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カテゴリー: 小児科学

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わかってほしい!子ども・思春期の頭痛

1版

筑波学園病院小児科/東京クリニック小児・思春期頭痛外来
藤田光江 著

定価

1,980(本体 1,800円 +税10%)


  • A5判  161頁
  • 2019年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-28291-2

専門医がやさしく詳しく教えます! 子ども・思春期の頭痛の対処法

幼児・小学生から中高生まで,頭痛や頭痛による不登校で悩む子どもたちと保護者に日々向き合っている著者が,子どもの頭痛の背景にあるさまざまな原因,診断・治療の進め方,治療薬の効果,不登校につながる頭痛への対処法,家庭でできる対処法,保育所・幼稚園・学校でできる対処法をやさしく解説.保護者・教育関係者・医療者の方々必読.

  • 序文
  • 目次
序文
 一般病院の常勤小児科医として働いていた30年前、自分の専門分野を作ることを勧められ、選んだのが子どもの頭痛でした。なぜ頭痛かというと、外来を受診するさまざまな子どもの症状のなかで、頭痛は、医学生時代・研修医時代を含めて教わっていない分野で、教科書や論文をみても載っている情報はわずかしかなかったからです。外来を受診する子どもの頭痛の多くは、発熱など風邪症状に伴う頭痛で、病気が治ると頭痛も消失します。ところが、当時は、風邪症状もないのに頭痛を訴えて受診した子どもに、鎮痛薬を処方するだけで、頭痛そのものについての診断ができていなかったため、どう説明してよいかわからず困っていたのです。
 子どもの頭痛は、ご家族の方々にとっても、何か病気が隠れていないか心配になる症状です。心配だからといって、頭痛を訴えて受診するすべての子どもに頭部の画像検査が必要になるというわけではありません。付き添いの保護者の方に頭痛があれば、その様子をよく聞くことにより、子どもの頭痛が片頭痛であると診断できることもあります。このように、問診を十分に行うことで、多くの頭痛の診断ができることが徐々にわかってきました。
 片頭痛は、子どもでも日常生活に支障をきたす度合いが大きい頭痛で、頭痛の発症早期に治療薬を使用し、暗い静かな部屋で眠ることで軽快するので、ご家族はもちろん学校スタッフの方々とも正しい知識の共有が必要です。緊張型頭痛は、片頭痛より軽い頭痛ですが、何かをきっかけに強い頭痛に変わることがあり、しかも学校のある平日の朝に頭痛が強く、欠席につながることがあります。他の医療機関から紹介されて頭痛専門外来を受診する思春期の子どもは、慢性連日性頭痛という治りにくい頭痛のために、不登校をきたしていることもあります。
 頭痛診療を開始した当初から、日本頭痛学会に所属する神経内科・脳神経外科など他の診療科の多くの先生方のご指導を受けました。現在、日本頭痛学会では「頭痛診療に関心をもつ小児科医の集い」も活動を始め、小児科医の間でも情報共有ができるようになっています。
 これまで私の外来に足を運び、頭痛や日常生活のさまざまなことを語ってくれた子どもたちとその保護者の方々、サポートしてくださった皆様に深謝いたします。今回、担任や養護教諭など学校スタッフの方々へ発信するにあたり、中高一貫校の教員である長女、中学校教員である次男の助言がありました。また高校時代不登校になり、立ち直るのに3年かかった次女の存在は、困っている親子に寄り添う私の原動力になっていると思います。
 最後に、本書の発刊にあたりご尽力くださった南山堂の熊倉倫穂氏、松村みどり氏に厚くお礼申し上げます。
 この本が、頭痛に悩む子どもたち、ご家族、学校スタッフの方々のお役に立つことを願ってやみません。

