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カテゴリー: 教養課程の医学教科書

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教養基礎シリーズ

まるわかり!基礎物理

改訂3版

久留米大学 名誉教授 鷹野 誠 監修
千葉大学教育学部附属中学校 理科教諭 桑子 研 著

定価

1,980(本体 1,800円 +税10%)


  • AB判  143頁
  • 2025年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-05433-5

豊富なイラストとやさしい文章で必要な基礎力を身につける!

本書は医療従事者を目指す学生のための新しい教養書籍です.高校教科書の作成に携わっている高校教諭と「わかりやすい」と評判の大学教授が共同執筆しています.高校物理から重要な知識を厳選し,楽しいイラストと豊富な例によりやさしく解説.また,物理は医療と無縁に思われがちですが,医療機器や生体の特性を理解するのに重要です.改訂3版では遠心分離などの基礎知識となる回転運動を大幅加筆.高校履修範囲にイマイチ自信のない方は確認問題を解いて,ぜひマスターして下さい!

  • 序文
  • 目次
序文
 本書の初版発刊から10年以上が経過しました.この間に教育現場では「ゆとり教育」と呼ばれたカリキュラムの見直しが行われ,学習時間や学習量が増加しました.その結果として,日本の学生の学力はPISA2022で科学的リテラシーと数学的リテラシーで1位,読解力で2位という成果を収めました.しかし,同時にコロナ禍の影響で「自立学習に対する自信」の不足や,理科の学びを日常生活に活かす意識の低さといった課題も浮き彫りになりました(文部科学省・国立教育政策研究所, 2023).そのため,大学入学共通テストにおいては「知識をどのように活用するのか」が重視されるようになるなど,教育のあり方そのものに大きな改革が求められています.

 本書の基本的なコンセプトは,次ページの「刊行のことば」にも記したように,「生きる力」を育むことにあります.「生きる力」とは身につけた知識を日常で活かせることと考えます.物理を苦手とする学生は多くいます.物理を学ぶ際,どうしても法則や数式の暗記にとらわれがちですが,その背景にある自然現象をしっかりと理解する・体験することの方がより大切です.人類は自然を観察し,法則を見いだし,それを生活に役立ててきました.人工知能(AI)が急速に発展する現代において,将来を見通すことが難しい時代を生き抜くためには,実感を伴った知識・技能,豊かな想像力を養うことが一層重要になっています.さらに自主的に考え,探究する力こそが,これからの時代に必要とされる「生きる力」だといえるでしょう.

 今回の改訂では,物理をより身近な事象と結び付けて学べるよう「STEP UP」の内容を充実させ,医療に関連する物理をより具体的に感じられる「ワンポイント物理講座」を強化しました.また,一つひとつの例示や図も身近なものに例えて考えやすいかどうか,よく見直しました.用語や単位の扱いに関する工夫を加え,基礎力を養うと同時に,現場でより必要な知識が身につくことや,その応用が可能になるよう意識しました.

 本書は看護をはじめ医学教育にご尽力された時政孝行先生に初版からご監修頂きましたが,2022年初夏に残念ながらご逝去されました.これまでのご指導に感謝申し上げるとともに謹んで哀悼の意を表します.志を引継ぎ,今改訂のご監修には,長年医学教育に取り組んでおられる鷹野 誠 先生にお願い致しました.

 最後に,今回の改訂にあたり,多くの方々から貴重なご意見を頂戴いたしました.この場を借りて心より御礼申し上げます.


 2025年1月

 千葉大学教育学部附属中学校 理科教諭
 桑子 研
目次
第1章 物理を理解するための道具とルール
 1 物理で使う数字・文字のルール
  ・物理量には単位が必要
  ・大きい数,小さい数の表し方
  ・累乗の計算
  ・測定値は正確な数字が大切
 2 物理で使う数学
  ・分数の計算
  ・サイン・コサインの復習
 ● 章末問題

