慢性炎症と生活習慣病

慢性炎症と生活習慣病 page 9/12

電子ブックを開く

このページは 慢性炎症と生活習慣病 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
慢性炎症と生活習慣病

14.炎症性腸疾患における炎症慢性化のメカニズム12914ターT 細胞に分化・増殖して炎症を惹起する(図14 - 3).筆者らは,この病原性メモリーT 細胞こそが炎症性腸疾患根治療法における治療標的ではないかと考え,これまで検討を行ってきた.1炎症性腸疾患モデルマウスにおける“腸炎惹起性メモリーT 細胞” 筆者らは,これまでおもにCD4+ CD45RBhigh T 細胞移入大腸炎モデルマウスを用いて炎症性腸疾患の免疫学的病態を検討してきた.このモデルマウスは,SCID マウスやRAG 欠損マウスなどのリンパ球の存在しないマウスに,ナイーブ細胞の分画であるCD4+ CD45RBhighT 細胞を移入することにより,4 ~ 6 週で腸管粘膜への多数のCD4+ T 細胞浸潤をともなうTh1/Th17 型の慢性大腸炎を発症する.このモデルマウスにおける腸炎発症のメカニズムは,元来,腸管粘膜局所あるいは腸間膜リンパ節において過剰なエフェクターT 細胞の活性化を抑制する,CD4+ CD45RBhigh T 細胞分画に含まれないnTreg の不在が重要と考えられており,実際,nTreg を含む分画であるCD4+ CD45RBlow あるいはCD4+ CD25+細胞の共移入によって腸炎の抑制が可能である.また,無菌環境あるいは腸内細菌を死滅させる抗生物質合剤の経口投与によってこのモデルマウスの腸炎は発症しないこと,腸炎を発症したマウスの腸管粘膜内CD4+ T 細胞はin vitro において腸内細菌抗原に反応性をもつことから,このモデルマウスにおける腸管粘膜内CD4+ T 細胞は,腸内細菌抗原に反応して腸炎を惹起していると考えられる. 筆者らの検討によれば,このモデルマウスの大腸粘膜内CD4+ T 細胞はCD4+ CD44+CD62L-のエフェクターメモリー型であり,さらに,メモリーマーカーであるIL - 7Rα,抗アポトーシス分子であるBcl - 2 を高発現し,新たなSCID マウスに再移入しても5 世代以上大腸炎が再現された14).筆者らはこの細胞こそがモデルマウスにおける病因細胞と考えて,表面マーカーおよび長期生存の特徴から腸炎惹起性メモリーCD4+ T 細胞と定義した(図14 - 4).図14 - 3 炎症性腸疾患の再燃緩解メカニズムにおけるメモリーT 細胞の役割エフェクターT細胞エフェクターT細胞発症炎症炎症緩解再燃長期生存CD4+T細胞数緩解導入療法緩解維持療法ナイーブT細胞メモリーT細胞アポトーシス