慢性炎症と生活習慣病

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概要:
慢性炎症と生活習慣病

10.動脈硬化と慢性炎症─マクロファージ─8510 また,マクロファージはさまざまなサイトカインを分泌し,プラーク内血管新生19)や微小石灰化20)を誘導して,プラークの不安定化に寄与することが知られている.動脈硬化プラークの不安定化や破綻のメカニズムについては,十分に明らかになったとはいえず,今後さらなる研究が必要である.2プラークの血栓性亢進とマクロファージ マクロファージは血液凝固を強力に促進する組織因子を強発現する21).プラーク破綻部位では血液凝固因子とプラーク内の組織因子が接触し,致死的な血栓形成が急激に起こると推定される.事実,急性冠症候群の症例では,組織内の組織因子の発現・活性が増加しているとする報告も散見される.さらに,マクロファージは線溶系を抑制するPAI- 1(plasminogenactivator inhibitor - 1)を発現する.このように,マクロファージは凝固・線溶系のアンバランスをつうじて急性冠症候群の病態に関与すると考えられる.3脂質低下療法とマクロファージ 1990 年代にスタチンを用いた大規模臨床試験が,コレステロールを低下させることにより急性冠症候群の発生率が減少することを明らかにした.この作用には必ずしも血管造影上の狭窄度の明らかな改善はともなわないことから,急性冠症候群の発生の減少は,単にプラークの縮小(regression)による内腔の拡大ではなく,むしろプラークの質的・機能的改善(安定化stabilization)によるとする仮説が1990年代前半からB.G. Brown やP. Libby らにより提唱されてきた. 筆者らのコレステロール負荷ウサギのモデルでは,食事による脂質低下により病変の酸化ストレスと内皮細胞活性化が改善し,マクロファージの集簇が劇的に低下して,MMP- 1/コラゲナーゼ- 1 の発現・活性が低下した.これと並行して,血管の強度を規定する因子であるコ図10 - 2 不安定プラークの特徴① ~⑨の所見をもつプラークが不安定プラークと考えられる.①線維性被膜の脆弱化⑦血管平滑筋のアポトーシス⑧血管外膜における血管新生④炎症細胞の活性化③マクロファージの浸潤・泡沫化⑤MMP,サイトカインなどの産生・分泌⑥脂質コアの拡大⑨微小石灰化内膜②内皮障害中膜血管内腔