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カテゴリー: 臨床薬学  |  医学・医療一般

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医療現場のための薬物相互作用リテラシー

1版

東京大学医学部附属病院 薬剤部 副薬剤部長 大野能之 編
千葉大学大学院薬学研究院 臨床薬理学研究室 教授 樋坂章博 編

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • B5判  271頁
  • 2019年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-77601-5

薬物相互作用のプロ級対応力が身に付く一冊!

近年では,薬物相互作用(DDI)を考える際にその影響の強度によって相互作用薬と被相互作用薬を分類するなど,DDIの考え方は転換期を迎えている.本書は,DDI予測に有用なCR-IR法とPISCSの使い方から,基質薬や阻害薬・誘導薬として重要な薬剤のDDIマネジメントまで,医療現場で必要なDDIリテラシーを身につけるための解説書である.

  • 目次
  • 序文
目次
第1章 ピットフォールに陥らないためのDDIの基礎知識
 1.DDIの原因とメカニズム
 2.代謝酵素・トランスポーターの遺伝子多型
 3.投与経路(経口・注射)によるDDIの強度の違い
 4.外用剤におけるDDI
 5.吸収過程のDDIと併用のタイミング
 6.タンパク結合阻害とDDI
 7.代謝酵素の基質同士の併用とDDI
 8.代謝酵素の阻害様式とDDIの持続時間
 9.代謝誘導によるDDIの持続時間
 10.添付文書のDDI情報
 11.正確で効率のよいDDI情報のキャッチアップ

第2章 網羅的なDDI予測を可能とするCR-IR法とPISCSの基礎と実践
 1.CYP3A4阻害のDDIにおけるCR-IR法とPISCS
 2.CYP3A4誘導のDDIにおけるCR-IR法とPISCS
 3.CYP3A4以外の分子種が関与するDDIにおけるCR-IR法とPISCS
 4.PISCSによるDDIマネジメントの実践
 5.CR-IR法とPISCSに関するQ&A

第3章 臨床上重要な薬剤の実践的DDIマネジメント
 1.主に基質薬として重要なもの
  ①ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
  ②抗凝固薬
  ③ジギタリス製剤
  ④スルホニル尿素薬・グリニド系薬
  ⑤HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)
  ⑥リチウム
  ⑦ベンゾジアゼピン受容体作動薬
  ⑧オキシコドン
  ⑨メトトレキサート
  ⑩抗悪性腫瘍薬(タモキシフェン,タキサン系)
  ⑪抗悪性腫瘍薬(ボルテゾミブ,ビンカアルカロイド系)
 2.主に阻害薬・誘導薬として重要なもの
  ①アゾール系抗真菌薬
  ②抗HCV薬
  ③非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
  ④キノロン系・カルバペネム系抗菌薬
 3.主に基質薬と阻害薬・誘導薬の両面で重要なもの,およびその他
  ①抗HIV薬
  ②抗精神病薬
  ③抗うつ薬
  ④抗てんかん薬
  ⑤カルシニューリン阻害薬
  ⑥抗悪性腫瘍薬(フッ化ピリミジン系)
  ⑦制吐薬

付録:CYPおよびトランスポーターを介する薬物相互作用薬一覧
序文
 医薬品の適正使用には,医師による疾病に対する診断と処方,薬剤師による処方支援,処方監査と正確な調剤ならびに情報提供が不可欠です.1990年代前半に起きた抗ウイルス薬と抗がん薬との薬物相互作用により生じたソリブジン事件では,15人もの犠牲者を出し,これを受けて医薬品添付文書の問題点が議論され,薬物相互作用に関する記載要領が改定されました.2000年代になると,臨床試験がない組み合わせの薬物相互作用の強度も予測可能な方法が考案され,2018年に発出された『医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン』では,薬物相互作用の影響の強度に基づいた相互作用薬と被相互作用薬の分類ごとに注意喚起を行う考え方が新たに取り入れられました.このように,薬物相互作用情報の考え方と情報提供のあり方については,大きな転換期を迎えています.
 また,近年の高齢化に伴う併存疾病増加に伴うポリファーマシーの問題においても,薬物相互作用をいかに回避あるいはマネジメントするかは重要な課題の一つです.実際に,多くの疾病ガイドラインで推奨されている薬物療法も,他疾患を併存する場合には,それらの疾病の推奨薬との薬物相互作用が問題となることもあります.薬剤師は,こういった問題の適正化に今後ますます積極的に関わることが求められます.
 例えば,降圧薬Aを飲んでいた患者さんに,薬剤Bが追加され,薬剤Bの医薬品添付文書では,降圧薬Aの代謝を阻害するため,併用注意となっているとします.「◯◯先生,相互作用により血圧が低下しますがどうしましょうか?」との情報提供は,薬剤師らしい仕事でしょうか? 添付文書の記載内容を定量的に考察できる,その情報を適用可能か定量的に考察できる,相互作用のマネジメントを定量的に考えて提案できる,それが薬剤師の本来の仕事ではないでしょうか?
 そこで本書では,薬物相互作用にスポットを当て,薬物相互作用の基礎知識ならびにピットフォール,薬物相互作用の影響の強度を考慮した薬物相互作用マネジメントの基礎と実践,および治療域が狭い・副作用の起きやすい薬剤の薬物相互作用マネジメントをいかに実践するか,について解説しています.薬物相互作用マネジメントに焦点を絞り,基礎と応用,そして実践例を取り上げている点は,教科書とは異なる今までにない薬物相互作用マネジメントの実践書であると思います.本書が,医療現場における薬物相互作用リテラシーの向上のための一助となれば幸いです.

2019年6月
編者を代表して
大野能之
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