
 ・この事例のキモは?
 ・OARS でみてみると
 ・4 つのプロセスで見ると
 ・MI の精神(スピリット)から見ると
 ・戦略的なチェンジトークの引き出し方
 ・さまざまなチェンジトークを引き出す方法
 ・抵抗への応答:不協和と維持トーク
 ・維持トークへの応答
 ・さまざまな聞き返し
 ・面接全体の流れを考える〜中級者のわな
 ・できていることは?
 ・別のやり方でやってみるとしたら
 ・中級者の課題
 ・MI の丘を登る大きな視点 〜矛盾の拡大
 ・MI の丘を登る大きな視点 〜 V 字モデル
5.ステップ4:計画を固める
 ・唯一の明確なプランがある場合
 ・明確化とトラブルシューティング
 ・いくつかの計画から選ぶ場合
 ・選択肢は3 つ以上同時に
 ・非表出のコミットメント言語(Covert Commitment)
 ・一から計画を考える場合
 ・例外探し・スモールステップなど
 ・専門性や組織の特徴を活かす
 ・EPE による情報提供
6.中立の動機づけ面接
 ・アセスメントフィードバック
 ・セルフケアを動機づける
 ・損得の比較をしたわけ
 ・自己効力感のサポート
 ・EPE による情報提供
7.動機づけ面接の学び方

第3章 動機づけ面接の基礎知識の整理
 ・動機づけ面接の定義
 ・動機づけ面接の主な特徴
 ・3 つのコミュニケーションスタイル
 ・動機づけ面接のスピリット(PACE)
 ・MI 一致とMI 不一致
 ・OARS を行う際の注意
 ・話が堂々巡りになったときに考えること
 ・複雑な聞き返しの強弱と深さ
 ・複雑な聞き返しのヒント
 ・チェンジトークの種類
 ・4 つのプロセスとMI の丘
 ・チェンジトークへの応答
 ・チェンジトークを引き出す方法
 ・抵抗への応答
 ・計画のプロセスでの注意点
 ・情報提供の方法
 ・学習にコーディングを生かす(動機づけ面接の評価方法)

〈巻末資料〉
動機づけ面接で使われる用語・解説
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