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治療

 ジェネラリストが
「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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ジェネラリストが
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月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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2019年11月 Vol. 101 No.11

医療と地域をつなげる貧困対策

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
 「健康格差」という言葉や,健康の社会決定要因(SDH)という概念が国内外で広まり,健康を左右するような社会的問題に対しどのように医療者がアプローチするか,その対策が求められています.しかし,とくに若手医師のうちは医学的疾病以外への関心は低くなりがちで,簡易に学べる書籍も少ないのが現状です.
 今回の特集では,社会医学の予備知識がない医師を対象にし,「貧困」と医療との関係を知ることで社会的問題全般に関心が向かう機会にしたいと考え企画しました.貧困はお金の問題にとどまらず多くの社会的問題と関連しており,健康にも大きく影響し,医療者の立場からもできることがある!ということが伝わればと願い,幅広いテーマを選びました.
 冒頭の総論では,社会医療の第一人者である近藤先生に,「医師が貧困に取り組む意義」についてとてもわかりやすく解説していただきました.さらに「貧困と健康に関するエビデンス」も紹介していただき,普段の診療では空欄のままになりがちな「社会歴の把握」の重要性を感じていただけると思います.そのうえで,貧困に対して関心をもった医療者が「どうやって貧困や社会的問題をみつけ,分析すればよいのか」に答える評価方法を紹介しています.
 さらに,具体的な介入方法をイメージでき,特定集団の特性も理解して取り組めるように各論を分厚く作りました.介入については,さまざまな規模・視点で学べるように個別事例への継続的・多面的な介入(ミクロ),特定の地域集団とかかわる場作り(メゾ),国内外における州や全国レベルでの活動・学習・ネットワークづくり(マクロ)の3つのレベルをまんべんなく扱いました.また,普段現場で感じている疑問を形にして,ミクロとマクロを継ぐきっかけともなる,貧困をテーマにした臨床研究も紹介しています.また,貧困と関連の深い医療現場・疾患,患者特性についての理解を深められるよう,救急医療や小児医療,感染症診療に加え,LGBTなどのマイノリティや,そういった集団と関連の深いスティグマについても詳しく解説していただきました.
 最後には,日本プライマリ・ケア連合学会の三重宣言(健康格差に関する声明)の背景にある思いや体験をベースにして,同学会理事長の丸山先生に特別寄稿をいただきました.
 本特集が多くの医療者の目に触れることで,今まで現場の忙しさを理由に流されがちだった「社会的問題」に関心をもつ方が少しでも増え,この国で社会的問題に苦しむ患者さんが少しでも健やかに過ごせるようになったらいいなと期待しています.

[編集幹事]
勤医協札幌病院 内科・総合診療科 佐藤健太
特集の目次
■総 論
医療者による貧困ケア総論「貧困を治療する —医師が貧困に取り組む意義」(近藤尚己)
貧困が健康に及ぼす影響「エビデンスの概説と解釈の仕方 —貧困と健康に関するエビデンスをいかに読み解くか」(水本潤希)

■貧困の評価
患者の経済的問題を感度よく引き出す方法「医療・介護スタッフのための経済支援ツール」(舟越光彦)
健康の社会的決定要因(SDH)の全体像を把握する方法「Social Vital Signs」(横田雄也,他)

■貧困への介入
ミクロ…医療機関における事例個別対応「健生病院におけるSocial Vital Signsカンファレンスを利用したchaotic事例への関わり」(大高由美)
メゾ…医療法人の多職種による低所得者の多い地域への「場」づくり「大規模公営住宅街の“保健室”からみえてきたこと」(堀込真弓) 
メゾ…多団体合同プロジェクトによる医療機関外での路上生活者への支援「ホームレス状態の方々を地域で支える —ハウジングファースト東京プロジェクト」(武田裕子,他)
マクロ…海外における家庭医集団による州レベルでの社会的弱者ケア「カナダの先進例を学ぶ —SDHスタディーツアー in トロント」(山田秀樹,他)
マクロ…日本の貧困問題について学びながら取り組める組織活動「健康増進拠点病院の全国的な活動 —日本HPHネットワーク」(尾形和泰)
アカデミック…日本の貧困問題に関連した研究活動「経済的に困窮している患者に医療機関ができることは? —生活困窮者の健康や受診行動、社会背景の実態に関する研究より」(西岡大輔,他)

■貧困と関連の深いトピックス
貧困と救急医療(田端志郎)
貧困と小児(武内 一)
貧困と感染症(井村春樹)
貧困とマイノリティ(翁長祐太,他)
スティグマと健康格差(熊谷晋一郎)

■特別寄稿
JPCAのSDH委員会と「健康格差に対する見解と行動指針」について(丸山 泉)
連載
今月のお薬ランキング(44)
B型慢性肝炎治療薬(浜田康次)

症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ(5)
高齢慢性うっ血性心不全におけるループ利尿薬の功罪 慢性期うっ血性心不全における利尿薬のエビデンス(杉本俊郎)

こちらつるかめ病院臨床倫理カフェ つるりん(6)
DNAR症候群(金城謙太郎,長尾式子,竹下 啓)

映画で読み解く医療 ─シネメデュケーション(映画医療教育)─(10)
エビデンスに基づく適切な疾病予防(宇井千穂)
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