定価:1,995円(本体1,900円+税5%)
■特集にあたって(山田勝士)
■疼痛コントロールが不良になる要因と薬学的管理の重要性(加賀谷 肇)
■がん疼痛治療薬の副作用マネジメント
・オピオイドの副作用―発現メカニズムと対策・対応―(伊東俊雅)
・オピオイドの変更(薬剤・投与経路・剤形)に関連する副作用マネジメント(久原 幸)
・NSAIDs長期服用時の副作用―減量・変更・中止のタイミング―(伊勢雄也)
・副作用対策薬・鎮痛補助薬による副作用(宮川和也ほか)
・スペシャルポピュレーションへの副作用管理(国分秀也)
・副作用管理が困難になるケースとその対応(斎藤寛子)
■がん疼痛治療薬の相互作用マネジメント
・オピオイドと抗がん薬との相互作用(加藤裕久)
・支持療法薬を併用しているとき(髙瀬久光)
・高齢者をみたときに留意すべき相互作用(松本高広)
■疼痛コントロール不良事例から学んだ教訓
・医療用麻薬の正しい知識を患者と共有する(岩根裕紀ほか)
・患者は『痛み』の訴えを遠慮している(竹迫秀和)
・短期間に医療用麻薬の至適投与量を定める(塩川 満)
・NSAIDsを適正使用するために(武井大輔ほか)
・患者状態にあわせた剤形を選択する(菅原英輝ほか)
・患者自身の薬剤管理能力を高める―レスキュー自己管理の実際―(竹内泰子ほか)
・入院時の持参薬をチェックする(上島健太郎ほか)
・嘔気・嘔吐の発現原因を明確にする(田所杏子ほか)
・オピオイドによる眠気出現を鎮痛効果判定の指標にしない(龍 恵美ほか)
・非薬物療法の提案も忘れない(打保裕子ほか)
・財布の痛みも緩和する
―QOLと経費のバランスを考えたオピオイドローテーション―(佐藤淳也)
■医療用麻薬の正しい管理・保管・調製
・病院薬局・薬剤部および病棟での注意点(佐藤健太郎)
・在宅でオピオイド製剤を安全に使用する配慮(轡 基治)
■がん疼痛緩和の個別化医療をサポートする新たな製剤開発
・突発突出痛への効果が期待される『フェンタニル口腔粘膜吸収剤』(飛鷹範明ほか)
・日本人のニーズから設計された『フェンタニル1日1回製剤』(丸山 徹)
・神経障害性疼痛への効果も期待される『塩酸トラマドール徐放製剤』(吉澤一巳ほか)
・WHOが定めたエッセンシャル・メディシン『メサドン』(下山恵美ほか)
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第4回
TDM症例解析によるQflex2の実践的操作方法の解説
(渋谷正則ほか)
■小児医療現場で起こっている危険 第4回
脱カプセルとカプセル粉砕
(小嶋純ほか)
・タクロリムス軟膏に関する新聞報道
・フェンタニルによる咳反射
・マムシ咬症の治療
わが国では,2007年4月に施行された「がん対策基本法」において,疼痛などの緩和を目的とする医療が早期から適切に行われることが求められており,緩和医療の重要性はますます高まっている.さらに,2008年4月の診療報酬改定では,緩和ケアチームに緩和ケアの経験を有する専任の薬剤師が算定要件として加えられ,薬剤師が医師および看護師とともに積極的に患者の症状緩和に取り組むことになった.現在,がん治療に関わる薬剤師の認定制度として,日本病院薬剤師会のがん薬物療法認定薬剤師制度,日本医療薬学会のがん専門薬剤師制度,そして日本緩和医療薬学会の緩和薬物療法認定薬剤師制度がある.がん治療に取り組む薬剤師はこれらの認定薬剤師となるか,あるいはこれから認定薬剤師となるために日々研鑽を積んでおり,今後,ますます実践においてスペシャリストとして活躍する薬剤師が増えてくることが期待される.しかしながら,臨床現場においては,不適切な鎮痛薬の使用による疼痛コントロール不良事例,副作用や相互作用による不具合が日常的に生じている.とくにがん性疼痛治療においては,モルヒネを基本とした薬物療法が中心であることから,薬剤師が果たすべき役割は大きい.
そこで,本特集では,緩和医療薬学の分野で活躍されている先生方に,がん疼痛治療薬の適正使用や管理,さらに問題の解決法などについて執筆していただいた.がんの治癒を願い,そしてがん疼痛からの解放を強く願っている患者に対する緩和医療の実践に,是非明日から役立てていただきたい.
山田 勝士 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 教授・薬剤部長
2010年10月 Vol.61 No.11
がん薬物療法を支える―薬剤師の目線・スタンス・ポジション―