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「薬局」2022年2月 Vol.73 No.2

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2022年2月 Vol.73 No.2
今日から始める“せん妄”対応

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって はじめよう「せん妄」対応(小川 朝生)

■それって本当にせん妄ですか?“せん妄”の実像をつかむ!
・せん妄の定義・3因子を知る(谷向  仁)
・せん妄の鑑別・評価法を知る(大谷 恭平)
・せん妄がもたらすリスクを知る(井上 真一郎 ほか)

■こんなときどうする?これから始める“せん妄”対策!
・[実践編・概論]入院患者へのせん妄予防的介入(榎戸 正則)
・[実践編・概論]せん妄ハイリスク薬(三輪 高市)
・[実践編・各論①]せん妄ハイリスク薬の確認と減量・中止はどう進める?(五十嵐 隆志)
・[実践編・各論②]せん妄ハイリスク薬の使用をどうする? 代替策はある?(安井 玲子)
・[実践編・概論]入院患者へのせん妄治療的介入(岡本 禎晃)
・[実践編・概論]せん妄薬物治療の薬剤選択と評価(祖川 倫太郎)
・[実践編・各論③]病棟でせん妄を疑ったときの対応は?(村川 公央)
・[実践編・各論④]せん妄に関連して確認したい検査値・所見はなに?(吉廣 尚大)
・[実践編・各論⑤]せん妄による事故防止・安全確保をどうする?(武井 宣之)
・[実践編・各論⑥]せん妄の薬物治療がやめられない?(佐賀 雄大 ほか)
・[実践編・概論]外来・在宅医療・高齢者施設でのせん妄スクリーニングと対応(餅原 弘樹)
・[実践編・各論⑦]在宅でのせん妄への対応・自己管理(山根 暁子)
・[実践編・各論⑧]疼痛コントロールで気をつけたいことは?(伊勢 雄也)

■場面別!慌てずとりかかる実践的“せん妄”対応!
・一般病棟でみられるせん妄(別所 千枝)
・術後せん妄,ICU/救急領域でみられるせん妄(吉廣 尚大)
・精神科領域でみられるせん妄(中村 友喜)
・緩和医療領域でみられるせん妄(井上 将貴)

■Exercise

シリーズ

■えびさんぽ
 心房細動患者に対する直接経口抗凝固薬の有効性・安全性はワルファリンに劣りませんか?
 (青島 周一)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 病態別栄養編④ 慢性閉塞性肺疾患
 (東 敬一朗)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第2回〉
 テーマ選びのオモテ・ウラ② ~日本の社会背景から課題を選ぶ~
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第2回〉
 ワクチンに関する相談~Vaccine Hesitancy~
 (篠田 康孝)

■医薬品適正使用・育薬FLASHニュース
 ・フルオロキノロン系抗菌薬で動脈瘤リスク
 ・医師と薬剤師の協働で糖尿病の治療効果改善
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■腫瘍薬学ハイライト
 膵がんの二次治療薬「ナノリポソーム型イリノテカン」
 (川西 正祐)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話〈第2回〉
 『○○に作用します』(前編)
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■喫茶よりみち薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #02〉
 「0410対応」と薬局のこれから~この動きは一時的なものじゃない…!?~
 (井出 和希)

■薬剤師力の型 ―新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈弍ノ型〉
 原疾患治療に伴う有害事象は慎重に判断せよ!
 (望月敬浩)

■臨床薬物動態のPITFALL-その常識,ウソ? ホント?-
 尿中未変化体排泄率が低くても腎排泄性の薬物となることはある
 (花井 雄貴)

■書評
 薬剤師が実践すべき副作用へのロジカルアプローチ
 その症状,きちんと評価できていますか?
 (岩本 卓也)

巻頭言

-はじめよう「せん妄」対応-

高齢者の診療機会が増え,どの医療機関においても「せん妄」という言葉は耳にするようになった.実際にせん妄は,高齢者を中心に,入院・外来で高頻度に発症する精神症状である.
従来は「入院中の不穏は一時的なものだから,拘束しておけばよい」「入院中のストレスだから家に帰せばよくなる」などといわれ,問題行動とひとくくりにされがちであり,関心ももたれなかった.しかし,せん妄は背景に意識障害があること,せん妄を発症することで生命予後の短縮や施設入所につながること,認知症を進行させることが明らかになるにつれ,せん妄の予防と早期対応が重要であるとの認識に至っている.
また,せん妄は医療安全の面からも対応が急がれる.せん妄は夜間の転倒やルート抜去に関連する.加えて,近年では術後せん妄における患者体験を巡って,刑事裁判となった事例も生じている.患者の苦痛の軽減を図るだけではなく,医療者や医療機関を守る意味でも,せん妄は避けて通ることのできない病態である.
一方,薬剤師の観点からは,せん妄はイメージがわきにくい,とっつきにくいものとも思われるかもしれない.一般に薬剤師が軽微な意識障害を意識する場面は少ないし,せん妄の治療といっても抗精神病薬の調剤・投与に関わる程度と思われがちである.しかし,せん妄は入院患者の2割から3割を占めており,ベッドを回れば必ず遭遇する病態である.加えて,わが国の臨床ではベンゾジアゼピン系薬の使用頻度が高いことを反映して,薬剤の有害事象としてせん妄を発症している事例が多い.特に、不眠時の不適切な指示やクリニカル・パスに沿ってルーティンに投与された結果,せん妄が「意識せずに」作られている危険性も指摘されている.病院スタッフへの教育的な関わりや,適切な処方設計など,薬剤師がより積極的に関わることが強く求められている.
今回の特集では,今臨床で求められるせん妄への対応方法について,解説いただいた.近年明らかになりつつあるせん妄の病態と,それに基づく予防戦略を専門家にわかりやすく解いていただくとともに,第一線の臨床家に,対応のエッセンスをまとめていただいた.
本特集が先生方の臨床の即戦力になれば幸いである.

国立がん研究センター 先端医療開発センター 精神腫瘍学開発分野長
小川 朝生