南山堂

カートを見る

カテゴリー: 生化学  |  教養課程の医学教科書

立ち読み
注文数:

在庫あり

わかる!身につく!

生物・生化学・分子生物学

改訂2版

元 千葉大学大学院理学研究科 教授 田村隆明 著

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • B5判  309頁
  • 2018年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-13142-5

生物未履修者にもわかりやすく,身近な話題や時事トピックスからワクワク学べる入門書

高校生物未履修・復習のための「生物編」,高校化学未履修でも基礎からよくわかる「生化学編」,バイオテクノロジーや医療の応用まで身につく「分子生物学編」の3部構成からなる好評の入門テキスト.わかりやすい解説と医療ノート,疾患ノートなど薬学・医療系学部学生の学習を助けるコラム,視覚的にとらえやすいイラストや図を多数掲載.

  • 目次
  • 序文
目次
第I部 生物編

1章 生物の種類
 A 生物の特徴
  a 生物は自己増殖する
  b 生物は細胞からなる
   解説 リケッチアやクラミジアは生物

 B 真核生物と原核生物
   POINT 古細菌
   Column 細胞内共生説

 C 生物を5つに分類する
  a 一般的な生物の分類法:五界説
  b 動物の分類
   こぼれ話 ヒトの腸管形成では口が最後にできる

 D 動物の中におけるヒト
  a 生物分類上のヒト
   余談 種の定義
  b ヒトの特徴
   Column 人類の系譜
   こぼれ話 ミトコンドリア・イブ

発展学習 ウイルス:細胞内で増える病原性粒子
 1.ウイルスとは
 2.ウイルスの増殖
  余談 ウイルスの意味は病毒
 3.ヒトに感染するウイルス2

2章 細胞:構造,複製,機能
Ⅰ 細胞の構造
 A 細胞は生物の最小単位
  a 細胞の大きさ
  b 細胞の形

 B 真核細胞の構造
  1.細胞の構成要素
  2.細胞膜
  3.植物細胞
   解説 細菌の細胞

 C 細胞小器官
  a 核
  b 小胞体
  c ゴルジ体
   解説 中心体
  d ミトコンドリア
   健康ノート ミトコンドリア病
  e その他の細胞小器官

Ⅱ 細胞の複製
 D 細胞周期とその制御
  1.細胞増殖の周期性
  2.細胞周期を推進する仕組み
   疾患ノート がんと細胞周期とRb
  3.細胞周期の異常をチェックする

 E 細胞分裂
  POINT 有糸分裂の過程

Ⅲ 細胞機能
 F シグナルの受容と伝達
  1.細胞外のシグナル(情報)を受け取る場所:受容体
  2.受容体で受け取ったシグナルを細胞内に伝える:細胞内シグナル伝達
   POINT 細胞内シグナル伝達に使われる因子
   POINT セカンドメッセンジャー

 G 物質の取り込みと排出
  1.細胞膜に埋め込まれている輸送装置
   POINT 輸送装置の種類
   こぼれ話 胃の内部はなぜ酸性?
  2.膜の流動性で起こる物質移動

 H 細胞運動
  1.細胞骨格タンパク質
   POINT 細胞骨格タンパク質の種類
  2.モータータンパク質と細胞運動
   解説 筋収縮

3章 生殖,受精,胚発生
 A 生 殖
   POINT 生殖方式
  1.無性生殖
   Column 体細胞クローン
   解説 核 相
  2.有性生殖
   POINT 世代交代
   解説 単為生殖
   こぼれ話 なぜ有性生殖があるのか?

 B 配偶子の形成
  1.減数分裂
   POINT 減数第一分裂前期の過程
  2.精子形成と卵形成

 C 受精から胚発生
  1.脊椎動物の受精
  2.胚の成長
   解説 分化と幹細胞

 D ヒトの発生
  1.性周期
  2.排卵から出産
   疾患ノート ニンシン(妊娠)とニンジン?

