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カテゴリー: 医学・医療一般  |  内科学一般

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医者に大切な4つの力

1版

公益財団法人 心臓血管研究所 名誉所長 山下武志 著

定価

2,420(本体 2,200円 +税10%)


  • 四六判  142頁
  • 2023年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-00261-9

もし1年目の医者が医師歴30余年の経験知を得たら

医師としての長い人生をどう生き抜くか….
「あらかじめコレを知っておけば,もっと楽に物事が進められたのに」と後悔したことはありませんか? 診療,研究,経営,それぞれのステージを存分に楽しむために意識しておきたい4つのスキルを教えます.これから医療に携わる医学部生・研修医にも,彼らを指導する立場になった先輩たちにも,研究や開業・経営といった新しいキャリアのステージの入り口に立った方々にも,オススメの1冊.

  • はじめに
  • 目次
  • 書評
  • 編集部より
はじめに
 私は、1986年に医学部を卒業してから30年余りにわたって「医者」というキャリアを歩んできました。さまざまな職種のなかでも、これほど長期にわたり同じ業務に携わっているのは、一般社会から見ればむしろ珍しい職業といえるかもしれません。経験を積めば積むだけ達観するはずと考えたくなりますが、そんなに簡単なものでないことは皆さんならすでにお気づきでしょう。医療を取り巻く環境が激変するなか、これまで以上に「医者」としてのキャリアをどう考えるかという課題は難しくなりそうです。

 私にとって、この30年余りは、多くの優れた先輩や後輩と一緒に仕事をしつつ、さまざまな場面で多くの優れた先生がたとお話しをする機会を得る時間でもありました。それぞれの領域でリーダーシップをとりながら、見事に「医者」というキャリアを歩んできた方々です。ふと、この人たちの特徴は何だろうという思いがよぎったとき、そこにある共通するスキル(しかも個性的な!)があるのではないか、それが「医者」というキャリアを考えるうえで、大切な、また支えとなる力なのではないかと考え始めるようになりました。本書では、自分が歩んできた歴史になぞらえていますが、実はその源泉は、私の見た、優れたお「医者」さんたちにあります。

 本書が、これから「医者」というキャリアを歩む、あるいは今歩んでいる方々の将来に、少しでもお役に立てればと願ってやみません。また、これまで行動や言葉でこの力の大切さを私に教えてくれた先輩、後輩諸氏にこの場を借りて感謝いたします。

2023年7月
山下武志
目次
プロローグ

■第1部:医者をする
 □昔の「僕」が経験してきたこと
  ・その昔、内科教授の身体診察力はすごかった
  ・チャートラウンドは教授との闘いだった
  ・心電図・胸部X線の読影に名人芸があった
  ・今、当時をどう思う?

 □今の時代を生きる仮の僕「君」へのアドバイス
  ・医者としての出来は大学卒業後の数年で決まってしまう
  ・僕が医師の初期教育に重要だと思うこと
  ・身体診察力を再考する
  ・論理思考を支えるもの
  ・診療ガイドラインの落とし穴(1)
  ・診療ガイドラインの落とし穴(2)
  ・将来のAIを考えたとき
  ・4つの力は「筋トレ」でしか養われない

 □長い医師人生を過ごすなかで
  ・外来のやりかたを教わることはほとんどない
  ・医者人生は長い
  ・高齢者・超高齢者がますます増加する

■第2部:研究をする
 □昔の「僕」が経験してきたこと
  ・その昔、医者はみな研究していた
  ・僕の研究事始め
  ・僕の基礎研究
  ・大規模臨床研究に関わる

 □今の時代を生きる仮の僕「君」へのアドバイス
  ・研究をするリスク、しないリスク
  ・研究は仮説から始まる“Think Different”
  ・仮説を思いつかない君へ
  ・人、組織、技術につけ!
  ・研究はプレゼンテーション力がものをいう
  ・論文を作成して初めて研究になる
  ・初めての論文作成の実際

 □長い研究生活を過ごすなかで
  ・研究のきっかけは何でもよい
  ・君たちは将来何を研究するのだろう

■第3部:病院を営む
 □昔の「僕」が経験してきたこと
  ・病院経営に携わる
  ・素人が考えてみる
  ・「病院をディズニーランド化する」
  ・プロジェクトチームをつくる
  ・そして、最終章へ

 □今の時代を生きる仮の僕「君」へのアドバイス
  ・病院経営という経験が教えるもの
  ・病院というもの
    一般的な病院は激減する
    ゼロサムゲームのなかにいる病院
    病院は徹底的な地場産業

エピローグ
書評
全循環器内科医に告ぐ! いますぐ読んで,残りの循環器人生を巻き返せ!

