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カテゴリー: 医学・医療一般

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現場で使える臨床研究法

1版

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 理事長 藤原康弘 編

定価

3,300(本体 3,000円 +税10%)


  • A5判  209頁
  • 2019年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-06011-4

「臨床研究法」の疑問はこれで解決! 現場の研究者のための手引書

2018年4月施行の「臨床研究法」について,法の対象の解釈,医療機器研究に及ぼす影響,企業との研究資金提供を巡る契約や利益相反管理のポイント,認定臨床研究審査委員会の運営,jRCTへの対応,罰則規定の詳細など,現場の研究者の立場に立って,具体的に何をどうすればよいのか,実務上のポイントをわかりやすく解説した.

  • 序文
  • 目次
序文
臨床研究法といかに付き合うか —臨床研究法は怖くない—

 2012〜2014年にかけて,臨床研究の信頼性を揺るがすさまざまな不正事案が明らかとなったことは記憶に新しい.これを受けて,従来からわが国で行われてきた,根拠法をもたない各種の倫理指針が研究,特に臨床研究を規制するわが国の制度への限界を指摘する声が,主に医療界以外から強まった.同時に,厚生労働省が設置した“高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討会”が示した中間とりまとめ(2013年10月8日)で,「わが国の臨床研究に対する信頼回復のためには早急な対応が必要であり,そのための法制度に係る検討について,国は来年秋を目処に検討を進めるべきである」とされたことが,臨床研究法制定の機運を一挙に後押しをした.さらに,2014年7月22日に閣議決定された“健康医療戦略”においても,同様のことが言及され,最終的には厚生労働省が設置した “臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会”のとりまとめ(2014年12月11日)において,「一定の範囲の臨床研究について法規制が必要」とされ,臨床研究を法で規制する流れが決定的になった.その後,2016年5月から翌年4月にかけて臨床研究法案の国会審議が進み,最終的に2017年4月7日参議院での可決・成立,4月14日臨床研究法が公布,2018年4月1日に施行となった.
 臨床研究法の公布後,法運用の詳細は,通常のごとく,政省令や局長通知,課長通知で決まっていったが,①治験・臨床研究の情報公開に関すること,②倫理審査委員会の中央化等の治験・臨床研究の推進に関すること,③臨床研究法に基づく臨床研究実施基準の策定,重篤な疾病(従来の有害事象に相当)等の報告の評価に関することについては省令(施行規則)の叩き台が,“厚生科学審議会”の傘下に2017年8月2日に設置された“臨床研究部会”において,2018年2月9日開催の第7回まで検討された.その後,2018年3月末までに臨床研究法関連の政省令・通知が発出されたことは記憶に新しい.
 医療界が,この臨床研究法の運用が始まってからのその大変さ(シングルIRB導入というメリットに比べても大きい)に気づき始めたのは,法の公布後である.それを裏づけるように2018年3月から10月にかけて5 つのQ&A 集,1 つの事例集が厚生労働省から発出されている.多くの補足的資料が公布されたにもかかわらず,現場で臨床研究に取り組んでいる研究者は,新しい臨床研究法の何がポイントになっているのか,具体的に何をどうすればよいのか,困惑しているのが実情といえる.
 そこで本書を,臨床試験・臨床研究の適正化と水準向上を図るため,臨床試験・臨床研究に関与するすべての研究者等を対象とした実務マニュアルとすることを目的として構想した.2019年3月末で移行期間が終了し,4 月から本格的運用が開始されている今,①臨床研究法の法の対象の解釈,②医療機器研究に及ぼす影響,③企業との研究資金提供を巡る契約のポイントや利益相反管理ポイント, ④認定臨床研究審査委員会の運営, ⑤jRCT(Japan Registry of Clinical Trials)への対応,⑥臨床研究法の罰則規定の詳細など,現場が知りたいことについて,新進気鋭の執筆陣がかゆいところに手が届くよう解説している本書を,ぜひ手元に置いて臨床研究に臨んでいただきたい.