2019年10月
藤田光江
目次
Part1 症例編
1.片頭痛の症例
症例1.3歳で初めて「あたまがだるい」と表現できた5歳女児
症例2.「だるい」で始まり「だるい」で終わる頭痛発作で受診した11歳(小学5年)男児
症例3.子ども(小学2年男児)が片頭痛と診断され、自分の頭痛が片頭痛とわかった父親
症例4.周期性嘔吐症を繰り返し、6歳から頭痛発作を起こすようになった9歳(小学4年)女児
症例5.腹部片頭痛と診断された6歳女児
症例6.自分の前兆を描いた12歳(小学6年)男児
症例7.さまざまな誘因があり、片頭痛の治療薬が効きにくい15歳(中学3年)女子
症例8.転校により、頭痛が片頭痛のみとなった16歳(高校1年)男子
2.反復性緊張型頭痛の症例
症例1.睡眠時間を増やして頭痛が消失した10歳(小学5年)女児
症例2.メディアと接する時間の制限で頭痛が軽快した11歳(小学5年)男児
症例3.高熱時の強い頭痛が解熱後も続いた9歳(小学4年)男児
症例4.ストレスの対応で緊張型頭痛が消失した14歳(中学2年)女子
3.慢性連日性頭痛の症例
症例1.学校生活のさまざまな不安が慢性頭痛になった11歳(小学5年)女児
症例2.中高一貫校から公立中学に転校し、慢性頭痛を乗り越えた13歳(中学2年)女子
症例3.起立性調節障害が共存していた慢性連日性頭痛の14歳(中学3年)女子
症例4.昼夜逆転、不登校状態をダンスで乗り切った14歳(中学2年)男子
症例5.身体症状症(身体表現性障害)と考えられた慢性連日性頭痛の15歳(中学3年)女子
症例6.片頭痛の治療に抵抗し、心理社会的要因関与の慢性緊張型頭痛が主と気づいた16歳(高校1年)男子
症例7.ゲーム依存から立ち直った16歳(高校2年)男子
症例8.長期の頭痛と不登校から脱却中の自閉スペクトラム症の18歳(高校3年)女子
症例9.睡眠障害、長期欠席を通り抜けた新規発症持続性連日性頭痛の12歳(中学1年)女児
4.二次性頭痛の症例
症例1.頭痛を主訴に一般外来を受診し、著明な高血圧が判明した11歳(小学5年)女児
症例2.頭痛が続き、頭部CT検査で好酸球性肉芽腫が発見された8歳(小学3年)男児
症例3.発熱、嘔吐、右前頭部痛で受診し、脳出血が診断された9歳(小学4年)女児
症例4.3歳から頭痛があり、6歳(小学1年)でもやもや病と診断された女児
症例5.頭痛・嘔吐に食欲不振と体重減少が加わった10歳(小学5年)女児
症例6.激しい頭痛の後に出現した帯状疱疹の9歳(小学4年)女児
症例7.鉄欠乏性貧血治療で頭痛が消失した13歳(中学2年)男子

Part2 頭痛の基礎知識編
第1章 子ども・思春期の頭痛の特徴
1.子ども・思春期にはどんな頭痛があるの?
・どんな頭痛の患者さんが病院を受診しているの?
・年齢からみた頭痛の種類は?
・一次性頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)の患者数の割合と男女間の差は?
2.どうして頭痛は起きるの?
3.頭痛の種類と特徴
3-1.片頭痛
・片頭痛はどんな頭痛?
・片頭痛を引き起こす誘因(引き金)は?
・片頭痛ではどんな症状があらわれるの?(未治療の場合)
・片頭痛にはどんな種類がある?
・「前兆のない片頭痛」はどのように診断される?
・「前兆のある片頭痛」はどのように診断される?
・片頭痛に関連する周期性症候群って?
・片頭痛は遺伝する?
・片頭痛の予後(将来の経過や予測)は?
3-2.緊張型頭痛
・緊張型頭痛はどんな頭痛?
・緊張型頭痛の種類と診断は?
・緊張型頭痛と片頭痛を見分けるポイント
3-3.慢性連日性頭痛
・慢性連日性頭痛はどんな頭痛?
・慢性連日性頭痛はなぜ起きる?
・慢性連日性頭痛の要因その1「過去の頭痛の経験」
・慢性連日性頭痛の要因その2「思春期という年齢」
・慢性連日性頭痛の要因その3「自分を出すのが苦手な性格特性」
・慢性連日性頭痛の発症のきっかけ
・慢性連日性頭痛の共存症その1「起立性調節障害」
・慢性連日性頭痛の共存症その2「過敏性腸症候群」
・慢性連日性頭痛の共存症その3「精神疾患」
3-4.二次性頭痛
・二次性頭痛の原因疾患は?
・どんなときに二次性頭痛を疑う?
・子どもに比較的多い二次性頭痛は?