永嶋孝一(日本大学医学部内科学系循環器内科学分野 准教授)

 いますぐにでも読んでほしい! まるで河原で小石を一つひとつ積み上げるかのように,「山下武志」というブランドを築き上げた男の自伝である.
 ……と書き出すと,皆こう思うのではなかろうか? 山下先生って,もとから頭がイイから東大に簡単に入れて,国家試験もラクに受かって……,頭イイから努力しなくても論文書けて,大規模臨床試験も簡単にやれたんでしょ…….そんな人の話聞いたって参考になんないよ……,私とは違うんだよ(怒).
 卑屈になった方にこそ勧めたい! 実は山下先生は「こっち側の人間」だぞ!! 学生時代,ちゃんと授業をサボってるし,部活と麻雀に明け暮れてるし,日焼けしてディスコに行ってるし,試験直前での一夜漬けの挙句,赤点とって追試受けてるし…….さらに,医師になってからも明確な人生ビションを描いてなかったんだぞ! 逆にいえば,誰にでも山下武志になるチャンスは,まだあるのである!この「4つの力」さえ身につけていれば.
 本書は,医者編,研究者編,経営者編と3ステージで構成されており,まず山下先生がそれぞれのステージで経験したことが回顧される.この部分では,山下先生も普通の人間なのだなと安心させてくれる.続いて,各ステージで悩んでいた自分に対し,医者として人間として成熟した現在の視点からのアドバイスが提示される.つまり,同じように悩みながらいまの時代を生きている僕らへのアドバイスだ.
 医者としての能力が決まってしまう最初の数年でどうスキルを磨くべきか,そしてガイドラインをどう武器として使っていくべきかを教えてくれる医者編.なぜ医者が研究をするのか,研究するリスクと研究しないリスクの両者をあげて説明しているのが新しい研究者編.研究に対する姿勢,think differentというマインド,仮説が思いつかないときにすべきことなど,珠玉のアドバイスが凝縮されている.そして病院経営においても,いままで培った4つの力が大きく作用することを伝える経営者編.
 これらの激アツなメッセージが,情景描写や音楽表現によって美しく仕立てられているのも魅力の1つである.医者のキャリアは,「広大な大地から山頂へ,そして新たな平野へ」といった情景で描かれ,研究は,「日常に彩りを加える」や「はじまりはいつも雨」といった音楽的な言葉で綴られており,目にも耳にも心地よい.
 ではでは,私はすでにこの本を読み終えたので,お先にワンランク上の医者になっちゃいまーす!
編集部より
 医師国家試験にさえ合格してしまえば,あとはどうにでもなるだろうと思っている人,思っていた人もいるのではないだろうか.
 しかし,試験後に待っているのは,医師としての長い人生.そして,その人生をどう生き抜くか.診療科の選択といった進路選択にとどまらず,問われる自身のマインドとスキル.

 「医者としての出来は大学卒業後の数年で決まってしまう」とも言われる.ただ,その初めの数年間は,どうにも知識や経験が足りない.行き詰まりを感じ,「あのとき,これを勉強しておけば」「もっとこの経験を積んでおけば」と後悔しないためにも,本書では,診療,研究,経営,それぞれのステージを存分に楽しめるよう意識しておきたい4つのスキルを教える.

 本書で紹介される4つのスキルは,若いうちに鍛えておくことが望ましいが,すでに新人・若手とよばれる世代を卒業した方々であっても,意識しておくのと,まったく意識しないとでは大違い.これを機にみずからを振り返ることは有意義であろう.

 これから医療に携わる医学部生・研修医にも,彼らを指導する立場になった先輩たちにも,研究や開業・経営といった新しいキャリアのステージの入り口に立った方々にも,オススメの1冊である.
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