第2章 力学のキホン─物体の運動を数式で表す─
 1 速度が変わらない運動
  ・速さと速度の違い
  ・等速直線運動
  ・縦軸と横軸で表されるさまざまなグラフ
  ・平均の速さと瞬間の速さ
  ・速度の足し算はベクトルで
 2 途中で速度が変わる運動
  ・等加速度直線運動とは
  ・等加速度直線運動の公式
 3 物体の落下
  ・そっと手を離す自由落下
  ・上向きに投げる鉛直投げ上げ
  ・斜めに投げる斜方投射
  ・床でバウンドする物体の運動
 ● 章末問題

第3章 物体の運動と力の関係─運動方程式と力のつり合いを理解する─
 1 力の表し方と力の式の使い方
  ・矢印を使って力を表そう
  ・運動方程式と力のつり合い
  ・作用・反作用の法則
 2 身のまわりにある力とその名前
  ・力の種類
  ・力を見つけるためのコツ
  ・斜面上での物体の運動(応用)
 ● 章末問題

第4章 圧力のはたらきと物を回転させる力─身近な力を数式で表す─
 1 身のまわりの圧力とその影響
  ・圧力ってどんな力?
  ・からだが感じる気圧と水圧
  ・水のなかで軽くなるのはなぜ?
  ・圧力のいろいろな単位
 2 物を回転させる力とつり合いの状態
  ・力のモーメントは回転力
  ・偶力とは
  ・力のモーメントのつり合い
  ・大きさのある物体にはたらく力の合成
  ・重心とその見つけ方
 ● 章末問題

第5章 エネルギーとその保存法則
 1 力の効果を動かした距離で測定しよう
  ・物理の「仕事」
  ・仕事に王道は無い「仕事の原理」
  ・仕事の速さを示す「仕事率」
 2 いろいろなエネルギー
  ・エネルギーは仕事をする能力
  ・運動する物体のもつエネルギー
  ・高い所にある物体のもつエネルギー
  ・弾性力 ─ばねのもつ位置エネルギー
 3 エネルギーの保存とその利用
  ・力学的エネルギーの保存
  ・いろいろなエネルギーの保存
 ● 章末問題

第6章 運動量と視点の違いにより感じる力
 1 運動量 ─力の効果のもう一つの見方
  ・運動量と力積のポイントは時間
  ・全体の運動量は変化しない
  ・運動量の保存と力学的エネルギーの保存
 2 相対速度と慣性力で世界を見直してみよう
  ・相対速度とは
  ・静止した視点は存在するのか
  ・慣性力 ―加速したときに感じる見かけ上の力
 3 円運動と遠心力
  ・円運動に必要な力
  ・円運動とさまざまな物理量
  ・円運動と遠心力
 ● 章末問題

第7章 気体分子の運動と熱エネルギー
 1 熱の基本的な性質
  ・原子や分子の小さな運動
  ・温度と熱の違いとは
  ・熱容量と比熱
  ・熱量保存の法則 ─与えた熱と受け取った熱の量は一致する
  ・熱膨張
 2 気体が周囲におよぼす力
  ・気体の法則 ―気体は膨らむ
  ・気体のようすを数式で表す
  ・気体の内部エネルギー
  ・熱エネルギーの力! ―熱力学第一法則
  ・熱力学第一法則の別の書き方
  ・一方通行! ―熱力学第二法則
 ● 章末問題

第8章 波の性質とその表し方
 1 波の表し方と2種類の波
  ・波を作っている物の動きを見よう
  ・波を表す2つのグラフと波の式
  ・媒質の状態を位相で確認
  ・縦波と横波
 2 波ならではの現象
  ・さまざまな波の性質
  ・定常波 ─その場でゆらゆらする波
  ・波の干渉
 ● 章末問題

第9章 波で理解する音と光の現象
 1 音の性質と音程の変化
  ・音波の媒質
  ・音波の伝わる速さ
  ・音波の高低と大きさ
  ・「うなり」は波の重ね合わせ
  ・救急車の音程とドップラー効果
 2 波としての光の性質
  ・光の色と波長の関係
  ・光の干渉
  ・屈折率とは「縮み率」
  ・光の反射
  ・光の屈折
  ・屈折しない全反射
 3 光の屈折とレンズの利用
  ・2種類のレンズ
  ・人間の目と凸レンズの実像
  ・虫めがねと凸レンズの虚像
  ・望遠鏡と凹レンズの虚像
  ・光の散乱
 ● 章末問題