4章 いろいろな組織と器官
 A 組 織
  a 上皮組織
   POINT 上皮組織の種類
  b 結合組織
  c 神経組織
  d 筋肉組織

 B 血 液
  1.血液とは
  2.血液の働き:ガス交換と免疫
  3.血液凝固
   解説 HLA
   Column 血液型

 C 器官と器官系

5章 遺伝現象
 A 生物には遺伝という現象が見られる
   POINT 遺伝に関する用語

 B メンデル遺伝学
  1.メンデルの法則1:優性の法則
   解説 雑 種
  2.メンデルの法則2:分離の法則
   余談 劣性の遺伝子がつくる産物は?
  3.メンデルの法則3:独立の法則
   解説 集団遺伝のしくみ

 C さまざまな遺伝の様式
  1.1遺伝子が示す現象
   疾患ノート 鎌状赤血球貧血の原因遺伝子がなくならない理由
  2.2遺伝子の相互作用で現れる現象
   解説 細胞質遺伝

 D 変 異
  1.環境変異と突然変異
   解説 相変異
   POINT 純系とクローン
  2.突然変異はDNAの塩基配列の変化
   解説 体細胞変異


第II部 生化学編

6章 分子と生体成分
 A 元素と原子
  1.人体に含まれる元素
  2.原子の構造
   医療ノート 使える放射性同位元素
  3.電子とイオン

 B 分 子
  1.分子は原子が共有結合で結合したもの
   POINT モル
   POINT ダルトン
   これはぜひ覚えよう 分子構造式
   解説 共有結合以外の結合
  2.分子は大きさや組成の違いで分類できる
   解説 基とは?
   余談 有機物は生命力によってのみつくられる?
  3.ヒトに含まれるおもな分子
   POINT 混合物

 C 水と溶液
  1.水:最も大事な分子
  2.溶けるということ
   解説 界面活性と乳化
   POINT ゲルとゾル
   便利ノート 量の大小を表す
   POINT 濃度表現
  3.水溶液の性質
   疾患ノート 浸透圧とむくみ
   余談 海の魚は塩辛くない
   解説 生物と電気

7章 生化学反応と代謝
 A 化学反応の概要
  1.化学反応と化学反応式
  2.化学反応の特徴と法則
   解説 活性化エネルギー
   解説 律速反応

 B 化学反応でのエネルギー
   POINT エネルギー量と熱量
   Column エントロピー増大の法則

 C 生体内化学反応:代謝
  1.代謝:異化と同化
  2.エネルギー代謝と反応の共役
   解説 二次代謝
   解説 脱共役
   医療ノート 薬物代謝
   POINT 代謝式
  3.代謝経路

8章 酵素:反応速度を高め,代謝を調節するタンパク質
 A 酵素の性質
  1.酵素は生体触媒
  2.酵素反応の至適条件と特異性

 B 酵素反応の理論
  1.酵素反応の速度
   POINT 初速度
  2.酵素反応の阻害
   解説 活性中心
   解説 酵素活性測定法

 C 酵素の種類と作用
  a 酸化還元酵素
  b 転移酵素
  c 加水分解酵素
  d 脱離酵素
  e 異性化酵素
  f 合成酵素
   POINT シンターゼ
   解説 酵素命名法
   POINT アイソザイム

 D 補酵素

 E 酵素活性の調節
  1.緩やかな結合による活性調節
  2.共有結合の変化がかかわる酵素の修飾
   解説 反応のカスケード

 F 医療と酵素
  1.医薬と酵素
   解説 新しい抗インフルエンザ薬
  2.酵素検査

9章 糖質とその代謝
Ⅰ 糖質の種類
 A 糖質の構造的特徴
  1.糖質とは
   余談 糖質か炭水化物か
  2.糖は水中で環状構造をとる
  3.糖の異性体
   解説 光学異性体と不斉炭素
   余談 糖の構造は簡略化して表記される

 B 単 糖
  1.基本となる糖
  2.単糖の誘導体
   健康ノート 糖アルコールはダイエット向き
  3.アルコールも糖に分類される
   POINT フェノール類

 C オリゴ糖
   こぼれ話 甘みを人為的に高めた転化糖

 D 多 糖
  1.ホモ多糖
   解説 ヨウ素デンプン反応
   Column セルロースを食べる動物
  2.ヘテロ多糖

 E 複合糖質
  1.プロテオグリカン
  2.糖タンパク質と糖脂質

Ⅱ 糖質の代謝
 F 解糖系
  1.解糖系での反応
  2.解糖系の意義とエネルギー産生
  3.発 酵
   POINT バイオエタノール
   健康ノート 飲酒で見られる代謝

