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「薬局」2020年9月 Vol.71 No.10

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2020年9月 Vol.71 No.10
貧血
最新の薬物治療戦略と実践ポイント

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(張替 秀郎)

■要点整理! 貧血の病態・検査の勘所
・貧血の分類・成因と留意すべき患者背景(張替 秀郎)
・貧血の初期症状を見逃さないチェックポイント(亀岡 淳一)
・貧血における検査値の診方・考え方(岡田 定)

■貧血の薬物治療戦略! どの薬剤をいつ・どの患者に・どう使う?!
・鉄欠乏性貧血(川端 浩)
・巨赤芽球性貧血(藤原 亨)
・腎性貧血(西 慎一)
・溶血性貧血(亀崎 豊実)
・再生不良性貧血(石山 謙)
・骨髄異形成症候群(山田 悠一 ほか)
・赤芽球癆(藤島 直仁)

■鉄剤を使いこなす“知識”と“ノウハウ”!
・小児(新生児を含む)で鉄剤をいかに使うか? 留意点は?(植田 高弘)
・妊婦で鉄剤をいかに使うか? 留意点は?(杉村 基)
・鉄剤で留意すべき副作用・相互作用は?(大柳 元 ほか)

■こんなときどうする? プロが教える実践ポイントQ&A!
・がん化学療法に伴う貧血にはどう対応すればよいか?(小船 雅義 ほか)
・心不全と腎不全を合併する貧血をいかに治療するか? 骨・ミネラル代謝異常もある場合はどうするか?(鶴屋 和彦)
・薬剤性貧血の原因となる薬剤は? 薬剤性貧血であるかの見極めはどう行うか?(本村 小百合)
・HIF―PH阻害薬はどの患者にどう使う? 留意点は? (菅原 真衣 ほか)
・鉄過剰のときにはどう対応するか? 鉄キレート剤はどの患者にどう使う?(鈴木 隆浩)

■個々の患者にあわせた貧血患者の栄養管理・指導(岡本 智子)

シリーズ

■フォーミュラリー道場 ―医薬品の適正使用を目指して―
フォーミュラリーの作り方・運用方法を説明する
(金井 紀仁/安藤 正純)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
―糖質(グルコース)その②―
(東 敬一朗)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
妊娠中の抗ヒスタミン薬の使用は?
(宇野 千晶/中島 研)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)により促進された
「オンライン・コミュニケーション」
~「感染防止」と「経済活動」の両立を目指す考え方~
(中野 重行)

Report

がん化学療法誘発悪心・嘔吐の予防と治療③
(内田 まやこ)

巻頭言

 赤血球は,組織への酸素供給という生命維持の根幹を担う細胞である.赤血球の酸素運搬における機能分子はヘモグロビンであり,ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素と結合し酸素が運搬される.したがって,ヘモグロビンの低下は体の酸素不足をもたらす.この状態が貧血である.貧血の症状は,息切れ,動悸,倦怠感など共通であるが,貧血の原因は多様であり,数多くの貧血疾患が存在する.そして,それぞれに対する治療も異なり,予後もさまざまである.貧血疾患のうち,最も頻度が高い貧血は鉄欠乏性貧血であり,診療科,年齢に関係なく経験する貧血である.ただし,慢性腎臓病や肝障害,内分泌疾患などに伴う二次性貧血,がんに伴う貧血,炎症に伴う貧血など,診療科横断的で多数の患者が存在する貧血疾患は多岐にわたる.したがって,日常診療を行う上で貧血疾患を理解することは医療者にとって必須である.一方で,患者数は限られるものの,血液疾患のような診断や治療の専門性が高い貧血も存在する.これらの特殊な貧血疾患の治療を行う施設は限られるため,一般的な保険薬局において治療薬を扱う頻度は低いものの,扱う場合には作用機序や副作用,併用薬との相互作用など高度な知識が求められる.
 さらに,高齢化社会を迎えて貧血疾患の構成に変化が認められるとともに,医学の進歩により貧血疾患に対しても数多くの新規治療薬が用いられるようになってきた.したがって,この多様な貧血疾患を適切に治療するには,治療薬に関する最新で正確な知識と適切な管理が必須である.
 本特集号では,貧血疾患にスポットをあて,診断の基本,病態の理解,薬物治療の実際を専門家に解説いただくこととした.まず,診断のポイント・考え方といった貧血全般にかかわる事項を解説いただき,さらに,代表的な貧血疾患の病態と治療について具体的に解説いただくことにしている.前述のごとく,貧血疾患は多様であり,本特集でそのすべてをカバーすることはできないが,最低限の必要な知識は提供できていると考えている.本特集の内容が臨床現場での診療・薬剤管理に役立つことを願っている.

張替 秀郎
東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野 教授