第10章 静電気の力とその表し方
 1 電気の力の表し方
  ・静電気力 ―止まっている電気の力
  ・電気の総量は変化しない
  ・静電気力の公式
  ・静電気力と電気空間の考え方
 2 電荷が受ける力とそのエネルギー
  ・電場と電位は+1Cが基準
  ・電位は「高さ」に相当する
  ・電場は電位の傾きのこと
 ● 章末問題

第11章 オームの法則から理解する電気回路
 1 電流と電子の流れ
  ・電気を通す物質と自由電子
  ・電流の流れと電子の流れ
  ・電流の考え方
  ・電流の大きさとその単位
 2 オームの法則でわかる電気回路と電気代
  ・オームの法則
  ・電位による電流のイメージ
  ・抵抗で使うエネルギーのイメージ
  ・直列接続と並列接続
  ・電気料金と電力の関係
 3 電気回路の2つの素子「アース」と「コンデンサー」
  ・アースとは
  ・コンデンサーとは
 ● 章末問題

第12章 電流と磁場の関係
 1 電流が作り出す磁場
  ・磁石のまわりの磁場
  ・電流が作る磁場
 2 電流は外部磁場から影響を受ける
  ・直線電流が磁場から受ける力
  ・右手で覚える磁場から受ける力の方向
  ・動いた電子が磁場から受ける力
  ・ローレンツ力とモーターの仕組み
 ● 章末問題

第13章 家庭のコンセントに流れる交流電源の作り方とその利用
 1 磁石と電流
  ・磁場・磁力線・磁束密度の関係
  ・電磁誘導 ─コイルと磁石で電気を作る
  ・金属板に生じる誘導電流
  ・導線と電磁誘導
 2 交流の作り方とその利用
  ・発電と交流電源
  ・発電所の仕組み
  ・実効値 ―交流電力に用いられる値
  ・電流の変化を嫌うコイルの性質と自己誘導
  ・相互誘導で電圧を操作
  ・通信で使われる電磁波と交流の関係
 ● 章末問題

第14章 原子の構造と半導体・放射線
 1 原子の構造とその表し方
 2 身のまわりにある半導体
  ・半導体ってどんなもの?
  ・n型半導体と電子
  ・p型半導体と正孔
  ・半導体の利用
 3 放射線の基本的な性質
  ・放射線の発生
  ・放射線のさまざまな単位
  ・放射性崩壊と半減期
  ・核分裂と連鎖反応
 ● 章末問題

[ STEP UP ]
  ・国際単位
  ・指数関数と対数関数
  ・重力の原因「万有引力」
  ・円運動の向心加速度の大きさを導いてみよう
  ・圧力鍋のお話
  ・潜熱と注射や台風
  ・気体定数
  ・サーモグラフィーと仕事と熱と温度
  ・静電気と放電
  ・複雑な回路に便利なキルヒホッフの法則
  ・磁気力の公式
  ・非接触型ICカードの仕組み
[ 実験してみよう! ]
  ・大気圧の大きさを感じてみよう!
  ・自由落下における力学的エネルギー
  ・ビールの泡の崩壊と半減期
[ 応用編 ワンポイント物理講座 ]
  ・赤血球とフェムト
  ・TDM(治療薬物モニタリング)
  ・トレンドグラフと散布図
  ・パスカル
  ・ボディメカニクス
  ・遠心分離
  ・酸素ボンベ
  ・ハイアルチ
  ・滅菌装置「オートクレーブ」の原理
  ・デシベルって何?
  ・超音波診断で使われる「カラードップラー法」
  ・病室の照度は何ルクス?
  ・パルスオキシメーター
  ・人体の電気ショック
  ・細胞膜の電気的な性質とオームの法則
  ・電子1モルの電気量
  ・アイントホーフェン博士の心電計とフレミングの法則
  ・物理療法

 章末問題 解答
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