書籍カテゴリー:神経学/脳神経外科学|内科学一般

日常臨床からみた認知症診療と脳画像検査
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日常臨床からみた認知症診療と脳画像検査
その意義と限界

1版

  • 八千代病院 神経内科部長 川畑信也 著

定価:4,104円(本体3,800円+税8%)

  • B5判 178頁
  • 2011年10月 発行
  • ISBN978-4-525-24781-2

概要

脳画像検査だけで認知症の有無を判断することはできない.脳画像検査への頼りすぎに警鐘を鳴らすべく,本書では,その認知症診断における活用法・意義・限界について,MRIと脳SPECT検査を主軸に解説している.事例ごとの記述とすることで,教科書的な典型例だけではなく,診断の難しいケースにも対応できる知識とスキルを身に付けられる.

序文

 認知症診療に従事していますと,「画像検査で年齢相応の脳萎縮だけですから心配いらないでしょうと他院で言われました」と受診してくる患者さんがみられます.多くの場合,診察を行うと認知症に進展していることが明らかになってきます.このように脳画像検査で認知症の有無を判断している,あるいはできると考えている医師が存在することは残念なことです.
 認知症の有無を判断する最大のスキルは,患者さんを診る医師の臨床眼だと著者は考えています.それを基盤に,脳画像検査をいかに上手に応用していくのかが臨床医の腕の見せどころではないでしょうか.現在の医療はあまりにも臨床検査や画像検査に頼りすぎているのではないかとの想いを著者は常に抱いています.脳画像検査の意義を否定しているわけではありませんが,脳画像検査が本来もっている臨床的な意義を再度考え直すべきではないかという考えから本書は生まれています.
 本書は,脳画像検査,とくにMRIと脳SPECT検査が認知症診療でどのような役割をもっているのか,それらの検査意義はどこにあるのか,さらに脳画像検査の限界をどう捉えるのかに主眼をおいて記述しています.脳SPECT検査,とくに統計画像解析でしばしば使用されている3D-SSP統計解析画像の結果を臨床診断にどう結びつけていくのかを事例を通じて解説しています.
 本書はまた,脳画像検査からみた認知症の診断の手順を臨床の現場に即して解説することを目的としています.そのため網羅的に脳画像検査について解説することを避け,日常臨床で著者が実際に診療した事例を通じて脳画像検査の利用法,その結果の解釈のしかたや限界などについて解説しています.
 実際に臨床の現場で認知症が疑われる患者さんの診療を行っていますと,「この患者さんの原因になっている認知症疾患はこれである」と容易に臨床診断を下せる事例ばかりでないことは明らかです.病歴を正確に聴取できない患者さんや臨床像と神経心理検査に乖離がみられる患者さん,臨床像から推測した病態と脳画像検査との間に齟齬がみられる患者さんなど,実際の日常臨床で遭遇する患者さんは教科書や成書で描かれている典型的な事例とは異なることを臨床医ならば,しばしば経験されているものと思います.本書は,そのように感じておられる臨床医の先生方のお役に立つよう内容を構成しています.
 本書では必要に応じて病態や治療などについても最小限触れていますが,認知症全般にわたる診断や治療の詳細については,姉妹書である拙書『かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド』(南山堂,2010年)を参照していただければ幸いです.本書とともにこの書籍にも目を通していただきますと,先生方の認知症診療のスキルが飛躍的に高まると著者は確信しています.

2011年9月
川畑信也

目次

知っておくべき認知症診療の知識
 認知症診療の実際
  診断の手順
  日常臨床ではアルツハイマー型認知症が最も多い原因疾患
 画像検査
  認知症診療における脳形態画像検査の役割をどこに求めるか?
  アルツハイマー型認知症診断支援ツールVSRADの意義とその利用
  日常臨床における脳SPECT検査の意義
  診療に際して脳SPECT検査の断層画像だけでは不十分か?
  3D-SSP統計画像解析とは?
  アルツハイマー型認知症での血流異常は多彩
 神経心理検査

MRI VSRAD
  事例1 海馬萎縮が目立たない事例1
      病像は典型的なアルツハイマー型認知症
  事例2 海馬萎縮が目立たない事例2
      アパシーをうつ合併と診断されていたアルツハイマー型認知症
  事例3 脳萎縮は目立つが認知症に進展していない高齢者

脳SPECT
 アルツハイマー型認知症
  事例4 脳SPECT検査が臨床診断に役立った事例1
      年齢に伴う心配いらない物忘れとの鑑別に苦慮したアルツハイマー型認知症
事例5 脳SPECT検査が臨床診断に役立った事例2
家族が前医の診断に疑問を呈し受診してきた患者さん
事例6 脳SPECT検査が臨床診断に役立った事例3
独居のために日常生活の情報収集が困難な患者さん
事例7 うつとの鑑別1
うつとの鑑別に苦慮したアルツハイマー型認知症
事例8 うつとの鑑別2
アルツハイマー型認知症との鑑別に苦慮したうつ
事例9 うつとの鑑別3
双極性障害の既往と向精神薬の服薬歴のある患者さん
事例10 うつとの鑑別4
脳SPECT検査でも鑑別ができなかった患者さん
事例11 認知症を伴わない幻覚・妄想との鑑別1
家族が活発な妄想を心配し受診した患者さん
事例12 認知症を伴わない幻覚・妄想との鑑別2
前医でピック病と誤診されていたアルツハイマー型認知症疑い
レビー小体型認知症
事例13 レビー小体型認知症1
臨床像から診断が可能な典型事例
事例14 レビー小体型認知症2
せん妄を伴うアルツハイマー型認知症と誤診されていた事例
事例15 レビー小体型認知症3
診断補強に脳SPECT検査が役立った事例
事例16 レビー小体型認知症4
アルツハイマー型認知症との鑑別に脳SPECT検査が役立った事例
血管性認知症
事例17 血管性認知障害1
比較的純粋な典型事例
事例18 血管性認知障害2
多発性ラクナ梗塞にアルツハイマー型認知症を合併した事例
事例19 血管性認知障害3
脳梗塞を契機にアルツハイマー型認知症が顕在化した事例
前頭側頭型認知症
事例20 前頭側頭型認知症1
診断が比較的容易な事例
事例21 前頭側頭型認知症2
アルツハイマー型認知症の疑いが強い事例
診断困難例
事例22 病型判断が困難な事例1
脳SPECT検査でアルツハイマー型認知症と判断するも認知症が進行しない事例
事例23 病型判断が困難な事例2
心筋シンチグラフィーでレビー小体型認知症と診断した事例
事例24 病型判断が困難な事例3
アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,血管性認知症いずれとも確定できない事例
事例25 病型判断が困難な事例4
心臓手術後の一過性認知機能低下とアルツハイマー型認知症の合併が疑われる事例