第2章 医療機関での対応
1.受診のしかた
2.どんな診察が行われるの?・・・初診時の流れ(著者の頭痛専門外来での場合)
3.問診票からわかること
・問診1 頭痛はいつ頃から始まりましたか?
・問診2 頭痛は片側性(片方の痛み)ですか?
・問診3 頭痛の部位はどこですか?
・問診4 頭痛の程度は?
・問診5 頭痛はどんな性質の痛みですか?
・問診6 頭痛はどのくらいの頻度で起こりますか?
・問診7 頭痛は長い時間でどのくらい続きますか?
・問診8 頭痛は1日のうちいつ起こりますか?
・問診9 頭痛はどのように始まりますか?
・問診10 頭痛が始まる前に何か前ぶれはありますか?
・問診11 10で答えた前ぶれは長い時でどの位続きますか?
・問診12 頭痛と10で答えた前ぶれの関係はどうですか?
・問診13 頭痛に誘因はありますか?
・問診14 頭痛に次の症状が伴いますか?
・問診15 頭痛をもつ人が家族にいますか?
・問診16 今までに次の病気にかかったことがありますか?
・問診17 次の状態が以前、または今もありますか?
・問診18 頭痛の症状は休日に軽減する傾向はありますか?
・問診19 最近、ご本人の家庭などの様子で何か気になることがありますか?
・問診20 この質問を回答した人はどなたですか?
4.診察では保護者はどうすればいい?
5.検査が必要な頭痛は?
6.初診時の頭痛の診断は?
7.次回(再診)の診察はどうなるの?
8.通院のコミュニケーションツール「頭痛ダイアリーと登校カレンダー」
・日本頭痛学会の頭痛ダイアリー
・日本頭痛協会の小児・思春期頭痛ダイアリー
・アプリを利用した頭痛ダイアリー
・頭痛ダイアリーはどう記入する?(実際の記入例から)
・登校カレンダー
9.治療方法
9-1.片頭痛の治療
・片頭痛の非薬物治療(薬に頼らない治療)
・片頭痛の薬物治療
・頭痛が増えて片頭痛の薬が効かなくなったら?
9-2.反復性緊張型頭痛の治療
9-3.慢性連日性頭痛の治療
・できれば早期発見・早期治療
・支持的精神療法
・不登校が絡む慢性連日性頭痛
・慢性連日性頭痛と精神疾患の共存
・慢性連日性頭痛と起立性調節障害の共存
・慢性連日性頭痛と過敏性腸症候群の共存
10.再診時の診療
10-1.片頭痛
10-2.慢性連日性頭痛
・子どもへの対応
・保護者への対応
・小児の一次性頭痛の簡易診断チャート

第3章 家庭での対応
1.子どもが頭痛を訴えたらどうするの?
2.家庭でできる頭痛の予防対策
2-1.からだの健康
・十分な睡眠時間
・食育
・子どもの生活とスケジュール
・電子メディアの制限
2-2.心の健康
・子どもの性格を知る
・バッテリー切れ状態
・楽しいと思える生活
・子どもにとっての公平
・子どもの人格・本能を大切にする
・子どもに対する両親の役割
・保護者の心の健康
3.家庭での薬の使い方
4.家庭でできること(不登校につながる慢性連日性頭痛の場合)
・学校欠席が増えたときの初期の対処法
・不登校の状態評価
・不登校に対する対処法
・子どもが落ち着いてきたときの対応

第4章 保育所・幼稚園・学校での対応
1.保育所・幼稚園で頭痛の子がいたら?
2.学校(小・中・高)で頭痛の子がいたら?
3.子どもの頭痛の種類による対応法
3-1.片頭痛と緊張型頭痛
3-2.不登校につながる慢性連日性頭痛
・学校欠席の初期対応
・不登校となった場合の対応
4.学校での子どもの心のケア
・子どもの自己評価と自尊感情
・生徒にとっての公平とは?
・教師の声かけ
5.学校スタッフの心身の健康
6.頭痛診療での不登校への対応(著者の小児・思春期頭痛外来の場合)
7.子どもの頭痛診療における連携
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