 G グリコーゲン代謝
  1.グリコーゲンの合成と分解
   健康ノート エネルギー貯蔵と肥満
  2.グリコーゲン代謝の調節

 H クエン酸回路
  1.クエン酸回路はミトコンドリアにある
   解説 クエン酸回路の調節
  2.クエン酸回路までのATP収支
   Column 呼吸と燃焼

 I 糖新生:グルコースを再生する
  1.糖新生経路
  2.糖新生の生理的意義
   解説 乳酸を介する個体内のグルコース再利用:コリ回路

 J ペントースリン酸回路
  a 循環経路
  b 意 義

 K グルクロン酸経路
   健康ノート ビタミンCの摂取
   解説 ABO式血液型物質は糖鎖
   解説 グルコース以外の単糖の利用
   解説 複合糖質の合成
   余談 血液型に関する都市伝説

 L 糖代謝にかかわる疾患


10章 生体エネルギーとATP合成
 A 生体内酸化還元
  1.細胞内呼吸の概要
  2.酸化と還元
  3.電位差はエネルギーを生む
  4.補酵素を介する電子の移動
   解説 水素の多い有機物はエネルギー含有量も多い

 B 高エネルギー物質:ATP
  a エネルギーの取り出し
  b エネルギー利用
   解説 ATP合成の3つの様式

 C 電子伝達系とATP合成
  1.電子伝達系
  2.ミトコンドリアにおけるATP合成
   解説 サプリメントにもなっている補酵素Q
   余談 プロトンの移動による酵素活性化と胃酸との関係
   Column 脳や筋肉ではATP合成量が2mol少ない?!
   解説 生命維持に酸素が必要な理由
   こぼれ話 青酸カリの毒性の正体

11章 脂質とその代謝
Ⅰ 脂質の種類
 A 脂肪酸と中性脂肪
  1.脂肪酸の種類
   健康ノート 中鎖脂肪酸とダイエット
   余談 油と脂
   解説 脂肪酸の水溶性
   解説 不飽和脂肪酸のω系列
   Column トランス脂肪酸は健康をむしばむ?!
  2.エイコサノイド
  3.中性脂肪
   余談 ロウ

 B 複合脂質
  1.リン脂質
  2.糖脂質

 C ステロイドとテルペノイド
  1.ステロイド
  2.テルペノイド

 D タンパク質結合脂質とリポタンパク質

Ⅱ 脂質の代謝
 E 脂肪酸の分解
  1.トリグリセリドの分解
  2.β酸化
   解説 ペルオキシソームでのβ酸化は熱発生にかかわる
  3.ケトン体の生成
   疾患ノート ケトーシスとアシドーシス

 F 脂肪酸の合成
  1.アセチルCoAの準備
  2.脂肪酸合成反応
   健康ノート パントテン酸と脂肪酸合成

 G ホスファチジン酸を経由するトリグリセリドとリン脂質の合成
  a トリグリセリド合成
  b グリセロリン脂質合成
   医療ノート アラキドン酸カスケードと抗炎症薬

 H ステロイドの合成
  1.コレステロールの合成
   医療ノート 抗コレステロール薬
  2.ステロイドホルモンの合成

 I 生体における脂質の貯蔵と輸送
  1.食事で摂ったトリグリセリドの運搬,利用,貯蔵
  2.血中リポタンパク質と脂質の動態
   健康ノート LDLは悪玉コレステロール?!

 J 脂質異常症
  1.脂質異常症
  2.スフィンゴ脂質代謝異常
   こぼれ話 悪役コレステロールに助け船?

12章 アミノ酸とタンパク質
 A アミノ酸
   こぼれ話 プロテイン(protein)?蛋白(eiweiss)?
  1.アミノ酸の構造
  2.アミノ酸の物理化学的性質
   解説 アミノ酸の役割
   POINT 紫外線によるタンパク質測定

 B ペプチド
  a 結合様式
  b 種 類
   余談 アスパルテーム

 C タンパク質
  1.タンパク質の高次構造
   こぼれ話 パーマ液はなぜ臭い?
  2.タンパク質の変性
  3.タンパク質の分類
   解説 タンパク質の分離・精製
   Column タンパク質の構造解析

13章 窒素化合物の代謝
Ⅰ アミノ酸代謝
 A タンパク質・アミノ酸代謝の意義

 B アミノ酸の分解
  1.アミノ酸からの窒素の除去
   医療ノート AST/GOTとALT/GPT
  2.除去したアンモニアの無毒化:尿素回路
   余談 動物における窒素の排出
   疾患ノート 高アンモニア血症
  3.アミノ基が外れた炭素骨格の代謝:糖・脂質代謝経路への基質供給