2019年7月
藤原康弘
目次
第1章 臨床研究法の概要と対象
1 臨床研究法の構成と概要
 1.臨床研究の法規制
 2.臨床研究法制定の背景
 3.臨床研究法の構成
 4.臨床研究法の概要
 5.臨床研究登録システム
 6.全体を通して
2 臨床研究法の対象範囲
 1.臨床研究法の対象となる臨床研究とは
 2.研究者が判断し,認定委員会に申請
 3.法の遵守義務がある「特定臨床研究」

第2章 特定臨床研究実施の手順と体制
1 モニタリングと監査
 1.モニタリング・監査の規定が設けられた背景
 2.臨床研究法におけるモニタリング
2 賠償と補償
 1.賠償と補償の違い
 2.臨床研究法「以外」の規範/規制要件における「補償」
 3.臨床研究法における「補償」と新たな臨床研究保険の登場
 4.臨床研究と「賠償」
 5.臨床研究保険の仕組みと問題点
3 利益相反の管理
 1.目的は社会への説明責任
 2.用意されている様式
4 疾病等の報告
 1.疾病等が必要な理由
 2.疾病等発生時の対応とその報告に関する規定
 3.認定臨床研究審査委員会・厚生労働大臣への報告
 4.多施設共同研究の場合の実運用上のポイント
5 主要評価項目報告書と総括報告書
 1.臨床研究に関する情報公開の背景
 2.WHOが公表を求める項目
 3.法施行規則第 24条の詳細
 4.実運用上のコツ
6 研究責任医師の責務
 1.臨床研究の実施と責務
 2.主な臨床研究に従事する者とその責務
 3.臨床研究の実施の基準とその手順
7 医療機関における体制構築
 1.利益相反事実確認
 2.管理者の許可手順
 3.不適合の管理
 4.救急体制
 5.問い合わせ窓口
8 記録の保存
 1.記録の保存が必要な理由
 2.記録の作成と保存に関する規定

第3章 認定臨床研究審査委員会の審査と厚生労働大臣への報告
1 認定臨床研究審査委員会の要件
 1.認定臨床研究審査委員会の役割
 2.認定臨床研究審査委員会の要件(設置者・体制)
 3.認定臨床研究審査委員会の情報,申請の方法
 4.審査の方法・実運用
2 認定臨床研究審査委員会の審査のポイント
 1.認定臨床研究審査委員会の役割
 2.審査の視点
 3.審査のポイント
3 認定臨床研究審査委員会/厚生労働大臣への新規申請
4 認定臨床研究審査委員会/厚生労働大臣への変更申請
5 認定臨床研究審査委員会/厚生労働大臣への定期報告と研究の終了
 1.定期報告
 2.研究の終了

第4章 研究資金と罰則
1 研究資金の提供と情報公開(契約含む)
 1.研究資金等の提供に関する情報等の公表
 2.「契約の締結」について
2 罰則規定
 1.罰則規定が設けられた背景
 2.罰則規定の詳細

第5章 臨床研究法をめぐるトピックス
1 多施設共同研究の運用に関する問題点
 1.認定臨床研究審査委員会承認後の実施医療機関内における倫理審査委員会の審査・承認
 2.認定臨床研究審査委員会や実施医療機関の管理者を介する手続きの重複
 3.臨床研究の実施に重要な影響を与えない実施計画変更の手続き
 4.利益相反の事実確認における機関内の利益相反委員会による審査
 5.共通の説明文書および同意文書を用いる工夫
2 医療機器を用いた特定臨床研究の課題
 1.臨床研究法上の臨床研究への該当性
 2.医療機器の臨床開発の特徴
 3.医療機器の特定臨床研究の見方
 4.プログラム医療機器
3 臨床研究法と先進医療
 1.先進医療制度と臨床研究法
 2.経緯
 3.先進医療の制度の概略
 4.先進医療技術審査部会・先進医療会議における評価
 5.先進医療の告示とその後の手続き
 6.先進医療終了時の手続き
 7.その他の留意点
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