慢性炎症と生活習慣病

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概要:
慢性炎症と生活習慣病

4.異所性脂肪と慢性炎症394ことが知られているが,肥満の脂肪組織においてもマクロファージに先行して好中球の浸潤が認められる.実際,好中球を除去,あるいは好中球が産生するエラスターゼを欠損すると,肥満に誘導されるインスリン抵抗性が軽減するという13).一方,脂肪組織にはリンパ球が豊富に存在し,栄養状態に応じて細胞の種類や細胞数が変化する.たとえば,非肥満の脂肪組織においてはCD4+ T 細胞や制御性T 細胞regulatory T cell(Treg)が多く局在し,IL - 4 やIL - 10 などの抗炎症性サイトカインを産生する.肥満の脂肪組織においては早期よりCD8+ T細胞の増加が認められ,M1 マクロファージの脂肪組織浸潤を誘導する14).最近では,B 細胞や新たなリンパ球サブセットであるナチュラルヘルパー細胞(NH 細胞)15)の存在も報告され,脂肪組織炎症における病態生理的意義が注目される.一方,好酸球は非肥満の脂肪組織に多く存在して,IL- 4 やIL- 13 を豊富に産生することにより,M2 マクロファージの維持に重要な可能性がある16).最近,脂肪組織において存在が報告されたナチュラルキラー細胞(iNKT 細胞)は,炎症促進性と炎症抑制性の二面性をもつ可能性が示唆されている.以上のように,さまざまな免疫担当細胞の存在や役割が報告されており,今後,これらの相互作用や経時変化を明らかにすることにより,脂肪組織炎症の全貌が解明されると期待される.4-6 脂肪組織炎症と異所性脂肪蓄積 余剰のエネルギーを中性脂肪として蓄積することは,脂肪組織(細胞)の最も重要な機能の1つであり,栄養状態に対応して交感神経系やインスリンなどのホルモンにより巧妙に制御されている.慢性的な過栄養に曝されると,脂肪細胞はサイズの増大(肥大化)や細胞数の増加(過形成)により脂肪蓄積量を増やして対応するが,やがて脂肪細胞に蓄えきれない過剰な脂肪は血中を介して全身に作用する(図4 - 2).非脂肪細胞に蓄積する脂肪を「異所性脂肪」とよび,肝図4 - 2 脂肪組織炎症と異所性脂肪蓄積の経過過栄養により余剰のエネルギーが中性脂肪として脂肪組織に蓄積される.脂肪組織は脂肪細胞の肥大化や過形成により脂肪蓄積量を増やして対応するが,一定の範囲を超えるとマクロファージ浸潤を特徴とする慢性炎症性変化が誘導される.その結果,炎症性サイトカインによる脂肪分解の亢進や間質の線維化による脂肪細胞の肥大化制限などにより脂肪組織の脂肪蓄積能が減少し,オーバーフローした脂肪が異所性に蓄積すると考えられる.NASH:非アルコール性脂肪性肝炎.線維化・肥大化制限マクロファージ浸潤マクロファージ浸潤異所性脂肪蓄積 脂肪蓄積能 肝臓脂肪組織脂肪肝NASH遊離脂肪酸脂肪蓄積炎症・脂肪分解 (肥大化・増殖)