 C アミノ酸の合成
  1.アンモニア窒素の同化
   余談 植物や細菌の窒素代謝
  2.あるアミノ酸からのほかのアミノ酸の合成

 D アミノ酸からつくられる窒素化合物
  a アルギニン,グリシンからのクレアチンリン酸合成
   疾患ノート クレアチンリン酸代謝がかかわる疾患
  b チロシンを前駆体とする物質
  c メチオニンを前駆体とする物質
  d アミノ酸からのモノアミン生成
  e その他の経路

 E アミノ酸代謝異常症
  a フェニルアラニンとチロシン
  b その他のアミノ酸

Ⅱ ヌクレオチド代謝
 F ヌクレオチドの新生合成
  a プリンヌクレオチド
  b ピリミジンヌクレオチド
  c デオキシリボヌクレオチドの合成
   余談 呈味性ヌクレオチド
   医療ノート ヌクレオチド合成阻害と抗がん剤

 G ヌクレオチドの分解と再利用
  1.ヌクレオチド分解代謝
  2.ヌクレオチド再合成経路

 H ヌクレオチド代謝にかかわる疾患
  a 痛 風
  b HGPRTやADAの欠落

Ⅲ ポルフィリン代謝
   解説 ヘムタンパク質

 I ヘムの合成
   POINT ヘモグロビン

 J ヘムの分解とビリルビンの代謝
   解説 鉄の貯蔵と代謝
   疾患ノート ビリルビンと黄疸

Ⅳ 代謝系のまとめ
 K 代謝の相互作用と全体像

14章 ホルモンと生体調節
 A ホルモンとは
  a 内分泌物質
  b 作用機構

 B それぞれの器官から分泌されるホルモン
  1.視床下部のホルモン
   Column 睡眠を誘導するホルモン:メラトニン
  2.下垂体のホルモン
  3.甲状腺ホルモン
  4.副甲状腺ホルモン
  5.膵臓のホルモン
  6.副腎のホルモン
   医療ノート 合成ステロイド
   疾患ノート クッシング症候群
  7.性腺のホルモン
  8.消化管ホルモン
  9.その他の器官や組織から分泌されるホルモン

 C ホルモンおよびその関連物質による生体制御
  1.ホルモン分泌の階層性と相互作用および神経支配
  2.血糖量の調節
  3.ホルモン様の生理活性物質:オータコイド
  4.水分と塩分の調節
  5.血圧の調節
   解説 レニン-アンジオテンシン系
   疾患ノート ホルモン関連疾患
   解説 サイトカイン
   健康ノート ビタミン
  6.脂肪細胞が分泌する生理活性物質

15章 栄養素の消化・吸収
 A 栄養の摂取と生命維持
  1.消 化
  2.ヒトの栄養摂取
   こぼれ話 体重あたりの必要熱量
   健康ノート 栄養指数

 B 消化系の構造と機能
  1.概 要
  2.口
   疾患ノート シェーグレン症候群
   疾患ノート おたふく風邪
  3.胃
   Column 胃や腸の疾患とピロリ菌
   こぼれ話 キモシン
  4.膵 臓
  5.肝 臓
  6.小 腸
   こぼれ話 高分子の栄養はそのまま身につくことはない
  7.大 腸

 C 栄養素の消化と吸収
  1.糖質の消化
  2.脂質の消化・吸収
  3.タンパク質の消化・吸収
  4.その他の物質
   解説 水分の吸収と下痢

 発展学習 生態系における食物の獲得
  1.生物群集と食物連鎖
  2.植物による光合成

第III部 分子生物学編

16章 遺伝子=DNA
Ⅰ 遺伝子の探究
 A 遺伝子の特徴
  1.遺伝子が備えるべき条件
  2.遺伝子の働き:遺伝子はタンパク質をつくる
  3.突然変異
   Column タンパク質をつくらない遺伝子もある
   健康ノート X線の浴びすぎに注意

