定価:2,625円(本体2,500円+税5%)
医学,そして内科学というものは総体として確実に進んでいくものであるが,すべてのサブスペシャリティが等速で進歩しているわけではなく,いくつかの分野が技術革新に伴って飛躍的に進むことで,全体が進歩していく.そうしたなかで関節リウマチの世界は過去30年間ほとんど進歩のない,ほかから取り残された分野であった.もちろんDMARDsの開発や免疫抑制剤などの利用により以前に比べれば進歩はあったのであるが,そこにまさにブレイクスルーとして起こったのがこの数年間の生物学的製剤の導入である.
TNFαとよばれる免疫系賦活の初動を司るサイトカインを抑制し免疫系を不活化することによって,関節の疼痛が劇的におさまり腫脹がとれることが実証され,またその副作用も比較的小さいことがわかり,高価であるにもかかわらず急速に普及していった.さらにわが国で開発された抗IL-6レセプター抗体(トシリズマブ)など種類も増えた.そしてこれらの薬剤はリウマチの診療そのものを次々と変えている.すなわち早期診断のための診断基準,早期治療の方針,そして手術の方針までも変えてしまった.まさにリウマチ診療のパラダイムシフトが起こったのである.このため一般医がこうした新たな診療方針について行けず,リウマチ専門医の必要度が上がったともいえる.一方で専門医は数が少なく高まる需要に応えられない.この結果,専門医から一般医に逆紹介する医療連携も必要になると考えられる.今回の特集は,わが国のリウマチ専門医の代表といわれる先生方によって,こうしたリウマチ学の大きな変化のなかで一般医が知っておくべき知識は何か,求められているものは何かをわかりやすく解説していただくことを目的としたものである.
高林克日己 千葉大学医学部附属病院企画情報部 教授
今月の視点(高林克日己)
■診療のパラダイムシフト
リウマチの診療が変わった(高林克日己)
欧米のリウマチ診療ガイドラインとTreat to Target(泉 啓介,他)
早期診断・早期治療,window of opportunity(田村直人)
関節リウマチ診療における関節エコーの有用性(池田 啓,他)
リウマチにおけるMRI 診断(住田孝之,他)
一般医のための関節リウマチ活動性の評価(倉沢和宏)
■治療薬のパラダイムシフト
知っておきたい生物学的製剤の基礎知識(田中良哉)
生物学的製剤をどう使い分けるか(瀬戸洋平,他)
トシリズマブ─日本発の生物学的製剤─(西本憲弘)
MTX の治療法が変わった(鈴木康夫,他)
免疫抑制薬をどう使うか(遠藤平仁)
生物学的製剤と整形外科手術(窪田綾子)
■HOT TOPICS
リウマチと地域医療連携(簑田清次)
すんなりわかる
実践! リウマチ診療のパラダイムシフト(宇井睦人)
医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(12)
高齢者とコミュニケーション(宇佐美まゆみ)
よりよい医院経営(79)
医療版MB 賞フレームワーク活用による病院の経営革新(末松清一)
再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(54)
培養細胞移植による毛包再生治療の開発に向けて(青井則之,他)
何が正解? 循環器治療 EBM で検証(57)
大動脈弁狭窄症の予後および治療について(川浦範之,他)
肺炎治療におけるスイッチ療法(栁原克紀)
2012年3月 Vol.94 No.3
過敏性腸症候群の診かた
― 専門領域を越えた,さまざまなアプローチ法とは? ―