最新号

「薬局」2020年7月 Vol.71 No.8

在庫状況:在庫あり

2020年7月 Vol.71 No.8
薬剤性光線過敏症
適切に対応できるチカラを身につける

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(宮地 良樹)

■「露光部の皮膚トラブル」を訴える患者のみかた・考えかた(上出 良一)

■薬剤による光線過敏症の検査とピットフォール(戸倉 新樹)

■薬剤性光線過敏症の治療戦略-どの患者でどう治療するか-(川田 暁)

■薬剤性光線過敏症の発生機序と既往歴がある患者の薬剤管理
・薬剤性光線過敏症の原因薬剤と発生機序(尾上 誠良)
・薬剤性光線過敏症歴がある患者への薬剤管理(村川 公央 ほか)

■光線力学的療法における薬剤性光線過敏症対策(吉岡 正博 ほか)

■太陽紫外線の防御対策・遮光指導の実践ポイント
・屋外における太陽紫外線曝露と防御対策法の効果(森脇 真一)
・サンスクリーン剤の基礎知識-市販製品の内容物を読み解く力を身につける-(水野 誠)
・紫外線防御用化粧品の選び方と使用時の留意点(藤原 留美子 ほか)
・光線過敏症の原因薬剤を投与する際の遮光指導(大谷 道輝)

シリーズ

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記 最終回
症例検討会を継続しよう!
つまづきやすいピットフォールと対策
(上塚 朋子/矢野 良一)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
睡眠薬の適正使用に貢献を!
(坪内 清貴)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
-必要栄養量の設定方法-
(東 敬一朗)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症の時代に遭遇して
~「Withコロナ」の時代における「新しい生活スタイル」について~
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑮回
株式投資個別銘柄評価
~製薬企業編~
(桑原 秀徳)

Report

■がん化学療法誘発悪心・嘔吐の予防と治療①(内田 まやこ)

■新型コロナウイルス感染症(COVID―19)治療薬(大井 一弥/川西 正祐)

巻頭言

 太陽光線は私たちの生活にエネルギーや明るさ,暖かさなど計り知れない恩恵を与える.しかし,そのわずか6%余りを占める紫外線には多彩な功罪があり,私たちの皮膚でビタミンDを産生するというミッション以外にはデメリットが多く,誰にでも起こりうるサンバーン,光老化,光発がんだけでなく,一部の人には光線過敏症を惹起する.多くの光線過敏症は紫外線+αの要因で起こるが,その+αの要因が遺伝や代謝異常などの内因性の場合と,食事・薬剤(経口剤,注射剤,外用剤)・化粧品など外因性の場合がある.頻度的に一番多いのは外因性光線過敏症の代表である薬剤性光線過敏症で,その主な作用波長はUVAである.
 医療専門職にとって薬剤性光線過敏症が日常診療で重要な理由は,
①処方箋によって医療専門職が引き起こす医原性疾患であること
②発症に早期に気づいて投与を中止すれば完治できること
の2点に集約される.
 ケトプロフェン外用剤(貼布剤)による光線過敏症は頻度も多いためよく知られているが,経口剤としてニューキノロン系抗菌薬,NSAIDs,降圧薬などもしばしば光線過敏症の原因となる.チアジド系利尿薬のように,いったんは光線過敏症の頻度が激減したにもかかわらず,チアジド配合降圧薬の登場によって光線過敏症が復活・再興したことは記憶に新しい.したがって医療専門職としては,「自分が患者に薬剤性光線過敏症を起こしているのではないか?」と絶えず自問自答して薬剤性光線過敏症の動向を注視する必要がある.
 発症に気づくという意味では,患者の愁訴に「発疹」があった場合,その発疹の分布に細心の注意を払うことが肝要である.光線過敏症の発疹は日光曝露部に限局して現れるので,顔面・頸部・耳介・手背などに発疹がみられやすい.さらに詳細に観察すれば,頸部の露光部と被覆部に境界鮮明な紅斑がくっきりと分かれて存在すること,前頸部のV字領域にはあるが日の当たらない下顎直下部には発疹がない,あるいは手背にはあるが手指間にはない,など緻密な発疹分布の観察がまるで推理小説を読み解くように薬剤性光線過敏症診断のヒントを与えてくれることもまれではない.
 本特集ではこのように日常診療に重要な薬剤性光線過敏症に適切に対処できるように,まずどのように診察し,どのように検査をして診断に至るのか,診断がついたら被疑薬を中止できるかどうか,どのような治療戦略があるのか,という点について主に皮膚科医の立場から解説いただいた.続いて,薬剤性光線過敏症がどのような機序で発生するのか,既往歴がある場合の薬剤管理について薬学研究者の立場から論じていただくとともに光線力学的療法における遮光管理についても言及していただいた.最後に太陽紫外線防御対策や遮光指導の実際についても皮膚科医の臨床における実践的な指導とともにサンスクリーンを中心に香粧品の専門家に解説をお願いした.
 これまであまり薬剤性光線過敏症に特化した特集はなかったと思われるが,本特集では薬剤性光線過敏症の現況についてかなり網羅的に詳述していただいたので,この一冊で薬剤性光線過敏症の最新の知識と予防・治療の手法を十分習得することができるものと確信する.ぜひ,薬剤性光線過敏症に遭遇するすべての医療専門職のスキルアップにご活用願いたい.

宮地 良樹
京都大学 名誉教授

次号予告

2020年8月 Vol.71 No.9
β遮断薬
― これまで集積されたノウハウと薬物治療の最前線 ―