 B 遺伝子と染色体
  1.遺伝子は染色体にある
  2.連鎖と染色体地図
   POINT センチモルガン
   こぼれ話 メンデルの策略

 C 遺伝子がDNAであることを示した実験
  1.肺炎球菌を使った感染実験
   POINT 形質転換
  2.ファージを使ったブレンダー実験
  3.鎌状赤血球貧血の解析からわかったこと

Ⅱ DNAの構造と性質
 D DNAの構造
  1.DNAの化学組成
  2.DNAの化学構造
   POINT プリン塩基とピリミジン塩基
   解説 ヌクレオチドとヌクレオシドの呼び名
   POINT 環状DNA
  3.DNAの立体構造:二重らせん構造の発見

 E DNAの性質
  1.一本鎖になり,また二本鎖に戻る
   解説 細胞からのDNA抽出方法
  2.紫外線を吸収する
  3.場合により切断される
   解説 核酸分解酵素
   Column DNA超らせん

17章 ゲノム,染色体とDNA複製
 A ゲノムと染色体
  1.ゲノム
   こぼれ話 散在性反復配列は増えて移る!
  2.染色体
   解説 染色体の3つの要素
  3.染色体異常と疾患
   余談 一風変わった染色体をもつ生物

 B DNA複製の概要
  1.半保存的複製
  2.複製は複製起点から両方向に進む

 C 複製酵素:DNAポリメラーゼ
  1.DNA合成の特徴
  2.複製における合成の誤りを直す
  3.逆転写酵素:RNAを鋳型にDNAをつくる
   解説 DNAポリメラーゼⅠ

 D 連続複製と不連続複製
  1.複製のフォーク
  2.ラギング鎖の合成
   Column 細胞寿命と染色体複製の密接な関連
   解説 DNA塩基配列の解析
   解説 ミトコンドリアDNA

 発展学習 プラスミドと薬剤耐性
  1.プラスミドとは
  2.大腸菌のプラスミド
  3.耐性プラスミドと耐性菌
  4.耐性菌の出現と医療上の問題
   医療ノート 抗生物質
  5.もっと深刻な問題:多剤耐性菌と院内感染
  6.抗生物質の適正使用の重要性

18章 DNAを元にRNAをつくる:転写
 A RNA(リボ核酸)
  1.RNAの構造
   POINT RNAの構造(DNAとの違い)
  2.RNAの種類と働き
   Column かつて生命はRNAで支配されていた:RNAワールド

 B 転写反応
  1.真核生物のRNAポリメラーゼと転写機構
   POINT おもなRNAポリメラーゼの種類と性質
   解説 センス鎖,プラス鎖
  2.ゲノムの転写
   解説 細菌の転写

 C 転写調節
  1.遺伝子発現の特異性
  2.エンハンサー(転写調節配列)
   POINT 遺伝子が機能するための2つのDNA要素
  3.転写調節にかかわる因子
  4.クロマチンを介する転写調節
   解説 後成的遺伝
   Column ゲノム刷り込み

 D 細菌に見られる転写調節

 E RNAの成熟
  1.新生RNAの加工
  2.スプライシング
   Column RNAi:RNAを使って遺伝子の働きを抑える

 F 転写調節と疾患
   こぼれ話 性ホルモンと環境ホルモン

19章 タンパク質合成:翻訳
 A 翻訳の概要

 B 遺伝暗号
  1.コドン
   解説 コドン解読法
  2.mRNAにある読み枠

 C 翻訳機構
  1.リボソームとtRNA
  2.翻訳の開始,伸長,終結
  3.アミノ酸連結反応:ペプチドの生成

 D タンパク質の加工,輸送,分解
  1.タンパク質の成熟
  2.タンパク質の移動
  3.不要タンパク質の分解
   POINT タンパク質折りたたみ
   Column プリオンと脳細胞の死

20章 DNAのダイナミックな側面─組換え,損傷と修復,突然変異─
 A DNAの組換え
  1.相同組換え
   疾患ノート 遺伝病と多因子疾患
   Topics 組換えを利用して細胞から遺伝子を消し去る
  2.非相同組換え

 B DNAの損傷とその修復
  1.DNA損傷の原因と種類
  2.損傷を受けたDNAは修復される
   疾患ノート 修復機能の欠損が原因の病気
   こぼれ話 早期老化症の原因

 C 突然変異
  a 変異の種類と規模
   解説 DNA傷害剤,変異原と抗がん剤
  b 変異原
   解説 ゲノム多型
   解説 突然変異と生物多様性,進化
   Column 子孫に遺伝しない突然変異:体細胞突然変異

21章 細胞のがん化
 A 疾患としてのがんとその分類
  1.がんは最も重要な疾患
  2.がんとは
   疾患ノート イボ(疣)やコブ(瘤)はいずれがんになる?

