ブックタイトルエキスパートが秘訣を語る 循環器薬物治療の極意

ページ
11/12

このページは エキスパートが秘訣を語る 循環器薬物治療の極意 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

エキスパートが秘訣を語る 循環器薬物治療の極意

106Ⅳ.不整脈に対する薬物治療Ⅰ群抗不整脈薬の使いかた薬理作用? Na チャネル遮断薬は,Na イオンの細胞内流入(速い内向き Na+電流)を抑制することで活動電位の立ち上がり(0 相)を抑える.つまり,心筋細胞の興奮が時間的に遅れ,細胞から細胞への興奮伝播も遅れることになる.この作用は,1 つの組織と考えると伝導速度の遅延として現れるため,リエントリー機序の不整脈に対してリエントリー回路内の伝導ブロックを呈し,抗不整脈作用を示すことになる.? 一方,Na チャネル遮断薬はペースメーカー細胞にも作用する.第4相の脱分極の勾配を小さくすることで,活動電位の立ち上がりまでの時間が遅れる.このことは異所性ペースメーカー細胞による興奮(異所性自動能)の頻度を減らすことになる.基礎心疾患の有無,心機能? CAST 試験(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)の報告3)以降,突然死予防薬としてのⅠ群抗不整脈薬の役割はなくなった.しかし,基本的に突然死の危険性が低いといわれる器質的心疾患の伴わない心房細動および心室性不整脈に対しては,発作を抑制するという意味で有用性が高い.? ほとんどのⅠ群抗不整脈薬は陰性変力作用(心抑制)があると考えてよい.基礎心疾患のない例には使用可能だが,基礎心疾患のある例では慎重に使用すべきである.とくに,Naチャネルとの結合・解離が遅い薬は心抑制が強い.低心機能例での使用は心不全悪化の危険性があり,原則として避ける.? リドカインやメキシレチンは不活性化 Na チャネルを抑制することから,活動電位の長い心室にのみ効果がある.チャネルとの結合・解離が速く,心抑制がないことから,基礎心疾患を有する例にも使用されるが,突然死予防のエビデンスはない.抗コリン作用? ジソピラミド,ピルメノール,シベンゾリンは抗コリン作用を有する.抗コリン作用により,口渇,便秘や排尿障害などを引き起こすことがあり,前立腺肥大症や緑内障などを有する例では注意が必要である.腎機能? 腎排泄率が高い,ピルシカイニド,シベンゾリン,プロカインアミド,ジソピラミドは,腎障害例や高齢者では血中濃度が上昇する可能性があり,注意が必要である(図15 - 5).腎排泄率の低い,プロパフェノン,アプリンジン,メキシレチンを選択するのも方法だが,肝代謝能や病態はかならずしも一様でなく,やはり低用量から開始するのが安全である.催不整脈作用1)徐脈性不整脈? 徐脈性催不整脈作用には,洞房ブロック・洞停止と房室ブロックがある.Na チャネル遮B