 B がん細胞の特徴
  1.高い増殖能
  2.変化した細胞特性

 C がん化の原因
  1.遺伝子の突然変異
   解説 アポトーシス
  2.発がん物質,発がん要因
   疾患ノート ピロリ菌と発がん

 D ウイルス発がん
  1.がんウイルス
  2.DNAがんウイルス
   Column レトロウイルスの生活環
   疾患ノート エイズとHIV1
  3.RNAがんウイルス

 E がんにかかわる遺伝子
  1.がん遺伝子
  2.がん抑制のプロセスとがん抑制遺伝子
   POINT ヘテロ接合性消失
   解説 DNAがんウイルスはがん抑制遺伝子を抑える

 F がん進展のプロセス
  1.がんの悪性度と突然変異の積み重ね
   こぼれ話 がんの芽は早くからできている?
  2.組織でのがん組織進展

22章 分子生物学的技術とその応用
 A DNA組換え技術
  1.制限酵素とDNAリガーゼで組換えDNAをつくる
  2.組換えDNAを細胞の中で増やす:クローニング
  3.mRNAからつくったDNAを元にインスリンをつくる
   POINT 遺伝子工学とタンパク質工学
   解説 細胞や個体にDNAを入れる
   Column 遺伝子導入動物
   余談 遺伝子組換え作物

 B PCRと遺伝子診断
  1.PCRの原理
   解説 電気泳動
  2.PCRを応用した診断と検査
   こぼれ話 ツタンカーメンの死因
   Column DNA鑑定

 C ゲノム編集

 D 再生医療
  1.再生医療とは
  2.万能細胞:ES細胞
  3.遺伝子を使った人工的万能細胞:iPS細胞
   余談 ES細胞か,iPS細胞か
   こぼれ話 ヒト型ブタ?

 E 遺伝子治療
  1.遺伝子治療の目的
  2.治療の実際と問題点
   医療ノート RNA抗体とDNAワクチン

 F 抗体医薬
   解説 分子標的薬

章末問題:学習内容の再Check!の解答

和文索引
欧文索引
序文
 2011年に刊行され,多くの読者に利用されてきた「わかる! 身につく! 生物・生化学・分子生物学」が,今般,改訂の運びとなった.
 本書は生物学,とりわけ基礎生物学を土台にし,その上に生化学という柱を立て,さらにその上に現代生物学の主要領域である分子生物学をすえた3部構成からなっているともいえる.欲張り過ぎの感もあるやもしれないが,実はこのつくりこそ,生化学を中心に生物学全般を学ぼうとする読者のための最良のスタイルと自負している.そのような意図で初版を作成し,改訂2版でもそのスタイルを踏襲した.ほかに類例を見ない,ユニークなテキストではなかろうか.
 本書を通して基礎レベルの生物学,生化学,そして分子生物学にかかわる必須項目を効率的に学ぶことができ,理学(生物学)・薬学・看護・保健・衛生・栄養といった領域の大学の教養課程,そして短期大学や専門学校で学ぶすべての初学者を対象にしている.内容の一定部分は高等学校の学習領域にもなっているため,高等学校の生物や化学の復習用としても適している.さらに,本書は病態にかかわる生化学など,医学的内容を比較的厚く扱っているため,医療関連分野にかかわる読者にとっては最良の一冊になるのではなかろうか.初版で好評だった点はできる限り踏襲しているため,改訂2版では章立てに関しての大幅な変更はしなかったが,記述においては「抗体医薬」,「ゲノム医療」,「ゲノム編集」,「再生医療」などを中心に最新の内容をこれまで以上に盛り込み,文章はより読みやすく,また図表もよりわかりやすいものにした.章末の設問により,理解度を自身でチェックできるといった工夫もなされている.
 本書が,それぞれの読者にとっての最良の一冊になれば,著者としてこれに勝る喜びはない.最後に,本書の改訂作業を不断の熱意で進めていただいた南山堂編集部のスタッフ諸氏に対し,この場を借りて感謝の意を表します.

2018年3月

春一番から数日後のある一日

田村隆明
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む